《ストーリーセットコーデ》徐かなること林の如く
徐かなること林の如く
完成報酬 | コーデギフトBOX (寒林の蒼雪、雲海の自由、跡残さぬ羽、太陰の青磁、破竹之勢、40ダイヤ) |
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父親のことを「お父さん」と呼ぶことも許されず「父王」と呼ばなければならなかった。一緒に居てくれた母親もいつの日からか居なくなった。少女は繰り返し乳母に母の行方を尋ね、よく泣いたが、徐々にこの事を忘れていった。それ程にまだ、幼かったのだ。
庭くらいの大きさしかない彼女の世界には、乳母と侍女以外は誰も居なかった。だからあの白髪の少年が現れた時、彼女は不意を突かれた。少女は慌ててカーテンの裏に身を隠して、乳母に話しかける少年をこっそりと見ていた。
「このお兄ちゃん、とても恐そう。表情が全然ない。」少女は胸の中でこう思った。
少年が乳母に何を話しているのかは聞き取れなかった。或いは、幼いので分からなかったのかもしれない。彼女には乳母がとても緊張しているように見えたし、乳母は遂に地面に跪いてしまった。
少年は隠れている少女が見えたようで、こちらに歩いてくる。彼女は慌ててしゃがみこみ、頭を隠した。心臓がドキドキと脈打つ。足音が彼女の近くで止まった。しかしカーテンは開かれず、ポンポンと頭を撫でられただけだった。きつく閉じていた両目をパッと見開くと、我慢していた涙が零れ落ちた。
少年が去っていく。少女が恐る恐るカーテンの裏から覗くと、彼の離れていく後姿が見えた。
その後、大勢の人が様々な物を持って少女に会いに来たが、全て乳母に門前払いされてしまった。それは義王の言いつけだった。その後「義王」と呼ばれる白髪の少年が、少女を迎えにやって来た。彼の手は温かかった。母親が居なくなってから感じたことのない温かさだった。
義王は少女に言った。彼女は皇帝になってこの国は自分のものになるのだから、しっかりと治めるように、と。彼女にはよく分からなかったが「あの高い椅子に座って良い子にして、どうやって国を治めるのか勉強してさえいれば、義王兄さまはずっと私のそばにいてくれる」とういことだけは分かった。
義王は大変そうだった。夜中まで文英殿に明かりが灯っていたし、昼間も読み切れない量の書類を見ていた。
「もし私が義王兄さまの言うような『立派な皇帝』になれれば、こんなに苦労しなくて済むのかな?」彼女はそう思いながらも口に出して聞くことはしなかった。彼女は黙って努力を続け、一生懸命頑張った。
しかし、彼女はまだ子供だったので、本に書いてあることが分からず義王に三回聞いた。それでもまだ分からなかったが、彼女はもう義王の邪魔をしたくなかった。
少女が困っていると、仙人風の非凡な少年が門から入って来た。
「仙人兄さま、やっと来てくれたの!」
少女は喜んで椅子から飛び降り、本を持ったまま彼の傍に駆け寄った。
「この言葉も意味が分からないの、教えてくれない?」
少年は微笑んで少女を抱きかかえると玉座に座らせ、自分も彼女の横に腰を下ろし丁寧に本の言葉の意味を教えてあげた。少女は説明を聞きながら呟くように頷いた。
「仙人兄さまがいつも来てくれたらいいのに!物知りだし……でも義王兄さま程ではないけどね!」
一日また一日と、少女はこのような平凡な日々が過ぎていくと思っていた。
しかし、このような平凡さこそ、彼女が晋林宮の暗い部屋の中で最も取り戻したかったものだった。
彼女が泣いても返ってくるのは外で武器が激しくぶつかる音だけだった。「仙人兄さま」が扉を開けて入って来た。いつもと同じようだが、どこか違うようでもある。彼は傷だらけだった。服は血に汚れて見るに堪えないほどボロボロだった。少女は彼が伸ばした手を力強く握りしめた。次の瞬間に彼が倒れてしまうのではないかと心配だった。少年は少女を入口の方に押しやった。彼女は振り向きながら部屋を出ていった。目には涙が溢れ、世界がぼやけて見えた。
「仙人兄さまの言う通りにしていれば、きっとよくなるよね?義王兄さまが私たちを助けに来て、越将軍が勝つんだよね?そうだよね?そうでしょ!」眩しい光が小さな体を覆い、少女は唇をかみしめながら目を閉じた。
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