【ミラクルニキ】ヴィータストーリー オーランド編
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第1話 不滅の栄光
1偶然カフェで
ニキ | きゃっ、すごい雨! | ||
---|---|---|---|
モモ | 早くあのカフェで雨宿りしよ。濡れ猫になっちゃうにゃ! | ||
オーランド | やぁ、ニキ!モモ! | ||
ニキ | オーランドさん!偶然ですね! | ||
モモ | あれ、傘持ってるなら雨宿りする必要にゃいじゃん。 | ||
オーランド | 週末にここでコーヒーを飲むのが習慣なんだ。雨宿りではない。 | ||
ニキ | 雨じゃなくても、いつも傘を持ってますよね。なにか特別な物なんですか? | ||
オーランド | この傘か......。 | ||
(カフェのマスターが話を遮る) | |||
カフェ店主 | オーランド!士官学校出だけあって、時間には正確だな。いつものブラックでいいか? | ||
オーランド | ああ、ありがとう。こちらは私の友人、ニキとモモだ。 | ||
カフェ店主 | オーランドが友人連れとは珍しい。並みのお方じゃなさそうだな。なにを召し上がります? | ||
選択肢 | ブラックコーヒー | カフェラテ | カプチーノ |
カフェ店主 | ブラックコーヒーがお好きな方は完璧主義でシンプル。きちっとしたスーツを好み、些細な間違いも許さない。 | ラテがお好きな方は人付き合いがよく、親切な人だと思われやすい。流行の服を好み、どこかにトレンドを取り入れている。 | カプチーノがお好きな方は自由を愛し、男性はチェックシャツに黒眼鏡、女性はナチュラル系コーデが定番で小花柄のカントリーコーデもお好き。 |
ニキ | うわぁ~!コーヒーでそんな事まで分かるんですね。 | ||
カフェ店主 | これはフリートの受け売りさ。フリートか...あの事件からもう何年になる? | ||
オーランド | ......ちょうど10年だ。 | ||
モモ | フリートって誰なの? | ||
オーランド | 仕方ないな。それでは話すとしよう。私とフリート、そしてこの傘の物語を。あれは10年前のことだった......。 |
2パテール連邦士官学校
(10年前、新暦670年) | |
士官学校生A | 早く来いよ!順位表が出てるぜ! |
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士官学校生B | そんなに急いで見に行かなくったっていいだろう。どうせオーランドかフリートが一番なんだから! |
士官学校生C | そりゃそうさ!オーランドとフリートはトップ争いの常連だからな。オレらの学年じゃ、軍事学もコーデのスキルもあの二人が一番だ。 |
フリート | よお相棒。今回わざと負けてやったんだぜ?次は絶対オレが勝つからな。 |
オーランド | じゃあ、お前に感謝して、コーヒーでも奢れってのか? |
フリート | あぁ、今からコーヒーでも飲みに行こうぜ!って言いたいところなんだが。 |
オーランド | おい、また何かやらかしたのか? |
フリート | 聞いてくれ、オーランド!ちょっとした悪戯をしただけなんだ。 |
オーランド | 今週ジィさんがいないと思ったらそれか。講義棟の掃除で済んでありがたいと思えよ。 |
フリート | 講義棟は16個もあるんだぞ!なんで士官学校なのに、歴史なんて辛気臭いことやんだよ...。おい相棒、親友のピンチに手伝わない気じゃないだろう? |
オーランド | 歴史の知識は軍事研究やコーデの組み立てに役立つ。しかし、こんな歴史嫌いのお前が、テストで100点取る方が謎だよ。 |
フリート | オレはパテール連邦士官学校開校以来の秀才だぜ!ははっ......! |
3笑える発明品1
黒衣の男 | (銃を手に)動くな!両手を頭の後ろに回して壁沿いにしゃがめ! |
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オーランド | ......。 |
黒衣の男 | そうだ。素直に言うことを聞くじゃねぇか。よし、金目の物は全部出せ......。あっ......! |
(オーランドは隙をついて足払いを掛け、銃を奪い黒衣の男に発砲した) | |
(パンッ......!) | |
黒衣の男 | ははっ!サップラ~イズ! |
オーランド | これは......紅薔薇?今度は本物を用意しとくんだな。 |
フリート | お前って奴は!オレが容赦しないと知ってる癖に。今回はモデルガンだからよかったが、そうでなきゃこの天才フリート様がどうなってたことか。 |
オーランド | モデルガン?本物の銃に弾が入ってるのを見たのに。それがなぜ紅薔薇に? |
フリート | オレ様お得意のちょっとした手品さ! |
オーランド | 明日、主任教官が軍医の彼女にプロポーズするそうだ。この紅薔薇が明日のプロポーズ用だったことは知らなかったことにしてやる。 |
フリート | プロポーズ用!?はははっ...!今日、お前はオレに会ってないし、オレもお前に会ってない。何も起きてないし、何も知らない。よし相棒、行こうぜ! |
オーランド | 暇なら実用的な武器でも考えろ。この紅薔薇は戦場で敵を倒すのに何の役にも立たない。 |
フリート | 実用的ねぇ。うん、まぁ気が向いたらやってみるよ......。 |
5将棋のナメクジ
フリート | あ~、雨ってほんとううぜぇな!どこも行けないから寮に籠るしかないし。 |
---|---|
オーランド | 私も雨は嫌いだ。じめじめしてて全てのことに対するやる気がそがれる。だがせっかくお前が大人しくしてられるんだ。チェスでもしよう。 |
フリート | 断る!どうせお前が勝つに決まっているからな!つまらん! |
オーランド | 私が次の手を考えるのに1分以上使ったら、お前の勝ちってことでどうだ? |
フリート | くっ......、なめやがって。 |
(チェスの激闘......) | |
フリート | オーランド......。お前、肩見てみろよ......! |
オーランド | わっ!......な、なんだこれは!?あ!!!!......フリート!......お、おい!早く追っ払ってくれよ!ほら!!! |
フリート | ......。 |
オーランド | フリート?なにボーっとしてんだよ!は......早く追っ払えよ!首まで上がってきやがった!......うわっ!!!!! |
フリート | よっしゃ、1分経過!オレの勝ちだっ! |
オーランド | なんだと~! |
フリート | ただのナメクジだろ。けどオーランド。優勝でクールって評判のお前がそのザマかよ?そんな姿だと、とても紳士とは思えんな。 |
オーランド | 私が軟体動物が苦手なのは知ってるだろ!くそっ、この勝負は無効だ! |
フリート | ぶははっ! |
6卒業式
オーランド | あっという間にもうすぐ卒業だな。 |
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フリート | そうだな。本当にあっという間だった。でもオレはさっさと卒業して、この国の為に戦場で早く戦いたいよ。 |
オーランド | ここ数年パテール連邦は平和だから、そうもいかないんじゃないか? |
フリート | 戦争じゃなくてもいい。自分の力でこの国を守れれば本望だ。 |
オーランド | それは私も同じだ。 |
(意気投合した二人は笑みを交わす) | |
オーランド | うちの学校には、卒業する学生に究極の任務を課すって伝統があるそうだ。実戦形式で行われ、卒業生全員に参加資格があるらしい。 |
しかもその課題と方法は、毎年違う。この任務で抜群の成績を挙げた卒業生1名には、学校から「不朽の栄誉」の称号が与えられる。 | |
フリート | そんじゃあその称号、今年はオレがもらうぜ! |
オーランド | 私も舐められたものだな。私がいる限り、お前に称号は渡さん。 |
フリート | はんっ!言ってくれるじゃねえか。じゃあここはひとつ賭けをしようぜ! |
オーランド | よし乗った!さ、卒業式が始まるぞ。りりしい服に着替えて参加するだろ? |
7究極のミッション
総司令官 | 知っての通り、我がマーベル大陸にはコーデバトルという合法的な戦闘手段がある。だが人間のいる場所には必ず裏社会が存在する。 | |
---|---|---|
法に背く者どもが希少なデザイン図を狙って、武器を使い人を殺めることもある。 | ||
各国、武器はアクセサリーにのみ使用し、軍事利用は違法、違反者は厳罰に処すと宣言している。だがこの国際法に反する組織は後を絶たない。 | ||
今日、君達は士官学校から旅立つ。一人の軍人として武器の使用は認められるが、武器条約を遵守した上でパテール連邦の栄光の為に戦って欲しい! | ||
士官学校生 | はい! | |
総司令官 | よろしい。それでは、今回の卒業任務の内容を説明する。我々のターゲットはジャクソン、42歳、身長175cm、パテール連邦政府A級官僚。 | |
信頼できる情報筋から、彼が職権を悪用し重火器PGLB16のデザイン図を、武装テロ組織「コーデネーム:毒蛇」に販売したと連絡があった。 | ||
我々はジャクソンと毒蛇がパテール連邦の大峡谷で取引を行うとの情報を得た。 | ||
そこで峡谷に部隊を派遣し奴らを一網打尽にしようとするも、滝に飛び込んだジャクソンを取り逃がした。 | ||
PGLB16は我が国が自衛のために設計製造した、強力な威力を持つ6砲身20mmガトリング砲だ。 | ||
こうした兵器はアクセサリとしては強力すぎる殺傷力を有し、身につけた者にもダメージを与える。その為、研究は秘密裏に行われ公表されていない。 | ||
今回の究極のミッションは軍に協力し、デザイン図を奪い逃亡したジャクソンを捕らえることだ。やり遂げる自身はあるか? | ||
選択肢 | ある! | 誰かがかすかな声で叫んだ...「ない!」 |
総司令官 | よろしい! | 返事をした者は名乗り出よ。我が軍に臆病者などいらん! |
今回の作戦には真撃に取り組んでもらいたい。優秀は働きをした者には、「不朽の栄誉」の称号を与える。 | ||
オーランド。君を今回の協力任務の指揮官に任命する。皆、彼の命令に絶対服従せよ。 | ||
士官学校生 | はい! |
8笑える発明品2
オーランド | フリート、明日はパテール連邦大峡谷に出発だぞ。今日はもう早めに休め。 |
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フリート | 明日出発だからこそ、徹夜してでも今夜中にこのレールガンを完成させたいんだ。 |
オーランド | レールガン?どうみてもただの傘にしか見えんが。 |
フリート | お前、言ったろ「実用的な武器を研究しろ」って。これが最新発明品「傘型レールガン」!カッコイイだろ? |
この傘の生地は、超高分子量ポリエチレンと炭素繊維を合成した防布だ。攻守両面の機能を満たしてるんだぜ! | |
オーランド | だがこんな細い柄を、どうやって高い殺傷力を持つ武器に改造するんだ? |
フリート | 天才のオレ様に不可能はない! |
オーランド | はいはい、天才君。 |
今までのお遊びに比べたらよっぽど面白いが、究極の任務は明日からだ。今はしっかり体を休めた方がいい。 | |
発明ごっこは任務が終わってからまた続ければいいさ。 | |
フリート | オレの性格知ってんだろ?今止めたら、余計気になって寝れなくなる。お前こそ、明日指揮を執るんだから、しっかり休めよ。 |
オーランド | 分かったよ。まったくしょうがないヤツだ......。 |
9華麗、キュート
フリート | パテール連邦の大渓谷にこんな雄壮な滝があったんだな。 |
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隊員A | こんな高い所から飛び込むとは、ジャクソンも勇気があるな。 |
隊員B | 逃げるために必死だったんだろ。 |
隊員C | でもかなりの高さだ。滝の流れも激しいし、まだ生きてるかどうか。 |
オーランド | だからこそ我々の出番なんだ。犯人を捕まえて、国を危機から救おう。 |
軍が以前この流域を捜索したが、何も発見出来なかった。だから問題があるとしたら、この滝だ。 | |
フリート | ってことは......滝に飛び込んで捜索しろってか?こんな暴風雨の日に? |
オーランド | そうだ。皆は岸で捜索を続けてくれ。どんな僅かな痕跡も見逃すな。私についてくる意思のある者だけ、ロープで滝に下りろ。危険な任務になるぞ。 |
フリート | オレ一緒に行く! |
オーランド | お前は岸に残れ。一睡もしてないような奴に、この仕事は任せられない。それに岸にも指揮する者が必要だ。 |
フリート | 大丈夫、オレ元気だし。こんな刺激的な任務こそ、オレ様の出番だろ! |
オーランド | ......まぁいいだろう。点呼!作戦開始! |
11まるで別世界
オーランド | やはりそうか。滝の下側に大きな鐘乳洞がある。 | |
---|---|---|
フリート | ここって雲上の伝説に出てくる水簾洞みたいだな。 | |
選択肢 | 水簾洞の中にはカルファの宝が隠されてるらしいぞ? | 我が名は斉天大聖孫悟空! |
フリート | お前、歴史の勉強やり直した方がいいぞ。 | お前、薬飲んだ方がいいぞ......。 |
隊員A | 鐘乳洞でターゲットのジャクソン発見。意識不明ながら、今のところ命の危険はありません。PGLB16のデザイン図も無事です! | |
フリート | この滝に飛び込んだらそりゃ意識不明にもなるわ。しかし今回の究極の任務、楽勝だったな! | |
オーランド | 気を抜くにはまだ早い。ジャクソンを軍に連れ帰り処罰する。全員撤収! | |
(突然銃器を持った武装テロ組織の黒服軍団が鐘乳洞の入り口を取り囲む) | ||
毒蛇のボス | ケケッ、道案内ご苦労だったな。こんなに早くコイツとデザイン図が見つかって嬉しいよ。 | |
オーランド | そんなにこのデザイン図が欲しければ、私と勝負しろ。まあ貴様に勝ち目はないがな。 | |
毒蛇のボス | お前ら馬鹿か?この毒蛇が真っ当なコーデバトルなんかするわけねぇだろ!銃を使うに決まってるじゃねぇか! | |
オーランド | 全員、厳戒態勢をとれ!PGLB16のデザイン図を守るのだ! | |
(激闘が続く。士官学校出のオーランド達は日頃から訓練を積んでいる) | ||
(オーランドは抜群の指導力と判断力を発揮し隊員を牽いて鐘乳洞の天然岩を盾に優勢に立った。その時......) | ||
オーランド | 毒ガス弾だ!みんな、息を止める! | |
フリート | 危ない、オーランド! | |
(周囲の隊員達は意識不明に陥り、一転して形勢は不利になる) | ||
(毒蛇のボスは、毒ガス弾を発射した隙にオーランドに武器を放つ。絶体絶命と思われたその時、フリートがオーランドの前に飛び出し遮った) | ||
オーランド | フリートっ!毒蛇め、汚い手を使いやがって! | |
毒蛇のボス | 弾は切れたが、これでお終いだと思うなよ!鐘乳洞の中じゃ毒ガスは消えない。貴様らも高濃度のガスにはそう長くは耐えられまい!クククッ......! | |
オーランド | フリート、大丈夫か? | |
フリート | ...ゴホッ。武器に毒が塗ってあった...オレは長くもたない...。オーランド、いい考えがある。耳を貸してくれ。 | |
オーランド | だめだ。それは危険すぎる。 | |
フリート | もう時間がないんだよ!イチかバチか......ゴホッ。やるしかないんだ。そうじゃなきゃ、皆、死んじまうんだぞ? | |
オーランド | わかった。もちろんだ......。 | |
毒蛇のボス | (地面に落ちたオーランドの銃を拾いながら)......遺言は済んだか?じゃあ二人まとめてあの世へ送ってやろう! | |
(パンッ......) | ||
(爆発音が渓谷中に鳴り響く。鐘乳洞の中は煙だらけで何も見えず、暴風雨がバラバラと大地を洗い清めていた) |
12不滅の栄光
(現在、新暦680年) | |
モモ | にゃっ?それでその後どうなったの? |
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ニキ | ドキドキしちゃった!それでそれで? |
オーランド | フリートの発明を覚えているかい? |
ニキ | 紅薔薇モデルガンと傘型レールガン? |
オーランド | そうだ。あの過酷な状況下で戦い続ければ、我々は全滅していただろう...。 |
私をかばった時、フリートは私の手にこの傘型レールガンを滑りこませた。私は毒蛇が普通の傘だと思い油断した所で攻撃し、奴らを吹き飛ばした。 | |
私を狙ったあの銃は、フリートがわざと叩き落として毒蛇に拾わせたんだ。今でもはっきり覚えている。目にも鮮やかなあの紅薔薇の色を。 | |
ニキ | それで......フリートは犠牲に? |
オーランド | 毒にやられて、それっきり......。 |
モモ | にゃんだか、悲しいね。オーランドにとって兄弟みたいな親友だったのに。 |
オーランド | だからずっと、この傘を持っているんだ。いつもフリートが傍にいるような気がしてね。私は死ぬまで忘れない、国を守ろうと誓ったあの約束を。 |
14約束
オーランド | リリス王国とパテール連邦は月下城の城主とアイアンローズが協定を結んだのではないかと疑っている。これから月下城へ調査に向かわねばならない。 | |
---|---|---|
選択肢 | はあ......大陸の情勢は混迷を深めるばかりだ。 | まだ何か起こりそうな予感が常にするんだ。 |
オーランド | 迷いや恐れが生じた時、いつも私はお前の姿を心に浮かべる。 | フリート、お前は幸運な奴だな。私と苦労を共にせずに済んだんだから。 |
フリート、約束は覚えてるか?言ったよな、負けた方が「不朽の栄誉」獲得者の言うことをひとつ聞くって。 | ||
あの時、デザイン図を取り戻し、ジャクソンに法の裁きを受けさせ、毒蛇も壊滅に追い込んだんだ。私が「不朽の栄誉」の称号を得るのは当然だろ? | ||
だが式典で私はお前にその栄誉を譲った。お前こそ称号にふさわしかった。生きてたらお前は喜んだだろうな。お前が私にやらせたかったことは何だ? | ||
チェスでわざと負けること?それともお前の悪戯に付き合って、一緒に罰を受けること?いやきっとお前なら、パテール連邦を守れと言うだろうな。 | ||
私も今やパテール連邦の上級司令官だ。お前を連れ、命に代えてもこの愛するパテール連邦の希望と使命を守り抜く。分かったか、フリート。 | ||
お前のこのおかしな発明品は、いつも私の傍にある。フリート、生涯最高のプレゼントを、ありがとな。 |
第2話 将校と美酒
1ショーウィンドー前で
モモ | ニキ、ちょっと来て!これってお酒のガラス?なんか貼ってあるけど?光に照らされるとキラキラして眩しいよ。 |
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ニキ | モモ、ダメよ。それ、宝石だよ......。 |
オーランド | よく分かったね。そのグラスはカルファの一流職人の作品で、表面に埋め込まれているのはウェイストランドの宝石だ。色鮮やかだろ? |
カルファの貴族達は身分の高さを誇示するために、宝石を食器に飾るのがお好きだそうだ。 | |
ポポ | えっと、誰だっけ......。この人......? |
オーランド | このオーランドをお忘れかな? |
ニキ | もう、ポポったら。オーランドさんだよ!でも、オーランドさんにこんな所で会うなんて、珍しいですね。 |
オーランド | ああ、この店の主人は友人でね。ちょうど帰るところだったんだが、君達がグラスについて話しているのが、ちょっと気になってね。 |
ポポ | ここはお酒とか、お酒に関するものを売ってるお店? |
オーランド | ああ、そうだよ。ここは酒の他に紅茶も美味しいから中で一杯やらないか? |
ニキ | 本当にいいんですか?すっごく高そうなお店だけど。 |
ポポ | じゃあ、シャンパン頼んでいい?高級なお店だっていうから、一回飲んでみたかったの! |
モモ | ポポ、大丈夫?まだ子供でしょ?ボクは飲める年齢だけどポポはダメよ。 |
ポポ | うるさい! |
オーランド | ハハッ、君達はいつも愉快だね。さあ、中へどうぞ。 |
2淑女と糖度
ポポ | シャンパン!シャンパン!シャンパン飲みたーい! | |
---|---|---|
(オーランドが友人に何かを告げると、赤ワインに似た色のシャンパンと紅茶が出てきた) | ||
オーランド | お味はいかがかね? | |
選択肢 | う~ん......焼肉と比べると物足りないかな。 | うん......これも大人の味よね。 |
オーランド | ......。 | ハハッ、この酒の良さが分からないようだね。 |
ニキ | なんだろう?香りが他のお酒と全然違うね。 | |
ポポ | そうそう、ちょっと甘め? | |
ニキ | あとふんわり果物の香りがする......。シャンパンみたいな熟成したお酒って、甘いんですか? | |
オーランド | ああ。これはスペシャルオーダーした、珍しい甘口のシャンパンだ。 | |
ニキ | えっ、そんな珍しいものモモが飲んじゃっていいんですか? | |
オーランド | もちろん。今は酸味の強いものが人気だが、このロゼンシャンパンは見た目も味も可愛い子にぴったりだしね。 | |
さっき感じた甘い香りは、原料の果肉に残った糖分と液体が華麗に融合したものさ。 | ||
ニキ | そうなんだ。 | |
オーランド | ほら、フルート型のグラスに美しい液体を注ぐと、透明な泡がゆっくり立ち上って綺麗だろう? | |
あとここにスイーツがあれば、リリスの夢のアフタヌーンティにも負けないと思うが。 | ||
モモ | ヒック......。この泡おもしろいね......。ヒック......。 | |
ニキ | モモ、飲みすぎた?しゃっくり止まらないね......? | |
オーランド | 彼が紳士だからだろう。ロゼンシャンパンは彼には「優しく」ないからね。これは美しい女性に捧げる、ご挨拶代わりの美酒さ。 | |
ポポ | え?男の子にモモにはロゼンシャンパンは向いてないってこと?シャンパンに男の子か女の子かって関係あるの? | |
ニキ | え?冗談じゃなくて?...なんだか分かるような分からないような?でも、どうしてオーランドさんはそんなにシャンパンに詳しいんですか? | |
オーランド | 男の子に向かないっていうのは、アブニーの花のせいだ。 |
4将校の招待
ニキ | アブニーの花ってなに? |
---|---|
オーランド | シャンパンの多くはカルファ王国の南にある小さな町で作られているんだ。良好な日当たり、適度で規則的な雨量天然の石灰質土壌。 |
そういう環境で育った葡萄は上質のシャンパンを作るのにぴったりだ。 | |
その中でも超一流と言われるのがアブニーの花なんだ。 | |
ポポ | 超一流!なんだか凄そう! |
オーランド | ああ、アブニーの花はただの酒以上の特別な存在さ。アブニーの花の原料となる葡萄は限られた土地でしか育たない。そこは妖精の守る土地なんだ。 |
若さってのは恐ろしいもので、私も勝気な少年らしく好奇心に任せて伝説の宝を手に入れようと思ったのさ。 | |
士官学校に入るまで毎年、家族と一緒に大陸のあちこちを旅してたんだ。あの年、我々はカルファ南部のリンスル町を訪れた。そしてあの日の午後...。 | |
家族と喧嘩してカッとなって飛び出した私は、いつの間にか町の南の山裾にある無人の農園に迷い込んだ。 | |
そして蔓の生い茂る葡萄園を見つけた。そこで喉が渇いていた私は小さな実を一つ食べた......。 | |
(オーランドの回想、新暦665年) | |
オーランド少年 | 君はいったい!? |
??? | 人間が一人でここに来たのは久しぶりだ。君......、ボクが見えるの? |
オーランド少年 | ああ、僕はオーランド。君は? |
??? | ボクはアブニー。よろしく。 |
オーランド少年 | アブニー......?もしかして君って本に出てくるアブニーの花の妖精? |
アブニー | うん、そうだよ。 |
オーランド少年 | ......でも僕より小さいね?本ではかっこいい大人の男のひとだったのに? |
アブニー | 君が言った話が完全に嘘って訳じゃない。本当はボク、君よりずっと年上なんだ。長くココに居すぎて、前のご主人様の記憶すら薄れてきたくらい...。 |
オーランド少年 | へぇ、そうなんだ!ところで、ひとつ聞いてもいい......?ココはどこ? |
アブニー | ここはリンスル農場さ。上質なアブニーの花の原産地なんだ。ココには滅多に人は来ないし、ボクの姿が見える人も珍しい。 |
君は運がいい。リンスル農場の「独占」結界の力が薄れ始めた瞬間、ココに来たんだもの。それにアブニーの花に使う野生の葡萄まで食べたんでしょ。 | |
オーランド少年 | 葡萄、美味しかったよ。しかもなんだか不思議な香りがした! |
アブニー | うん。その香りがあるシャンパンだけが、リンスル農場の葡萄で作った本物のアブニーの花を使っているって言えるんだ。 |
オーランド少年 | へぇ。そういえばさっき、ここを出たことないって言ったよね。マーベル大陸は広いんだし、色んなところに行ってみればいいのに。 |
アブニー | そうだね。それも中々よさそうだ。 |
(新暦680年の現在) | |
(オーランドの回想は入店してきた部下に遮られ、部下が彼に耳打ちする) | |
ニキ | 何かあったんですか? |
オーランド | 実は、ここに来たのはアイアンローズを追う為なんだ。君達とメイラに色々あったから、黙っていようと思ったんだが。 |
信頼出来る情報筋によれば、メイラは今晩、公爵家のパーティに現れるらしい。私もパーティーに出る準備をしなければ。 | |
モモ | えっ?メイラがどこにいるって?ひっく!あの性悪女また...現れたのか、ひっく!ボクが捕まえてやるにゃ...。 |
ポポ | この酔っぱらい猫が......。 |
オーランド | ハハッ、気にするな。よければニキもエレガントなイブニングドレスに着替えないか。君達を公爵家のパーティーに連れて行ってあげよう。 |
ポポ | ほんとに?やったー!ニキ、早く着替えてきなよ。間に合わなくなるよ! |
ニキ | うん! |
オーランド | 大丈夫。レディの身支度を待つのも紳士のマナーさ。 |
コメント (ヴィータ ストーリー オーランド)
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