イベント【寒霜の旅路】 大鷹と自由
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(新暦671年) (大雪はもう三日も降り続けている。長く歩いて、果てしない雪原にもついにまばらな家が見えてきた) | |
ブロン | |
本当に手間をかけるね、残りの道は自分で歩くよ。こんなに大勢の騎士に護送されたら、どう見ても普通の通行人じゃないだろう。 | |
アガータ | |
後ろには防寒用の服や布団が積んであります。馬車をよこしましょう。 | |
ブロン | |
そんな、自分でやるよ。それに、こんな金銀錦の立派な服なんて、私にはそれほど着る機会もない気がする。 | |
(ブロンは褐色の馬を鞭で軽く叩く。馬は尾を振り、鼻を鳴らし、てんで取り合わない。ブロンは気まずく笑って顔を撫でた) | |
アガータ | |
山の上での生活はきっと想像以上に大変です、しっかりと準備なされてください。 | |
ブロン | |
その実ここに住む方が私にとっては気楽なんだが、ついて来なければならない先生が気の毒でね。 | |
先生 | |
いやいや、私も歳にふさわしい住処を探していたところだ。 | |
ブロン | |
先生も、私の恩師でなければ、彼らにあんな……。 | |
(ブロンはため息をつき、高くそびえる山々を振り返った。純白の雪が空と一つになって、まるで果てしない檻のようだった) (大鷹が一羽、空を横切りブロンから見えない山の反対側へ飛んでいった。伸びやかな鳴き声を一つ残して) | |
ブロン | |
騎士長、パテール連邦へ行かれたことは? | |
アガータ | |
いいえ。 | |
ブロン | |
晴れた日にはこの頂上から、パテールの首都ウィルトンが見えるとか。自由の国です、あらゆることが公平に決められ、統治者も投票で選ばれるとか。 | |
(ブロンの目に光が浮かぶ。アガータはふと、この若い王子は噂のような『能なし』でないのではと感じた。弱々しいが、小さな理想を持っている) | |
アガータ | |
確かにそんな場所もありましょう。 この先にあるのが、国王が王子のために買った木造の家です。どうかお達者で。何かありましたら、王城の騎士がすぐにお力になりましょう。 | |
ブロン | |
ありがとう。そうだ、これを父に渡してもらえませんか……別れの贈り物として、受け取ってもらえればですが。 | |
(ブロンは長弓を取り出した。銅線と牛骨で簡単な装飾がされており、丈夫だが軽い上質の弓である) | |
アガータ | |
お渡ししておきます。 | |
アガータ | |
もしかしたら……まだ機会があるかも知れません。 | |
(暇な午後にはよく、アガータは国王が寂しそうな目で、王座に座って長弓を撫でているのを見た) | |
アガータ | |
国王はブロン王子を忘れたことがなかった。国王にとってはブロン王子こそ意中の継承者だったのかも知れない。 第一継承者となりうるブロン王子を見つけられれば、軍閥には黒水城を討つ理由がなくなる。 | |
(慌ただしくドアを叩く音がアガータの思考を遮った) | |
銀髪の騎士 | |
アガータ様、大変です、国王崩御に気づいた従者の姿が見えません! | |
赤毛の騎士 | |
アガータ様!ニヴルスナー前哨基地の部隊が鉄道を徴用し、黒水城に攻め込んで来ます! | |
アガータ | |
従者は買収されていたのか……第一部隊を招集、グラヴィアへ向かわせブロン王子を黒水城に連れ戻せ!他の者は私について城門に集合するように。 | |
騎士たち | |
は! | |
アガータ | |
雪山は並ならぬ寒さだ、暖かい軍装に着替えるのを忘れぬよう。 | |
コーデバトル |
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