デート・新年 ゼン
新年
除夕当日、従業員はみんな実家に帰省しているけれど、私は大きな商談のために遠方を訪れていた。けれど突然の吹雪に見舞われ、空港に足止めされてしまう。その時、ゼンが現れて……
ゼンの車に押し込められ、この近くにあるという彼の実家に向かうことになった。緊張と期待を入り交ぜつつ、彼の実家にお邪魔する。そこで会ったゼンのお父様は、寡黙ながらも威厳がある人だった。ゼンについての話を聞き、より彼のことを理解できた気がする。
ゼンのおば様がやって来て、話すうちに私の緊張は自然とほぐれていった。そしてゼンの可愛い子供時代の話になると、おば様はアルバムを見せてくれた。実家でのゼンは普段よりも優しい。彼は、お父様やおば様が、私のことをゼンの客というだけでなく、私自身のことを気に入っているのだと言ってくれた。窓の外に降る雪が空中で静止し、私のまぶたの上にゼンの柔らかな唇が触れて……
ディナー後に、私たちは麻雀をすることになった。ゼンのおば様が、「負けた人は、勝った人の質問に答える」という罰ゲームを提案し、私は負けてばかり。その質問のやりとりをする中で、またゼンに少し近付けた気がした。そして夜通しで麻雀をした私は、ソファで寝てしまった……ゼンと一緒に。この新しい年の始まりに、私は満たされた気分だった。