《ストーリーセットコーデ》秋伝う蛍火
秋伝う蛍火
完成報酬 | コーデギフトBOX (時の隙間、30ダイヤ) |
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蛍の光が暗い夜を照らす。
照らされた顔には様々な表情が浮かび、蛍火に温められた心には、それぞれの人知れぬ物語が去来する。
月光が手紙を書く秋梨の窓辺に差し込む。書面には小さな文字が並び、前日の出来事を歓声や談笑する声、感慨や嘆息が生き生きと伝わるように綴っている。
ふいに、目の前に現れた見覚えのある場面に、彼女は遠い昔を思い出した。
あの時、夜空を飛んでいた蛍が、秋梨が持っていた硝子瓶に迷い込んだのだ。そこで彼女は瓶の口に薄布を被せて、麻紐で固定した。蛍は瓶の中でも柔かな光を発し、薄闇の中、灯火のように秋葉を照らした。秋葉は書物の文字をちらっと見てから顔を上げ、秋梨に古い物語や伝説を語った。
夜が深まり、秋梨が瓶口の紐を解くと蛍は飛び出した。彼らは二度と戻ってはこない。たとえ再び瓶に蛍を入れても、明るさだって異なるだろう。先程の蛍があの物語と二人の心を照らした瞬間は終わってしまったのだ。
人の一生には、いったいどれほどの瞬間があるのだろう。切なさに涙した瞬間、心ゆくまで大笑いした瞬間、あまりにも辛い瞬間、あまりにも幸せな瞬間、夢から醒めた瞬間、ぐっすりと眠りにつく瞬間……。
この無数の瞬間の中で、他人と共有可能なものがいくつあるだろう。
秋梨は筆を置き、窓辺に歩み寄った。外を飛ぶ蛍が戯れながら次第に遠くへ去ると、広々とした夜が残された。ひょっとすると、共有するよりも、独りで過ごす瞬間、さらには甘んじて独りで過ごす瞬間のほうが、人生では多いのかもしれない。
しかし、かつて心の中で無数の言葉を並べて築き上げたおとぎ話のお城には、一年中花が咲く春のような世界が永遠に広がり、月にも温かい光が絶えず、溢れる宇宙があり、それこそが真の故郷だった。
温かい風が吹いてきて、秋梨はあの夜の物語で秋葉が描き出したあの美しい世界を思い出した。
「温かな風と共に 蛍が舞い上がる」
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