吸血鬼姉弟
エリザベータ・ヴェンデルス cv.稲川英里
弟のアルブレヒトと観光旅行中の吸血鬼。
仲が良く、戦う時のコンビネーションは抜群。 |
| 2016/06/22 |
思い出1
ここがうわさの飛行島ね。
いートコだね、あねうえ。
こんにちは、新入りさん。
こんにちは！
わ、ネコがしゃべってる。きみもボクとおなじ？
こら、アル。『こんにちは』って言われたら、『こんにちは』でしょ。
こんにちわぁ～。
あたしはエリザベータ・ヴェンデルス。エリザって呼んでね！
ボクはアルブレヒト。アルでいいよ～。
コウモリに変身中の、かわいい弟よ。
でヘヘ……
あたし達、吸血鬼の一族なの。
どうしてこの島へ？
『かわいい子には観光をさせよ！』
っていうのが、ヴェンデルス家の伝統でね～。弟と二人で世界旅行中なの。
……あねうえ、そろそろティータイムにしようよ～。
そうね。みんなもどう？美味しい紅茶をいれるわ。
あねうえがやくクッキーもチョーおいしいよ。
……ごしょうばんにあずかるわ♪
＜エリザはてきぱきとティータイムの準備を始めた｡＞
エリザさん、手伝います。
ありがとう。……それと、エリザでいいわよ。
うん。エリザは、ずいぶんとしっかりしてるのね。
家族を見てるうちに、自然とそうなっちゃったのよね～。
さ！ 次は、お湯をわかして……
…………
……
……ふぅ～。
……ふ～。
この、まったりとした時間……たまんないわぁ～。
エリザのクッキーも、とっても美味しいわ。
でしょ～？あねうえは何でもできるんだ。ボクのじまん～。
もう……ほめてもクッキーはそれが最後だからね？
うん。ばんごはん、食べられなくなるもんね～。
えらいえらい♪
エリザとアルは、とっても仲良しなのねえ。……もぐもぐ……
キャトラ、そんなに食べたら……
いいのいいの、アタシはいいのよ～♪
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思い出2
アルってさ、どうしてコウモリに変身してるの？
リユウはいろいろあるよ。うごきやすいし、マモノとたたかうときもいろいろベンリだし……
ふむふむ。
あめの日はあねうえのカサになれるし。……でもね、いちばんのリユウはね――
＜カワかわいい＞から！！
そう思わない？アルのコウモリ姿ってば、もーカワかわいくって！
そういうわけなんだ～。
確かに、カワかわいいわ、アル君。
そうね。カワかわいいわね。アタシには負けるけど。
……あ、そうそう！ 二人あてにお手紙がきていたんだったわ。
……父上と母上ね……
え、どうしてわかるの？
あたし達が心配なのか、しょっちゅう送ってくるのよ。
あねうえー！ よんでよんでー！
どれどれ……
『エリちゅわん、アルちゅわん、元気かなーあ？パパは毎日を楽しく過ごしていまちゅよ～
パパは二人か心配でちゅ～。ご飯はきちんと食べてるかなあ？ティータイムは優雅かなあ？』
強烈ね……
…………
……
『……体に気をちゅけて。パパより。ラブ』
わーい！ ちちうえ、ありがとうー！
な、長かった……
『続きまして……ママよ。エリザ、アル、旅行はどう？怪我なんかしていないかしら。
わたくしも父上と同じ気持ちで……
あらやだジロキチ、また粘液まき散らしちゃったのね。エリザ、アル、ちょっと待っててね。
……メラニー！ ジロキチよー！＜コードジロキチ＞よー！すぐにいらっしゃってー！』
手紙でなにやっとんねん。
『メラニー！ あらおかしいわね、メラニー！！ メラニー！！！
…………
メラニーが来ないわ！！！！！』
メラ二－！！！！！！！
……こっちもあるイミ強烈……
…………
……
『……ゴシニジューよ、アル。困った時に思い出して。ママより』
ゴシニジュー！！
……なんか、すごい疲れた……
ふふ。でもね、実は二人ともすごい吸血鬼なのよ。
詳しくは知らないけど……なんでも、昔はブイブイ言わせてたんだって。
……全然イメージできない……
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思い出3
＜主人公たちは、森へ遠足に来ていた。＞
……ね～、エリザぁ～……もうこの辺でいいってぇ～。
も、もうちょっと探させて！素晴らしいティータイムスポットを見つけてみせるから！
…………
……
ここ！ ここよ！なんて見晴らしがいいの！
あねうえ、おなかへったぁ～。
あねうえ～、はやく～。
待ってて、すぐに準備するから！
！ 魔物が！
……！アル！ 行くわよ！
よしきた！
＊＊＊
よくできたわ、アル。えらいえらい♪
でへへ……
二人とも、息がピッタリ……
アル、アンタなかなかやるじゃない。
あねうえのおかげたよ～。
そんなことないわ。なにせ、アルはヴェンデルス家の次期当主なんたから。
あたし達の家は、吸血鬼一族の中でも古くから続いている、由緒正しき家系でね。
代々、コウモリに化けられる者が当主になるんだけど……
アルはね、物心ついてすぐに覚えちゃったの！これって、実はすごい資質なのよ。
才能があるのね。
そんなの、たまたまだよ～。
いいえ、アル。……だからね、あたしはアルに立派な当主になってほしいと思ってるのよ。
なるほどね～。
ボクは、あねうえの方がぜったいにふさわしいとおもうけどね。
またそういうことを………ねえアル、お姉ちゃんはね、この旅であなたに――
そのはなしはいいよ～。はやくクッキー食べたいよ～。
……もう……
…………
……
……ふぅ～。
……ふ～。
しふくのひとときだわ～。
景色も素晴らしいし……
そうよ、アイリス。淑女たるもの、優雅に紅茶を傾けなくちゃね～。
うふふ♪
うふふ♪
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思い出4
きれーだねー、あねうえ～。
きれいね～。
ボクたちのコキョーからみるのと、どっちがきれーかなあー。
わりといい勝負よねえ。
エリザ、アル君。
あ、アイリスだ～。
こら、アル。『アイリスお姉ちゃん』でしょ。
ふふ。あのね、またご両親から手紙が届いたの。
わーい！ あねうえ、よんでー！
はいはい。
『エリちゅわん、アルちゅわん。パパでちゅよ～♪
ママはいま、メラニーを探しているので、パパひとりでちゅ。
……今日はちょっと真面目な話になりまちゅ。次期当主である、アルちゅわんのことなのですが……
アルちゅわん。……いや、アルフレド。お前は、きっと良い当主になれる』
……！
『エリザベータ。かわいい弟を、助けてあげなさい――』
…………
……
『……真面目なパパでした。ラブ』
……父上……！
……アル！お姉ちゃん、がんばるからね！
あなたが立派なヴェンデルス家の当主になるまで、精一杯サポートするから！
……ボク、じしんないなあ……
あねうえの方が、ぜったいにいいとおもうんだけどなあ……
そんなこと言わないの。大丈夫！お姉ちゃんがついてるから！
……うん……
…………
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思い出5
……でね、父上ったらとなりの島まで探しに行ったのよ。
ふふふ。
豪快ねえ。
…………
アル、どうしたの？元気ないわね。
あのね、あねうえ……
……ボク、きめたんだ。トーシュには、ならないって。
もう、またはじまった……アル、いい？ あなたは――
きめたんだ！！
……アル……？
あねうえは、つよいし、何でもできるし、いろんなことをたくさん知ってる。
でもボクは……そんなあねうえがいないと、何もできない……
たびをしててわかったんだ……ボクはよわいきゅうけつきだって。
……アル。あなたは、当主になりたいの？ なりたくないの？
……そりゃあ、なりたいよ。ちちうえのように、リッパなきゅうけつきになりたい……
それなら、迷うことなんてないわ。
あなたは充分な素質を秘めている。何より、とても優しい。父上のいい所を、全て受け継いでいるのよ。
まだ幼いし、甘えん坊だけど……だからね、あたしが――
あねうえだって、やさしいよ。……はっきりいってよ。ボクは、だめな子だって。
……なによ、それ。あたしがあなたをそんな風に思ってるっていうの？
あねうえだけじゃない。ちちうえもははうえも、ほんとうはボクをだめな子たっておもってるんだ。
アル、いい加減にしなさい！
ちょ、ちょっと……！
二人とも、喧嘩はやめましょう？
ほんとうは、あねうえをトーシュにしたいとおもってるんだ！
エリザ！
いくじなし！なんで自分に自信が持てないの！？
う、うう……うわ～～～～～～～～～～～～ん！
アルなんか、アルなんか……！
――！
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思い出6 (友情覚醒)
＜エリザとアルの目の前に、ぼんやりとした映像が浮かび上がった。
赤子を抱いた父親のそばに、母親と幼い少女が寄り添っている……＞
これは……父上と、母上……そして、あの子は……
ボクだ……
『この子は、私達の光だ。エリザ、もちろんお前も。二人のためなら、私は命など惜しくはない……
……ン～、かわいいでちゅね～♪』
『ええ、あなた……たとえどのような苦難が待っていても、きっと乗り越えてみせますわ……
……アル、ゴシニジューよ。ゴ、シ、ニジュー』
『ははうえ、ごしにじゅーはまだ早いとおもうわ！』
……アル、ごめんね……
あたし、アルの気持ち、ちゃんと考えてなかった。
あたしかしっかりしなきゃって、旅の問にアルを少しでも……って、ひとりで気負ってた……
……ボクも、ごめんなさい……ひどいこと、言っちゃった……
エリザ、アル君。
アイリス……
……少しずつ、でいいんじゃないかな。時間はたくさんあるんだもの。
いまは、ただ旅行を楽しめばいいのよ、きっと。
……ありがとう、みんな。
……あねうえ。
……ボク、がんばるよ。すぐにはムリかもしれないけど、きっと、いつか――
かぞくといえを守れるようなきゅうけつきになるから。
……だから、あねうえ……ボクを、たすけてくれる？
アル……
……当たり前じゃない。あたしは、アルのお姉ちゃんなんだから。
う、うう……あねうぇ～……
お姉ちゃん、がんばるからね。
じゃーあー、仲直りのしるしに……
ティータイムにしましょうか。
覚醒絵・覚醒画像
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