イベント【9日間夜話】 蒼梧の誓い
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あらすじ | |
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軍門一家に生まれた祇瑶華は、戦争の前線で消息を絶った兄を探すため馬を走らせた。同行するニキだが、道中で落馬してしまい病院で一夜を過ごすことになる。やっとのことで兄と再会するが……。 | |
(5日目) | |
ニキ | |
……瑶華、本当に決めたの? | |
祇瑶華 | |
ええ、決めたわ。 | |
(山のふもとに吹いた大きな風が祇瑶華の袖を揺らし、彼女の髪飾りが音を鳴らす。昇ったばかりの太陽が、金色の光で彼女を包み込んだ) (彼女は遠くの山をじっと見つめていたが、心は山の向こう側にあるようだった) | |
ニキ | |
でも……無事に蒼梧城に着いても、戦線はもっと遠いんでしょう?一番上のお兄さんが見つかる可能性は……。 | |
祇瑶華 | |
ニキ、行かなくちゃいけないの。 | |
(祇瑶華が振り向くと、その瞳には深窓の令嬢とは思えない、揺るぎない信念が映っていた) | |
祇瑶華 | |
祇家は代々忠義に厚く、父は生前、洛燕城を30年守った大将軍だったの。越老将軍の側近として戦地に赴き、生死を共にしたこともあるわ。 | |
祇瑶華 | |
二番目の兄は若くして国境地帯に駐屯し、敵の奇襲の中、勇敢に殉国を遂げた。でもその遺体すらまだ故郷に帰ることができないの。 そして1カ月前、攻撃を受ける蒼梧城に一番上の兄が派遣されけど、戦況は激しさを増し、数日前に陥落してしまって……兄は消息不明。 一族と国の大義のためであれば、祇家の者は死をいとわないわ。でも一番上の兄は従軍して10年、ずっと実家を懐かしんでいたの。 兄は私と二番目の兄とよく遊んでくれたわ。庭のブランコも、私のために兄が作ってくれたの。だからせめて、遺体だけでも故郷に……。 | |
ニキ | |
うん……わかった。だったら私も一緒に行って、出来る限り力になるわ! | |
祇瑶華 | |
ありがとう、ニキ。馬の準備はできてるわ。出発しましょう。 | |
(ニキと祇瑶華はテュール山脈に沿って西へ向かい、日が暮れる前になってやっと戦線の片側に位置する軍営が見えてきた) | |
祇瑶華 | |
ニキ、ここまででいいわ。ここから先は非常に危険よ。あなたを危険に晒すわけにはいかないわ。 | |
ニキ | |
ダメよ!危険なら、なおさら一人で行かせるわけにはいかないでしょ? | |
(祇瑶華は返事をせず、ただ口笛を吹いた。するとニキを乗せた馬がくるりと向きを変えて、来た道を走りだす) | |
ニキ | |
どういうこと!?瑶華! | |
(疾走する馬を止めるすべがなく、ニキは手綱を握り締めることしかできなかった) (しかしその時、いななきが山あいに響き渡った。前足を高く上げた馬の背中から、ニキは転落した) (祇瑶華はその音を聞いてすぐに馬の向きを変えた。そして猛然と馬を走らせニキの元へ急いだ) | |
祇瑶華 | |
ニキ!大丈夫? | |
ニキ | |
私は……大丈夫。でも歩けないかもしれない……。 | |
祇瑶華 | |
足をくじいているみたいね。馬に乗せるから、近くの町で医者を探しましょう。 | |
(祇瑶華はニキを馬へ乗せると、自分も馬上の人となって二本の手綱を引いた) | |
ニキ | |
瑶華、ごめんね。一人で病院まで行けるわ。ここ数日戦況は膠着しているから、早くお兄さんを探しに行った方がいいと思うの。 | |
祇瑶華 | |
まずはあなたをお医者さんに連れて行くわ。私が無理を言わなければ、あなたはケガをしなかった。だから責任は私にあるの。 | |
(戦乱により蒼梧城付近の人々はほとんど避難していたので、祇瑶華がニキを連れて医者を訪ねた時には既に深夜を回っていた) (その日、二人は病院で一夜を過ごした) | |
(翌日になり、二人は医者の制止を振り切って、朝早く蒼梧城へ向かうことにした) | |
ニキ | |
もう前線が近いのに、どうしてこんなに駐屯兵が少ないの? | |
祇瑶華 | |
蒼梧城は元々兵力不足で、兵を派遣したとしても、敵の精鋭部隊を防ぐことは難しいの。 駐屯兵は前線へ進んでいるはずよ。蒼梧城を取り戻すために多くの死傷者が出たから、残ったこの人たちだけで守っているのね。 | |
ニキ | |
早く前線に行ってみましょう。 | |
(二人は前線の後方部隊まで急ぎ、祇瑶華の一番上の兄の行方を尋ねることにした) (兵士たちは兄の名を聞いたことがある様子だったが、祇瑶華が妹だと知ると、言葉を濁して多くを語ろうとはしなかった) (やせ細った兵士だけが、うな垂れながら二人をとあるテントへ案内してくれた) (テントのベッドには男性が横たわっていた。ニキがその者を認識するより早く、祇瑶華が駆け寄った) | |
祇瑶華 | |
兄上!!! | |
兵士 | |
こちらは祇家の妹さんです……。 | |
(祇瑶華が紹介されると、テントにいた者たちは互いに顔を見合わせ、最後に白衣を着た軍医が口を開いた) | |
軍医 | |
妹さん、君のお兄さんは……昨日の夜に逝ってしまったよ。 | |
(ニキは胸をぎゅっと強く締め上げられたような感じがした。祇瑶華も体が硬直している) | |
ニキ | |
昨日の夜って……。 | |
軍医 | |
彼は蒼梧城と命を共にするという誓いを最後まで守り、蒼梧城の、いや雲上の英雄だった!みんなを救い、城を奪い返したんだよ。 妹さんよ、お気の毒に……。 | |
祇瑶華 | |
兄上、10年ぶりね。兄上の最期の雄姿さえ見ることができなかった……。 雲上の英雄なんかじゃなくて、ただ私の兄というだけでよかったのに……。 | |
(祇瑶華は真っ赤な目で兄を見つめ、すでに冷たくなった手を握った。涙の粒が頬を伝い、絶え間なくしたたり落ちる) | |
ニキ | |
瑶華……ごめんなさい。全部私のせいで……ごめんなさい……。 | |
モモ | |
ニキ?ニキ! | |
ニキ | |
モモ……。 | |
(ぼんやりとした照明がここがどこなのかをニキに教えたが、全てが夢ではないことを、息が詰まるように痛む胸が物語っていた) | |
モモ | |
ニキ、気分がすぐれないみたいだけど……でも今は後にして、テーマはファッションショー/空中散歩/学内ダンスパーティー/親友との集まり/イタズラお姫様/スポーツ少女/エレガントな約束/柔らかな風だよ。急いで! | |
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