《ストーリーセットコーデ》幽冥仙女・夜
幽冥仙女・夜
完成報酬 | 40ダイヤ |
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ページ名 | カテゴリ | 部位 | 入手方法 |
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朧夜の謡-夜 | ヘアスタイル | - | イベント【魑魅魍魉】 |
彼岸の主-夜 | ドレス | - | イベント【魑魅魍魉】 |
往生歌-夜 | シューズ | - | イベント【魑魅魍魉】 |
彼岸の鬼火-夜 | アクセサリー | 前景 | イベント【魑魅魍魉】 |
長き呪詛-夜 | アクセサリー | 耳 | イベント【魑魅魍魉】 |
魂鎮めの宝珠-夜 | アクセサリー | 首+α | イベント【魑魅魍魉】 |
呪いの人形-夜 | アクセサリー | 右手 | イベント【魑魅魍魉】 |
鬼鎮めの輪-夜 | アクセサリー | 手袋 | イベント【魑魅魍魉】 |
不滅の詩-夜 | アクセサリー | 頭 | イベント【魑魅魍魉】 |
安らぎの棺-夜 | アクセサリー | 後景 | イベント【魑魅魍魉】 |
血染めの館-夜 | アクセサリー | 床 | イベント【魑魅魍魉】 |
朧夜の夢-夜 | メイク | - | イベント【魑魅魍魉】 |
シリーズ1 | シリーズ2 |
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私は囚人。どうして囚われたのかを知らずドアも窓もない四角い箱に住んでいる。裁縫箱以外は何も持っておらず、この暗い世界でぬいぐるみを縫っている。一番質の良い生地を分別出来るし、技術も高い。縫い合わされて綺麗になったぬいぐるみは微笑んでくれた。裁縫箱以外の新しい友達が出来た。ある時、天井の壁がいきなり裂けて光が漏れてきた。見上げると、裂けた四肢と内臓が落ちてきて顔に冷たい血が付いた。
「ちゃんと直して」
どこかから声が聞こえた。逃げたくてもここには冷たい壁しかない。喉が裂けるまで泣いても、誰も落ちてきたものを片付けてくれない。泣くのに疲れ、部屋の隅っこでぬいぐるみを抱きしめた。
光が消えて世界が真っ暗になると、音が聞こえた。何かが床を這っている音が少しずつ大きくなり、粘ついた水音も聞こえる。凄く怖いけど、目を開けて音がする方向を見つめた。ヌルヌルしている黒い影が、ようやく人の形になった。その怪物は這いながら、まだちゃんとくっ付いていない破片を落としている。まだ彼らを固定できるものが足りない、私の針と糸だ。
(来ないで、来ないで!)
近づいて来るのを感じたが、途中で音が止まった。長い静寂。耳を塞いでいた手を下ろし少し目を開けてみた。彼は私の目の前に居て、裁縫箱を取ろうとしていた。声も出せず絶望に包まれたその時、ぬいぐるみがいきなり動き出して私を抱きしめた。怪物も、囚われの箱も、暗闇も全てが消えた。
廊下の外は静かな庭で、木の葉が空を遮り、少しの光が届く。風が吹き、葉が音を立ていた。
「百合亜ちゃん、また悪夢を見たの?」
「夢じゃないわ、この子が助けてくれたのよ!」
ぬいぐるみは、まだ私の胸の中のにいた。彼女は小さな少女で、真っ白なドレスを身につけ、目をパチパチして私に微笑んだ。でも誰も私の話を信じてくれなかった。私がただ、もっとぬいぐるみを欲しがっているだけだと思われた。新しいぬいぐるみと古い布を一緒に渡されて布で花や綺麗な服を作ってあげてと言われた。鮮やかな色が好きなのに渡された布は古臭い。動けるぬいぐるみと遊びたいのに、渡されたぬいぐるみは歪つな微笑みしかできなかった。
ある日ぬいぐるみ達と廊下で遊んでいると、誰の邪魔にもなってないのに、彼等は嫌な顔をして、私を生地だらけの部屋に閉じ込めた。ずっと縫っているのに、部屋の生地は増える一方で、室内は益々暗くなり、埃だらけになった。私が裁縫をしている間、ぬいぐるみ達は隣で騒がしく踊った。彼等は喋れないが、笑うことは出来る。高笑いが部屋に響き、外の人達に聞こえる度、やめろと叱られた。笑っているのは私じゃないのに。彼等は理由もなく私を叱り、私が狂った怪物だと言った。そして、その声は一つになり、私に催促し続けた。
「ちゃんと直して!」
夢に戻るのが嫌だ。毎日ずっと泣き続け、私は外に出してと懇願した。でも彼等は何も反応しないどころか、退魔師を呼び、私を妖怪だと言い、部屋には屍体が溢れていると言った。でもあれは彼等が送ってきたぬいぐるみなのに。
部屋が段々狭くなり、体を動かすことすら困難になった時、ここは囚われの箱ではなく、棺桶だと気づいた。私はまだ生きているのに棺桶に閉じ込められた。棺桶で身を縮めて、ぬいぐるみを胸に目を閉じる。やがて話声が聞こえた。彼等は嘆き、泣き、私をどうやって送るかを相談した。
馬車の音に咆哮の雷、そして、いきなりの爆音。全てが静まり、残ったのは雨の音。長い時間待っていたが、勇気を出して棺桶を開けた。白くて柔らかい手が私の手を握った。
「大丈夫、もう自由よ」
胸の中のぬいぐるみはいつの間にか消えていた。激しい雷と稲妻で、まるで空が崩れ落ちそうだった。全ての記憶と全ての幻想が崩れ、雨と一緒に空から落ちてきた。夢の外の世界にも雨が降っていた。
(ああ、そうだわ、思い出した。)
棺桶に囚われた百合亜、怨念に囚われてた自分。生前の記憶を無くし、解放される方法だけを探し求め続けた。救済所の被害者達は私の手で妖怪になり、古い館に死屍累々、これが私の死後の記憶。そして今、全てが終わった。私のとうに朽ち果てた体からは生者の匂いがした。死を迎える血の匂いが、雨の中充満していく。妖怪達はもう私の命令を聞いてくれない。私の最後の血肉を欲しがっている。
刹那、あの白いドレスを着た少女が、弱々しい偽りの姿を捨て、全ての力を示した。全ての妖怪が彼女の前から消えた。雨と暗闇に囲まれる中、彼女は白骨で出来た傘をさしながら少しずつ私に近づいてきた。彼女のことを知っている。彼女はあの棺桶の中から私を救って、私に本当の命をくれた、あのぬいぐるみだった。
彼女はこの町の真の主になる、私の死をもって。でも、彼女の目には惑いがある。まるで…まるで本物の人間みたいに。彼女を抱きしめたかった。私は手を伸ばして、彼女の頬にある水滴をそっと拭いてあげた。
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