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リーリヤⅤ世

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5/13~5/26


リーリヤⅤ世

静かだ・・・窓辺から望む湖の水面さえ・・・風に揺らぐばかりだ・・・

嗚呼、偉大なるリーリヤⅠ世・・・私もアナタにように勇敢であったなら・・・

この国に再び・・・繁栄の光を導きいれることも出来たのだろうか・・・

・・・おや・・・?客人、かな?

いつの間に・・・気が付かなかったよ。



はは、こんなふうに隙だらけで・・・間が抜けているから私は駄目なのだろうな。

いや、なに、独り言だ。気にしないでくれ。

こんな古い城に客人など珍しくてね。

一体なんの用かな?私?私は、この城の主ってやつかな。

私の名はリーリヤⅤ世。一応、この国の王だよ。



ああ、畏まらないでくれ、私のような者に・・・

なんだ、迷い込んでしまったのか?ふふ、入り組んだ城だからな。無理もない。

随分と寂れてしまった城だけれどね。

昔・・・そう、昔はここも立派な国の中心だったのだ。

国の要・・・勇敢なる王の鎮座する場所・・・



今となっては見る影もなし、だ・・・

なぁ、客人。ちょうど退屈していたところなんだ。

どうだろう、少しの間で構わない。私の話し相手になってはくれないか?

誰かに語りでもしないと、自分の存在を忘れてしまいそうなのだ。

だから聞いてくれ・・・この哀れな王の話を・・・



私の祖先はな、とても偉大な王であったのだ・・・幼き頃より、憧れであった・・・

その昔、この国は広大な領地を有する大国だったのだよ。信じられないだろう?

それにひきかえ、私は小さな頃から身体が弱く、病気がちでね。

私の代になってから、この国の領地はどんどん他国に奪われていった。

奪われる・・・という言い方は語弊があるな。



譲り渡したのだ、私が。

恵まれたことに、隣国の王は心優しき方々が多くてな。

王としての気質も信用のおける方々だ。

私は戦うことが好きではない・・・周囲からは「軟弱王」なんて呼ばれている・・・

こんな私を、君も笑うかい?



いいんだ。戦わずして民の命を守りたいというのが私の信念。

戦争なんて、しないに越したことはない。

国のために戦って死ぬことが誇らしいなんて・・・そんな馬鹿げた事は無いと思わないか?

かけがえの無い、たったひとつの命なのだ。大切にするべきだ。

それにな。民にとっては、王など誰でも良いのだよ。



日々の生活、家族の安寧が保証されれば、それで良いのだ。

だから、私は、身に余る領地を戦わずして譲り渡した。

豊かな土地だ。民が王と共に朽ちていかねばならぬ理由がどこにある。

朽ちて果てるは、王だけで良い。

きっと先祖達には笑われる。いや、呆れられるかもしれないな。



私の先祖、リーリヤⅠ世は、私とはまるで真逆の存在。

リーリヤⅠ世の御世、この国はそれはそれは強い国だったのだ。

王に敬意を表して人々はこう呼んだのだ。最強の「豪腕王」と。

戦うことは嫌いだけれどね。私にとって、リーリヤⅠ世は憧れなのだ。

私には、もう、この寂れた城しか残っていないが・・・



せめてこの城だけは、守りたい・・・たったひとつ残った、この城だけは・・・

本当ならば、民を守りたかった。私の力で、守りたかった・・・

守るためには、力が必要だろう?

この手の届く範囲で良い・・・守れるだけの力が欲しいものだ・・・

だが、未だに私を見捨てず、仕えてくれる者もいるだ。



始終世話を焼かせるのも申し訳ないからね、必要な時にだけ、呼び寄せているのだよ。

寂しくはないのかって?寂しい・・・そうだな、寂しい。

久しぶりの客人に、こんな風に饒舌になってしまうほどには、ね。

だが、その寂しさに、耐えねばならない。それが民を守りきれなかった私の償いだ。

きっと私の代で、この国は終わる。



それを思うたびにやり切れぬ気持ちになるものだけれどね。

・・・私の人生は、ゆっくりと死んでいくこの国に・・・そっと寄り添うためにあるのだ。

え・・・?諦めるのは、まだ早いと?はは、良い事を言ってくれるな、客人。

この百合の紋章、朽ち果てるにはまだ早い、か・・・

美しいだろう?我が王家の紋章だ。



嗚呼、この紋章を掲げて、先代の王達は勇猛果敢に戦ったのだろうか・・・

まるで夢物語だ、私にとっては・・・

軍旗翻し、戦う姿・・・身命を賭すというのも、また、美しい生き方のひとつ、か・・・

・・・少し長話が過ぎたな。すまない。

お詫びと言ってはなんだが、良いものを見せてあげよう。



私の左手をごらん・・・ほら、水柱が立っただろう。

ふふ、あまり取り柄のない私の、数少ない特技だ。

私は生まれながらに水を操る力を授かったんだ。

亡くなった私の父や祖父には、こういった力はなかった。

我が王家で、唯一私と似た力を授かっていたのが、リーリヤⅠ世なのだよ。



リーリヤⅠ世は右手に炎を宿す力を持っていたという。

幼き頃、その事実を知った時の私の胸の高まりといったら・・・言葉ではとても言い表せない。

その時から、私はリーリヤⅠ世に不思議な絆を感じているのだ。

だが、ひとつ気になることがある・・・

リーリヤⅠ世の輝しい時世を記録した書物の中で、王の能力はこう記されているのだ。



「寂しき王の炎」と・・・

彼の王もまた、寂しき心を抱えていたのだろうか・・・

強きは孤立を呼ぶとも言う。

強きは孤立を、弱きは孤独を・・・王というのは、悲しき生き物なのかもしれないね。

ああ、もう行かなくてはいけないのかい?



そうか、引き止めてしまって悪かったね。

出口まで送ろう。もう迷わないように。

いつでもまた、ここを訪れるといい。

特別なもてなしなどは出来ないが・・・静かで心休まる場所であろう?

疲れた時には、またおいで、歓迎するよ。



ああ、百合の花をもっていくかい?綺麗だろう?私が世話をしているのだ。

君の行く先に、どうか幸多からんことを・・・

(この百合の花々は、英雄達の墓標・・・)

(きっと君の魂を、力強く守ってくれることだろう・・・)

(どうか君は、光多き道を進んでくれ・・・)



ああ、また静寂が戻ってきたね。悪くない・・・

時代の波にそっと静かに溶けて・・・私の魂は、どこへ行くのだろうな・・・

願わくば・・・最期がくるその時まで、凛としたあの百合の紋章に恥じぬように生きていきたいものだ。



リーリヤⅠ世

此度も我が軍の圧勝であった・・・造作もないことであったな・・・

・・・だがこの勝利・・・称えてくれるものは城郭に掲げられたリーリヤの旗のみ・・・

虚しきものよ・・・勝利とは・・・なんのためにあるのか・・・

・・・!!?貴様・・・どこからこの城に入ってきた!?

我が背後を取るとは・・・貴様何者だ・・・?



丸腰か・・・?ふ・・・ハハハハハ!!

我の住まう城へ、丸腰での来訪とは!!

理由あっての来訪か?それとも迷い込んだが・・・

どちらにせよ、我を無敗の豪腕王と知ってのことか?

承知の上で丸腰というのであれば、それはなかなか。



気に入ったぞ!客人!!

ん?信用するには、いささか無用心ではないかと?

ハハハ!!例え貴様が隙をついて我を殺めようとしたところで、敵うわけもない。

我が名はリーリヤ!豪腕王リーリヤ1世である!!

最強の王とは我のことよ!!!



隣国も皆、我を恐れ震え上がっておるわ!

貴様も風の噂に聞いたことがあるのではないか?

百合の軍旗はためく時・・・それは我の勝利を祝う陣風の舞う時よ!

見よ、この窓辺から見える城郭を。

今がまさにその時!勝利の風に酔いしれていたところであった・・・



美しい軍旗であろう・・・?異国の職人を呼び寄せて織らせたものだ。

こうして風にはためく百合の紋章をみていると・・・心が安らぐ・・・

・・・なに?我が寂しそうに見える、だと?

ハハ・・・客人よ、なかなかに鋭いな。さすが我の背後を取った者よ。

・・・我にとって勝利は必然なのだ。



当たり前の、決められた運命のようなものよ。

勝利なくしてこの国に安寧はない。

我は己の力を、豪腕王という名を、誇りに思っている。

だが・・・しかい、な・・・この我とで、寂しく思うときもあるのだ。

この広く大きな城に、一人・・・



たった一人で国を守っている・・・我が身の孤独を思うとな・・・

もちろん、尽くしてくれる家臣もいる。

民もまた、我を誇りにしてくれている。

だがしかし・・・皆、我に寄り付こうとはせぬ・・・

我にはな、生まれ持って、神より与えられた力があるのだ。



久しぶりの客人だ。特別に披露してやろう。

我が右手を見よ、客人!右腕に炎を纏わせて見せよう!

・・・驚いたか?我は火の神に愛されているようなのだ。

右腕に炎を携え、操ることが出来る。

常人離れした力だ。皆、これを恐れている。



民の中には、我を地獄から来た悪魔の王だと呼んでいる者もいるようだ。

我の人生を文筆家を雇って残させているのだがな。

その書の中で、この力は「寂しき王の炎」と記されている。

仕方のないことだ・・・非礼だと咎めることはせぬ・・・

だが、この力があるから、我はこの国を守り続けることが出来る。



我は王。国を、この城を守るが我の宿命。

王が強ければ強いほど、周辺国は我が国に無闇な戦争を仕掛けてくることも少なくなる。

我は、この大いなる力が、いつか平穏を導くものだと信じているのだ。

・・・だが、しかし、な、国が平和になり、民の暮らしが安定した後・・・

果たしてこの国に、我の居場所はあるのだろうかと考える・・・



どれだけ尽くしてくれる家臣がいようと、どれだけ民に頼られようと・・・それは戦場での話。

平和な国に、我の力など必要ない。

我には友と呼べる者が、果たしているのだろうかと時折考える・・・

やはり寂しい気持ちにはなるものだよ。

豪腕王が聞いて呆れると思うか、客人よ。



笑ってくれて構わん。そんなことで腹を立てたりせぬ。

・・・笑わぬと申すか、ハハ、良き人柄であるな、お主。ますます気に入ったぞ。

なに?お主が、我の友となる、と・・・?

・・・はは・・・ハハハハ!!これはまた、面白いっ!!

いや、違うな。これは、嬉しいと言うべき、か。



初めてよ、我にそのようなことを申してきたものは!!

肝が据わっておる。お主、我が恐ろしくはないのか?

まぁ、これだけ弱音を吐いたのだ。恐ろしいということはないか。

むしろ、情け無いと思ったか?哀れみの気持ちか?

ふふ、この際、何でも良いわ。



ああ、こんなにも嬉しいものか。友が出来るということは。

なぁ友よ。先ごろ隣国との戦で勝利をおさめたばかりなのだ。

共に祝いの杯を傾けてはくれぬか?

我が国の繁栄と勝利に、乾杯!

ああ、それにな、この戦に勝利したことで、我は隣国の姫を妻として迎えることになったのだ。



ついでと言ってはなんだが、友として、それも祝ってはくれないか?

互いの国の繁栄を願っての婚姻だがな。政略結婚というやつだ。

相手の姫君は大層、気性の激しい女だと聞いた。

我にはちょうど良い妻になろうと思ってな。

まぁ、姫君にとっては、我は祖国を敗北に追いやった王であるから・・・好かれはしないのだろうがな。



だが、我も王族の子よ。国を守ると同時に、子孫を残していくのも勤め。

いつの日か、我の世ではない、いつかの世・・・

戦争などなくなり・・・穏やかで、民に好かれる、そんな王が我が血族より生まれることを願っている。

ああ、もう行ってしまうのか、友よ。

いや、引き止めては悪いな。今日はなんとも楽しかった。



またいつでも、この城を訪ねると良い。歓迎するぞ、友よ!

その時にはまた、美酒でも傾けながら、語り会おうではないか!

楽しみにしているぞ!

友の旅路に、幸多からんことを!!



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