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【アナデン】クレルヴォ Story

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん
2017/04/12

目次



Story 古巣だった企業の活動

調査員が廃道ルート99から戻ってこないらしい。どうやらクレルヴォの知り合いが関係しているようだ。


Story その価値は黄金よりも……

クレルヴォの知り合いの研究者が非常に価値のあるサンプルを手に入れた。クレルヴォに関係あるらしいが……。




「……まだ連絡が来ない。

こんな時間になっても連絡がないとは……どうやら何かあったようだな。」


「おや……?あれは……

相変わらず忙しそうですね。なにかトラブルでも?」


「クレルヴォじゃないか!」

「この人は?クレルヴォの知り合いなのか?」

「ああ。 KMS社の技術部長だよ。僕もむかし世話になった。」

「あの頃の君は優秀な研究員だったが……

いまはなんとも変わった人間とつきあっているみたいだな。」

「ええ、いまはフィールドワークを主に手がけてるんで。

彼はアルド。なかなか優秀な『逸材』なんですよ。面白いと思いませんか?」

「何を言ってるのかはわからんがその恰好はコスプレかね?」

(……コスプレ???

何のことだ……?未来の言葉はよくわからないな)


「紹介はこのぐらいにしてなにか困っていたようですけど?」

「そうなんだ。廃道ルート99に向かわせた調査員が予定期間を大幅に過ぎたのに連絡がなくてね。」

「いまさら廃道ルート99の調査?何やら裏がありそうですね……。」

「詳しいことは企業秘密だ。」

「部長が直接指揮をとるほどの案件なら興味がありますね。手伝ってあげましょうか?」

「本当かね?君なら口も堅いし力を貸してくれるなら助かる。すまんがよろしく頼む!」

「それでは何かわかりましたらここの酒場で落ち合いましょう。」



「というわけで僕はちょっと廃道ルート99に向かうことになった。」

「だったらオレも手伝うよ。何かあるかわからないし戦力は多いほうがいいだろ?」


 ***


「君が調査員か?」

「えっ!?あなたは……?」

「もと君の同僚だよ。KMS社の研究職だった者さ。

技術部長がお待ちかねでね。僕が頼まれてサポートに来たってわけだ。」

「そ、そうですか……助かります。

実は調査は終わったのですがそのデータを合成人間に奪われてしまいました……。」

「合成人間が?いったいどんなデータなんだ?」

「この付近の建造物のデータです。合成人間たちにはいまさら必要もないはずなのに……。」

「建造物……か。KMS社は一体今度は何をするつもりなんだ……。」

「いえ……それは守秘義務がありますから……私の口からは……。」

「コンプライアンスがしっかりしてる。この辺はさすがというべきか……管理が行き届いてるようだね。

それではあとは僕が引き受けよう。君はいったん報告に帰ってくれ。そしてゆっくり休むんだ。」

「わかりました……。すみませんがよろしくお願いします。」

「合成人間からデータを取り返したら僕のほうで部長に渡しておくよ。そう伝えてくれ。」


「どうやら君にも来てもらって正解だったようだ。」

「ああ。合成人間はけっこう手強いからな。」

「わかっている。慎重にいこう。」


 ***


「……人間か。ここでなにをしている!」

「ちょっと探し物をね。ここを調査したデータが盗まれてしまったんだが……」

「貴様ら……KMS社の連中か!

いまさらこの廃道の構造をデータ化するなど何を企んでる?」

「それには僕自身も興味があってね。だからおとなしくデータを返してもらえるかな?」

「人間ごときの言葉に我々が従うとでも思うのか!」

「やれやれ……ずいぶん感情的だね君は。

しかたがない……相手をしようか。先に断っておくが僕は戦いが得意なほうだよ?」



 ***


「だから穏便に済ませようとしたのに……。

さてと……」

「何してるんだクレルヴォ?」

「調査データをちょっと確認しておこうかと思ってね。別物の可能性もあるし。

……ふむ。どうやらここの調査データで間違いないようだ。

だけど……これは……KMS社の計画というのはまさか……」

「なにか良くない計画なのか?」

「いや、そうだと決めつけられはしない。ただ……。

とにかくこのデータチップを部長に届けよう。話はそれからだ。」


 ***


「おお戻ったかクレルヴォ!それで調査データは?

うむ。確かにこのデータチップだよ。シリアルナンバーも合っている。」

「部長……KMS社は何を始めるつもりなんですか?」

「……ん?ああ廃道の補修工事を当局から請けようと思ってね。見積もりの基礎資料だよ。」

「部長らしくもない。白々しい誤魔化しですね。そんなのが僕に通用するとでも?

おそらく廃道ルート99をべースにして地上に降りる施設を建造する……ってところですか。」

「………………!」

「調査してるのはエルジオンの浮上前に地上との接点になっていた場所ばかりです。

いまさら地上に降りるルートを開発することに何の意味があるんです?」

「……ふふふ。あの調査データを少し見ただけでそこまで見抜くとは君の慧眼にはいつも驚かされる。

どうだ?社に戻ってこないか?君の能力なら再び出世コースに乗ることも……」

「僕はKMS社に未練はありません。古巣として懐かしく思うことはありますがね。

そんなことより地上の件です!いまさら地上に降りていってあの痛ましい大地からこれ以上なにを奪うつもりですか?」

「現時点ではなんとも言えないな。プランの初期段階にすぎん。まだ調査がスタートしただけだ。」

「……その言い方からするとかなり大がかりな計画のようですね。」

「ともかく助かったよ。君の口座に報酬を振り込んでおく。むろんこのことは他言無用だ。」

「報酬……ね。それは会社から?それとも部長個人からですか?」

「私のポケットマネーだよ。そのほうがお互い気分がいいだろう?」

「……ええ、僕の研究はいろいろと物入りですからね。ありがたくいただきますよ部長。」


 ***


「……もしかするとクレルヴォはKMS社と仲が悪いのか?」

「いやそんなことはないさ。円満退社だったしね。

むしろ感謝してるくらいだよ。あそこで学んだことは今も僕の中で生きている。」

「そのわりには部長って人のこと責めていたような……。」

「僕の研究テーマにも関わることだったからね。

KMS社ほどの力がある組織がからんでくると面倒なんだ。特に利害関係とかがね。

さて……臨時収入もあったし研究用の資料でも買うとしよう。

アルド君には手伝ってもらった礼がしたい。

今度食事をおごらせてくれ。うまいステーキなんかどうだい?」

「ああ、いいね。楽しみにしてるよクレルヴォ。」

「ああ……僕もだ。」


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story2




「……ん?メッセージか。

知り合いから連絡が来た。僕に頼みたいことがあるらしい。」

「いつも思うけど未来には便利な手紙があっていいよな。」

「便利な手紙か。ふふ……あいかわらず君の表現は面白いね。

連絡してきたのは僕の知り合いの研究者なんだ。」

「会いに行くんだろ。どこで待ち合わせなんだ?」

「エルジオンの酒場だよ。」


 ***


「……珍しいね。君がラウラ・ドームから外に出てくるなんて。」

「あらあなたのほうこそ。誰かといっしょだなんて珍しいんじゃない?」

「僕は人間に限らずなんに対しても冷静に接しているだけだ。

そのせいで他人が僕を避けていることは否定しないが……。」

「そうそうこんな感じだからこの人友達少ないのよ。

自分の研究にしか興味のない男だけど見捨てないであげてね。」

「あんたは友達じゃないのか?」

「彼女はただの研究仲間だ。ナチュラルと呼ばれる研究グループのね。」

「自然を残そう取り戻そうって研究をしている科学者の集まりなの。」

「それで僕に頼みたいことって?」

「実はね。例の『お宝』が至り着したのよ!」

「もしかするとあのプロジェクトの『お宝』か?」

「ええ、そうよ。エアポートに運び込まれたわ。」

「……驚いたな。資金的に厳しいからずっと停滞していたのに。」

「あなたに頼ってばかりじゃ申し訳ないもの。みんなで頑張ってスポンサーを探したのよ。」

「それはありがたい。『お宝』が手に入ったなら研究はいっきに進む。」

「それでクレルヴォにも『お宝』をわけてあげるから鑑定の手伝いをしてほしいのよ。」

「もちろん手伝わせてくれ。ふふふ……楽しみだ。

何と言っても黄金よりも価値のある貴重な物だから……。」

「それじゃあ取りにいきましょう。エアポート第2区画のコンテナにしまってあるから。」



「なあクレルヴォ。そんな貴重なお宝っていったいどんなものなんだ?」

「ん……ああ……。

僕たちナチュラルにとっては何物にも代えがたい貴重なサンプルだよ。

汚染された大地から各種の植物土壌水などを採取したものさ。

さあエアポートに行こう。」


 ***


「ここのコンテナよ。ちょっと待っててくれる?」


「……地上ってたしか汚染されてるんだよな?

そんなところのサンプルがどうして貴重なんだ?」

「地上汚染の実態を調べることで今後の対策を練ることができる。

たとえば浄化の方法を考えたり植生を分析してかつてのような緑を取り戻せるかもしれない。」

「なるほどな。敵のことを知らなければ戦いようがないもんな。」

「まあね。ただ簡単にはいかない。天文学的な規模の予算や気の遠くなるほどの時間が必要だ。」

「そうか……大変だよな。黄金よりも貴重な『お宝』だって意味がわかってきた。」


「……た、大変だわ!

ないの!サンプルが見当たらないの!コンテナにこじあけた跡があって!」

「誰かが持ち去った……?

だがあのサンプルは僕たちのような人間以外にはなんの価値も……」

「持ってったヤツはまだ近くにいるかもしれない。探してみよう!」

「手分けをしよう。君はエルジオン側を探してくれ!」

「わかったわ!あやしいヤツを見つけたらすぐにメッセージを送るから!」

「僕らはこのあたりを調べよう。どこかで身を潜めてるかもしれない!」

「わかった!行こうクレルヴォ!」


 ***


「ちょっといいかな?」


「……なんだ?」

「聞きたいことがあるんだ。探し物をしてるんだけど……」

「知らんな。他を当たれよ。」

「不自然な反応だな。探し物が何かも聞かずに知らないというその答えは……」

「うるさい。こっちは忙しいんだ。」

「君はあのとき酒場にいたね?僕らの話の最中に立ち去ったから少し気になっていたんだ。」

「それがどうした!だからってオレがお宝を盗んだって証拠にはならないだろう!」

「ふっ……ほとんど自白したようなものだが開き直りかい?

言っておくがそのお宝は君にとっては何の価値もない。

ただの石ころや水や植物にすぎないのだから。」

「ウソをつくな!だったらここから捨てるぞ!」

「それは困る。手間ヒマかけて手に入れたモノを元の場所に戻すなんてあまりに馬鹿げてる。

……しかたがない。

強硬手段を取らせてもらおう!」

「おもしれえ!やれるもんならやってみろ!……こいつらに勝てるのかよ!」


 ***

 ***


「ウ、ウソだろ……!?

わ、わかった。ちゃんと返す。だから許してくれ!」



「……サンプルは無事のようだ。容器にはなんの異常も無い。」

「良かったな。お宝が取り返せて。」

「ああ……。

それにしてもあの男が中身を確認する前で助かった。

「そうだな。頭にきてここから地上に投げ捨ててたかもな。」

「ありそうな話だ。価値のわからない人間にはただのガラクタだから。

それでは急いで彼女と合流しよう。」

「便利な手紙を送ってやれよ。きっと心配してるぞ。」

「移動しながら送っておく。さあ彼女のところへ急ごう!

彼女はエアポートのエルジオン側を探していたはずだ。」


 ***


「……見せて!サンプルを!

間違いないわ……これよ。ああよかった……!」

「僕の研究用に少しわけてもらった。残りは君たちにまかせる。」

「ええ。わかったわ。ナチュラルのメンバーに招集をかけるつもりなの。」

「これでまた心おきなく研究ができるな。」

「ええ助かったわ。大地の自然を回復させることが私たちナチュラルの最終目標だから。

今日は本当にありがとう。今度は……ラウラ・ドームで会いましょう。」

「ああ。他のメンバーにもよろしく。」



「……自然か。オレたちの時代には当たり前のモノたったけど……失われたなんて悲しいな。」

「いま地上に茂っているのは汚染に強いカビやコケシダ類などわずかな種だけだ。

汚染を取り除きかつてのように多種多様な生き物が住める大地を取り戻す……

それを信じて僕たちは研究を続けてるんだ。」

「そうか……。うまくいくといいな……。」

「ああ、実現してみせるさ。いつか……かならず…………。」






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