第1章 ストーリー
目次
新暦672年
偉大なデザイナー嵯耶王(サヤオウ)がこの世を去り、3点の遺作が残された。
この遺作の帰属権を争い、各国はあわや戦争かという状況に追い込まれる。
が、度重なる交渉により、帰属権をコーディネート大会で決することとなった。
大会はパテール連邦とカルファ王国の国境の街ルーアルトで行われ、9日間も続いた。
どの勝負も緊迫し、会場は敗北して去るデザイナー、勇んで登壇するデザイナーでごった返した。
勝負の熾烈さは人々の想像を越え
後に「9日間戦争」と称された。
決勝の結果は予想外のもので、各国の期待を背負っていた有名スタイリストたちはみな敗退。
最後の勝者は2人の新人で
カルファ帝国の王女アイリと
薄紅色の髪をした一般人の女性であった。
当時16歳だったカルファ帝国の王女アイリは遺作2点を勝ち取り
「再生の女神」と称された。
一方、「専業主婦L」と名乗った女性は遺作1点を手に入れる。しかし彼女は大会後、蒸発したかのように行方知れずとなった
新暦676年
20歳のアイリは皇位を継ぎ、「鉄血の女帝」アイリの時代が到来した。
アイリは「アイアンローズ」を組織し、所属するスタイリスト10名は、いずれ劣らぬつわものであり
彼女たちは大陸中で衣装パーツや素晴らしいデザイン画を見つけては奪っていった....
序章 女王の幻影
ニキ | モモ、どうしよう。なんだか変なところに来ちゃったみたい。あっ、あそこを見て! |
幻 | マーベル大陸へようこそ、ニキ。 わたしはリリス王国の女王、ナナリー。この世界の運命を変えるために、あなたをここへ呼びました。 |
モモ | ニャニャ!?おじいちゃんのおじいちゃんが言ってたことは本当だったんだ! この地球上には異次元の世界があって、そこではコーディネートの良し悪しが全ての物事の基準なんだって。 |
ニキ | は、はじめまして、女王様。 今のお話、この世界の運命を変えるって......私が、ですか? |
女王の幻 | 時がくれば、おのずと分かるでしょう。 まずは、着回しのできる普段着を何着か用意しました。 さあ、おしゃれな少女のコーデバトルです。上品でシンプルな普段着を表現してください。 ニキ、あなたの才能を示すのです。 |
コーデバトル | |
女王の幻 | ニキ、すばらしいわ。私が手助けできるのはここまでです。 旅の先には、運命があなたを待っているでしょう。信じて進むのです。ニキ......あなたは...... |
1-1 スポーツ少女アウラ(1)
ニキ | 女王様、いなくなっちゃった......一体どういうことなんだろう。 あ、ねえモモ!さっきこの世界のこと、聞いたことあるって言ってたよね? |
モモ | おじいちゃんからマーベル大陸の伝説を聞いたことがあるだけだけどね~でも、そんなことより...... ボクは今すぐ帰って焼肉が食べたい!世界とか運命とか、正直どうでもいい |
ニキ | も~そんなこと言わずに教えてよ~ うぅ~ん、とりあえず動きやすい服に着替えようかな。ここがどこなのか見て回らなきゃ。 |
見知らぬ少女 | 待ったー!着替えるなら、私とコーデバトルして!ちょうど今から着替えてジョギングに行くところなの。 |
モモ | 誰!?なんで通りすがりの人とコーデバトルしなきゃならにゃいのさ!? |
見知らぬ少女 | ただの通りすがりじゃないわ。スポーツを愛する少女、アウラよ! |
ニキ | はじめまして、アウラ。あの、一番近い町まではこの道に沿って行けばいいの? |
アウラ | そうよ。はい、教えてあげたんだから勝負してね!レッツ、コーディネート! |
モモ | だからなんでー!? |
コーデバトル | |
かわいい女の子 | わあ、そのコーデ、いいね!どこのスタイリストさん?どうしてリヴィエールへ? |
ニキ | え、そうかな?ありがとう。......私もどうやってここに来たのか分からないの。 えっと、ここはリヴィエールっていうの? |
かわいい女の子 | はは~ん、わかった!家出少女だな?あたしも前にやったことあるある! あたしはポポ。リリス王国から来たの。この先がパーテル連邦とリリス王国の国境の町、リヴィエールよ。ね、よかったら一緒に行こうよ! |
ニキ | いいの?私はニキ。こっちはモモ。よろしくね、ポポ。 |
モモ | こうしてまたいつものごとく、訳のわからないまま旅に出るボクであった......はぁ。 |
1-2 普段着もステキ
ニキ | この町は、私達が元いた世界と同じような雰囲気みたい。 |
ポポ | えっ?ここと同じような......ってことはニキ達、パテール連邦から来たの? |
ニキ | ううん、なんというか、その、私とモモは別の世界から来たの...... ポポ、そのパテール連邦ってどんなところ? |
ポポ | 別の世界?!あははっ、まっさか~! も~ニキってば不思議ちゃん系だな?占いとかスピリチュアルとか好きでしょ? |
モモ | そんなことより!そのパテール連邦って国のことを教えてよ。 |
ポポ | まあ、いっか。えっとね、パテール連邦はこの大陸で一番大きな国なの。そしてデザイナーとスタイリストの聖地でもあるんだよ。 建築も服飾も大陸の最先端、おしゃれが日常生活の一部!みたいな感じね。 |
モモ | へぇ~それはたしかにボク達の町と似てるかな。 そうだ、ニキ。ポポとコーデバトルしてみなよ。テーマはシンプルで清楚な普段着だよ! |
ポポ | おっ?いいね!負けないよ、ニキ! |
コーデバトル |
1-3 雲上帝国から来たリンレイ
ポポ | ねえ見て、お花屋さんの前で女の人が泣いてる。ちょっと見てくるね! |
(数分後) | |
ニキ | ポポ、どうだった?何か助けてあげられそう? |
ポポ | 知らない!雲上帝国の人ってみんなああなのかな。何を聞いても答えてくれないの! |
雲上帝国の女性 | あなたに話したってどうにもならないからよ。 あの泥棒猫に勝って私のデザイン画を取り戻すなんて、相当優秀なスタイリストじゃなきゃ無理だもの。 |
モモ | 雲上帝国っていうのは、マーベル大陸の東にある、中国の唐王朝に似た国らしいよ。 にぎやかな国で、人々の装いも華やかで雅なオリエンタル風なんだってさ。 そうだニキ、雲上帝国風のコーデバトルで、ニキの力を見せてあげなよ。そうしたらこのお姉さんも納得してくれるかも! |
コーデバトル | |
雲上帝国の女性 | すごいコーデ能力......さっきはひどいことを言ってごめんなさい。 私はリンレイ。東方の雲上帝国出身のデザイナーよ。 |
リンレイ | 新しいデザインに合う生地を買いにここに来たんだけど、泥棒にそのデザイン画を盗まれてしまったの。 |
ニキ | ひどい!安心して、私たちも一緒にその泥棒を探して、デザイン画を取り返してあげる! |
1-4 OLエレナ(1)
モモ | 泥棒をひっ捕らえたぞー!!観念しろ!!!!! |
捕まった女 | 誰か助けて!!!何よこの変なネコ!!!私は急いでるのよ、離しなさいよ!! |
ニキ | モモ!その人が持っているのは履歴書よ、デザイン画じゃないわ!早く離してあげて! |
就活生 | 何なのよもう......私はエレナ。就活中で、これから面接に行かなきゃいけないっていうのに...... |
ニキ | ご迷惑かけてすみません。あの、面接の時間、大丈夫ですか? |
エレナ | まだ、大丈夫。ねえ、それならお詫びの代わりに、ちょっとエレガントで大人なOLスタイルのコーデバトルをしない? もっといい感じのコーデにしたいんだけど、インスピレーションが足りないのよね。 |
ポポ | オッケー!さあニキ、やっておしまい! |
モモ | ポポ!ボクの出番とらないでよ! |
コーデバトル |
1-5 恋愛体質のスー(1)
ニキ | あの、すみません、デザイン画を持った人を見かけませんでしたか? |
かわいい女の子 | そういえばさっき、派手な女の人が紙を持ってあわてて駆けていったわ。 |
リンレイ | きっと私のデザイン画を奪ったメイラだわ。どっちへ走って行ったか分かる? |
かわいい女の子 | 教えてあげてもいいけど...私いま悩んでるの。今日おひつじ座のカメラマンとデートなんだけど、何を着ていこうかしらって。 誰か私とコーデバトルしてくれない?コーデの参考にするわ。 |
モモ | まかせて!ニキ、こういうセクシーカワイイ女の子路線なんか朝飯前だろう?やっちまえー! |
ポポ | モモ!それあたしのセリフ!!! |
コーデバトル | |
かわいい女の子 | ニキ、すごく参考になったわ、ありがとう。これで今日のデートもきっとうまくいくわ! そうだ、私はスーっていうの。またどこかで会ったらお相手してね。 |
ニキ | 待って、スー!まだメイラがどこへ行ったか教えてもらってないわ。 |
スー | あっ、ごめんごめん。そうだったわね。あっちの学校の方向に行ったみたい じゃあ私はデートに行ってくるわね。ご縁があればまた会いましょ! |
1-6 文学少女マーサ(1)
モモ | ニキ、このへんには派手な女の人なんていないみたいだよ? |
ポポ | あそこの学生っぽい女の子、校門で人を待っているみたい。ちょっと聞いてみようよ。 |
ニキ | あの、すみません、私はニキっていいます。デザイン画を持った派手な格好の女の人がここを通りませんでしたか? |
文学少女 | はじめましてニキ、私はマーサ。デザイン画ってことは、あなたデザイナーなの?ちょうどよかった。 |
マーサ | お願い、私と清純な女子高生コーデのバトルをしてくれない?そ...その...カレに「かわいい」って言われたくて...... |
モモ | こっちの質問は完全にスルーだよね......仕方ない、コーデバトルがすんだら改めて聞いてみようか。 |
コーデバトル | |
マーサ | ニキ、つき合ってくれてありがとう!もっと工夫してみるね。 そうそう、さっき聞かれた派手な女の人のことなら、心当たりがあるよ。この小さな町であんな派手な格好をしている人、他にいないもの。 その女の人、この近くのバーでよく見かけるから、そこへ行けば何かわかるかも。 |
ニキ | ありがとう、マーサ。またね! |
1-7 メインボーカル・リッカ(1)
ポポ | わあ!バンドの生演奏だって。見て見て!このボーカルの娘、ヤバイ、超カッコイイ~!!クールな感じがたまんない!!! |
モモ | ポポが壊れちゃった......他人のフリ、他人のフリ...... |
ニキ | バーの専属歌手ならメイラのこと何か知ってるかもしれないね。あとで聞いてみようか。 |
格好いいボーカル | あれ、君たち...ボクを待ってたの? |
ニキ | はい、ニキっていいます。友人のデザイン画を奪ったメイラっていう女の人を探しているんですけど、知りませんか? |
格好いいボーカル | はじめまして、ボクはリッカ。ボクたちはここのお抱えバンドなんだ。 |
リッカ | メイラはいつも夜に来てるよ。今日も、もう少ししたら来るんじゃないかな。 |
ニキ | わあ、ありがとう! ところで...コーデバトルはしなくていいの?この流れはいつものパターンだよね...... |
リッカ | えっ、いいの?じゃあニキ、ボクとカジュアルな中世的コーデでバトルしてくれるかな。 |
コーデバトル |
1-8 リンレイからの試練
リンレイ | ニキ、モモ、ポポ、色々つき合わせてしまってごめんなさいね。何てお礼を言ったらいいか... |
ニキ | 気にしないで、リンレイ。このあとメイラに勝てるかどうかはまだ分からないし...... |
ポポ | ニキなら絶対大丈夫だよ!!......いたっ!! モモ!何で叩くのよ!! |
モモ | ポポ、ボクの出番をことごとく横取りして!次はボクの焼肉まで奪うつもりだろ! |
リンレイ | はいはい、ケンカはそこまでよ。ニキ、もう少し経験を積めばメイラに勝てる自信がつくと思うわ。 私がお相手するは。スタイルはメイラが得意なセクシーな夜の店風にしましょう。 |
コーデバトル | |
リンレイ | ニキ、あなたやっぱりずば抜けた才能の持ち主ね! これは私がデザインした自慢の靴よ。きっとあなたの力になってくれると思うわ。 あなたならきっとメイラに勝てるわ! |
1-9 伝説のアイアンローズ
ポポ | 待ちなさい!さっさとリンレイのデザイン画を返しなさい!! |
メイラ | いったい誰があちこちで私のことをかぎ回ってるのかと思ったら。あんたらごときが私からデザイン画を奪おうなんて、身の程知らずね! |
ニキ | コーデバトルで私が勝ったら、デザイン画を返してください。 |
メイラ | ハッ、小娘ごときがこの私にケンカを売るなんて、無知は時に身を滅ぼすわね? |
リンレイ | ニキは天才スタイリストなのよ。あんたみたいなこそ泥よりずっとすごいんだから! |
メイラ | フン、あんたごときのデザイン画が我々のターゲットに選ばれたなんて、光栄だと思いなさいよ。 こそ泥呼ばわりの代償はきっちり払ってもらうわ。腕に覚えがあるならセクシー系コーディネートで勝負しなさい! |
コーデバトル | |
メイラ | 今回は手持ちの服が足りないからこんなものね。仕方ない、デザイン画は返してあげる。 でも、覚えておきなさい、アイアンローズを怒らせたら、どうなるかしらね |
ニキ | あの人、まだ本気を出していなかった......それにしても、アイアンローズって何なんだろう? |
ポポ | 聞いたことある。カルファ王国のアイリ姫が、王位継承後に発足させたスタイリストチームだったかな。10人の実力派スタイリストで構成されてて、女王の命令で上質なデザイン画と衣装パーツを奪うために各国を飛び回ってるって...... |
モモ | ニャにぃ!?それってつまり、強盗じゃないか! |
ニキ | そうなんだ......でもとにかく、次はどこに行ったらいいか考えなきゃ。 リリス王国の女王様が私達をここに連れてきたってことは、まずはリリス王国に行ってみればいいのかな。 |
ニキ日記・第1章
日記に書いてはみたけれど分からないことばかり。私は本当にナナリー女王に召喚されてマーベル大陸に来たの?女王は旅の行く手には運命が待ち受けていると言ったけれど…これってリンレイのデザイン図を奪ったメイラの件と関係があるの?それとも彼女の背後に控えているというアイアンローズのこと?混乱しているけれど、服を着換える設定には馴染んでいるみたい…。 |