《ストーリーセットコーデ》疾きこと風の如く
疾きこと風の如く
完成報酬 | コーデギフトBOX (天地攻め、論戦超天、太古の戦意、単騎疾走、疾風迅雷、40ダイヤ) |
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シリーズ1 | シリーズ2 |
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蕭縦はもう長いこと生きている。
彼は気ままに時間を過ごしており、滝の横で一日中、剣舞の練習をしたり、夕方には酒を飲んで山の中で寝てしまったりしている。何故なら彼にとって時間とはこれ以上ないほど意味のないものだからだ。
若い時、彼も天下を股にかけ、マーベル大陸のあらゆる場所を巡った。しかし、見聞が広まるにつれ、世界はどこも同じように思えてきた。ある場所で珍しい綺麗な景色を見たとしても、時間と手間を掛ければ別の場所でも見ることはできるのだ。
そんな蕭縦も他人とは違う人物に会ったことがある。
その少年は、命の息吹に満ちていた。彼はこの世界で最も未知の可能性を持っているようで計り知れなかった。蕭縦は彼の傍で懸命に彼を手伝い、助けた。彼の艶やかな命の花を早く咲かせるために。
ある晩、蕭縦は雨で濡れたのか涙で濡れたのか分からぬ最後の手紙を受け取った。少年は自分の計画と命を諦めてしまったのだ。それも男女の情のために。蕭縦はこのような者は世界で最もつまらないと思った。
巨大な魔法陣が雲上の南境で動き出し、花畑の時間は永遠に六十年前のまま止まることになった。蕭縦はそこに隠居し、次の面白い魂が現れるのを待った。それはまるで彼がこの世に留まる意義のようだった。彼はもう一度あのような強烈かつ熱烈な生を感じられることを楽しみにしていた。
だが、期待しては失望することの繰り返しだった。永い時間を過ごしすぎたせいで、蕭縦の希望と情熱は消耗し尽くしてしまった。彼はもう命の楽しみを感じなくなりやがて、食、酒、美人に興味を持ち始めた。これらは彼の麻痺した神経を、ほんの僅かな間だけ興奮させた。
時間の流れない花畑で待ち続けることは、檻の中に閉じ込められるようなものだった。蕭縦は自分が果てしなく待ち続ける間に意識の死に向かっているのではないかとすら思えた。
七年前、祝羽弦を見つけるまでは。
祝羽弦は面白い人物だった。彼の心は極めて複雑で理解し難かった。それでいながら最も単純な感情も併せ持っていた。彼はまるでこの世界の矛盾を集めてできたような存在で、蕭縦はこのような者は大したことを成し遂げられないと思っていた。しかし、祝羽弦は蕭縦の予想を裏切った。追い詰められた鼠が猫を噛むかのように、祝羽弦は自分の力で新たな境地を切り開いたのだ。彼の笑顔はまるで全てが当然だと言わんばかりだった。
蕭縦の弛み切っていた神経がピンと張りつめ、彼は花畑を出た。初めて時間が惜しく、一刻足りとも無駄にしたくなかった。
祝羽弦も彼を失望させなかった。蕭縦は自分の命の火が若い時よりも激しく燃えていることに気がついた。
しかし、祝羽弦の傍にいる時間が長くなるにつれ、蕭縦はどうしても越えられない壁に近づいているような気がした。彼がもたらす喜びは限界に近付いているのかもしれない。或いはこれくらいのものなのだろうか。
祝羽弦も自分でこの点に気がついていた。
明月楼で蕭縦は、祝羽弦が知りたがっていた忘却と封印に関する秘術を教えた。祝羽弦が不退転の決意で臨む様子が蕭縦にはおかしくてたまらなかった。
だが、蕭縦は思いもしなかったことに、祝羽弦が殺そうとした人物を救った。かつて彼の心にあった人を。
この少女は祝羽弦とは真反対で、全くの純粋無垢の存在だった。
彼女が成長すれば、彼女が自分を通じて見るような姿になれれば、この二人にはきっと面白い物語が起こるだろう。もしかしたら世界の真理、命の真髄もその物語にあるかもしれない。
人間界とはやはり面白い。今死ぬのはまだ早過ぎる。
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