イベント【静謐な花園】 郊外の月
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(その夜、辺りは静まり返っていた) (見回りの目をかい潜り、寝室に忍び込む人影がある) | |
帰舟 | |
起きて!姉さん、早く! | |
離笙 | |
ん……舟? | |
(離笙は起き上がると、上着を羽織り、枕元の少年に顔を向けた) | |
離笙 | |
こんな夜中に、どうしたのじゃ? | |
帰舟 | |
ホタルを捕りに行こう!大丈夫、父上は寝てるから。 | |
離笙 | |
ホタル?しかし今は……。 | |
帰舟 | |
この前、書斎を抜け出したのがバレて最近は見張りも厳しいんだ。だから、城を抜け出すなら今しかない!遊びに行こうよ! | |
(月下城郊外。水のように滑らかな月光が降り注いでいる) (大木が月光の下で枝葉を広げ、梢の間には緑色の光がキラキラと輝いていた) | |
帰舟 | |
シーッ……。 | |
(少年は姉に静かにするよう合図すると、幹に止まっているホタルにそっと近づき、素早く手で覆った) | |
帰舟 | |
また捕まえた!もうすぐ姉さんに勝てるよ。 | |
離笙 | |
そうはいかぬぞ、舟や。すぐにもっと捕まえてみせよう! | |
(夜空には満天の星が瞬き、清らかな月光が静かに二人を明るく照らす。ひんやりした夜風が、その髪を微かに揺らした) | |
離笙 | |
今宵はよい月じゃ。 | |
帰舟 | |
うん!久々の外の空気だよ。姉さん、僕は毎日、城を管理する方法とかつまらない本ばかり読まされているんだ。 | |
離笙 | |
父上の言うことは正しい。舟や、お前は未来の月下城城主なのだから、そのくらい知っておかねば。 | |
帰舟 | |
えーっ……城主なんてつまらなそう。僕も姉さんみたいに、毎日自分の好きなことをして暮らしたいよ。 | |
離笙 | |
お前も踊りたいのか? | |
帰舟 | |
うん。姉さんがすごく楽しそうに踊るから、僕も時々、一緒に踊りたくなっちゃうんだ……。 | |
離笙 | |
本当か?では……舟や、踊ってみせてくれぬか? | |
帰舟 | |
そんなぁ!姉さんに見せたら、きっと笑われちゃうよ。 | |
離笙 | |
そのようなことはない。さぁ、踊ってみせるのじゃ。 | |
帰舟 | |
わかったよ……だけど、誰にも言わないでよね! | |
(少年は身を起こし、月の下で踊り始めた) (あまり上手とは言えなかったが、少年らしい活力に満ち溢れていた) (その様子を、少女は傍らで静かに座って見ていた。瞳の中には、絶え間ない優しい笑みを浮かべて) (星の光のようなホタルが二人を取り囲み、ひんやりとした夜風までもが優しくなった気がした) (少年は突然動きを止めた) | |
帰舟 | |
やめた。 | |
離笙 | |
どうしたのじゃ?舟や、とても上手じゃぞ。 | |
(少年はそっぽを向いた。顔の紅潮が夜の闇に隠れる) | |
帰舟 | |
姉さんと比べたらまるで……いいさ、またホタルを捕って夜の明かりにしようよ。ほら、姉さんも! | |
(少女は頷いて立ち上がったが、その途端によろめいた) | |
帰舟 | |
姉さん、どうしたの? | |
(少女の顔色は少し青ざめていたが、相変わらず笑みを浮かべている) | |
離笙 | |
大丈夫じゃ。さぁ、行こう。朝までもう少し遊べるぞよ。 | |
帰舟 | |
じゃあ、ホタル集めで勝負だよ!負けた方が、勝った方を背負って帰る。よーし、可愛い小動物の服に着替えなくちゃ! | |
コーデバトル | |
(少年は大木に向かって走っていったが、姉が後ろからついてくる気配がない) | |
帰舟 | |
姉さん? | |
(少年が振り返ると、少女は草地にうずくまり動かなくなっていた) | |
帰舟 | |
……姉さん!? |
コメント (イベント【静謐な花園】 郊外の月)
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