【白猫】ラクア・思い出

思い出1

ここが飛行島……なかなか良きところのようね。

ん～？　アンタ、みない顔ね。

新しいお客様ね。いらっしゃい。

ええ。よろしくね、キャトラ、アイリス。それに主人公も。

あ、あれ？アタシ、名前言ったっけ？

ううん。言ってないはずよ……？

なら、なんでアタシたちの名前知ってんのよ？

なにも知ってるのは、名前だけじゃないわ。

どういうこと？

言葉通りの意味よ。力二カマが大好きなキャトラさん。

あ、アンタ、なに者よ！

そういえば、名乗ってなかったわね。私はラクアよ。

ラクアさんね。よろしく。

ええ。これからお世話になるわね。

世話になるって、どういうこと？

これから私も飛行島で過ごすのよ♪

え！？　そんなの――

『聞いてないわ？！』

――聞いてないわ？！って、なにこれ？！

ふふふ♪

今の……キャトラがいうことが、わかったみたい……

ええ。その通り。ちなみに『みない顔ね』の第一声からわかってたわ。

はあ？？　そ――

『そんなわけないでしょ！』

――んなわけないでしょ！って、なんでわかるのよ！

話してもいいけど今日は時間切れ。

そろそろ行かないと。

ちょっとぉ！？このままだと気持ち悪いんだけど！

ごめんね。もうタイムリミットだから。

ならせめて、その理由だけでも言っていきなさいよ！

宿のチェックインの時間なの。じゃあね。

……な……なんなの、あのコ……

とっても個性的だけど、いい子みたいだし、きっとすぐに馴染むわよ。

う、うん。そうね……

TOP↑

思い出2

見つけたわよ、ラクア！今日はキッチリ話してもらうわよ！

ふふ♪　いいわよ。ならもう一度、自己紹介からね？

私の名前はラクア。未来樹＜リラビスウルスノ＞の精霊よ。

精霊？！

それに……未来樹ですか？

未来樹は、過去や未来に根と枝を伸ばし続ける、時の大樹。

私はその樹の精霊だから、未来の事を『予知』として知る事が出来るのよ。

それでいろいろ知ってたのね……

あら……私の話、すんなり受け入れたわね？

まあね。アタシはふところがでっかい女だから！

そっか……そうなんだ。ふふ♪

ところでラクア。アタシも知りたいことがあるんだけど！

知りたいのは、未来のことね。こたえてもいいわよ。

本当！？

でも、なにかをお願いするなら、頼み方が……あると思うのよね♪

頼みかた？

ええ。やっぱり＜おねだり＞は、可愛くだと思うの♪

オッケー。アンタが悶絶するほど可愛いアタシのおねだりを見せてあげるわ！

とう！ころりん・ざ・きゃとらさん！

＜キャトラが可愛く寝転がると、上目遣いで見上げてくる＞

ふふ♪　そこで小首をかしげて『お・ね・が・い♪』よね。うん。かわいいカワイイ♪

お・ね・が・い♪　って、予知なんてされたら、インパクトが下がるじゃない！？

大丈夫よ。十分可愛かったわ。でも……

ラクアさん、お願い♪

アイリスの方が勝ってるかもね。

あっ、私のことも知って……

ええ♪ごめんね、意地悪なこと言って。

ちょっとだけ、お友達みたいな気軽なお喋りっていうのをしてみたかったの♪

このコ、わりと面倒くさいコね……

だけど未来を知るのは、良いことばかりじゃないわよ。

そう？　便利だと思うけど……

人は便利なだけで、幸せになれるわけじゃないから……

ラクアさん……なにかあったんですか？

心配しなくても大丈夫よ、アイリス。でも……

気にしてくれて、ありがと♪

TOP↑

思い出3

そう言えばラクアは、なんで飛行島にきたの？

私がここに来たのは。＜未来樹の未来を守るため＞よ。

……未来樹の未来を守る？

ある時、未来樹が予知したの。自分は枯れてしまうかもって。

……かも？　それって。まだわからないって事？

そう。だけど未来樹は、その未来を変えるために私を生んだわ。

そして私は、ここへやってきた。

ふ～ん。アンタが飛行島にきたら、未来樹は枯れなくなるの？

来ただけじゃ無理ね。でも、これも必要なプロセスなの。

よくわかんないんだけど……本当に未来なんて変えられるの？

ええ。出来るわ。ただ、簡単じゃないだけよ。

……もし、失敗したら……どうなるんですか？

その時は……私が次の樹になるの。

次の……樹……？

この姿を捨て、新しい樹になる。私は苗木でもあるから。

アンタ、けっこう大変な立場だったのねえ……

大変だけど、私は幸せよ。

どうしてよ？

だって理由はどうあれ、私は生まれて、今この姿で世界を感じられているもの。

世界を感じる……？

そう……感じるの。心と体の……両方でね。

美味しい物を食べたり、歌をうたったり、人と触れ合ったり……

本当に……人の器は素晴らしいわ♪

いい話に聞こえたけど、そうでもなかったわね……

別にいいでしょ。感じ方なんて、人それぞれよ。

だから私は未来樹を守るの。私を私にしてくれた感謝を込めて。

あのラクアさん、私たちになにか手伝えるなら、言ってくださいね。

協力してくれるの？

私の力が役に立つかは……わかりませんけど……

ありがと、みんな♪

TOP↑

思い出4

ねえ、キャトラ。ちょっとお話があるんだけど、いい？

なになに？　なんの話？

落ち着いて聞いてね……実は、キャトラに不幸が訪れるってわかったの。

この不幸は……絶対に避けられないわ……

ちょ、ちょっとぉー？！なんてこと言い出すのよ！

あの……なにが起こるんですか？

大丈夫よ。騒ぐほどじゃないわ。

少しトイレから出られないくらい、お腹を壊すだけよ。

大騒ぎするレベルじゃない！

キャトラ……なにかおかしなものでも食べた？

食べてないわよ！食べてない……はずよ！うん、たぶん……

心配ないわ。まだ原因のモノは食べてないから。

よねっ！　アタシが、そんなもの食べるわけないのよ！

それでラクアさん、その原因の物って、なんですか？

キャトラが、おやつに食べるつもりの力二カマよ。

っ！？　な、なんですって！！

なら食べずに処分すれば――

待ってアイリスぅ！！

力二カマを処分するなんて、もったいないわよお。ね？　ね？

でも、お腹を壊すってラクアさんが……

よ、予知って言っても、全部あたるかわからないし！

そう、キャトラがいうのも知ってたから……ほら。

＜そういうとラクアは、一本の力二カマを取り出した。＞

そ、それ、もしかしてアタシの？！

正解。それじゃ、いただきます。

ぎにゃーーーッ！！！

ん～……美味しいけど、やっぱり傷んでるわね。食べなくて正解よ。

ウソよ！！　傷んでたなら、アンタがお腹を壊すはずじゃない！

ラクアさん、大丈夫なんですか？！

ええ。私は平気なの。

なんでよ！　やっぱり傷んでなかったんでしょ？！そうだといいなさいよぉー！

残念だけど違うわ。私は精霊。お腹を壊すなんて現象とは、無縁なだけよ♪

……だって、キャトラ。

なるほどね……って、納得できるかーー！！

TOP↑

思い出5

あ、ラクアさん、お帰りなさい。

どこへ行って――っ！？

ちょ、ちょっと、アンタ泥だらけじゃない！どうしたのよ？！

……これは……ちょっとね。でも、大丈夫。たいしたことはないから。

たいしたことないわけないでしょ！

背中や髪にも……これ、転んだとか、そういう汚れ方じゃありませんよね？

アイリスはよく見てるわね。

……これは、さっき立ち寄った街の人たちに、泥や石を投げられたの。

……そんな……街でなにがあったんですか？

私は、これから街に起こる未来を予知しただけ。

……それだけ？

そうよ。でも、街の人たちは気に入らなかったみたい。

なんでよ？

私が『あなたたちの街に、これから不幸が訪れる』って告げたから。

気分を悪くする人はいると思うわ。

だからって、こんなことすることないじゃない！

……そうね。何も起こらなければ、私か笑われて終わりだったわね。

え……

でも、予知した通り……街は魔物に襲撃された。

でも、アンタが教えたんだから、みんな無事なんでしょ？

……いいえ。被害は出たわ。

どうして……未来は変えられる、そうラクアさんも……

あの人たちは、私の言葉を信じなかったもの。

だから、少しは時間があったのに、無防備なままで襲われたの。

ならソイツら自業自得じゃない。アンタを責める理由ないでしょ。

あの人たちは、私が原因だと思っているから。

なんでよ！　アンタはみんなにおしえてあげただけでしょ！

そうだけど……あの人たちは、私か不幸を告げたから、不幸になったと思ってるのよ。

今では＜災いを告げる魔女＞って呼ばれてるわ。

……そんな……

ごめんね。こんな話を聞いたら、私をここに受け入れるのは嫌かもしれない。

でも私は、飛行島を離れるわけにはいかないの。

お願い……今まで通りでなくてかまわない……私をここにいさせて……

TOP↑

思い出6 (友情覚醒)

これ……ルーンの光……あの、みんな……

いらない心配してんじゃないわよ。

え……

そんなことでアタシたちが、アンタを追い出すわけないでしょ。

キャトラ……

そうですよ。もう私たちは、仲間じゃないですか。

ふたりとも……そっか。仲間、か……ふふ♪ありがとう、みんな。

なにホッとした顔してるのよ。アンタ、こうなること知ってたんでしょ。

……いいえ、知らなかったわ。

別に隠さなくてもいいわよ。その程度のことを、アタシたちは気にしないし。

隠しても、ごまかしてもないわ。本当に知らなかったのよ。

え、だって予知でわかるでしょ？

……知りたいと思えばね。でも、この未来を予知するとか……そんな……

そんな野暮なことできないわ！

未来樹の未来を守るために、私はこの飛行島で、みんなと出会う必要があった。

だから私は人の形をして。この世界に生まれたわ。

けどね、使命だってだけで、仲間になりたかったんじやないの。

私はみんなが、私のことを知っても受け入れてくれたから仲間になりたかったのよ。

……ラクアさん……

避けるのでも、そしるのでもなく。まして利用しょうとも考えずに、ただ私を受け入れてくれた。

それが嬉しかったから思ったのよ、みんなの仲間になりたいって♪

アンタ……

だから予知を使って『正解』を知って行動するとか、そんな無粋なマネできないわ。

私はみんなのことを信じて、仲間になりたかったのよ。

そうだったんですね……

決めつけてて、ごめんなさい……

気にしてないわ♪

でも、信じてくれたってわかって、なんだか嬉しいです♪

じゃあ、改めて言うわね。これからもよろしくね、みんな♪

よろしく♪

時を知る乙女

TOP↑

その他

相関図

白猫 mark