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傍観のエッグ アミナス

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4/12~4/25


あらすじ

魔王軍との戦いの最中、近くでのんびり寝ている人がいるんですのよ!?

危ないんですのよ!避難させないとなんですの!



傍観のエッグ アミナス

ふわぁ~……むぅ?……そこにいるのは、誰?

○○○(プレイヤーの名前が入る)?……知らない名前。

ん?アミナスの名前はアミナスだよ。

アミナスは卵の中で気持ちよく寝てたのに、キミが起こしたんでしょ。

……それより、キミはなんでこんなところにいるの?



この洞窟は静かで誰もいなくて、卵の置き場所にちょうどよかったのに……。

ふぅん?洞窟の外では魔王軍が近くの国を攻撃して、合戦になってるんだ。

キミは魔王軍の目撃情報を得て来たワケだね。

ふむ。近くの国側に加勢に入ろうとしたら、この洞窟から強い魔力を感じて、調べていたのか。

へぇーそうなんだ……まぁ、アミナスには関係のない……。



ん?アミナスが殻に閉じこもっていた理由?

そんなの、どうだっていいじゃない。アミナスは卵の中が落ち着くんだよ。

……いやぁ、アミナスは思い出したくないんじゃないかな。

アミナスって……。

アミナスはアミナスのことだよ。



何?まるで他人事みたいに話すから、気になった?

キミがそう感じるのは自由だけど、アミナスがどんな喋り方をしようが、キミには関係のない……。

この洞窟にいると、魔王軍との戦いに巻き込まれるかもしれない。

……だから、逃げろって言うの?

それってとっても面倒クサイ……アミナスは平気だから、キミだけで逃げたらいいよ。



そういうわけには……。

っ……!今の揺れ、合戦場から飛んできた魔法攻撃のせいだ……。

魔法~?……はぁ、面倒クサイなぁ。

どうしてみんな戦いたがるんだろう……寝ていたほうがラクなのに。

悠長なこと言ってる場合じゃ……。



こう見えてこの卵の殻は結構硬いから大丈夫。

早くしないと!

いやぁ、アミナスは忙しいんじゃないかな?

アミナス!

わかった。ちょっと寝ながら考えてみるよ。答えは百年後……。



本当に危険だから……!

……キミもしつこいなぁ。でも、まぁ……アミナスを思ってそう言ってるのは……わかる。

じゃあ……!

そんなに言うなら、アミナスが寝ている間にキミが好きな場所へ運んだらいいよ。

!?



それじゃあ、よろしくね。

すやすや……すやすや……。

アミナスアミナスー!……本当に寝てる。

仕方ない、どうにかして卵を安全な場所へ運ぶしかない。近くの村で荷車を借りてこよう……。

……むにゃ。



うーん……なんだかガタガタ揺れている……ような……?

まぁ、気にしたら負けだな。アミナスは卵の中でぐっすりすやすや眠る……すやすや……すやすや……。

よし……この辺りなら、戦いの影響はほとんどないはず。

急いで戻って加勢しないと……!

むにゃっ……。



○○○(プレイヤーの名前が入る)……どこか遠くへ行った……みたいだな……。

変なヤツだったけど……まぁ、いいヤツ……でもあったかな?

とりあえず……ありがとう、って……アミナスは言ってやってもいいと思ってる、かも……。

むぅ……まだ、眠いなぁ……起きて、いられないや……。

すやすや……すやすや……。



閉居のエッグ アミナス

ふわぁ~……よく寝た……。

○○○(プレイヤーの名前が入る)は……まだ戻ってきてない、か。

……静かな場所だな。卵が置いてある木のうろの周りには、湖と森しかない。

むにゃ……暇だし、寝直そうかな……。

アミナス!



おやおや?ちょうど戻ってきたみたいだね。

あと少し遅かったら、卵の中に入っていたところだったよ。

戦いは無事に終わったのかな?

……ふむふむ、なんとか魔王軍を撃退できたんだね。まぁ、アミナスには関係のない……。

たくさん戦って疲れているんじゃない?眠たいんじゃない?



もしよかったら、特別に卵への閉じこもり方を伝授してあげようか?

安全な場所まで卵とアミナスを運んでくれたお礼、だよ。

卵への閉じこもり方……ありがとう。でも、大丈夫……。

ええっ?遠慮してるのかな?別にいいのに……。

遠慮じゃない……!



むむぅ?

アミナスから卵の閉じこもり方を教われば、ゆっくりのんびり眠れるのに。

なぜ断る?アミナスには理解できない……。

騎士としての役目があるから、卵の中で眠っているわけにはいかないよ。

役目……騎士……うーん……?



アミナスには、よくわからない……関係ないし。

そうだ、キミも魔王軍がいなくなるまで眠れば?

卵の中から大きな音は聞こえないし、危険も少ないから安心だよ。

キミに期待してる人が何だって?そんなの100年もしたらいなくなっちゃうよ。

嫌な人がいたら眠り続けるのが一番。アミナスは間違ってないと思うなぁ。



そんなわけにはいかない。守らなくちゃいけないものがたくさんあるから……。

……随分とわからず屋なんだね、キミって。

アミナスがこんなに親切に教えてあげるのに……。

まぁ、キミがどうなろうとアミナスには関係のない……!

アミナス……?怒っている?



っ……卵の殻が浮いてる……辺りに落ちていた小石まで……重力が失われて……!?

(怒りが引き金になって、アミナスの魔力が発動した……?)

キミはずいぶん人の心にズカズカ入ってくるよね。

アミナスはね、キミなんかに説教されたくないんだよ。

(アミナスの髪の毛、怒りのせいで風に吹かれたみたいに逆だってる)



アミナスのほうがなが~く生きてるし、なんだって知ってるんだから。

ああ、そうだ……キミがいなくなるまで閉じこもっていればいいんだ……。

あと100年?200年かな?キミがいなくなるまで、眠り続けるよ。

アミナスにとってはそのくらいの年月、一瞬だからね。

アミナス、待って……!



待たない。アミナスはおおいに傷ついたんじゃないかなっ。

ふわぁ~。このショックを回復させるためには、上質な睡眠が必要だよ。

……せっかく卵の中での眠り方を教えてあげようとしたのに。

キミは他のわずらわしいやつらとは、少し違うのかなって……そう思ったのに。

やっぱりキミも同じだったんだ。アミナスの嫌なことをする、邪魔な存在だったんだ。



でも大丈夫。寝て起きた頃には、キミのことなんか忘れちゃってるだろうからさ。

残念だけど、キミのせいなんだからね。

おやすみ……じゃなくて、サヨナラかな?

もう二度と会うことはないんじゃないかなっ……お別れの言葉のほうが良さそうだね。

じゃあ、本当にバイバイ……むにゃ……すやすや……。



思惟のエッグ アミナス

ふん……○○○(プレイヤーの名前が入る)なんてもう知らない……。

100年……いや、500年眠り続けてやろうかな。

アミナス……アミナス……!

……いくら名前を呼んだって、外には出ないよ。

アミナスは怒っているみたいだから、そう簡単には許したりしないんじゃないかなっ。



……。

……おや?急に静かになった。諦めたのかな。

ほら、こんなにすぐ諦めるんだから……○○○(プレイヤーの名前が入る)にはその程度の気持ちしかアミナスに持っていないってことだよね。

そんなヤツのことはさっさと忘れて、楽しい夢を見るために眠ろう。

……ん?クンクン。何か……良い匂いがする?



これは……きのこのシチューに……クンクン……美味しそうな焼き魚……それから……クンクン……木苺のジャムも!

全部、アミナスが好きなものじゃないか……ゴクリ……。

ふ、ふん……ちょっと様子をうかがってみるだけじゃないかな……クンクン……。

あ、アミナス!

わぁっ、美味しそうな料理が……たくさん……!



アミナスのために作ったんだ。

ほ、本当に……?全部、アミナスのために?

もちろん。

……キミ、案外良いヤツだったんだね。

ちょっと、アミナスも大人気なかったなって……ごめん……。



こちらこそ、せっかくアミナスが卵の中での眠り方を教えてくれようとしたのに、ごめん。

さぁ、冷めないうちに一緒に食べよう。

うん……ありがとう。○○○(プレイヤーの名前が入る)。

……モグモグ。うん、美味しい!キミ、料理の才能あるんじゃないの。

はぁ……食べた食べた。お腹いっぱい!……あ、お茶を入れてくれるの?ありがとう。



……アミナスは、キミのこと……ちょっと気に入ったかもね。

そんな気に入ったキミに、すこぉしだけ……話してもいいんじゃないかなって、アミナスは……。

話すって?

……アミナスが、どうして卵の中にいたのかってこと。

アミナスは、元々外がそんなに好きじゃなかった。



ずぅーっと家にいるのが好きで、別に外に出なくても幸せに暮らしてた。

だけど、ちょっとだけ……寂しいんじゃないかって、なんとなく思ったりしたらしいよっ。

アミナスは、だから……がんばって外に出てみた。でも、ダメだったんだ。

ずぅーっと家にいたアミナスは、うまく友達を作れなかった……。

何を話しても、空回りして……一生懸命に無理やりな笑顔を作るのも、疲れちゃったんだ。



アミナスは外に出るのを諦めた…みたい。

殻に閉じこもっていれば傷つかずにすむし、いくらでもゆっくり眠れるでしょ。

そのときから、卵の外の世界はアミナスには関係のない……って、そう思うことにした。

……そうだったんだ。

あきれちゃった?



まさか。アミナスは凄くがんばったんだね。

……へへ。がんばった……みたいだね。

久しぶりに……外に出てみるのはどう?

え?

今はまだ、卵の中は安心できるかもしれない。でもまた100年も眠っていたら……状況は変わっているかもしれない。



魔王軍が攻めてきたり……災害があったり……。

かもしれないって……何もないかもしれないでしょ?そうしたら、今までみたいにずっと安全に眠っていられるよ!

そもそも、外に出て何があるの?別に楽しいこともないし、知り合いもいないし……。

アミナスにはもう友達がいるじゃない。

○○○(プレイヤーの名前が入る)……それって、キミがアミナスの友達になってくれるってこと?



……へぇ。そうなんだ……でもまぁ、アミナスには関係のない……。

あれ今……小鳥の声がした?あ、木の上のほうに巣がある!

よい……しょっと……ああ、やっぱり……卵が孵ったばかりなんだね。

ふふ、小さな鳥のヒナ……可愛いなぁ。

この木のうろにキミがアミナスの卵を運んできてくれなかった、アミナスはヒナたちとは出会えなかったね。



少しだけ……外に出てみようかな?

も、もう少し……寝ながら考えてみるよ。

この世界の出来事たちは……多分、アミナスにも関係のあることだから……。



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