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情強な騎士シンシア

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3/15~3/28


あらすじ

リベルタ王子に呼ばれたあなたは、何やら態度の悪い騎士さんと出会うんですの。

あの態度は何ですの!?



情強な騎士シンシア

やぁ、突然呼び出してすまなかったね。早速だけど、紹介したい人がいるのだけれど。

……シンシアだ。以後、お見知りおきを。

彼女はとても有能な騎士で、我々皇族にとてもよく仕えてくれている。

○○○(プレイヤーの名前が入る)殿のことはリベルタ様より伺っております。素晴らしい騎士だと。

ははは、謙遜しなくてもいいだろう?○○○(プレイヤーの名前が入る)が騎士として優れているのは本当のことだからね。



さて、前置きはこの辺りにしておこうか。今日集まってもらったのは、とある任務をお願いしたかったからさ。

……最近、王国付近で目撃情報が多数ある魔王軍の動向について、調査して欲しくてね。

魔王軍が……?

今回は敵勢力の数がわからない。念の為、シンシアと○○○(プレイヤーの名前が入る)は共に行動し、調査を進めて欲しいのさ。

リベルタ様。調査程度、私ひとりで十分です。少々用心が過ぎるのでは?



王子ともあろう貴方が、そんな風に怯えていては国民に示しがつかない。

○○○(プレイヤーの名前が入る)殿、貴方はここでリベルタ様をお守りください。魔王軍は王子にとって相当な脅威のようですから、そのほうがいいでしょう。

フフフ……相変わらず真っ直ぐだね、シンシア。でも、今回は私の言う通りにして欲しいな。

○○○(プレイヤーの名前が入る)もシンシアも本当に素晴らしい騎士だから、2人が組めば必ず任務は無事遂行されると信じているよ。

……承知しました。今回は王子の面子に免じてお引き受けしましょう。



ありがとう、嬉しいよ!

では、早速任務へ向かいます。○○○(プレイヤーの名前が入る)殿、準備はよろしいか?

気をつけていってらっしゃい。良い報告を待っているよ。

……私の顔に何かついているか?そんなにじっと見られると、気が散る。

はは……ああ、私のリベルタ様への態度が気に食わないと?



反抗的な理由か……私はそもそもリベルタ王子付きの騎士ではなく、リベルタ様の弟君の元で長く仕えていたのだ。

貴君はリベルタ王子派だろうから、弟王子の話など知るよしもないだろうが。

派閥に興味はない?ハッ……綺麗事を。

リベルタ様を嫌う理由など、数えきれないほどある。貴君のように眼が曇っていては、見えないものもあるだろうが。

……ふん。リベルタ様に関する、いくつもの悪い噂が流れているのを貴君は知っているか?



特定の恋人を作らず、王族という立場を利用して女性を弄んでいる。

国の大切な財産を遊ぶ金欲しさに不正に使用している。

隠し子が100人いる。

愛人が100人いる。

どれも唾棄すべき行為だが……特にこの噂は看過できない。



王位を継承できないことを恨んで、いつか弟を殺そうと計画している。

……確かに、あくまでも噂は噂でしかないだろう。

しかし、火のないところに煙は立たない!

私は弟君のため、この身を捧げると誓ったのだ。いくら噂とで、放っておけるわけがない。

弟君は、本当に素晴らしい御方なのだ。リベルタ様とは腹違いの兄弟で、次期王になることが決まっているのだが……。



兄であるリベルタ様より、余程しっかりしている。

そもそも顔立ちからして、弟君のほうが利発で王の気品があるのだ。

それに国民ひとりひとりに気を配っていて、とても優しい心をお持ちだ……!

次期王がリベルタ様でなく弟君であることを、私は心底誇りに思っている。

……コホン。すまなかった……喋りすぎたな。



早く任務に取り掛かるぞ。魔王軍の目撃情報があったのは、この辺り……な、なんだこれは!?

魔物の巣?それにしても、随分大きいが……いずれにせよ、王国の近くにこんな脅威があるのを放っておけない。

さっさと始末するぞ、○○○(プレイヤーの名前が入る)殿!

……くっ!此奴ら……物凄い速度で繁殖して……増えている!?

あっという間に囲まれた……くそっ!



……ダメだ、攻撃しても後から後から増えて……多勢に無勢か……!

おい!○○○(プレイヤーの名前が入る)殿!私が此奴らを引きつけている間に逃げろ!そして城に報告を!

……なんだ、この香りは?おい、それは……薬か?

香りが漂ってきた瞬間から、魔物が一斉にどこかへ行ってしまった。

まさか……この事態を想定して、貴殿は薬品を用意していたのか?……備えあれば憂いなし、か。



っ……!待て、動くな!……ハァッ!!

……はぁっ、はぁ。詰めが甘いぞ、○○○(プレイヤーの名前が入る)。

私の盾が間に合ったから良かったが……最後まで油断するな。例え背後からの奇襲だとしても、だ。

素晴らしい騎士という評判は虚偽だったか?情けない……。(だが、薬品の件は……少し見直してやってもいいかもしれないな)



敬慕の騎士シンシア

従属を誓った弟王子の兄だとはいえ、リベルタ様の元で動くのは居心地が悪い……。

だが、これも立派な任務だ……今は耐える時。

次代の王が立派に成長する手助けができるのだ。これほど光栄なことはないだろう。

やぁ、任務は順調かな?今日までの経過報告を聞こうか。

はっ!……王国近くに巣食っていた魔物を追い出すことに成功しました。



○○○(プレイヤーの名前が入る)の予測では、魔王軍は王国の戦力を魔物駆除に割かせ、王国の警備を手薄にして……。

その間に隠密を差し向け、我が王国の機密データを持ち出すつもりだったのではないか、と。

それは物騒な話だね。

非常に繁殖力の強い魔物でしたので、早期のうちに発見・駆除できたことは幸いでした。

あ、そうだ。実はあの魔物、駆除はしていないんだよ。



……は?

人も魔物も、ただの生き物であることにかわりはないからね。捕まえた魔物たちは、彼らの生息地に運んでもらったよ。

な、なぜ……そのような面倒なことを……?

あはは、まったくだよね。でも、これが私のポリシーなのさ。無駄な殺生はしない……ってね。

私は美しいものが好きなんだ。生命の営みこそ、至上の美と言える……そう思わない?



……そう、ですか。

ああ、そうだ。2人共に、また別のお願いがあるのだけれど。

新たな任務ですか?

ああ。もうすぐ、国の祭が始まるだろう?

パレードの警備で城が手薄になるから、友好国から騎士を派遣してもらう手はずなのさ。



だから君たちには、派遣されてきた友好国の騎士たちの指導をお願いしたい。

自国とは色々と勝手が違うだろうからね……頼めるかな?

は、はい……それはもちろん、お引き受けしますが……。

おや?鳩が豆鉄砲を食ったような顔だね。一体、どうしたの?

……私は、リベルタ様を……少々、誤解していたのかもしれません。



フフ、誤解って?

……貴方様には、色々と噂が立っています。中には、悪いものも……。

ああ、知っているよ。

これだけ多くの人が暮らす国だからね。様々な意見を持つ者がいるのが当り前さ。

私は……その噂を信じていました。ですが、貴方様の言動は……悪い噂とまったく結びつかない。



褒めてくれているのかな。ありがとう、嬉しいよ。

私のことを君が知らないのは当然さ。シンシアはずっと、弟の元で仕えていたのだからね。

もちろん、私もシンシアのことは深く知らない。互いにもっと知る必要があるのかもしれないね。

聞いてもいいかな?シンシア……君のことを。君の理念や生い立ちについて。

……私の話など、退屈なばかりです。



どんな話でも、君についてなら私は聞きたいと思っているよ。

……わかりました。

私は、物心ついた頃から……ひとりきりで生きてきました。信じられるのは、この身を助けてきた剣だけ。

剣の腕をひたすら磨けば、その先に道は拓けるのだと……私は幼い頃の経験で知ったのです。

そして今、鍛えた剣で大切なものを守ることができるこの仕事を、とても光栄に思っています。



君の剣はとても美しいし、その真っ直ぐな信念も綺麗だ。

……身に余るお言葉です。

すぐには難しいだろうけど、私のことも徐々に君の知ってもらいたい。引き続き、私の元で力を発揮してもらえると嬉しいよ。

最近はずっと任務続きで疲れているだろう?お茶とお菓子を運ばせるから、少し休んでから行くといい。

ありがとうございます。



……失礼いたします。お茶をお待ちいたしました。

ありがとう。ここへ運んでおいてくれるかな。

……アフタヌーンティーなど、いつぶりだろうか。

きゃっ!?

……も、申し訳ございません!お怪我は!?



くっ……だ、大丈夫だ。少し腕にお茶がかかっただけ……。

!?……さ、触るな!!!!

っ……申し訳ございません!

(今、シンシアさんの服が少しめくれた瞬間……紙切れが落ちた……?)

これは、何かの暗号……?それと、紋章のようなものか……。



なっ!……おい、人の持ち物を勝手に盗み見るとは、随分と行儀が悪い騎士もいたものだな。

あっ、すみませ……。

おや……シンシア。君が持っていたというその紙切れ……。

これは……任務のために暗号の練習をしていた、ただの走り書きで……。

フフフ、やはり『そう』だったのだね。



暗号ならば私に解読はできないと考えたのかもしれないが……この紋章には見覚えがある。

リベルタ様……?

これはね、我が弟が秘密裏に使用している紋章さ。主にスパイ活動をする配下と連絡をとる際に使っていると聞いたよ。

なぜそれを知って……ハッ。

私は君が思うよりも……ほんの少しだけ、情報通なのさ。



暗号も、少し時間はかかるが、解くことは難しくない。そうすれば、君たちの真意を……。

っ……申し訳ございません!お、お許しください……!

シンシアさん!?

ああ、涙を拭いてくれ、シンシア。私は別に君を責めようだなんて思ってはいないよ。

ですが……。

弟王子のスパイである私が、貴方様の元へ潜り込んでいた事実を……なかったことにはできません……!



忠誠の騎士シンシア

私は……リベルタ様の腹違いの弟君である王子の元で、長い間仕えてきました。

弟君は次期国王になるに相応しい、とても素晴らしい御方です……心から尊敬しています。

だからスパイなんて真似を働いたんだね?

っ……本当は、スパイなどという所業は……私の信義には反します。

ですが、国のため……民のため……そして弟君への恩義のためには、時として己の信念すら曲げる必要がある!



そう思い、私は弟君のために働いてきたのです。

シンシア……君はそんなにも我が弟のことを想ってくれているのだね。

……はい。私は身寄りがない孤児でした。

そんな私を拾い育ててくれたのは、弟君から絶対の信頼を得ている騎士団長殿でした。

何もない自分にイチから剣を教えてくれた上に、その腕を認め弟君を守る騎士団の一員にしてくださいました。



そして弟君は……王族という立場を忘れたかのように、孤児だった自分を差別することなく、まるで姉のように慕ってくれた。

家族のいない私には、弟君とその周囲にいる者たちが本当の家族のように思えたのです。

だから……私は弟君のために……少しでも何かして差し上げたかった。

ですが、こんな失態を犯した私を弟君はもうお側に置いてはくれないでしょう。

それに……私はリベルタ様に対して、以前のように憎しみや蔑みの感情を持てなくなってしまいました。



直接貴方様と接して、話をして……リベルタ様のお人柄に触れた結果です。

……今後は弟君とは縁を切り、情報は一切流さずに消去することを誓います。

ありがとう、シンシア。君の気持ちはとても嬉しいよ。

だが、君は弟の元へ戻るべきだ。

な、なぜですか!?



君は何も悪くない。スパイを自白させるほど魅力的すぎた私が悪いのさ。

だから君をこれ以上、私の元へ置いてはおけないよ。大丈夫、スパイだと私に知れたことは黙っておくから。

そんな……!

悲しそうな顔をしないで、私は皆に幸福でいて欲しいんだ……とても難しいことだけれどね。

……わかりました。では、荷物をまとめてきます。



シンシアさん……。

ああ、○○○(プレイヤーの名前が入る)も申し訳なかったね。せっかくシンシアのために声をあげてくれたのに、応えることができなくて。

ただ……あの場で君が声をあげたことに関しては、よくない選択だったのかもしれない。

(あの場であげた声……シンシアさんの落とした暗号文と紋章について指摘したこと?)

なぜですか?



この世界はとても繊細なバランスで成り立っているのさ。

それはどういう意味ですか?

フフフ。さぁ、どうだろうね?

(まさかリベルタ様は……スパイと気づきながら、偽情報を流すため……シンシアさんを手元においておきたかった?でも、なぜ……)

(なぜ弟君をだます必要が……?まさかリベルタ様は王位を……!?)



……以上が、私がリベルタ側に潜り込んで得た情報になります。

正直、リベルタがあそこまで頭が切れる人間だとは……想定外でした。

わざとスパイ行為を発見させ、懺悔してリベルタの信頼を得る手筈でしたが……失敗に終わりました。

リベルタがどこまで気づいていたかは不明です。

食えない奴です。油断していては、こちらが痛手を負うでしょう。



任務を完全遂行できず申し訳ございません……どのような罰でも受ける所存です。

……ありがとうございます。寛大なご配慮に感謝いたします。

そうだ、リベルタの信頼を得ることには失敗しましたが、リベルタの側についていた騎士……確か○○○(プレイヤーの名前が入る)という名でしたか。

○○○(プレイヤーの名前が入る)と信頼関係を築くことにはおそらく成功しています。

ええ……今後○○○(プレイヤーの名前が入る)を利用できる可能性は高いでしょう。



うまくいけば、リベルタ側の体制を崩すことができるかもしれません。

は?……御冗談を。あのような信念の薄い者たちにほだされてなどおりません。

私が信ずるのは弟君だけです。忠誠を誓うのも……!

私は弱い……しかし、この国の未来を守るために……強くなると、弟君に誓ったのです。

すべては王国のため、臣民のために!



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