デート・風の軌跡
風の軌跡
春だというのに、恋花市では雪が降り止まない。その真相を究明するため、私は失踪事件を追って西郊外の港に向かっていた。その道中で、ふとハクとの思い出が蘇る。
あの頃の恋花市はまだ平和で、ハクと一緒に体験型アトラクションシアターへ出かけたのだった。シアターのテラスでたくさんの紙飛行機を見つけた私たちは、高校時代の思い出を語り合い、懐かしくなる……
シアターの中でハクと離れ離れにされた私は、ピンチに陥ってしまった。けれど彼が助けに現れ、アトラクションの謎も解いてくれた。夕日に照らされた階段で振り返る彼に導かれ、私たちは脱出に成功する。
思い出に浸るうちに、いつの間にか港に到着していた。調査を始めた途端、異空間に吸い込まれてしまった私を助けてくれたのは、小さな紙飛行機。助けてくれたのはハクだった。私たちの絆は、今はまだ眠っているだけで決して消えることはないのだ。