オンラインゲームのチート行為をデータ通信量で判別するAIをテキサス大学が開発

チート行為をデータ通信量から判別する人工知能(AI)が開発

(Image credit:unsplash.com)

テキサス大学ダラス校のコンピューターサイエンティストチームは、オンラインゲーム上で不正な改造ツール(チート)を使用した際に発生する「データ通信量」からチートツールを使用したプレーヤーを発見する画期的な人工知能(AI)を開発しました。

研究には人気FPSを利用して改造ツールのデータ通信量を計測

テキサス大学ダラス校の研究チームは、人気FPSゲーム「カウンターストライク：グローバルオフェンシング(Counter-Strike: Global Offensive)」通称CSGOを使用した研究を行いました。

被験者となる20人のプレーヤーには、実際にオンライン上で使用されているチートツールを専用サーバーで使用する事で人工知能の開発に向けた実験が行われました。

実験に使用されたチートツールは、「Aimbot」「Wallhack」「Speedhack」の3種類が使用され、専用サーバーと被験者との間のトラフィック(通信量)をリアルタイムで追跡する事でパケットのサイズやデータを送信するタイミング・連動性などを計測しました。

これらのデータを分析した結果、チートツールが使用されている時に、発生する特異なパターンがデータ通信量に確認されました。

この特異なパターンのデータを機械学習に用いる事で、研究チームはゲームをプレイしている際のデータ通信量からチートツールを使用しているプレーヤーを判別するAIを開発しました。

今回開発されたAIは、複数のプレーヤーが同じサーバー上で参加している場合でも、チートツールを使用しているプレーヤーを判別する事ができるとの事です。

カウンターストライク：グローバルオフェンシングとは？

アメリカのValve社・Hidden Path Entertainmentが制作を行うFPSゲーム。

世界で開催されたeSports(FPS)大会の開催数が1番多いゲームとなっており、WindowsOS・MACOS・PS3・XBOX360など複数のプラットフォームで遊ぶ事ができる。

対応プラットフォームの広さと、高い戦略性が評価され世界中で人気を博している。

今後は独自サーバー上での運用に向けて開発を進める方針

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開発されたAIは現在研究チームが実験で使用した独自サーバーでのみ動作するため、今後研究チームはAIを公式サーバーに対応するための考察や検出メカニズムのセキュア化(安全化)に向けてアプローチを行う予定とコメントしています。

また、今回の実験の筆頭研究者ムハンマド・シハブル・イスラム氏は、「開発したチートツール判別AI(人工知能)は他のゲームのデータを用いる事が可能」とコメントし、ゲーム開発会社には是非自身の研究チームが開発したAIを使用して、不正にチートツールを使用する者の対策に役立てて欲しいと呼びかけています。

有名オンラインゲームのチート対策

オンラインゲーム上においてチートの被害は切ってもきれない関係となっています。

チートを使用するプレイヤーに対して開発者が対策を昂じると、新たなチーターが発生するため、完全にチートを使用するプレイヤーを締め出す方法を見つかっていません。

しかし現在の人気オンラインゲームではそれぞれのゲーム事に独自のチート対策をとっているためいくつか紹介します。

PUBG

『PlayerUnknown's Battlegrounds』（プレイヤーアンノウンズ バトルグラウンズ、略称：PUBG）は、韓国のデベロッパーBlueholeの子会社である、PUBG Corporationが開発しているバトルロイヤルゲームで全世界で毎日8700万人のプレーヤーがゲームをプレイしています。

そんな、世界中で人気を博しているPUBGですが、中国サーバー内でのチートプログラム使用者が後を絶えず、開発者の調査によるとゲストアカウントでのチート使用者の99%が中国からのアクセスであることが判明しています。

ゲストアカウントを使用した不正プレイヤーはマッチング事に、複数のサーバーに移動する事でアカウントのBANを逃れてきましたが、開発会社のPUBG Corporationは別のサーバーに移動するには最低60日後でないとサーバーを変更する事ができないように制限を加えました。

Fall Guys

2020年8月4日に発売されたPlayStation 4およびWindowsPC（Steam）コンピュータゲームソフト。『Fall Guys』でも不正ツールを使用したチーターが後を絶たず、常に被害に遭っていました。

Fall Guysを運営するDevolver Digitalは、不正プログラムを使用するチーターを独自の検出機能で、タグ付けする事で特定のサーバーに隔離しチート対策を行っています。