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夢術師アステルシア

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2/28~3/13

第一回スペボスホワイトデー5位 チョコ458個

第二回スペボスホワイトデー7位 チョコ1794個


暁星の夢術師アステルシア

おや?迷子かな。僕はアステルシア、夢術師だよ・・・あなたはここがどこだかわかる?

ここは夢術師だけが通れるユメの道。みたところ・・・あなたはフツウの人のようだけど・・・?

・・・そう。宿のベットで眠ったはずが、いつの間にかここで目が覚めたんだ・・・。

出口はどこ・・・って、ここは一度迷い込んだら二度と出られない迷宮・・・。

なんて・・・ふふ、驚いた?からかってないよ、本当に出られないんだ。でも、僕が一緒なら出口へ行けるよ。



出口を教えて欲しい?いいけど・・・それなら、僕とトモダチになってよ。

ほんとう?わあ、嬉しいなぁ・・・ずっとあなたみたいなトモダチが欲しかったんだ!

じゃあ、さっそく遊びに行こう!え、出口?もちろん案内してあげるよ。

でも、少しくらい寄り道しても・・・いいよね。

・・・さあ、着いたよ。ここはある一国のお姫さまが見てる夢の中なんだ。



ほら、見て。海が見える。波止場に船が停まってるね・・・あそこに乗ってる女の子が、お姫さまなんだよ。

これからお姫さまは海へ冒険に出かけるんだ。お城の中に閉じこもっているだけじゃなくて、広い世界が見たいんだね。

おや、船の汽笛がなってるね。出航の時間だ・・・ほら、あなたもお姫さまに手を振って。大いなる夢の世界へ旅立つ、お姫さまに。

お姫さまはメザメるのかって?それはどうかな・・・このまま夢の世界で生きていきたいと考えるかも―なんてね。

さあ、次の夢に行こう?こっちだよー・・・。



今度は野に咲く花が見ている夢だよ。真っ白なワンピース着た女の子が、花畑の真ん中で踊っているのが見えるよね。

―ふふ、あなたはかしこいね。そう、あれがお花さんだよ。お花さんは、ニンゲンになって踊りたいんだって。

ねえ、僕たちもお花さんと一緒に踊ろう。夢の中ではなんでも叶うし、なんでも思い通りになるんだよ。

くるくる、くるくる。ふふ―楽しいね、花びらも一緒に舞っていて、みんなで踊るってこんなに楽しいことなんだ。

・・・はぁ、楽しい時間はあっという間だね。お花さんがメザメの時間みたいだ。僕たちも次の夢にいこうか―・・・。



・・・ん?あなたの夢も叶えられるのかって・・・大歓迎さ。あなたのユメはどんなユメ?

空を飛んでみたい?いいよ、じゃあ行こう。小鳥さんたちが見てる夢の世界へ―。

―さあ、どうぞ、気持ちのいい天気だね。小鳥さんたちはこんな大空を飛びたいんだ・・・ほら、あなたの背中にも羽根が・・・。

怖い?じゃあ、僕がずっと手を繋いであげる。ふたり一緒に、せーので羽ばたこう。せーのー!

どう?初めて空を飛んだ気分は、人も家もあんなに小さく見えるね。このままどこまでも、あなたと飛んでいきたいな。



・・・ずっと空を飛んでいて、少し疲れたかな。じゃあ、あの野原で休憩しよう。

楽しかったみたいで良かった。どう、お腹は空いていない?あなたが望むならとっておきのユメを見せてあげる―。

じゃじゃーん・・・ふふ、驚いた?そう!お菓子の家だよ。屋根はチョコレート、ドアはクッキー、ソファはマシュマロ。

おなかいーっぱい、食べても減らないよ。だって、ユメなんだから。甘い甘いお菓子には美味しい紅茶がつきものだね。

つまらないなら、僕がたくさんおトモダチを呼んであげる。ウサギさん?ネコさん?どんなコでも連れてくるよ。



みんなで仲良くお茶会をしようよ。覚めることのないユメの中で、ずーっとずーっと遊んでいよう。

え・・・それはまた今度って・・・もしかして、もう行っちゃうの?

ダ、ダメダメ。まだ出口は教えられないよ。だって僕はもっとあなたと遊びたいもの!

ねえ、どんなユメがみたいの?僕がなんでも願いをかなえてあげる。だからお願い・・・僕をひとりにしないで。

・・・あなたの手はあったかいね。僕を心配してくれているんだ・・・やさしい、やさしいあなた。



え?僕を一緒に・・・冒険へ連れて行ってくれるの?ユメの外の世界へ・・・あなたの仲間も一緒に?

そっか・・・あなたは本当にやさしいね。僕を外の世界へさそってくれたのは、あなたが初めてだ。

・・・でも、あなたは僕を忘れてしまうよ。ユメはメザメたら、もう覚えていないもの。

僕のことも忘れて・・・あなたは仲間と一緒に冒険へ行ってしまうんだ。そんな悲しいのはイヤだもの。

ひとりぼっちにしない・・・?本当に?僕を絶対に忘れたりしないって・・・。



そんなこと・・・本当にできるのかな。今までだって、僕を忘れないって約束したトモダチはみんな―僕のことなんて覚えていなかったよ。

どうしてかな・・・あなたの言葉って不思議だね。あんまりにも一生懸命だからかな。なんだか信じられる気がしてきた・・。

うん・・・それなら、イイかな。僕がどこにいるのかって?それは―。

あなたが眠っている場所よりも、ずーっとずーっと遠くの森の中だよ。僕はずーっと眠り続けてるんだ。

だって、ユメからさめたくないんだもの。ひとりぼっちの世界より、ユメの世界でトモダチと遊んでいたいから。



・・・でもメザメたら僕はあなたとずーっと一緒に遊べるんだよね。ちゃんとあなたが迎えに来てくれるなら・・・僕もメザメなくちゃ。

かならず見つけてくれるって・・・あなたの、ううん。トモダチの言うことは信じなくちゃいけないね。

だったら僕も勇気を出すよ。勇気を出して、あなたを探しに行く。ユメの外の世界へ―・・・。

さあ、もう一度・・・翼を大きく広げて・・・あの空の向こうに虹が見えるかな。

あの虹を超えた向こうが・・・ユメの出口。いつも僕は見送っていたけど・・・今日は一緒に行くよ。



さあ、行こう。虹の向こうへ―ユメの外の世界へ。

あなたが待っていてくれるなら、僕はなんにも怖くないや。

ああ・・・ほら、虹が近づいてきたね。ねえ、虹をこえても、この手を離さないでいてね。

・・・僕と、トモダチになってくれてありがとう。あしたのあなたに、幸せなユメが訪れますように―・・・。



夕星の夢術師アステルシア

・・・眠っている、僕を起こそうとするのは・・・ダレ?

・・・起こさないで・・・僕はまだ・・・ユメの中に・・・いたいんだ・・・―。

―・・・やあ、僕のユメの世界へようこそ。あなたは・・・ダレ?

僕は夢術師、アステルシア・・・これはユメ、あなたが見ているのは現実じゃない。

ここではなんでも思い通り・・・ねえ、あなたは僕と遊んでくれる?



―現実に、帰りたい?ダメ・・・僕と遊んで・・・トモダチになって。

・・・ふふ、ほら・・・ここにはたーくさん、僕のトモダチがいるんだよ?

あたなもみんなと一緒に・・・僕と遊ばなきゃいけないんだ・・・にげることなんて、できないからね。

どうして、こんなに子供たちがいーっぱいいるかって?それは―・・・

みーんな、ここへ連れて来てあげたからだよ。みんなが大好きなユメの世界に・・・ね。



・・・ん?みんなを家へ帰してあげて・・・て、どうして?ここがみんなのおうちなんだよ。

僕のユメの中で、みーんな幸せに暮らしてるんだ。あなたも、ずっとここにいて?

・・・どうしてそんなこというのさ。みんな、幸せじゃない・・・不幸だなんて・・・どうして。

ヒドイよ、ヒドイよ・・・僕はただ、みんなとトモダチになりたいだけなのに。

いやだ・・・あなたの言葉なんて聞こえない。あなたなんて―なにもしゃべれない、人形になっちゃえ!



ふふ・・・かわいい・・・。これで、もうみんなが幸せじゃないなんて言えないよね。

あなたはさみしくなんかないよ・・・僕がこうしてぎゅって―抱きしめていてあげるから。

・・・さあ、みんな。今日はなにして遊ぼうか。お人形さん遊びでも、鬼ごっごでもいいよー。

ふふ、ふふふ・・・あはは、はははは。たのしい、たのしいね・・・みんなで遊ぶとこんなにたのしい。

ねえ、次はなにして遊ぼうか・・・僕のユメはなんでも思い通り。なんでも願いが叶うユメの世界。



・・・ねえ、たのしいでしょう?だったら・・・笑ってよ・・・たのしいって・・・笑ってよ。

どうして、みんな笑ってくれないの・・・?笑ってよ・・・笑ってよ・・・おねがいだよ・・・。

ほうら・・・僕が笑ってっていえば、この通り。みーんな、笑ってるよ。たのしそうに笑ってるよ。

じゃあ、今度は僕の番。僕を心からたのしいって、笑わせてよ。ほら・・・早く。

・・・ダメ、つまんない。―次・・・面白くない。・・・次、次、次、次、ツギ!!



なんで!どうして、そんなつまんなさうに笑ってるの・・・?そんなんじゃ、ちっとも僕はたのしくないよ。

・・・もういいや。あなたでいい、僕とお話して・・・しゃべれるようにしてあげるから。

さあ、おしゃべるができるようにしてあげたよ。僕をたのしませてよ、トモダチでしょう。

・・・僕がたのしくないのは・・・僕のせい?それって・・・どういう意味。

僕が・・・ムリヤリみんなをユメに繋ぎ止めているからって・・・そんなこと、ないよ。



・・・だって、こうでもしなくちゃ・・みんな、僕から逃げて行っちゃうから。

本当は僕だって・・・わかってるよ。でも、ユメの外のトモダチは、みんな僕を置いていっちゃうんだ。

だからこうやって・・・ユメの中でみんなとたのしく遊ぶんだ。それのなにがいけないのさ。

・・・あなただって、きっとそうさ。こうやってユメの中だから、僕がぎゅっとできるのに。

元の姿に戻して・・・ってどうして?ヒトに戻ったらどうせ、逃げ出すつもりなんでしょう。



え・・・。人形のままじゃ・・・僕を抱きしめられないからって・・・本当?僕を・・・ぎゅってしてくれるの?

いいよーじゃあ、はい。元に戻った―っ。

ああ・・・あなたはあったかいね。こんなにヒトの腕の中があったかいなんて、初めて知ったよ。

どうして、あなたはこんなにあったかいのかな。ここにいたトモダチはみんな、冷たくて、暗くて・・・ぎゅっとしてもぜんぜんあったかくなかったのに。

誰も僕の気持ちなんて理解してくれなかった・・・ひとりぼっちはさみしい。



ここにいるトモダチを帰したら・・・僕の本当のトモダチになってくれるの?じゃあ、あなたはここにずっと残ってくれるんだね。

違うの?じゃあ―誰も帰してあげない。だって・・・さみしいから。

・・・―どういうこと?みんなを帰したら、僕はさみしくなくなるって・・・。現実ならあなたみたいなあったかい腕がいつでも僕のそばにあるって・・・。

・・・うん、いいよ・・・だったら、あなたが言う事本当なら・・・ここにいるトモダチは・・・みんな現実へ帰してあげる。

ほら、またひとり・・・また、ひとり・・・ああ、みんなさようなら、さようなら・・・。僕のトモダチがみーんないなくなっちゃうよ・・・。



・・・これで、最後のひとり・・・。・・・っ・・・さみしい、さみしいよ・・・。

本当に・・・あなたは僕をひとりぼっちにしない・・・の?さみしいのは、なくなる・・・?

一緒に・・・冒険へ行くの?僕を連れて行ってくれるなんて・・・ユメみたいだ。

・・・ふふ、そうだね。ここはユメの中・・・あなたがどんなことを言ってくれても、現実じゃない。

―・・・いいよ、あなたを信じてあげる。僕のはじめての、本当のトモダチだから。



僕の笑顔・・・?うん、そうだよ。今・・・心から嬉しい・・・。

ねえ、約束だよ。必ず僕を・・・―一緒に連れてって・・・そして――。

ユメからさめたら・・・もう一度、僕を起こして。今度は名前を呼んで・・・そうしたら―・・・。

・・・・・・。・・・ん・・・?僕の名前を呼ぶのは・・・ダレ・・・。

・・・そう、僕はアステルシア・・・あなたの・・・トモダチ。



あなたは・・・僕のトモダチ・・・?うん・・・覚えてるよ・・・ユメの中で、あったね。

・・・はじめまして、僕のトモダチ。あなたのこの温もりを・・・僕はちゃんと覚えているよ―・・・。

さあ、一緒にいこう・・・。現実で・・・ユメのような冒険へ――・・・。



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