秘密の裏話・小さな守護者
小さな守護者
解放条件 | SR-ハク・逆光の中へ |
漆黒の闇の中、下弦の月が空高く昇り、時折流れる雲に月光が霞む。それは実に神秘的な光景だ。
鈍い音を立てて長い間閉ざされていた木の扉が開かれ、グレーの服を着た軍人らしき男が中に入ってきた。そして固く封をされた資料を、暗闇にいるもう一人の男にうやうやしく手渡す。
「中将、残念ですが、彼の遺伝子にEvolの兆候は見られませんでした」
男は受け取った資料を開いて目を通すと、「確かか?」と聞き返した。
グレーの服の男は頷いて「はい」と答える。
男は眉をひそめ、「あっちへ行け」という仕草をする。
グレーの男は敬礼をすると、部屋を出て扉を閉めた。
辺りは再び静まり返る。ただ月の光が地面を照らし、寒々としていた。
ハクは夢を見ていた。強風に巻き上げられて何百メートルも上空に飛ばされたかと思うと、瞬時に下へ投げつけられる夢だ。重力を失う感覚に、彼はハッと目を覚ます。起き上がるとすぐさま小さな枕を抱き締めて、母の部屋へと向かった。
部屋のドアには鍵がかけられており、中からは話し声が聞こえる。