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金魚に乗る仙女
カガリ・スラティ cv.安野希世乃
パートナーのきんさんと旅をする仙女。
お互いに強い絆で結ばれている。 |
| 2016/06/22 |
思い出1
＜巨大な金魚が、ゆらゆらと宙を浮いている……＞
ずいぶんと大きい金魚ね。
＜金魚は、さかんに口をぱくぱくさせている……＞
あ、あの、大丈夫ですか？
ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱく……
え……
ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱく……
く、苦しいんですか！？
主人公！ 水よ！ 水もってきてー！
あら？ あらあら？
きんさん、こちらにいたのですね。
ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱく！
きんさん、ご飯はさきほど食べたばかりではありませんか。
ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱく！
しかたありませんねえ……
＜女性は、雅やかな小袋からスイレンの種を取り出した。＞
はい、召し上がれ。
……ぱく……ぱく……
なーんだ、お腹が減っていたのね。
申し遅れました。わたくし、仙女のカガリ・スラティと申します。
そちらの大きな金魚は、きんさん、ですか？
はい。出会ってから１００年ほどになりましょうか……ねえ、きんさん。
ぱく。
なんか、イシンデンシンってカンジね。
みなさんも、簡単になら会話できますよ。ねえ、きんさん。
そうなんですか？
ぱく。
……もしかして、『はい』って意味？
ぱく。
ちなみに『いいえ』は――
ぱくぱく。
です。
へーえ。よろしくね、きんさん。アタシ、キャトラ。
あらあら。きんさん、お友達ができて良かったですねえ。
……ぱくぱくぱく……ぱくぱく……ぱーくぱく。
まあ。きんさん、失礼でしょう。
なんていったの？
その……キャトラさんが、『なんか怖い』そうです。
……食べたりなんかしないって……
……ぱく……
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思い出2
それにしても……
空に浮く島があるだなんて、世界は広いですねえ、きんさん。
ぱく。
仙女っていってたけど、カガリってどこからきたの？
遠い……とても遠いところに、わたくしのような仙女が住む島があるのです。
なんだか神秘的ねえ。
ええ。わたくし達は長い一生を、その島の中で終えます。
外界との交流がほとんどない、隔離された静かな島で……
ですから、わたくしときんさんはずっと外の世界に憧れていたのです。
ぱく。
外の景色に、匂いに、感触に、ずっと焦がれていました。
ぱく。
しかし、島の外へ出ることは、掟により固く禁じられております。
……ぱく。
きんさんが年老いたいま、わたくしは決意したのです。……島を出よう、と！
ぱく！
家出ならぬ島出ってわけね。
なにせ、きんさんにはあと
２００年ほどしか残っていないものですから……
いや長いわよっ！ 老いてからどんだけ生きるの！？
ぱく……ぱく……ぱく……ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱく！
あ、お腹がすいたようですね。
ちょっと待ってくださいね、きんさん。……はい、どうぞ。
……ぱく……ぱく……
島を出てからというもの、食欲が増えましたねえ、きんさん。
ただでさえふとましい体がさらにふとましくなるわよ、きんさん。
島から持ってきたスイレンの種も、残りわずか……
なくなったらどうしましょう。
スイレンの種くらい、街の市場を探せばきっとあるわよ。
あら、そうなのですか？ それはよかった。
……にしても、見れば見るほど、なんかこう……
縁起がいいような、運気があがるような、そんな気分になるわ～。
実は……仙女の島の金魚は、乗る者に富と力を授けることができるのです。
……ほーう。どおりで……
……キャトラ、何かよこしまなこと考えてる？
いえいえ、なにも……
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思い出3
……ねえ。
……ぱく。
ちょこーっとだけ、さあ。
……ぱく。
……乗せて、くんない？
……ぱくぱく。
お願い。
……ぱくぱく。
ホントに、ちょびっとだけ。
……ぱくぱく。
いいじゃない。
……ぱくぱく。
……としても、ダメ？
ぱく。
カニカマーーー！！！
！！
ぱくぱく！！ ぱくぱく！！
きんさーん、スイレンの種を買ってきましたよー。……あら？
ちょ、ちょっとキャトラ！ なにやってるの！？
フガー！！ ムキャー！！
ぱくぱく！！ ぱくぱく！！ ぱくぱく！！ ぱくぱく！！
ぎにゃー！！
あらら……キャトラさん、大丈夫ですか？
うう……カニカマ……
まったく……だめでしょ、こんなことして。ごめんなさい、きんさん。
……ぱく……
ちょっとぐらい、いいかなーってさあ……
……実はですね、無理に乗っても意味がないのです。ねえ、きんさん。
ぱく！
そ、そーなの？
背に乗せるのにふさわしいと認め、絆を結んだ者でなければ駄目なのです。
なーんだ……
ごめんなさいね、キャトラさん。
いいのよ。これからじょじょに仲良くなっていけば……
（こりてないわね……)
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思い出4
ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱく……
はいはい、わかってますよ。……ぱい、召し上がれ。
……ぱく……ぱく…………！！
あら？ どうしました？
ぱくぱーく、ぱくぱーく。
満足感がない？ きんさん、贅沢をいってはいけませんよ。
ぱくぱくぱーく、ぱーくぱく。ぱくぱくぱく！
満足感がないと、力がわいてこない？
ぱくぱくぱく、ぱーくぱくぱく。ぱくぱくぱくぱく！
仙女の島の種ぐらいの、テカテカぷりぷり感がほしい？
ぱく。
グルメな金魚だこと。
いえ……恐らく、長い間島の中にいたために、そうなってしまったのでしょう……
……困ったことになりました……
実は以前に、他の仙女から聞いたことがあるのです。
『神秘なる力の源は、生命力そのものである』と……
てことは……
このままでは、きんさんは……
……ぱく……
きんさん、やはりわたくし達は、あの島でしか生きられないのでしょうか……
うーん……主人公、なにかイイ案ない？
……そういえば、スイレンの種を買ったお店で……
ん？ なになに？
おばあさんが言っていたの。『虹色に光るスイレンの花がある』って。
あ、そういえば……
花がある池の周りは魔物が多くて、道もすごく危険らしいんだけど……
……カガリ、どうする？そこにあるスイレンの種なら、もしかしたら……
……きんさん、行ってみませんか。わたくしは、まだまだあなたと旅をしていたい……！
……ぱく！
そうこなくっちゃ！
じゃあ、さっそく出発よー！
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思い出5
＜主人公たちは、虹色に光るスイレンの花が咲いているという池へと向かっていた。＞
思ってたより、魔物の数が多いわね！
きんさん、決して無理はしないでくださいね。
ぱく！
＊＊＊
どんだけいるのよ！
あら……？
スイレンの花の匂いがします……！ 皆さん、こちらです！
＜カガリときんさんを先頭に、主人公たちは道なき道をひたすら進む。
やがて、視界が一気に開けた先に、虹色に光り輝くスイレンの花々がその姿を見せた。＞
うわあ……すごくきれい……
カガリ！ さっそく、スイレンの種を！
はい！
とりあえず、テカテカはしてるわね！
……きんさん、食べてみてください。
……ぱく……ぱく……
ど、どう？
……ぱくぱく……
……駄目なようです……
そんな……
…………
皆さん、やはりわたくし達は、故郷の島へ帰ることにします。
！！
きんさんの力が弱まっているとはいえ、今ならまだ、戻ることができましょう。
わたくし達の旅は、今日で終わりです。
そんな……
わたくしたって本当は、旅を続けたい……
ぱくぱくぱく！ ぱくぱくぱく！ ぱくぱくぱくぱーく！
……そのようなことを、言わないでください……
ぱくぱくぱく！ ぱくぱーく！
きんさんと一緒でなければ、意味がないのです……
……ぱくぱくぱく……
帰りましょう、あの島へ。
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思い出6 (友情覚醒)
これは……？ スイレンの種が……！
テッッカテカなうえに、見るからにぷっりぷりになった！
カガリさん、その種をきんさんに……！
はい！ どうぞ、きんさん……！
……ぱく……ぱく……
……！！
やったあ！ 元気になった！
きんさん……！
ぱくぱくぱく！ ぱくぱくぱくぱく！
え……いままでに感じたことのない力？
ぱくぱくぱーく！ ぱーくぱーく！
あら……！
どうやら、きんさんはルーンの力で雑食になったようです！
それって、スイレンの種にこだわらなくてもよくなったってこと？
ぱく！！
……これからさらにふとましくなりそう。
では、これからも旅を続けることができるんですね。
はい……！ アイリスさん、キャトラさん主人公さん――
本当に、ありがとうございます！
ぱく！ ぱくぱくぱく！
きんさんも、『ありがとう』と…………あら？ あらあら？
き、きんさん……！
なになに？ どーしたの？
若返っているのです！ きんさんが……！ ５０歳ほど……！
＜きんさんは、嬉しそうにピチピチと宙を舞っている。＞
どのへんが若返ったのか、全然わかんない……
これからも色々なところに行きましょうね、きんさん。
ぱく！
ではでは、全てが解決したところで……
きーんさーん、こっちへおいでー。
ぱく。
…………
カニカマーーー！！！
ぱ……ぱくぱく！ ぱくぱく！！
シャーーー！！
絆を結ぶ仙女
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その他
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