《ストーリーセットコーデ》鯨の歌
鯨の歌
完成報酬 | コーデギフトBOX (澄んだ水色、ディープオーシャン(背景)、30ダイヤ) |
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シリーズ1 | シリーズ2 |
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真夜中のウィルトン。賑やかな街に蜘蛛の巣のように張り巡らされた漆黒の地下鉄を、最終電車が孤独に通り抜けていく。
重い足取りで車両に乗り込んだユイは、自分が勢いよく金魚鉢から飛び出た金魚のように思えた。後先考えずこの夢の街に飛び込み、今また現実という圧力で精神を搾り取られている。
車載モニターに映るニュースではキャスターがパテール連邦代表使節であるサクラの外交の様子を伝えている。その名前に、ユイは光栄と言わんばかりに笑みをこぼした。サクラはパテール連邦アパレルグループの現CEOで、彼女の下で働けるのは本当に幸運なことだ。
しかしユイはこうも思う。サクラはまだ在学中にも関わらず、既に輝かしい作品を有して、立派な地位を築いている。一方、自分はデザイナーとして長年この業界に勤めているのに何も達成していないし、サクラに会ったことさえない。一部の人間は生まれた時から輝いているのに自分はどんなに頑張っても同じようにはなれない。
電車が地下から地上に出た。雨粒が車窓を叩いている。車輪とレールの摩擦で吊り革が揺れ、電車特有の規則的な音が流れる中、ユイは夢の世界へ落ちていった。
見渡す限りのコバルトブルー。自分の存在すら感じられない。遠くからよく響く声が聞こえて初めて気づいた。それは鯨の歌で、まさに自分が一頭の鯨になっていた。鯨の歌が遠くから響いてきて、ユイも一緒にハミングする。何を歌っているのかは分からない。夢についてかもしれないし、あるいは美や幻想、長く囚われていた後に解放された自由についてかもしれない。
鯨の群れに合流する。大きな尾ヒレで優雅に海水を掻き高低入り乱れた鳴き声で抒情詩を構成している。試しにユイもハミングすると、その声は全く違和感なく曲に融け込んだ。前奏が終わると、急に波が出てきて、暗雲が集まり嵐が到来したようだ。鯨の群れの歌声は一層高くなり、強い風と波の中でクライマックスに達した。
「電車は終点に到着いたしました。お忘れ物のないようお気をつけて……」突然機械的な女性の声が無粋に響くと同時に、雨雲から稲妻が落ちて、光が天地を裂き……ユイが目を瞬くと、車両の蛍光灯が見えた。
電車を降りた時、ユイの心はインスピレーションでいっぱいだった。駅を出ると、雨上がりの夜空には波に反射する光のような星が瞬いていた。
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