メインストーリー
思い出1
ううー、さむさむ。
はやく暖炉であったまりましょ。
ふふふ、雪であんなにはしゃぐから。
とりあえず、一番に足跡をつけたいじゃない？
……あれ？ 誰か立ってるわ？ こんな雪の中で……
どうしました？
……待ってるの。
誰を？
……あの人を。
私はアイリス。あなたは？
ピノと、いいます……
寒いわよ。中に入ったら？
……大丈夫。
ここで待ってる。
でも……風邪ひいちゃいますよ。
待ち合わせだったら、
酒場の中とかにしなさいよ。
……いいの。
あの人に、はやくみつけてほしいから。
すぐにでも会いたいのはわかるけどねぇわざわざ雪の中で会わなくても……
雪が……降らないと……ダメなの……
なんで？
雪が降らないと、あの人に……会えないから……
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思い出2
暖炉のそばは極楽ね。
そうね。外に出たくない感じ。
……このままあったかくなってくれるといいのに……
でも、そうなると雪が……
ピノが待っている人、早く来てくれればいいのにねえ。
……うん。
に、しても……ねえピノ、その格好、暑くないの？
ん……ちょっと、暑い。
部屋の中にいるときくらい、その服脱いだら？
……そうだね……ん……っと。
＜ピノは、上着を脱いだ。＞
うわあ、あったかそうな服。いつもこんな服着てたら、ちょっとやせられそう。
ごにょごにょ……あの、ピノさん……
なに？
ごにょ……
ごにょ……？ ………ごにょごにょ……くらい。
……よし、決めた！ わたしも今日から厚着しよう！
……えーっと……？
アイリスゥー？ この服を着てたら、楽してやせられるとか、おもってなーい？
そ、そんなことないんだからー！
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思い出3
今日も、積もってるわねえ。
ピノ……アンタの待ってる人、まだ来ないの？
うん。……でも、このまま雪が降り続けば……きっと……
（なんだか……話がおかしいわね……）
…………ピノさんが待っている人ってどんな人なんですか？
ふだんは何をしてるの？
……旅を、しているの。……世界中を――
旅人さんなんですね。
……いつも私に、旅の話をしてくれるの。
旅先で出会った、親切な人たち。びっくりするような風景。おいしい食べ物。
そんな……話を……
すてきな人なんですね。
…………うん……
……ときどきね、贈り物をくれるの。きれいな貝殻や、お花に、かわいい服とか。
でも……私にとっては、あの人が帰ってきてくれるだけで……十分。
気遣いができる、やさしい人なんですね……
背の高さは？
私より、高いよ？
ほかには？
笑顔が、とってもステキなの。でも、笑い声は、なんだかかわいくって。
でも、雪が降ってるときしか会えないなんて、寂しいですね……
…………さみしいよ。でも、気持ちは一緒だから。
（……雪が降ってるときにしか会えない……？）
ねえピノ、その人とは喧嘩とかしないの？
しないよ？ いつでもすてきで、やさしいの。
嫌なところとか、 直してほしいところとかは？
ないよ？ 私はあの人のこと、全部好きなの。
（……なんか変ねえ？）
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思い出4
ねえ、変だと思わない？
雪が降ってるときにしか会えない……って……
それは……冬になったら帰ってくるって意味じゃないの？
それだったら、かならずしも雪が降る必要はないでしょ？
……雪の中で会いたいとか……
それに……肝心の想い人だけど……ノロケにしては変なところが多すぎよ。
どんなところが？
ノロケだったら、けなしながらするもんでしょ。ダメなところも好きとか。
そうなの……？
恋人なのに、喧嘩のひとつもしないの？ そんな完璧なやつ、いるわけが……
いるもん。
聞いてたの！？
＜ピノは、キャトラを抱きしめた！＞
……あの人は、いるよ？ 雪が降ったら、私に会いに来てくれるの。
とってもすてきで、やさしい人。一緒にいたら、雪の中でも寒くないの。
……わ、わかったわよ。
信じてないでしょ、ネコちゃん。
……別にうそつきっていってるわけじゃないわ……なにか事情があると思って。
じゃあ、お話してあげる。あの人のこと。
いっぱいあるから。あの人との思い出。
……えーっと……ピノ……？
（……まさか雪の中で延々話を聞かせる気！？）
去年の冬は、あの人が来るのが遅くて……私は雪だるまをつくって待ってたの。
あの人にかける、おかえりの言葉を捜しながら……
た、たすけてー！
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思い出5
……雪は降ってるのに。
ピノ……
……どうして、あの人は……
そもそも、待ち合わせの場所は飛行島でいいわけ？
だってここには……雪が……！
……確かに、雪は降ってるけど……
でも……でも……！
大丈夫よピノさん、雪はまだ……
もしあの人が……来てくれなかったら、私は……私は……
アンタね！ いつまでもメソメソしてんじゃないの！
……ネコちゃん。
待ってるだけじゃダメよ！ 自分からいかないと！
会いに……会いに行きたいよ。
………でもダメなの。……私には……待ってることしか。
そんな……ほかに方法はないんですか？
……この島では……あの人に会えないのかも……
ううっ……うううっ……
泣かないで、ピノさん。
会いたいよ、会いたいよう……うううっ……うあああっ……
……なんとかしてあげたいけど。
（……でも、ピノの待っている人って、もしかしたら……）
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思い出6 (友情覚醒)
……この、光は……
あたたかい、光…………この光に包まれてると、すごく……
それはルーンの光……でも、その光は、ピノさんの中にある光です。
まるで、あの人がそばにいるみたい。
……とっても、やさしい光……
……私は、あの人が好き。あの人がいれば、なにもいらない。
だから、悲しむことなんか、なかったんだね……
でも、このままじゃ……
会えない……かもしれないね。
ピノ、アンタ……わかってたの……？
……私は平気だよ？ だって、あの人のこと、信じているもの。
……あの人は、絶対に来てくれる。そんな人だもの。
……雪はきっと、あの人を連れてきてくれるもの。
………………
…………
……
……アイリス、ピノは……
大丈夫だよ。私は主人公がピノさんにあげた光を信じてるから。
光……。なるほど、ね。
……！ ねえ、そろそろ買い出しの時間じゃない？
そうね、行きましょう！
信じる……か。たしかに、信じていれば、奇跡だって起こっちゃうかもね？
＜雪は、静かに降り積もる。きらめく粉雪が、風に舞った。＞
…………
………………………ああっ……
帰ってきて、くれたんだね……
……ずっと、ずっと、待ってたんだよ？
……おかえりなさい。
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思い出7
ただいま～。
あ……おかえりなさい。
……ん？ ピノ、なんだか嬉しそうね？
うん……ちょっといいことがあって……
ピノさん、その箱は何ですか？
あ、そうだった。みんなに渡そうと思って……
＜ピノは、箱のフタを開け、その中身を見せた――＞
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思い出8 (神気解放)
これってまさか、雪の結晶？
――をかたどったブローチね。きれい……まるで本物みたい。
ずっとお礼をしたかったの。この島に受け入れてくれて、ありがとうって……
そんなのいいのに。でも、ありがとね、ピノ！
（このブローチ、とても強い魔力を感じるわ……ピノさんって一体……）
いつか会えるといいわね、＜あの人＞にさ。
うん、そうだね……でも、私はもうだいじょうぶ。
信じていれば……きっとまた、会えるから……
