イベント【寒霜の旅路】 別れ
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(果てしない雪原) | |
オンブル | |
ここで休むか……その太ももに包帯を巻け。猟犬に血の匂いを嗅がれてはかなわん。 | |
(そう言っているうちに、黒紫色の青筋がオンブルの顔に浮かび上がってきた。月光の下、まるで地獄から蘇った阿修羅のようにも見える) | |
オーランド | |
あいつらに何をされた?手術か?それとも投薬?今日、突然発砲してきたのはなぜなんだ? | |
オンブル | |
さあ、オレにもわからない。 | |
オーランド | |
私が発見した時、お前は雪の中に一人で倒れていて、まるでテュール連合軍の基地から逃げ出したみたいだった。……何か思い出せるか? | |
オンブル | |
いや、治療を受けて意識を失い、気がついたら雪の中にいた。テュール連合軍は知られてはならないことを知られたと思い、追跡してきたんだろう。 | |
オーランド | |
知られたくないことか、きっとお前自身の身元に関することだろう。 | |
オンブル | |
……。 | |
オーランド | |
自分が誰なのか疑っているなら、なぜノーザンに残った?誰かの手駒になるなんて、昔のお前なら絶対にしなかっただろう。 | |
オンブル | |
……さあな。お前だってオレを利用してるんじゃないのか? | |
(オンブルは暫く黙っていたが、ふいに口を開いた。手には小さく精巧な録音ペンが握られている。オーランドは驚いて、ポケットを探った) | |
オンブル | |
さっき滝に落ちた時に貰っておいたのさ。お前が基地に潜入した本当の目的は、これじゃないのか。 | |
(オンブルが録音ペンの再生ボタンを押すと男二人の会話が聞こえてきた) | |
『残すとしても紙の協議書までだ。将軍が証拠としてどうしても映像をと言うなら、今回の提携は諦めるしかないな』 『大統領はやはり慎重だな、カメラの電源を切るとは。サインを』 | |
オーランド | |
確かに、これも目的の一つ……だがあの紙も、どうしても手に入れたかった物なんだ。オンブル、私は確信している。お前は戦友のフリートだ。 | |
(男の目の中にある悲哀の色を見て、オンブルはなぜか自分の背中を叩き涙を拭ってくれた長官を思い出し、眉を顰めた) | |
オーランド | |
お前は私の言うことなど信じないかも知れないが、どうか過去を見つけ出して、自分で未来を決めてほしい。今のような道ではなく……。 | |
オンブル | |
それは自分で確かめる。助けてもらって借りができたな。少し休め、オレが基地から連れ出してやる。 | |
(オーランドは躊躇した。彼を庇ったのは助けてもらった恩からで、それを貸し借りにしたくなかった。だが今回の任務が完了できなければ……) | |
オーランド | |
この足では私を連れ出すのは大変だろう。この録音ペンを持って、滝の南側にある山の麓でシラーを待て。彼の情報や写真なら見たことがあるだろう? 彼が来たら、このペンを渡してくれ。深夜になっても彼が現れなかったら……パテール連邦アパレルグループのサクラ嬢に渡してくれ、グループに…… | |
(オーランドの声は弱くなり、意識を失ってしまった。脚の銃傷が開き、鮮血が辺り一面に流れていた) | |
(オンブルは近くに狭い洞穴を見つけ、オーランドを中に隠すと洞穴の入り口を上手く隠した) (テュール連合軍の基地に光が灯っている。今日は新年、彼にはともに祝う家族はいないが、基地の看護師たちが紙細工をあちこちの窓に貼っていた) (あの暖かな避難所はすぐ傍にあるようで手も届かないほど遠くに思えた。自分は、結局あそこに溶け込むことはできなかった) (彼はポケットからあの紙を取り出した。湿った筆跡。心を揺さぶる三つの名前を一つ一つ撫でてみる) | |
オンブル | |
ニーナ……これは新たな手がかりか、あるいは完璧な物語か。 | |
(オンブルは狙撃銃を掲げ、灯りから遠く離れた暗闇に向かい歩いていく。夜がその孤独な後ろ姿を優しく呑み込んだ) (今夜、暗い過去と見えない未来の中で、彼は初めて進むべき道を見出した気がした。夜の果て、嘘と陰謀の背後に、彼の光はあるのだろうか?) (静かな深い森は答えをくれない。山の風だけが疲れを知ることもなく叫んでいる) |
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