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麻枝准初小説作品「猫狩り族の長」とはどんな作品なのか?その魅力に迫る

投稿日時: 著者:pede

麻枝准初小説作品「猫狩り族の長」

5/17(月)に講談社から発売された麻枝准先生初の小説作品である「猫狩り族の長」が発売されました。

去年秋にはアニメ「神様になった日」が放送されたばかりで、個人的には立て続けに作品が発表された印象が強いです。

今回はこの「猫狩り族の長」についてちょっとしたレビューや魅力を掘り下げていきたいと思います。

そもそも麻枝准先生ってどんな人?

名前麻枝准(まえだじゅん)
通称だーまえ
代表作
ゲーム:Kanon、AIR、CLANNAD、リトルバスターズ!など
アニメ:Angel Beats!、Charlotte、神様になった日

代表作ですがプレイしたり見たことある人も多いかと思いますが、そうでなくとも作品名だけでも聞いたことがあるのではないかと思います。

もしギャルゲーの歴史を語るのであれば、シナリオライターとして間違いなく語られるべき人で、この業界に「泣きゲー」を確立させて流行らせたその一人と言っても過言ではない人物です。

そんな麻枝先生の初書籍作品となれば、一ファンとしては読まずにはいられません。

あらすじ

海辺で出会った彼女は、美しく饒舌で世界で誰よりも—— 死にたかった。


猫が戯れるのを眺めていた時椿は、断崖絶壁に立つ女性に声をかける。

飛び降りようとする黒髪の美女・十郎丸は、多くのヒット曲を手掛ける作曲家だった。

彼女は予想に反して、雄弁で自信に満ちた口調で死にたい理由を語ってのける。

人生で初めて出会った才能豊かな人間が堂々と死のうとしている事実に混乱する時椿。

なんとかその日は翻意させ、下宿に連れて帰ることとなる。


なぜか猫に嫌われる死にたい天才作曲家と、何も持たない大学生。

分かりあえない二人の、分かりあえない6日間が、始まった。

いわゆるガールミーツガール…いや、十郎丸はガールとは言えない年齢でした。

海に自殺をしにきた十郎丸を引き留めて、そこから始まる奇妙な6日間の交流を描いた話です。

麻枝准先生らしさもしっかり感じられる作品

まず本書の存在を知った時にレーベルがライトノベルではなく、ジャンルとしては一般文芸か新文芸だろうしギャグ要素を捨てた作品になるのかなと思っていました。

しかし読んでみると、そんなことは一切なくいつものテンポよく繰り広げられる会話の応酬は健在で、他の作品に触れていれば自然と情景が思い浮かんでくるようなやり取りになっています。

ギャグ方面ではなくシリアス面での麻枝准先生らしさももちろん用意されています。

ただし、こちらは今まで麻枝准作品の何に触れて来たかで感じられるものが変わってくるので、次はこちらを掘り下げたいと思います。

ゲーム・アニメ以外で麻枝准先生が描いていたもの

「猫狩り族の長」のテーマとして十郎丸の苦悩が存在します。

あらすじでもある通り、「多くのヒット曲をてがける作曲家」で世間的にいえば成功をしている人言えますが、成功しているからこその苦悩が作品の中で多く描かれています。

さきほど上記した「麻枝准先生とはどんな人?」ではあえて触れませんでしたが、麻枝准先生はシナリオだけでなく音楽も手掛けており数多くの名曲を生み出しています。

そして本書の宣伝文句にはこうもあります。

麻枝 准の生きている世界はこんなにも苦しくて、理不尽なものだった――。

『AIR』、『CLANNAD』、『リトルバスターズ!』、『Angel Beats!』、『Charlotte』、そして『神様になった日』。

これまで「泣ける」ことだけにこだわり創作してきた彼が純粋に書きたいものを初めて書いた処女文芸作品、緊急刊行。

要するに十郎丸は麻枝准先生自身を反映しているキャラクターと言えるでしょう。

ゲーム作品を手掛けていたころには奇跡を軸としたシナリオで人気を博しましたが、一方でどうせ「奇跡」で解決するみたいに皮肉られることも多くありませんでした。

そしてその反動は、アニメ作品を手掛けるようになってからの作風にも表れているかと思います。


そういった周りからの反応に対する苦悩などが十郎丸を通して描かれています。

もう一人の主人公である時椿はたまたまそこに居合わせた何の才能もない大学生で、読者自身とも言える存在です。

成功した十郎丸に対して、「そこまで成功しているのなら楽しいのでは?」「不満なんてあるのか?」といった純粋な疑問を持ちますが、それを否定してく十郎丸…話はこういった価値観の違いを中心に進んでいきます。

そして6日間の交流で少しずつ十郎丸のことを理解していくことで、読者もまた麻枝准先生のことを理解していく作品でもあります。


麻枝准先生の作品で今までこういった苦悩を描いた作品があるのか?と言うと音楽作品で存在します。

http://key.soundslabel.com/satsubatsu_kids/index.html

Satsubatsu Kidsという名義の音楽グループです。

コンセプトにもある通り「ひたすら言いたいことだけを連ねたリリック。焦燥感だけで紡いだメロディ。聴くひとのことはまったく考えていない。でもどこかの誰かの心にはきっと刺さるはず。」

ゲームやアニメでは触れられない思いを独白したかのような歌詞が特徴です。

「猫狩り族の長」の原点とも言える作品なので、もし読み終わって気になったのなら一聴の価値があります。

元になった曲はあるのか?

リトルバスターズ!にはHanabi、去年アニメをやっていた神様になった日には「Karma」と自身の曲がモチーフになったり登場していたりします。

今作は作曲家が主人公と言うことで、そういった曲が存在する可能性は高いのではないかと思いました。

というわけで手持ちの麻枝准先生の曲を色々聞いたり歌詞カードを見たりと確認してみましたが、これといった曲はなさそうでした。

しかし、合わせて聞いておきたい作品はあるのでそちらを紹介したいと思います。

Hikikomori Songs

さきほども紹介したSatsubatsu Kidsの1stアルバムです。

麻枝准先生の苦悩を描いた原点的な作品と言えるので本書をより掘り下げるのであれば抑えておきたい作品です。

Love songシリーズ


Love Song

終わりの惑星のLOVE SONG

Long Long Love Song

実際にシリーズとして括られてはいませんが、どれもタイトルに「love song」が付いている、物語調の曲になっておりアルバムを通しても一つの物語になっているのが特徴です。

このアルバムの中のこの曲といったものはありませんが、主人公二人の絡み方や距離感の雰囲気が似ていたりします。

特に「Long Long Love Song」に収録されている「約束の唄」にはそれっぽい歌詞もあったりします。


ゲームやアニメの雰囲気とはまた違った麻枝准先生らしさを感じられる作品となっているので、興味があれば是非聞いてみてください。


最後に

「猫狩り族の長」について長々と書いてきましたが、これで本書や他音楽作品に興味を持ってもらえれば幸いです。

ゲームやアニメ作品しか触れていなかった人には意外性があるかもしれませんが、これを読んでからまたゲームやアニメ作品に触れることで見方が変わり新しい発見があるかもしれません。


もし本屋で本作を探すときは、以下の商品情報を書店員に見せればすぐなので困ったらご活用ください。

猫狩り族の長の商品情報

タイトル猫狩り族の長
著者麻枝 准
発売日5/17
価格1,870円
ISBN978-4-06-523023-7
公式サイトhttps://key.visualarts.gr.jp/nekogari/

コメント (麻枝准初小説作品「猫狩り族の長」とはどんな作品なのか?その魅力に迫る)

  • 総コメント数1
  • 最終投稿日時 2021/05/27 14:43
    • ななしの投稿者
    1
    2021/05/27 14:43 ID:licnc36v

    ラボメン最終回で麻枝准という名前は忘れて沢山の作品に触れて下さいとコメントしていたが。

    言ったそばからいい作品に出会えましたね。もう一生忘れん。

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