泣き虫お姫のマロン
5/15~5/28
第一回スペボスホワイトデー2位 チョコ5149個
第二回スペボスホワイトデー5位 チョコ3105個
泣き虫お姫のマロン
ごめんっ、かくまって!!!人に追われてるの!!!
しーっ、静かに!!ちょっとだけガマンしてね・・・あのスーツの人達が通り抜けるまで・・・
・・・ふぅ、もう大丈夫かな・・・。キミ、ありがとうね!名前は?
え?それよりボクが何者だって?・・・えっとね、ボクの名前はマロン!おいしそうな名前でしょっ!
それでね、あのスーツの人達は・・・えーと、うんと・・・お、おしごと関係のごにょごにょ・・・
そっそうだ!アイドル!そう、ボク、アイドルなんだ!だからね、えっと・・・あの人達は「まねーじゃー」?・・・なのっ!!!
あの人達は、ボクがちょっとおしごとサボったから追いかけて来ただけっ!ねっ?ぜんぜん怪しくないよっ?大丈夫だよっ?
そうだ、それよりキミ、ヒマだったりしない?・・・なにさ!言う前からそんな顔しなくったっていいじゃんっ!あのね、ボクちょうど・・・
あ~~待って!話ぐらいきいてよっ!ボクさ、この辺りに全然詳しくないんだよ!だから案内を・・・ちょ、ちょっと~~!
んもうっ!聞いてったら!お願い、ボクのこの街を案内して?一緒にお買い物付き合ってよ、ねぇ・・・
ねぇったら・・・行かないで、行かないでよぉ・・・ぐすっぐすっ・・・
・・・なーーんてね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
えへへっ、引っかかった!ざんねん、嘘泣きだよ~んっ・・・うわぁ!ごめん、ごめんって!そんなに怒らないでっ!!!
わ、悪かったよ・・・ごめんよ・・・でも、この街に初めて来て、心細いのはホントなんだ・・・お願い、1日だけボクに付き合ってよ・・・
・・・えっ?いいの?ホント?ホントにホント?ウソじゃない?・・・や、やった~~~!!!
じゃあさ、じゃあさ、どこいく?あ、ねぇあの店はどう?かわいい小物がいっぱいだよっ!あっでもこっちのお店もいいなっ!フリルのお洋服がいっぱい!!
あ~!ねぇねぇあれ見て!超カワイイ!ほら、あのガラスのケースに入ったぬいぐるみ!いっぱい入ってかわいいねぇ!
・・・え?あれゲームなの?機械を動かして、あのぬいぐるみを取るの・・・?
・・・し、知ってたし!!!!!!!!!!!
でもそっかぁ、ゲームなんだ・・・それじゃあボクには取れないねぇ・・・ボク、不器用だもの・・・
うぅ・・・かわいいなぁ・・・欲しいなぁ・・・
・・・あっ!あのタイツかわいいねっ!あっちのお店も行こっ!ほらほら、ぼーっとしてたら置いてっちゃうよ
・・・うう、あっという間に紙袋だらけになっちゃったねぇ・・・ちょっと座りたいなぁ・・・お腹も空いたし・・・
・・・ん?ふんふん!何かおいしそうな匂いがする!・・・決めた、あの店で食べよっ!
なになに、「はんばーがー」?いろいろ種類があってよく分かんないなぁ・・・キミにまかせたよ!好きなように注文してくれたまえっ
これが「はんばーがー」かぁ・・・おいしそうっ!おいしそう、だけど・・・
えーと・・・
・・・ごめん、ナイフとフォークはどこかな・・・?
え!?手で掴んで食べるのっ!?・・・し、知っ・・・
・・・ごめん。知らなかった。・・・ねぇ、やっぱりボクのこと怪しいって思うよねぇ・・・
・・・うん。決めた。キミにだけは話そう。
あのね、嘘ついちゃってごめん。ボク、本当はアイドルじゃなくて「お姫さま」なんだ・・・
スーツの人達もね、悪い人じゃないの。ボクが急に家出したから、心配で探しているだけなの・・・
どうして家出したかって?・・・それはね、今日が「最後の日」だから。
ボクね、明日誕生日なんだ。ボクの国では、そこが大人と子供のさかい目なの。明日のお披露目会から、ボクは「お姫さま」じゃなくて、「王女様」になるんだ。
ボク、これでも「ちゃんとする」のは上手なの。マナーも一流だし、お勉強もバレエも、にっこり笑って手を振るのも得意なんだよ?
えへへ、意外だった?でもね、「ちゃんとする」のって結構タイクツなの。
ボク、ずっとずっとガマンしてたんだ。着たい服も、したい事も。・・・だから、今日1日だけは好きなことを好きなだけしてみようって、決めたのっ!
ねえ、この服ちゃんと似合ってる?・・・えへへ、ありがと。フリルたっぷりのお洋服を着るの、ずっと夢だったんだ・・・
思いっきり好きな髪形をして、思いっきり、好きなアクセサリーをつけて、このお洋服を着てみたらね
・・・お家の誰もボクだって気が付かなかったんだ!すごくない?だから、家出も超ラクショーだったんだよっ
そういうわけで、キミに付き合ってもらうこの1日は、ボクにとってすっごくすっごく特別な日なんだ。
ありがとね。あちこち連れてってくれて。見たこともないものがいっぱいあって、知らないことも沢山で、ボクすっごくすっごく楽しいよ!
それに、この「はんばーがー」も・・・おいしかった!いっぱいこぼしちゃったけどね・・・えへへ・・・
・・・あれ?どうしたの?ちょっとキミ、どこ行くの?
「用事を思い出したからちょっと待って」?なんだよなんだよ、ヘンなやつっ!「ぽてと」も頼んじゃうからね~~!?
遅かったね。どこ行ってたの?
「ナイショ」?なにさなにさ、気になるなぁ・・・あっねぇ、この後どこいく?ボク、「ふるぎやさん」に行きたいなぁ!
・・・あ~あ。大人になっちゃうの、やだなぁ・・・
そうだ、明日のお披露目会もこの格好で行こうかな!だってさ・・・
キミが、「似合う」って言ってくれた服だもの。
どんなえらい人に怒られたって、国中のみんながびっくりしちゃったって、キミ1人が笑ってくれてたらボクはそれでいいや。・・・なんてねっ!
やだなぁ、冗談だよっ!・・・あ!見て見てこの服!かわい~!!
ねぇ、「ふたごコーデ」?っていうんだっけ、おそろいのお洋服着るの・・・ボク、キミと「ふたごコーデ」してみたいな・・・
え~~~!絶対似合うって!大丈夫だよ、笑わないから・・・わ!!!まずい、隠れっ・・・
・・・見つかっちゃったみたいだね。こっちに向かって来てる。・・・ボク一人で怒られるから、キミは逃げて。
どうして逃げないの!!ボクの家、すっごく厳しいんだよ!?ボクと一緒にいたことがバレたら・・・きゃあ!!!
や、やめて、この人は違うの!!悪くないの!!私が勝手に家出しただけ!!やめて、放してあげて!!
私は怒られたっていいから!ねえ!聞いてったら!この人は・・・この人は・・・
・・・聞きなさい!
アリーシア公国第一皇女マロン・アルヴィクトリアが命じます!その方は私の・・・たった一人の、大事な友人です。手荒に扱うことは決して許しません。
今日のことは、私一人の考えです。その方には全く関係ありません。罰なら私が甘んじて受けます。
分かったら、手を放してその方に非礼を詫びなさい。・・・ありがとう。私はもう逃げません。
ただ、少しだけ時間を頂きます。・・・その方に、最後の挨拶を。
・・・ごめんね、びっくりしたでしょ。キミのこと怖がらせちゃったね。
キミとはここでお別れみたいだ。・・・あはは、やだなぁ。怒られるのなんてぜんぜん怖くないよ!
だってさ、いくら怒られたっておつりがくるもの。こんなに楽しい1日、そうそうなかったよ?
ありがとう。ホントにホントに楽しかった。小物も、タイツも、「はんばーがー」も、・・・ボクの、一生の思い出。
楽しかった今日を思い出すだけで、この先どんなことがあっても・・・ボク、きっと頑張れるよ!
・・・え?「渡したいものがある」って・・・?
・・・これ・・・
あのぬいぐるみじゃん・・・ボクが欲しいって言ってた、ガラスケースのゲームの・・・
・・・「一日早い、誕生日プレゼント」?・・・ば・・・
・・・ばっ・・・~~~・・・ばか・・・じゃ・・・ないのっ・・・
は?泣いてないし!!泣いてなんかないし!!う、うっ、嘘泣きだし!!!
ばーかばーか、引っかかっ・・・引っ・・・ひっぐ・・・うう・・・うわああん
・・・ありがとう・・・ぐすっ・・・だいすき・・・
・・・キミと会えて良かった。・・・ボク、これからいっぱい「王女」を頑張って、絶対またキミに会いに行くよ!今度はこっそりとじゃなくて、胸を張って。
いつかきっと、また会おうね。ボクの・・・大事なひと。
あばれん坊お姫のマロン
いい子になるの、やーめたっ!
おこ!!
激おこ!!
激おこプンプン丸!!
ムカ着火ファイヤー!!
カム着火インフェルノォォォオウ!
激オコスティックファイナリアリティブンブンドリーム!!
憤怒バーニングストリーム!!
大噴火レジェントサイクロンフレアァァッ!!!