ダークファンタジービジュアルノベル『十三月のふたり姫』プレイレビュー
講談社ゲームクリエイターズラボ支援作品『十三月のふたり姫』のプレイレビューをお届けします。「眠れる森の美女」を新解釈した注目のインディーゲームです。
十三月のふたり姫とはどんなゲーム?
『十三月のふたり姫』は、童話『眠れる森の美女(茨姫)』を独自の解釈で再創造したビジュアルノベルゲームです。
ダークファンタジーの世界観を構築する豪華クリエイター
『女神転生』、『真・女神転生』を手掛けた鈴木一也氏がシナリオ、増子津可燦氏がサウンドを担当。
そしてキャラクターデザイン及び美術監督を務めるのは、アートバトル選手権LIMITS初代世界王者アオガチョウ氏です。
メガテンのレジェンドタッグを筆頭に豪華なクリエイター達が本作に携わっています。
注目の講談社ゲームクリエイターズラボ支援作品
本作は「年間最大1000万円差し上げますから、好きなゲームを作りませんか?」という強烈なキャッチコピーで業界を騒然とさせた、講談社によるインディーゲーム支援企画『ゲームクリエイターズラボ』支援作です。
インディーゲームに分類されていますが、著名クリエイターや企業が集結した作品となっています。
ストーリー・登場人物紹介
イバラに包まれた城で12世紀から21世紀までの千年間、眠り続ける姫と寄り添う魔女ウルウヅキの物語。
姫のもとを100年ごとに訪れる王子は、いずれ歴史に名を残す偉人たち。
デカルト、ファウスト、ノストラダムス・・・姫に真実の愛を届けて瞳を開くのは誰なのか。
ウルウヅキの想いはかなうのか。
千年にわたる物語、そのカーテンを開くのはあなたです。
イバラ姫 イバラに囲まれた城で眠るお姫様。運命の王子による真実の愛をたたえたキスでしか目覚めることはない。 CV:森田涼花 | |
閏月(ウルウヅキ ) 月の女神に仕える十三番目の巫女。すべての人々が眠りに就いている城の中、たった一人で姫を見守っている。 CV:ςera | |
グリマルキン 閏月の使い魔。猫のようだが猫ではないらしい。影に忍んだり、巨大化したり、なかなか有能。 CV:大塚明夫 | |
黒の王子 正体不明、神か悪魔か魔界の住人か。姫と閏月の運命に大きく関わるようだが・・・。 CV:置鮎龍太郎 |
十三月のふたり姫をプレイした感想
引き込まれるダークファンタジーな世界観
美しくもどこかダークさを感じるアオガチョウ氏の独創的なイラストと、時には幻想的に、時には禍々しさをも感じる増子氏によるBGMにより世界観に引き込まれます。
そして『眠れる森の美女』を超解釈した鈴木氏のシナリオはこれまでにない体験をプレイヤーにもたらします。
インディーゲームという枠にここまでのクリエイターが集うことは珍しいのではないでしょうか。
章末に閲覧できるスチルもそのまま壁紙にしたいクオリティです。
読み応えのあるストーリー
シナリオは章ごとに分かれ、物語の重要な展開時には選択肢があり、間違えるとゲームオーバーになることも。どの選択肢もすぐにゲームオーバーとはならず、様々な結末が用意されているため読み応えがあります。
時が止まったように眠ったままのイバラ姫、そしてそれを1000年に渡り孤独に見守る閏月。姫を起こすに相応しい王子が稀にやってきますが、どの王子も何か事情を抱えているようです。
閏月の目に映る王子はみな悪魔のような動物のような姿で描かれています。秘められたエゴイスティックな部分が見た目にも現れているのかもしれません。
個人的にお気に入りのキャラは閏月の使い魔グリマルキンです。表情が豊かで愛くるしく語尾に「にゃ〜」をつけて話すのですが、ボイスを担当しているのは渋い声でお馴染みの大塚明夫氏です。時折登場しては猫のように自由奔放に振る舞う姿は閏月と対比しているようです。
ストーリーの進行にはオート機能が付いています。文字の流れ落ちるようなエフェクトに併せてゆっくり読み進められるのでより没入感が得られます。
チェックポイント通過時にオートセーブされる仕様ですが、気をつけたいのはメニューの「はじめから」を選ぶと「続きから」のデータが全て上書きされてしまうところです。本作は今後スマートフォンで展開されることが予定されているため、システム面のアップデートに期待したいところです。
全てのファンタジー作品好きにおすすめ
『眠れる森の美女』をベースにしたシナリオは童話にとどまらず、歴史上の実在する人物や文献、さらに旧約聖書やクトゥルフ神話といった他の要素も取り入れています。
登場人物の名前にも注目するべきでしょう。名前からその背景を踏まえるとまた別の角度から物語を考察することができます。
「ノストラダムスの大予言」でもお馴染みのミシェル・ド・ノートルダム。本作に登場するミシェルもペスト医師として描かれています。
13番目の月を意味する閏月(ウルウヅキ )の名前に込められた意味とは果たして?
天使や悪魔、魔術と言った心くすぐるキーワードと<仲魔>にしたくなるようなアオガチョウ氏のイラストはメガテンファンにもおすすめです。
十三月のふたり姫は現在Steam版がリリースされ、2023年にiOS/Android版のリリースが予定されています。Steamでは無料のDEMO版が配信されているため、気になった方はダウンロードしてみてはいかがでしょうか。
製品情報
タイトル | 十三月のふたり姫 |
---|---|
プラットフォーム | Steam iOS/Android |
リリース日 | Steam:2022年12月3日(土) iOS/Android(2023年予定) |
ジャンル | ビジュアルノベル |
希望小売価格 | 2400円(税込) |
プレイ人数 | 1人 |
開発及びパブリッシャー | コバヤシマル合同会社 https://kobayashimaru.co.jp/1 |
(c) Aogachou/Tsukasa Masuko/Kazunari Suzuki/Kodansha Ltd./Kobayashimaru LLC.
コメント (ダークファンタジービジュアルノベル『十三月のふたり姫』プレイレビュー)
最新トピックス