氷淵の残響 暗闇へ
暗闇へⅠ
石の森のイーレンを手伝ってあげよう
石碑の森
イーレン | |
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羽根ペンはどこにいったのかしら? | |
選択肢 | |
私が探しましょう | |
イーレン | |
ありがとうございます。今朝ポワリー湖へ行った時に、羽根ペンを落としてきてしまったのかもしれません。 |
ポワリー湖畔
(湖面には陽光が煌めき、さながら精霊が踊っているようだ) |
暗闇へⅡ
ポワリー湖畔でイーレンの羽根ペンを探そう
ポワリー湖畔
ドワーフ | |
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人間?最近、カルファの森に来る人間がどんどん多くなってる……。 | |
選択肢 | |
尋ねる | |
私 | |
イーレンの羽根ペンを、見なかったかな? | |
ドワーフ | |
見てないわ。でも一緒に探すわ。森にはリスや小鳥がたくさんいるから、巣に持って行ってしまったのかも。 | |
私 | |
ありがとう。 | |
ドワーフ | |
どういたしまして!でも……私のお願いも聞いてくれる? | |
私 | |
もちろんいいよ。 | |
ドワーフ | |
夜になると白い鹿が現れるらしいの!でも私は見たことがないの。私の代わりに白い鹿が現れるか見てくれない? | |
私 | |
いいよ。 |
暗闇へⅢ
夜の森の小道に行き、白鹿を待とう
ポワリー湖畔
(湖面には陽光が煌めき、さながら精霊が踊っているようだ。水辺では、ドワーフが何か探しているようだ) |
林の小道
(林の中には細い道があり、鹿とリスが駆け抜けていった) | |
選択肢 | |
待つ | |
(夜が明けて昼になり、昼からたそがれ時になる。そしてまた、たそがれ時から夜になる) (葉の隙間から月明かりが森の中へ漏れ、葉の擦れ合う微かな音が道の向こう側から聞こえてくる) (薄暗い夜の森の中、透明な白い光が徐々に近づいてくる。近づくにつれ、鹿の角の輪郭がハッキリとしてきた) (白い鹿は低木の後ろからこちらを盗み見て、ほどなくすると跳ねながら去ってしまった) (その夜は静かで安らかで、知らず知らずのうちに寝てしまい、目が覚めた時はすでに空が明るかった) |
暗闇へⅣ
ポワリー湖畔へ戻りドワーフを訪ねよう
ポワリー湖畔
ドワーフ | |
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羽根ペンを見つけたよ!木のうろにあった!君は白鹿を見た? | |
選択肢 | |
会えた | |
ドワーフ | |
本当に!?おじいさんはウソをついてなかったんだ!白い鹿は本当にいたんだ! ありがとう、それはイーレンの羽根ペンだよ!早く渡してあげて! |
暗闇へⅤ
羽根ペンを石の森のイーレンに届けよう
石碑の森
イーレン | |
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私の羽根ペンは見つかった? | |
選択肢 | |
見つけた | |
イーレン | |
私の羽根ペンだわ。ありがとうございます。私は時の銘文に歴史を記録します。石の森で休んでいって下さい。 | |
(点在する石碑の間に座り、森のゆったりとした時間を楽しみながら、石碑に書かれている文字を読んだ) (「森へ侵入した少年が……かつて、あの血を浴びた鋭利な剣を持ち去った」) | |
私 | |
これってどういう意味だろう? | |
イーレン | |
それは、あの夜のレイチェルの記憶、あの「鮮血の夜」の。 | |
私 | |
鮮血の夜……。 | |
イーレン | |
石碑の中の幻へは連れて行けます。あの夜の出来事を見せられるけど、あまり鮮明ではないかもしれません。 | |
私 | |
わかりました。 | |
(イーレンが石碑に触れながら小さな声で呪文を唱えると、もう一つの空間の石碑の文字へと連れて行かれた) (一面真っ暗な中、ぼんやりとした赤い色が段々と集まってきた。それは紅月だった) (聴こえてくる音は厚い壁を隔てたようで、視界は歪み、まるで広い水の中にいるようだった) (光を感じることができず、出口も見えなかった。あの白い服を着た少年が水中に飛び込むまでは) (彼はすばやく泳いでいき、気泡が彼とは反対方向に上昇していく。私は慌ててついて行った) (深くなるにつれ、周囲の水も次第に真紅に染まっていく。真ん中にたどり着くと、またあの少年をみつけた) (彼は一本の剣を握りしめ、その剣は誰かの胸に刺さっている。私は戦慄を覚えた) (その人の黒髪は水中でゆらゆらと漂い、まるで時間が彼の周囲で止まってしまったかのようだった) (少年は眉間にしわを寄せ、剣を引き抜いた。その瞬間、水の奥深くから激しい振動が伝わってきた) (私の両手は何も掴むことができず、揺れる波に湖面まで流された) (奇妙な呪文が響き、私は一面に広がる赤の中に、目が焼けるほどの鮮血を見た) (次に目を開けた時、私はポワリー湖の畔に倒れていて、服は湿っぽくなっていた) (朝の光と鳥の囀りが、体に降り注いでいた。森の朝は心地よく、頭痛が少しばかり和らいだようだ) (体を起こして辺りを見渡すと、誰かが湖の畔で、寄りかかって座っているのに気付いた) (あの白い服の少年だ。彼の服もずぶ濡れだった。どうやら全ての力を使い果たしたようだった) (彼が手にしている剣は、禍々しい気配を放っていた。しかし彼は、何も気にしていない様子だ) (私に降り注いでいた朝日は彼にも降り注ぎ、不思議なほど安らかで静かだと感じた) (彼は日差しに顔を向けた。疲れているようだったが、彼の両目はノーザンの夜の星のように輝いていた) (その名残惜し気な表情は、鋭利な剣を抜いた彼とは別人のようだった) (彼の体に映る木の葉の影が緩やかに動く。風が吹いて、エルフや森の動物たちが目を覚ます) (彼は一度目を閉じて、また開いた。その時、目にあったあの光は全て消え去っていた) (彼は森から去っていった。その剣を手にして) |
暗闇へ
【石碑の記憶】
『闇の中、赤色が集まっていた。それは紅月だった。
音はよく聴こえず、視界は歪んでいた。
光すら感じられなかった。白い服を着たあの少年が水中に飛び込むまでは。
泳ぐ彼の周りに、水泡が生まれる。私は慌てて彼について行った。
深くなるにつれ周囲の水も真紅に染まっていく。その真ん中に、彼はいた。
彼の持つ剣は誰かの胸に刺さっていた。私は戦慄を覚えた。
彼の黒髪が水中にゆらゆらと漂い、時が止まってしまったかのようだった。
少年が剣を引き抜いた瞬間、水が大きく揺れた。
私は揺れる波に流された。
奇妙な呪文が響き、一面に鮮血が広がった。
目を覚ますと、私はポワリー湖のほとりに倒れていた。
朝日と鳥の囀りが体に降り注いでいた。森の朝は心地よく、頭痛が少し和らいだようだ。
体を起こして辺りを見渡すと、誰かが湖のほとりに座っていた。
あの白い服の少年だ。彼はずぶ濡れだった。どうやら全ての力を使い果たしたようだ。
彼が手にしているあの剣からは、禍々しい気配がした。しかし彼は無造作に握るだけで、何も気にしていないようだ。
朝日が私達に降り注ぎ、不思議なほど静かだった。
彼は日差しに顔を向けた。その顔は疲れてはいたが、目はノーザンの星のように輝いていた。
あの剣を抜いた彼とは別人のようだ。
風が吹き木の葉の影が緩やかに動いた。エルフや森の動物たちが目を覚ます。
彼は目を閉じ、また開いた。その時、目にあったあの光は消えていた。
彼は剣を携え、森を去った』