《ストーリーセットコーデ》情熱の花
情熱の花
完成報酬 | コーデギフトBOX (ファラ、情熱の花、薔薇の荊棘(背景)、40ダイヤ) |
---|
ページ名 | カテゴリ | 部位 | 入手方法 |
---|---|---|---|
情熱の夜 | ヘアスタイル | - | イベント【風花雪月】 |
浪漫の約束 | ドレス | - | イベント【風花雪月】 |
真紅のリボン(コート) | コート | - | イベント【風花雪月】 |
薔薇の荊棘(靴下) | 靴下 | +α | イベント【風花雪月】 |
血色の薔薇 | シューズ | - | イベント【風花雪月】 |
華麗な花 | アクセサリー | 床 | イベント【風花雪月】 |
水晶の王冠 | アクセサリー | 頭 | イベント【風花雪月】 |
荊棘の耳飾り | アクセサリー | 耳 | イベント【風花雪月】 |
血の真珠 | アクセサリー | 首 | イベント【風花雪月】 |
オンリーワン | アクセサリー | 左手 | イベント【風花雪月】 |
荊棘の首飾り | アクセサリー | 右腕 | イベント【風花雪月】 |
薔薇の迷い | アクセサリー | 刺青 | イベント【風花雪月】 |
唇の忘れ物 | メイク | - | イベント【風花雪月】 |
シリーズ1 | シリーズ2 |
---|---|
![]() |
人間というのは面白い種族だ。自分たちに備わっているものの中で最も貴重なのは理性と知恵で、このふたつがあれば未来を掌握できると思っている。私はその理性ってやつが嫌いだ。面白くないし、偉そうだから。
好きなのは、愛や、些細な偶然や、抗いがたい真理などから生まれる最も制御不能なもの。それはうっとりするような芳香を放ち、理性をとことんまで焼き尽くす。何であろうと、その成長を阻むことはできない。それは最高の養分となり、体内に流れる鮮血と同じ色の花びらを持つ美しい花を咲かせる。
私の薔薇園にまた新しい蕾が生まれた。ふっと息を吹きかけ、花びらを一枚散らす。それは風に乗って宙を漂いあるべき所へと去っていく。そして、永い間とも、一瞬ともつかぬうちに誰かの手のひらへ舞い降りた。それは少女の手だった。空を見上げてきょろきょろしているのは、花びらがどこから来たのか探しているのかもしれない。でも残念でした、その花はどこにもないのよ。
「クローカ、私の言ったことを覚えている?」
「はい、ナナリー女王陛下。私は生涯忠誠を捧げます」
「では、一緒にロイスの所へ行きましょう」
私は人間が出会う場面を見るのが好きだ。それは撒いた種がどんな花を咲かせるか見当もつかないのに似て、無限の未知を孕んでいる。クローカは黒い服を着て宮殿の片隅に佇み、12歳のロイスは金髪を輝かせて明るい陽光の下に立つ。二人の世界はこんなにもくっきりと分かれている。ロイスは少女に興味津々だが、彼は明所から物を見ることしか知らないため、暗所から覗く世界を知らない。クローカは明るい場所を嫌う。だから、明るい場所では彼女の視界はぼやけ、動作も緩慢になる。
「ロイス、これからはクローカが傍でお前を守ります」
ロイスには訳が分からなかった。姉はなぜ、彼より6つも年下の少女を護衛にしたのか。そして、その少女がなぜ毎日、黒い服を着て、ろくに口もきかず、陽光を嫌うのか。日光浴は気持ちがいいし、毎日楽しいことがたくさんあるのに、なぜクローカは笑わないのか。
この頃のロイスはくだらないことばかりしていた。役にも立たない歴史の本を読んだり、人間が正しいと思っている真理を勉強したり、バカみたいに姉の後ろをついて回ったり……。だがクローカは、そんな彼の後ろに静かに控えていた。揺らめく影のように。
こんなのは私が見たいものじゃない。花びらは不安げな子供のように、ぎゅっと縮こまっている。私は唇が触れそうなほど近づいて初めて気づいた。花びらの一枚に大きな傷跡があった。それはこの花が若死にする印かもしれないし、唯一無二のなにかに変わる印かもしれない。全ては未知であり、私はこうした未知を楽しんでいる。
クリスタルで覆いをして蕾を守り、ほかの花の世話をする。薔薇園には時間が流れていない。ただ花の甘い香りが漂っているだけだ。再び例の蕾を見ると、少しだけ変化があった。傷跡のあるあの花びらが微かに打ち震え、今にも落ちそうだったのだ。水をやろうとしてカバーを外すと、雨が降り出した。
小雨は降り止むことなく降り続け、風や雲を突き抜けて冷ややかに落ちると、ロイスの顔を濡らし、こびりついていた血痕を洗い流す。華奢な両の手に黒い小刀を持ったクローカが、小さな体でロイスの前に立ちはだかる。雨が目に入るのも気にせず、双眸はキッと前を睨んでいる。ロイスは初めて鮮血を目の当たりにし、恐れおののいていた。王室の剣術程度では身を守れない。せっかく学んだ真理も役には立たず、この待ち伏せを仕掛けた敵が誰なのかさえ推測できない。空にはどんよりと黒雲が立ち込め、光を完全に遮断している。血の匂いだ。それもクローカの体から…。首相の軍が到着すると、クローカはようやく小刀を放し倒れ込んだ。その落ち葉のような体をロイスが抱き止めると、ふと変わった花の香りがした。
クローカが意識を失っていた数日間、ロイスは毎日彼女に付き添った。医師が包帯を変えるときにうっかり見てしまったクローカの背中には、大きな傷跡があった。この時、ロイスは初めて悟った。自分はこの世界のことを何も分かっていないのと同じように、クローカのことも何も理解していなかったと。
クローカが療養しているあいだ、ロイスはいつも彼女を太陽のもとに連れ出し、たくさん話をし、時々クローカの過去を尋ねたりした。そして彼女が答えなければ、話題を変える。焦ってはいない。クローカが自分から話してくれる日が来るのを待たねばならない。クローカはやはり太陽を嫌う。感覚が鈍り、切っ先が正確に敵を捉えられなくなるからだ。しかし拒否はせず、自分に言い聞かせる。主人の命に逆らってはいけないと。
クリスタルカバーの中の蕾はまだ咲かないものの、花びらが微かに綻んできた。薔薇園で唯一無二の花になるかしれないと思うと、とても愉快だ。
#wikidb_select(アイテム){|TS:300 T:470|80|30center:||c,|トータルコーデ詳細:=(《ストーリーセットコーデ》情熱の花):hide|カテゴリ|部位|コメント詳細:alias(コメント)|}
#wikidb_select(アイテム){|TS:300 T:470|80|30center:||c,|トータルコーデ詳細:=(《ストーリーセットコーデ》情熱の花シリーズ):hide|カテゴリ|部位|コメント詳細:alias(コメント)|}