イベント【静謐な花園】 ディナータイム
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(午後、日の当たる教室にて) (授業終了の鐘が鳴ると、同級生たちは鞄を手に連れ立って歩いていた。楽しかった週末についておしゃべりをしている) | |
同級生A | |
日曜日には遊園地に行って、おーっきな観覧車に乗ったんだ!お父さんとお母さんがね、次はもっと大きいのに乗りに行こうって! | |
同級生B | |
うちはあのレストランに連れて行ってもらったよ!それからあの綺麗な、あの……噴水ショー! | |
同級生A | |
わ―、楽しそうだね。スー、君の週末は?お父さんお母さんは、どこかに連れて行ってくれた? | |
(うな垂れて無言だったスーは顔を上げ、唇を噛んだ) | |
スー | |
……特にないよ。 | |
(同級生と別れて校門までやって来たスーは、自分に向かって手招きしている男性に気付き、駆け寄った) | |
スー | |
お父さん! | |
(久しぶりに会ったその人は、スーを抱きかかえた) | |
父親 | |
ようやく時間ができたんだ。一緒に家に帰って、ご馳走を食べようね。 | |
(家に帰ると、母親はテーブルいっぱいに料理を作っていた。貴重な一家揃ってのディナータイムだ) | |
父親 | |
スー、お部屋に行っていなさい。ここから先は大人の時間だよ。 | |
(よくある言いつけだったが、スーはただならぬ雰囲気を感じ取った) (おとなしく部屋に戻ったものの、どうしても気になったスーは、ドアを少しだけ開けておくことにした) (父親と母親は食卓につき、黙ったまま見つめ合っている。記憶の中の二人は、一緒にいる時はいつもこんな感じだ) (しかしスーは知っている。他家の親はこんな感じではないということを) (友達のリアの家では、彼女の母親が父親にお小言を言ったとしても、「ごめん、ごめん」と父親はおどけて答えるのだ) (リアの母親は叱る時もあるけれど、いつも笑顔を絶やすことなく、その目はまるで「マシュマロを見る目」をしている) (しかし、スーの両親は喧嘩をすることもなく、覚えている限りではほとんど会話もしていない) | |
父親 | |
よく考えたの? | |
母親 | |
ええ。これは、私の望む暮らしじゃないわ。 | |
(その日、父親は荷物をを纏めて家を出て行った。以来スーは、背の高い父親の姿を二度と見ることはなかった) (父親がいなくなっても、母親は普段通りに台所で食器を洗っていた。その手の甲には、涙がポタポタと落ちていた) (その日から、母親はスーに寝る前のお話をすることはなくなった) (家にはスーと母親の二人だけが残されたが、今までのような重苦しい静けさはなくなっていた) (母親は趣味に時間を費やすようになり、食卓の花瓶には毎日違う花が生けられるようになった) | |
スー | |
それから、お姫様は小さなお姫様と幸せに暮らしましたとさ。 | |
(スーが考えた童話を聞いて、母親は笑顔でスーの頭を撫でた) | |
母親 | |
そうよ、お母さんにはスーがいればいいの。そうだ優雅で華麗なよそ行きドレスを用意しなさい。明日、お芝居に連れて行ってあげるわね。 | |
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