【白猫】テツヤ・思い出
反骨の整備士 テツヤ・ロウ 整備士の若者。照れ屋すぎるあまり、 つい粗暴な態度を取ってしまう。 |
思い出1
あん―――?なんだ、てめーら。
<ゴツいハンマーを担いだリーゼントの青年が、じろりとにらんでくる。>
なに見てんだコラ! ああん!?
あ、ごめんなさい……
ふんだ、ちらっと見ただけじゃん。
行こ、アイリス、主人公。
ちょ、ちょっと待て!
<青年が、慌てて回りこんでくる。>
なによぉ~。見られたくないんでしょ~?
あ、いや、その……どうしても俺と話したいってんならまあ……
って、何じろじろ見てんだコラァ!
やっぱり見られたくないんだ?
じゃ、じゃなくって……なんつーか、その―――
ええい!
お、俺はテツヤ! 職業は整備士!
好きな食いもんは味噌汁!文句あっかコラァ!!
は?
じゃ、じゃあな!おととい来やがれー!
……。何アレ?
思い出2
よ、よう……また会ったな。
こんにちは、テツヤさん。
お、おう……
って、気安く声かけてんじゃねぇ!
ナメてんのかコラァ!
あ~ら、ごめんなさい。じゃあねー。
あ、ま、待てコラァ!どこ行きやがる!
なによ~。気安く話しかけられたくないんでしょ。
き、気安くじゃなかったら、許す!
ガ、ガッツリ話しかけて来いや、オラァ!
…………
…………
ど、どうしたよ?
なんか話しかけろやオラァ!
ま、間が持たねぇじゃねーかぁ!!
はあ……話しかけてほしいなら、そう言いなさいよね~。
は、はあ!?
そ、そんなんじゃねーし!ホントそんなんじゃねーし!!
思い出3
主人公、なんだか顔色悪いよ?
だいじょうぶ?
そうねぇ……風邪かしら?
ちょっと休んだ方がよくない?
<そこへ、怖い顔をしてきたテツヤが、のしのしと歩いてきた。>
おい!主人公っつったな、おまえ!
なに青白い顔で歩いてんだコラァ!
ツラ貸せやコラァ!熱測んぞオラァ!
<おでこで熱を測られた。>
熱あんじゃねーかバカヤロー!
おまえなんかなあ、さっさと横になって休みやがれってんだ!
ありがとう、テツヤさん。心配してくれてるのね。
ち、ちげーよ!そんなんじゃねーし!
ま、前におふくろが倒れてよ……
いきなり倒れられると、その、すげー不安になるっつーか……
つまり心配なんじゃん。
ち、ちげーっつーの!! いきなり倒れられるとびっくりすんだよ!
いいか、あったかくして頭冷やしてきちんと寝て治しやがれよ!
でなきゃブン殴るからな!!
思い出4
テツヤさんのお母さんって、どんな方なんですか?
ま、まあ……なんつーか、うるせーおふくろだよ……
ちゃんと朝飯を食えだの、寝る前に歯を磨けだの、いまだにうるさく言ってくるし……
逆らうと般若みたいな顔で怒るし、ムキムキだから、殴られたらたまったもんじゃねーしよ……
でも、女でひとつで育ててくれてよ……無茶して働いて、心配するこっちの気にもなれってんだ。
ふふ……心配なんですね。
そ、そんなことねぇーよ!!?
声、裏返ってんじゃん。
そんなことねぇーったら!
家出る前もなぁ、俺がせっかく作ったあいつらを―――
『あいつら』?
な、なんでもねぇ!なんでもねぇーよ!!?
声、裏返ってるってば。
思い出5
ふんふんふ~ん♪
<テツヤが、こそこそと何かをいじっている。>
やっぱ落ち着くなぁ……
おう、こんなもんか?
これでいいか? 立てるか?
お? よーし、立てるな!
何が立ったのよぉ?
な、何も立ってねぇーよぉっ!!?
<テツヤは裏返った声を上げ、慌てて何かを後ろに隠した。>
ちょっと、こら!なに隠したのよ!
見せなさいったらぁ!
な、何もねぇーよぉ!!?いや、マジでねぇって!
何も隠してねぇーって言ってんだろぉぉおー!!?
思い出6 (友情覚醒)
うわっ……!?なんだ、この光……!
すげえ……こんなの見たことねえ。って、あれ?
<テツヤの足の間から、ゼンマイじかけの小さなロボットが歩いてくる。>
かわいい!これを作ってたんですか?
う、うぇええっ!?ゼンマイ巻いてねーのに、なんで動くんだ?
まさか、今の……主人公の、光のせいなのか?
ねえ、テツヤさん。これ、どうしたんですか?
あ、ああ……クズ鉄を集めて作ったんだ。昔からの趣味でよ……
よくできてるじゃないの~。なんで隠そうとしたのよ~?
だ、だってよ……こんなの作ってるなんて、さびしいヤツみてーだろ!
さびしくないの?
さびしいよ!
……あ。
ち、ちげーからな!今のちげーからな!!
やっぱりさびしいんじゃな~い。
大丈夫ですよ、テツヤさん。みんな友達ですから、ね?
ち、ちげぇーって言ってんだろぉぉぉぉおーっ!!?
機械の心友