イベント【静謐な花園】 童話
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(新暦665年、ウィルトン市) (スーはベッドで横になっていた。その横では母親が、童話を読み聞かせている。枕元の明かりに照らされた母親の横顔は、温かくて優しい) | |
母親 | |
「――そして、みんなから祝福され、王子様とお姫様は末永く幸せに暮らしましたとさ。おしまい」さぁ、スー、もう寝る時間よ。 | |
スー | |
それから? | |
母親 | |
それからって? | |
スー | |
王子様とお姫様は末永く幸せに暮らして、その後はどうなったの? | |
母親 | |
それはお母さんも知らないわ。物語はここで終わりなのよ。 | |
スー | |
お姫様は王子様と結婚して、二人は幸せだったのかな? | |
母親 | |
余計なことは考えないで、もう寝なさい。おやすみ。 | |
(母親はスーにそっと布団を掛け直してあげると、その額にキスしようとした。しかし、ふいに何かを思い出したかのように動きを止める) | |
スー | |
……お母さん? | |
母親 | |
いいから、寝なさい。小さなお姫様。 | |
スー | |
お母さん、おやすみなさい。そうだ、お誕生日おめでとう。 | |
母親 | |
今日は何回も「おめでとう」を言ってくれるのね。もう十分よ。 | |
スー | |
お母さんが、何度でも喜んでくれるように、だよ。 | |
(スーが目を閉じると、母親は童話の本を枕元に置いた。明かりを消し、そっと部屋を出ると、ドアを閉める) (月光が白いレースのカーテン越しに優しく部屋に降り注いでいた。スーは目を開けると、枕元の童話の本を横目ら見る) (スーはそっと起き上がり、裸足でドアに歩み寄った。気付かれないよう小さくドアを開け――) (リビングには母親の姿があった。テレビの弱い光が、陰鬱そうなその顔を青白く照らし、彼女は口元を手で覆い咳をした) (そして、ぼんやりと玄関に視線を向けた。家の外は真っ暗闇だ) (仄暗い中で母親の影は、寂しそうに長く伸びていた) | |
スー | |
お父さん……また帰ってこないんだ……。 |
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