《至高の宝物》白夜の聖歌
白夜の聖歌
完成報酬 | コーデギフトBOX (祈りの詩歌、永日の詩、40ダイヤ) |
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私はイーレンが遺した難解な書物を見つけ、彼女と同じようにテーブルに突っ伏し、昼夜を忘れ読みふけった。そして繰り返し自分に問う。
もしイーレンがここにいたらどうしただろうか、と。
私は力の限り働いた。
イーレンのように温かく穏やかな態度で来訪者たちに対応し、彼女と同じような美しい筆跡を用いる。
そこに自分の名は記さなかった。
そんなある日。
クロリス王子が石碑の森にやって来て、私に尋ねた。
「レイチェル、君は自分が誰なのか、覚えているか?」
「レイチェルって誰ですか?私はイーレン。森の叙事詩の守護者です」
私はそう答えた。
しかし、思いも寄らずあの晩、私は彼女に再会する。
ずいぶん時が経っているのに、私の前に現れたイーレンは以前と変わらぬ姿をしていた。彼女はお気に入りの深い蒼色のクラシカルなドレスを身にまとい、石碑の森の間から私たちをじっと見つめていたのだ。
しかし、以前の笑顔とは異なり、明らかに心配でたまらないという顔をしていた。彼女に見つめられ、私は急に恥ずかしさでいっぱいになった。
私はイーレンではなく未熟な子供で、その弱さゆえに、自分を見失いお姉ちゃんを記憶の彼方へ追いやり、まだ自分の心配をしているほどだ。
しかし、イーレンは何も言わなかった。
彼女は手にしていた『時の銘文』を開くと、影の城やカルファの森に関わる故人の過去を詩にして繋げ、荘厳な叙事詩を歌ってくれた。
そして、名残惜しそうに歌い終えたイーレンは力を使い切ったのか、私の腕の中から消えていった。
石碑の森の中で、私は泣き崩れた。
イーレンのドレスには、彼女が作った花飾りがたくさん付いていた。彼女によれば、その花の一つ一つが誰かとの忘れられない思い出だそうだ。
私の淡緑色のドレスはイーレンと同じ物。
だから、彼女が『時の銘文』に物語を遺したのと同じように、私も全ての出来事を、しっかりと石碑に刻もう。いずれも忘れてはならない歴史を語っているのだ。
石碑には既に数えきれないほどの文字が刻まれている。それらが発する光により、ここは永遠に闇とは無縁だ。
歴史を刻むのは、あらゆる生命の平等を尊び、二度と同じ轍を踏まないため。イーレンがかつて私にこう言った時、私は彼女の眉間から失望を読み取った。
私は決してイーレンを失望させはしない。
私がいる限り、森の叙事詩が忘れ去られることはない。
冬は去り、春が巡りくる。石碑の下からは新緑が芽吹き森全体が新たな生命力にあふれる。
かつてと同じようにポワリー湖には舟が浮かび、湖面には花びらが舞い、真っ白な白鳥が遊んでいるのだろう。そしてその時、私はイーレンにこう告げる。
歴史書は過去しか記されていないけど、私たちには未来がある、と。
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