《至高の宝物》マリオネットの女王
マリオネットの女王
完成報酬 | 50ダイヤ |
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リリス王国の令嬢達の間では、パレスのマリオネットを持つのがある種のステイタスである。腕利き職人であるパレス人形店の主人が生み出すマリオネットは、大金を積んでも入手困難な逸品ぞろいであった。それでもパレスは現状に満足せず、本物の人間のようにリアルなマリオネットを作りたいと願っていた。
店のちょうど真ん中に、作りかけの人形が置かれていた。雪のように滑らかな肌、絹のように柔らかな髪、虹のように華麗なドレスの人形は、まるで今にも動き出しそうなほどリアルだった。パレスはその人形をグレースと名づけた。だがグレースには瞳がなかった。どんなに高価な宝石もその瞳には似合わない。なぜなら瞳は魂の宿る場所だからだ。外見がどんなにリアルでも、魂がなければただの人形。それがパレスには残念でならなかった。
時は流れ、年老いて病気がちなパレスはそれでも店の中央に立つグレースを見つめていた。瞳がないためリリス人形劇団の舞台に上がれないグレースの体にも歳月の爪痕は残され、滑らかだった髪は乱れ、華麗な礼服は色あせていた。パレスの心はひりひりと痛んだ。
その時、彼の脳裏に突然大胆な考えが浮かんだ。わたしもいつか死ぬ。ならばこの瞳をグレースにやればいいじゃないか?それからというもの彼は熱に浮かされたようにその事ばかりを考え続け、ついには店を畳み、良策を探してマーベル大陸中を訪ね歩いた。そしてとうとう苦労が実を結ぶ日がやって来た。パレスの想いを知ったカルファの森の奥に住む妖精達がグレースに瞳を移植し、体を修復してくれたのだ。両目を失ったパレスがその世にも美しい作品を見ることはなかったが、人々の賞賛の声は彼の元にも届いた。
光り輝くリリス人形劇団の舞台に登場したグレースを見ようと、大陸中から観客が押し寄せた。まるで血の通った人間のようなその姿を見て、観客は感嘆の声を上げた。特に瞳は見るものを魅了し、グレースの人気で公演は連日満員、チケットは入手困難となった。盲目のパレスは全ての公演に足を運び、その演技を心で感じ、幸福な満足感に浸った……だがその幸せも長続きはしなかった。パレスはグレースの異変に気づいたのだ……
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