イベント【寒霜の旅路】 視界遮る雲
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(雲京) (あちこちに灯籠が吊り下げられた宮中。小さな天子は白永義の傍らに座って、寝る前のお話をしてもらうのを心待ちにしている) | |
白永義 | |
今日は祝日、この日のいわれをお話ししましょう。 | |
雲上天子 | |
嫌じゃ嫌じゃ、そんなものみな本で読んでおる。それより義王兄さまがこの前言っていた、世間を渡り歩いていた頃の話が聞きたいのじゃ! | |
白永義 | |
陛下はそんなお話がお好きで? | |
雲上天子 | |
うむ!本に書いてある難しい故事よりずっと面白いし、それに身近で起きそうな話が好きなのじゃ。 | |
白永義 | |
では今日は「侠客」のお話にしよう。 | |
雲上天子 | |
侠客?何という名前じゃ、義王兄さまみたいなすごいお方なのか? | |
白永義 | |
そんな凄い名前はない人たちですよ。日の当たらぬところで暗躍しつつも、心には明るい理想を抱いている……。世の中にはそんな侠客もいるんです。 この侠客のお話は、割と最近できた北境貿易区から始まります……。 | |
雲上天子 | |
それでそれで?姉さまは真相を探り当てたのか? | |
白永義 | |
それについては私は存じませぬ。彼女がもしも負けてその責を問われれば、陛下はどのような決断をくだされますか? | |
(天子が白永義を見上げると、眉を顰め、物憂げな表情をしている……まるで先程の話に心を痛めているかのように。彼のこんな顔は初めて見た) | |
雲上天子 | |
その姉さまは民を救ったのであろう?もちろん朕は姉さまの味方であるぞ。義王兄さま、そうであろう? | |
(白永義は天子の頭を撫で、頷くことも首を振ることもしない) | |
白永義 | |
陛下のご決断は、他人の判断を仰ぐ必要はございません。 | |
雲上天子 | |
うむ、だが……朕は天子であるから、雲上のあらゆる民を幸せにしなければならぬと、義王兄さまは仰ったではないか。 姉さまも雲上の民であるから、朕は姉さまにそんなことをさせるべきではないし、少なくとも……誰かにとやかく言わせてはならぬと思うのじゃ。 | |
雲上天子 | |
北境を、そして雲上を守るのは、本来であれば朕の責任。 | |
(白永義は少し意外だというように天子を見やり、身をかがめて聞いた) | |
白永義 | |
陛下は北境をどのように守ればよいとお考えで? | |
雲上天子 | |
うむ……そうだな……。 | |
(白永義は天子の手を引いて楼閣の外の欄干のところにやって来た。ここ寿安閣からは、明かりの輝く雲京全体を見渡すことができた) | |
白永義 | |
この広い国土はすべて陛下が統治なさっている。今後の治国の道についての考えはお決まりかな? | |
(夜風が軽やかな歌と笑い声を運んでくる。千百年来のあらゆる帝王が直面してきた難題について考えていた天子は、時間が経つのを忘れてしまった) (この重苦しい夜と分厚い雲の中に、雲上の未来の光が隠されているのだろうか?) |
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