デート・夜の屋上
夜の屋上
解放条件 | SR-ゼン・深夜の考え事 SR-ゼン・真心を問う R-ゼン・沈黙は金 |
ゼンからの電話を取った私は、その内容に驚き呆然とする。彼はある女性に気持ちを伝えたいようだった。彼がこんなにも愛情深く話すなんて、私は今まで知らなかった。 |
ゼンには私のささやかな楽しみを台無しにする能力があるらしい。ちょうど私がイチゴアイスを食べようとしていたその時、彼からの電話が私を現実へと引き戻したのだった。
きっとかけ間違いだろうけど、ゼンはいつもと様子が違っていた。彼は「会いたい」と言ったのだ。気持ちのこもったその声には、誰もが魅了されてしまう魔法があるみたいで……
ゼンと顔を合わせたくなかったけれど、エレベーターで出くわしてしまった。今朝の電話の事を尋ねながら、あの言葉が頭に浮かび、どう話せばいいかわからない。自分の気持ちを表現する大切さや、ゼンの彼女は綺麗で優しい人なんだろうなと伝えてみると、彼は不機嫌そうな表情をした。
あの電話は亡くなった母へのものだった。彼の寂しそうな顔を見て、私は胸が熱くなり、思わず寄り添う。あの電話が母親へではなく、別の愛する女性へのものだったとしても、それでも自分を励ましたかどうか、ゼンは私に訊ねた……