教官オリヴァー
5/16~5/30
第一回スペボスバレンタイン10位 チョコ321個
激励教官オリヴァー
ここに集まったのが入隊希望の新面子か!!
よく来た!俺はこの軍の教官オリヴァーだ
おぉ!そして、お前が噂の新人だな?!
・・・随分と細っこい、そしてゴテゴテとした格好をしていやがるな?そんな格好で戦場をくぐり抜けてきたのか?
確かにへんてこな武器を持っていやがるが・・・もっと大柄で屈強な輩かと・・・
少なくともここじゃ必要ねぇ防具だ!さっさと脱いで軍服に着替えてこい!!
お前らにはまず、入隊試験を受けてもらう!さぁ、武器を取れ!!
我が軍に相応しいかどうか俺が直々に見定めてやる!一斉に攻撃してきて構わねぇ・・・かかってきな!!!
あまりガッカリさせるなよ?俺を唸らせてみろ!!
どうした噂の新人!何を狼狽えてやがる!!試験といっても、気を抜けば怪我じゃすまねぇぜ!!
なにぃ?入隊希望者じゃない?ここに集まるよう伝令を受けただけ??
っは!何を言い出すかと思えば・・・何も知らされずにここに来たようだな
「異世界や時空の狭間に幾度も飛ばされながらも生還を繰り返し、その地で手に入れた武器を振るう騎士・・・」
てめぇの奇妙な噂を耳にしてな、騎士団の中にいる昔馴染みに連絡を取ったのさ・・・
そいつを俺の軍で預からせろ、「もっと強くしてやるよ」ってなぁ!!!
クックック・・・戦う職に強さは不可欠だろう?
さぁ!俺と戦え!!
てめぇの力はそんなもんか?!
オラッ!もっと気合いの入った一撃、喰らわせてみな!!
オラオラオラ!!どんどんかかってこい!!!!
今度は俺の番だ・・・全てを砕け!豪剣ヴラシフォス!!!
―ふぅ・・・衛生兵!負傷した奴らの手当だ!!
ピーピー喚くな!傷は男の勲章だろうが!!倒れてねぇのは、たった4人か・・・
てめぇらは合格だ!他の奴らはもう一度出直してこい、入隊試験なら何度でもやってやる!!!
噂の新人は残ったようだな?だてに修羅場をくぐってねぇってツラしやがって・・・気に入ったぜ
改めて、よく来た新入隊員共!歓迎する!しかし入隊が叶ったからってホッとするんじゃねぇぞ!
ここはブートキャンプ、精神も肉体も鍛え上げるのが俺の役目だ!明日からみっちりしごいてやるから覚悟しろ!!
おい!てめぇはこっちにこい、噂の新人!
・・・ちーと、さしで話をさせろ
まぁ、そこに座れ・・・何か飲むか?酒もあるが・・・いや、こりゃ度数が高すぎるな・・・俺専用だ
率直に聞く、国と魔王軍の情勢は今、どうなっていやがる?
この軍隊はお国の雇われ集団じゃねぇ、元は城下町から離れた村民達が自衛の為に集まった小規模な隊だ
つまり、騎士団が駆けつけられねぇ部分を俺たちが立ち回ってきたわけだ
端からお前らの戦いを見ていて思うんだが・・・近頃の魔王軍は静かすぎやしねぇか
何か、やべぇ事を企んでやがるんじゃないかってな・・・
体格に似合わず弱気に見えるってか?言ってくれるじゃねぇか
そりゃそうだろう、俺が守るのは城の周りだけじゃねぇ・・・
森の中でひっそり暮らす爺さん婆さん、弱い魔物を狩って自給自足してる村もだ
騎士団が駆けつけるにゃ遠すぎんだよ・・・正直、でけぇ戦いが起きたら俺の軍じゃ全てを守りきれねぇ
お前をもっと強くしてやるなんて豪語したがな、俺はお前を見込んで頼みてぇんだ
修羅場をくぐり抜けてきたてめぇの知識・経験・技術を、俺の隊員のガキ共に叩き込んでやって欲しい
代わりと言っちゃなんだが、俺が得てきた技や戦術を伝授させてくれ
騎士団の腐れ縁とは交渉済みだ、お前を預かる期間はせいぜい半月・・・どうだ、頼まれてくれねぇか
最初からそう言って欲しかった?詳細を伝えず伝令出したのはお前んとこのだろ!・・・まぁ、半月よろしく頼むぜ噂の騎士様よ
お?乾杯するのか?
おい、それただの炭酸水だよな?酔ってもねぇのにお前、半目だぞ・・・
さすがに疲れたか・・・これから毎日みっちりしごくからな、そのまま寝ちまえ
おう、それじゃあまた明日な・・・
(・・・世界や時空を超える奇妙な騎士ねぇ)
(噂じゃ、同じ姿なのにまったく正反対の性格をしていやがる世界があるって話だ)
(ドッペルなんとか・・・とは違うのか?とすると、俺も別のどこかで・・・)
(守るべきモノを見失い、力を振るっていやがる世界もあったりしてな?)
そん時は、お前が止めてくれよな・・・へんてこ騎士様よ
―おう!野郎共、訓練の時間だ!さっさと顔洗って配置につけ!!!
激昂教官オリヴァー
軍の敷地に入り込んだのはてめぇか・・・
見た所、騎士か?国の犬め・・・俺たちを偵察にきやがったってところか!
邪魔する奴は誰であろうと・・・叩き潰す
さぁ、こい!こねぇなら、俺からいくぜ!
戦う理由がない?偵察じゃねぇって?・・・っは!だが、てめぇが騎士なのは間違いねぇみたいだな
なら、俺は戦っておきてぇ・・・今の騎士団はどれだけの力を持っていやがるか、確かめておく必要があるからな!!
ごちゃごちゃ言ってねぇで武器を取れぇ!騎士さんよぉ!!
生ぬるい生活で鍛えたとかいう腕を見せてみろ!
そんなちまちました攻撃で、あくまで逃げきるつもりか!?
そうだ、向かってこい!できなきゃやられる!それが、戦いだ!!
やるじゃねぇか・・・なら、これはどうだ!!
全てを砕けッ、豪剣ヴラシフォス!!!!
―目が覚めたか、騎士さんよ
俺の技を真っ向から受け止めようとするたぁ、良い度胸だ・・・
俺はこの軍のオリヴァー・・・この腐った世界の戦いを終わらせる男の名だ、よく覚えておけ
おっと、ここは軍の施設内だ・・・外の警護を全員倒して逃げるには、ちと傷が深すぎるんじゃねぇか?
そう睨むな・・・生かしてやってるだけありがたいと思え
しかし騎士ってのは変な武器をつかってやがるな?こんな武器どこで手に入れた・・・?
それに、その度胸と力・・・嫌いじゃなぇな、国の犬にしておくには勿体ねぇくらいだ
どうだ?騎士なんざ辞めて、俺の軍に入らねぇか?
答えるまでもない、か・・・その目つきその噛み付かんばかりの威勢の良さ、クククッ・・・ますます気に入ったぜ?
お前を軍に迎え入れる!これは決定事項だ、てめぇにその気がなくてもな!!
今日からお前は俺のもんだ・・・その生意気な威勢の良さも、調教しがいがあるってもんだ
それまで首輪でも付けておくか・・・?
ん?外が騒がしいな・・・何を騒いでいやがるッ!!
何?南の荒れ地に魔王軍が・・・?
ククッ、そうかよくやった・・・手始めに魔王軍からぶっ潰してやる!!・・・その次は王国だ
あぁ、終わらせてやるんだよ・・・魔王軍?王国?両方存在するから争いが終わらねぇ!ならどちらもこの世から消し去ってやる
狂ってる?ここに居る奴は全員まともだぜ?終わらない戦いへの怒りと憎しみを抱えたソルジャー達・・・
南の荒れ地・・・あそこは俺がガキだった頃の故郷だ、魔王軍と王国の戦いが起こる前はのどかな田舎工場町だったがな
戦いで故郷をなくす者、家族を失う者、元の生活ができなくなる者はこれからも増え続ける
この戦いは、いつまで続く?いつ終わる??遊びの様によこす魔王軍勢、犠牲者を出さない様に慎重に動く王国・・・
今を変えるには今を壊すしか進む道はない・・・負の連鎖を断ち切る一手が必要なんだ
わかるだろう、平和を目指す道がどれだけ険しいか・・・
今すぐ南の荒れ地へ向かう!てめぇもついてこい!!
―どういうことだ?
ここは、大きな工場町だった・・・そして魔王軍と王国の戦いで、焼け野原に・・・
人も住めねぇ荒れ地になっていたはずじゃ?なのに、なんだこりゃ・・・
一面、花畑になっていやがる・・・それに、報告にあった魔王軍ってのは、あれか?
ただの、ガキじゃねぇか・・・
しかも、花を植えてやがる・・・??
俺は、これからこの花畑を踏みにじり、あのガキに剣を振りかざせば、一つ目の勝利なのか?
俺の故郷を焼き、全てを破壊し、人々の生活を奪い・・・全てをぶっ潰した後に、こんなに綺麗な花畑にしやがった
ぶっ潰してしまってさらにして平和を・・・俺がしようって事を先に、手本として見せてくれてるじゃねぇか!
クックックック、ハハハハハハハ!!!
俺は・・・魔王城へ向かう
なぜかって?気に入ったからさ・・・
ついてくる奴はついてこい、負の連鎖を断ち切る一手、俺は魔王にあると見た
邪魔をするなッ!この獲物に叩き潰されたいか!!
引きずってでもお前は俺のものにしたかったが、今のお前は本気で俺を倒そうって気で武器を構えてやがるな・・・仕方がねぇ
じゃあな、騎士さんよ・・・
次に会うまでに、俺は全てを消し去る力を手に入れてやるよ!!!