《ストーリーセットコーデ》揺落の蕾
揺落の蕾
画像 | 完成報酬 |
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コーデギフトBOX (贖いの月、堕天の蕾、幽閉の花、折れた翼、血色の星軌、挫折の地、錆びた檻、悲願の歌、40ダイヤ) |
ページ名 | カテゴリ | 入手方法 |
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贖いの月 | ヘアスタイル | セットコーデ任務達成「《ストーリーセットコーデ》揺落の蕾」 |
堕天の蕾 | ドレス | セットコーデ任務達成「《ストーリーセットコーデ》揺落の蕾」 |
血色の星軌 | アクセサリー | セットコーデ任務達成「《ストーリーセットコーデ》揺落の蕾」 |
幽閉の花 | アクセサリー | セットコーデ任務達成「《ストーリーセットコーデ》揺落の蕾」 |
折れた翼 | アクセサリー | セットコーデ任務達成「《ストーリーセットコーデ》揺落の蕾」 |
挫折の地 | アクセサリー | セットコーデ任務達成「《ストーリーセットコーデ》揺落の蕾」 |
錆びた檻 | アクセサリー | セットコーデ任務達成「《ストーリーセットコーデ》揺落の蕾」 |
哀願の歌 | メイク | セットコーデ任務達成「《ストーリーセットコーデ》揺落の蕾」 |
シリーズ1 | シリーズ2 |
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番外(挫折の地) | 番外(錆びた檻) |
その日もいつものようにポワリー湖は鏡のように静かで湖面には無数の星々が映し出されていた。風は吹いていないはずなのに湖面には奇妙な波紋ができ、波紋の奥からは低い唸り声が聞こえてくる。この下に広がるのは光の世界とは相反する闇の世界。一度足を踏み入れると、二度と帰ってくることはできない。
「いってまいります」
私が湖面の上に降り立つ瞬間、倒影の星々は純白な花海になり、花弁は羽のように舞い落ちた。そしてそれらは少しずつ濃紅色に染まる。私を見送る紅月が怪しく光ると共に、ポワリー湖の星が消えた。
闇の世界に着いてすぐ、私は影の城の女王に囚われた。巨大な籠、重い手錠、止まない痛みと注視される屈辱。滴る血が牢獄の中の時間を記録し、冷たい風が骨の間を通り過ぎる。聞きなれた足音が聞こえてきた。そろそろ拷問の始まる時間だ……。籠の扉が開かれると同時に、私は彼女に頭を掴まれ、乱暴に視線と視線が絡み合う。
「まだまだ貴女は死なせないわ」
無理やり背後から抱き締めてきたかと思うと、細くて冷たい指先で昨日出来たばかりの傷口をなぞってきた。そして、私を抱きしめる力は徐々に強くなり、だんだんと呼吸が苦しくなってくる。彼女の爪が、彼女の牙が、私の身体に食い込んでくる。まるで彼女は自分の心の中に開いてしまった穴を埋めるように、激しく身体を求めてくる。血を吸わる度に、彼女の体の中に私は取り込まれていく。
意識が遠くなるその瞬間、彼女の牙が私の首元から離れた。そして彼女は耳の後ろから順に私の身体を舐めまわした。優しいキスを落としてきたかと思うと、時折噛み付いてくる。全身を愛撫してきたかと思うと、傷口に舌を這わされ激痛に声が漏れる。彼女から私に向けられる感情は、一体何なのだろうか。
「貴女のその高貴で聖潔な眼をこんなにも愛しているのよ!抉り出したいほどに!」彼女は叫ぶ。
「こんな目にあっても、まだ貴女は私を救いたいのかしら?」彼女は問う。
「貴女が私を救うのが先かしら?それとも私が貴女を無限の深淵に引き下ろすのが先かしら?」彼女は囁く。
私は別に彼女の為だけに彼女を救いたいわけではない。私が彼女を救おうとしているのは、贖罪の為だ。嘗て、私たちエルフと吸血鬼は争いを起こした。私の魂はその罪を償う為のものなのだ。
勝利したエルフたちの為。ここで自我を失った幽霊たちのため。ここに囚われているすべての吸血鬼のため。そして、殺戮後の残骸しか残っていない戦場のため。私が唯一できることは、この闇の世界へと通じる扉を閉ざし彼女たちと共に永遠に影の城で暮らすことなのだ。籠に入り、自分の体を献上し、痛みに耐え続けること。やがていつか、血が喘ぎの中で渇き、純白の花海も枯れる。しかし彼女はずっとこのまま、光の世界へ出ていくことを切望するだろう。彼女の為にも、光の世界の為にも、彼女をここから出すわけにはいかない。
だから私は何をされようとも、永遠に彼女の心を埋める役割を担うのだ。