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【アナデン】マリエル Story

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アナザーエデン・キャラクエスト「マリエル編」

迷い猫と家族

マリエルの知り合いの飼い猫が行方不明になった。付き合いの長いマリエルは猫探しを買って出ることに。

唸り声の理由

バルオキーでおっかない魔物の噂を聞いたマリエルたち。魔物が現われるというヌアル平原へと向かうのだが……。

無垢の揺り籠

マリエルの母が病に倒れたという。家出中のマリエルは複雑な胸中のまま母の病を治すために奔走するが……。


迷い猫と家族


「……ん? あのアルドさん? いま声が聞こえませんでした……?

「声?いいやオレには……。何の声だろう?


「……にゃーん!

「ふわぁぁっ!! 猫さん! 猫さんじゃないですかぁ!

ああっ! このスベスベした毛並み! キョロッとしたつぶらな瞳!

はぁーかわいいーっ! 至福っ至福ですよぉ!!

「マリエルは本当に猫が好きなんだな。

「はい! 猫さんは大好きです! ナデナデしたいなってずっと思ってました!

神殿で猫さんは飼えませんからずっと本で見るばかりでした。

「よかったじゃないか本物の猫に会えて。

そういえばその猫だけど最近ずいぶんと人気がある種類らしいな。

「え? そうなんですか? 普通の猫さんに見えますけど。

「オレもあんまり詳しくないけどマニアの間じゃ高値で取引されてもおかしくない種類だ。

「……なんだか変な話ですね。命の価値は等しいものなのに……。

あ……猫さん……。行ってしまいました……。


「あ、あのおねえちゃんたち!この辺りで猫を見なかった?

あのねっ細くてね真っ白な子なの!

「白猫さんならついさっきまでここにいましたよ。あちらに行ってしまいましたが。

「ホント!? ありがとうおねえちゃんたち! あっちのほうだね!


「今の子……もしかしてさっきの白猫さんの飼い主さんですかね?

「そうかもしれないな。この辺りは魔物が出ることもあるし……。

「アルドさん! 私あの子の猫探しを手伝ってあげたいです!

「そうだな。あの猫に会ったのも何かの縁かもしれない。

「そうですよ! すべての猫さんは幸せであるべきです!!

さぁさっきの女の子を追いましょうっアルドさん!


 ***


「一体何度言えばわかるのこの子は!

「だ、だけどお義母さん……ミルクちゃんはわたしの大切なお友だちだから……。

置き去りになんてできないよお……。

「お父さんのお仕事で次の街にいかないといけないのよ!

こんな忙しい時にどこかへ逃げたバカ猫のことなんて忘れなさい!

「ま、まあいいじゃないか。もう少し待ってやっても。

この子にとってあの猫は亡くなった母との唯一のつながりで……。

「あなたはすぐそうやって甘やかすっ! そんなだからいつまでたってもワガママが治らないのよ!


「……うわぁ。なんだかタイミングの悪い時に来ちゃったみたいだな。」

「あのー! すみませーん! よろしければ猫さん私たちが探してきますよ?」

「え……あっ。さっき会ったお姉ちゃんたち?

「は? ……何あなたたち? 勝手に家族の会話に入ってこないで。

「お、おいそんな言い方はないだろう。ごめんねマリエルちゃん。

「私の名前なんで……あ!

もしかしてよく神殿にきてくれてた商人のおじさん!?

「なんだ? マリエルの知り合いなのか?

「はい! 私が幼い頃から神殿に品物を届けにきてくれている商人のおじさんです。

「私のことも覚えていてくれたのか。ありがとうマリエルちゃん。

「君の話はお母様から伺ったよ。まさか神殿を飛び出すとは思いもしなかったが……。

「あ、あはは……ご心配をおかけしました。私……ええとその……

そう! どうしても 外の世界をこの目で見てみたくなっちゃったんです!

「なるほどねいいんじゃないか。きっと君のお母様もいつかわかってくれるさ。

「……やっぱりお母さ…………神官長は私のことを怒っているのですね。

お父……じゃなくて副神官長はなんと……?

「お父様は大変心配していらしたよ。たった一人の娘さんだ無理もない。

この後神殿に行く用があるんだ。ご両親に伝言があれば聞くよ。

「では二人に私は元気にしているから安心してとお伝えください。


「いつまで無駄話しているつもりなの!用ならさっさと済ませてちょうだい!

「お、おう。そうだったな。すまんすまんすぐに行ってくるよ。

「……そちらは奥様ですか?

「ああ……元妻が亡くなってついひと月前に再婚したんだ。

どうも思ったより気が強くてね……尻に敷かれるとはこういうことか。

「あなた!何をこそこそ話しているの!

「っ!す、すまない! すぐに神殿に行ってくるよ!


「はっ! そうだ私たちも急いで逃げた猫さんを探さないと!

「えっ……おねえちゃんたち本当にミルクちゃんを探してくれるの?

「はい! 任せてください! ミルクちゃんは必ず見つけますから!

「あ、ありがと。おねえちゃん。ミルクちゃんの特徴はね……。

「細くて真っ白な子……ですよね!


「それじゃあとりあえずユニガンの中を探してみるか。


 ***


「にゃーん!

「きゃー! いました!かわいいー! ごろごろー!

「あはは。マリエルは猫に好かれてるなぁ。

「うーんですけどこの子はミルクちゃんじゃないですねえ。

「毛の色は白だったな。別の場所を探すとしようか。


 ***


「ミルクちゃーんいるなら出てきてくださーい!

「みゃーご!

「きゃー!いたいた猫さん!よーしよしこっちにおいでぇー!

「今度は黒い猫か……。残念だけどコイツも違うな。

「うーん残念。ごめんね猫さん。また今度ね。

「だいぶ歩いたけどマリエルは疲れてないか?

「へっちゃらです! ミルクちゃんご主人様のところに帰りたがってるでしょうから!

「わかった。それじゃあもう少し探してみよう。


 ***


「見てくださいアルドさん!あの後ろ姿……!

「白猫だ!もしかして……!


「にゃにゃーん!

「どうかなマリエル。

「えっと……確かに白いんですがそこまで細くありませんね。普通くらいでしょうか?

「そっか……参ったな。こうなるともっと遠くへ行ったかもしれない。

「その可能性もありますね……うーん。一度戻りましょうか?

あの娘からもっと詳しくミルクちゃんのことを聞きましょう。

「ああ。行きそうな場所とか見当がつくかもしれないからな。


 ***


「あっおねえちゃんたち! もしかしてミルクちゃん見つけてきてくれたの!!

「う、ううん。ごめんね。まだ見つかってないんだ。

「ふん! 情けないわね。自分たちから言っておいてこの様だなんて。

いいこと? 私たちは忙しいの。夫の用事が済んだらこの街から出ていくんだから。

「はいわかりました。ではその前に何とかミルクちゃんを見つけてきます!

「だからもうちょっとミルクについて教えてほしいんだ。どんな猫だったんだい?

「う、うん……。ミルクちゃんはわたしの本当のお母さんがプレゼントしてくれたの。

大切なわたしのお友だちでね。ミルクちゃんはもう家族とおんなじなの。

いつも放し飼いだったけど今までは必ず家に帰ってきてたよ。

「他には何かない? 好きな場所とか変わったところとか。

「……あっそういえば!

ちょっと前にお父さんが『ミルクは特別』だって言ってたよ。

とても珍しくて高いお金を出して欲しがる人もいるかもって。

「ええっ! な、なによそれ! 私そんな話聞いてないわよ!

(まさか……あのドラ猫が金になるなんて! 早く湿原に取りに行かないと……!


「お義母さん?どこいくの?

「ちょっと急用を思いだしたわ!あなたは宿でお父さんを待ってなさい!

「なんですかね急用って? やっぱり引っ越し前だと忙しいですかね。

「……あの人何かブツブツ言ってたな。湿原がどうとか……もしかして……。

……マリエル。後を追ってみよう。どうも気にかかるんだ。

「……え?でもどこへ行ったんでしょう?

「湿原に行くって聞こえたんだ。きっとカレク湿原だ!


 ***


「っ!あ、あなたたち!なんでここにいるのよ!

「……こっちのセリフだな。こんな場所で急用ってなんだ?

「ぐっ!なによ!あなたたちには関係ないことよ!

「……大方金になると思って捨てた猫を拾いに来たんだろ。

「え?アルドさんそれってどういうことですか?

「……ミルクは逃げたんじゃない。ここに置き去りにされていたんだ。

そのせいで帰り道もわからなくて戻りたくても戻れなかったんだろう。

「くっ……ああ、そうよ! 私があのドラ猫を捨てたのよ!

私はねえ! 猫なんて大嫌いなの! だから捨ててやったのよ!

ここなら魔物が勝手に処分してくれるでしょうしねえ!

「そ、そんな……ひどい。猫さんが可哀想です!あの子だって……!

「知ったことじゃないわよ!そんなことよりあいつは金になるの!あんたたちも探しなさいよ!

「そんなこと……!? あ、あなたって人は……!!


「……ミャァァアアーーーーっ!?


「い、いまの鳴き声って……まさか!?

「……あ! アルドさんアレ!」



「ああ! 魔物の前に猫さんが! あれってもしかしてミルクちゃん!?」

「ま、まずい! せっかくの値打ち物が! あなたたちっ! なんとかなさいっ!

「こんな時にまであなたは……!

「今は助けるのが先だ! 行くぞマリエル!



 ***


「フン倒すのが遅いのよ! さあ猫をこっちに渡しなさい!

「そ、そんなのダメです! ミルクちゃんは帰りたがってるんです!

「いいからその猫を渡しなさい! それは私のものよ!


「……そこまでだっ!

「あ、あなた! 何故ここに!

「話は全部聞かせてもらった。……お前なんて恐ろしいことを。

「ち、違うのよあなた! 誤解なのよ! 私はただ……。

「うるさい! もう我慢ならん! お前には愛想が尽きた!

娘から家族を奪おうなどとは……! 許せるものかっ!! 離婚だぁっ!

「っ! な、なによ! たかが猫ぐらいでムキになるなんて……!

なんなのよもう!! あんたなんてこっちから願い下げよ!


「すまなかったな君たち。身内が迷惑をかけてしまって……。

「気にしないでください。それよりも……この子のことをよろしくお願いします。

「にゃーにゃにゃー!

「おおっミルク!無事だったのか。ありがとうこの子を見つけてくれて。

……ああそうそう。マリエルちゃんへの手紙を君のお父様から預かっているよ。

「えっ! 手紙を!!

「私は王都の宿屋にいる。君の都合がいい時間にでも手紙を取りに来てくれ。

「手紙……どきどきします……っ!神殿に帰ってこいと言われたらどうしましょう……。

「どうだろうな。けど無視はできないだろう?

「で、ですね……。覚悟を決めますっ……!



「やあマリエルちゃん。いろいろとすまなかった。それから……娘がぜひお礼をと。

「おねえちゃんたちありがとう!ミルクちゃんも喜んでるよ!

「えヘヘそんな。でも本当によかった。

「私からも礼を言わせてくれ。それとこれが約束の手紙だよ。

「こ、これが……ごくっ。

……………………。

「どうしたんだマリエル?手紙読まないのか?

「お叱りの手紙かもしれないと思うと……

「無理に読まなくてもいいよ。手紙は渡せなかったと伝えておくから。

「お気遣いありがとうございます。でも大丈夫です……!

「そうか……。おっともう時間だ。私たちはここで失礼するよ。

きみマリエルちゃんをよろしくね。

「またねおねえちゃんたち!


「すー……はー……では読んでみます……!



愛しいマリエルヘ


商人さんから話を聞かせてもらった。

お前がいなくなって寂しいけれど消息がわかって安心したよ。

ただお母さんはとても怒っている。マリエルが神殿に戻ったら見張りをつけると騒いでるくらいだ。

マリエルからの伝言を聞いたときお父さんがはしゃいでしまったから余計に怒ってしまって……


「そんな……お父様……。どうしましょう私のせいでお母様と大喧嘩になっていたら……。

これ以上怖くて読めません……!

「なあマリエル……。キミは自分の意思で神殿から出ることを選んだんだろう?

その結果は自分自身で受け止めるしかない。

だからその手紙は最後までキミが読まなきゃいけないんじゃないかな。

「アルドさん……。

はい……その通りです。逃げたりしちゃいけませんよね!


この手紙もお母さんから隠れて書いている。見つかったら大変なことになりそうだからね。

だけど心配しなくていい。お母さんの頑固はいつものことだ。お父さんに任せておけ。

お前もお母さん譲りの頑固者だし自分で決めたことを変えたりしないのはちゃんと理解してるつもりだ。

旅を続けなさいマリエル。お父さんも……そしてきっとお母さんも応援しているから。


追伸……

たまには手紙のひとつぐらいよこしなさい。



「旅を続けていいと……。

「勇気を出して最後まで読んでみてよかったな。

いいお父さんじゃないか。

「はい! 自慢の父なんです! もう……お父様のせいでお母様の言いつけが全然守れないです!

「言いつけ? もしかして両親を神官長と副神官長って呼ぶことか?

「ええそうなんです。でもお父さ……副神官長がこの調子で……。

「……きっとわざとなんじやないか?

「えっ?

「いや何となくだよ。

お父さんは少しでもマリエルに家族ってやつを感じてほしいのかなって。

「アルドさん……

はいきっとそうです!

ありがとうお父様……!


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唸り声の理由



「平原は今は行かない方がええよ。

「なんだアルドかい。心配して損したよ。

「おばちゃん。平原に行かない方がいいってどういうことだ?

「いやなにここのところ物騒でねえ。泥棒やら人さらいやら……。

「泥棒に人さらいですか……。人の大事なものを奪うなんて楽しいのでしょうか?

「どうなんだろうな。中にはそういうことを楽しむ本当に悪いやつもいるみたいだけど。

「まったく許せません!

人から物を貰いたかったら素直にくださいってお願いすればいいのに!

「いいや。なんかそれもちょっと違う気が……。

「おやお嬢ちゃん。さては天然さんだね? あんたみたいのが一番気をつけなきゃ。

それにねえ。今は魔物まで暴れてるらしいんだよ。おっかないやつかね。

「おっかない魔物?

「ああ。なんでもあっちにいる商人がその魔物に襲われたみたいだよ。

商品を置いて命からがら逃げ帰ってきたってさ。

「やっぱり放ってはおけないな。

「そうですね。放っておいたらますます被害者が出てしまいます!

「よし。それじゃあその魔物に襲われたっていう商人から話を聞こう。


 ***

「ん? お客さんですかい?

すみませんがいまは肝心の売り物がない状態でして……

「いえあなたが平原で出会った魔物について知りたいのです。

「なんでも平原で襲われたとか。その話詳しく聞かせてもらえるか?

「おお! あの魔物についてか! あのバケモノにはほとほと困ってるんだよ!

あいつのせいで手持ちの商品はなくす羽目になるし……。

「なるほど。それでお店に商品がないんですね。

「その魔物なんだけどどんな見た目だ?形とか大きさとかさ。

「い、いや……それなんだが。この目で魔物を見たわけではなくて。

「え? 見ていない? ですが先ほど魔物に襲われたと……?

「……あれは仕事でヌアル平原を通った時のことだ。恐ろしい声だった……。

まるで地の底から響くような!私は恐怖で震えていた!

「それで命からがら荷物を捨てて逃げてきたというわけか。

「このままじゃ商売にならん。残念だがわしは一度この地を離れることにするよ。

「あ、ちょっと!

行っちゃったか……。こりゃどうにかしないとな。

「もちろんです。これ以上好き勝手はさせません!

「ああ……とはいっても手がかりは声だけか。

「私たちも平原へ行きましょう。向こうから襲ってくるかもしれませんし。

「それなら探す手間が省けていいや。よしじゃあ行こう!


 ***



『……グロロローーーーッ!!』


「ひゃあっ! び、びっくりした……な、なんですかっこの声!」

「すごい響いてくる……! こいつが例の……!?」

「ひぃいいいーーーーっ! 助けてくれぇええー―っ!

もう商品なんて運んでられるか! 逃げろ逃げろぉおー―――っ!

「っ! 悲鳴です! アルドさん! あっちのほうです!」


「……? なんだあの男?

『グォーッ! グロロローーーーッ! ……へへっちょろいもんだな。

「あのー……もしもし? 一体そこで何をなさっているんです?

「っ!! な、何だお前ら! なんで私の声マネを聞いて逃げてないんだ!?

「声マネ? ……ああ! さっきのはあなたの声だったんですか!

「……なるほどな。声マネで商人を脅かしてたのか……。セコい泥棒だな!

「ま、待ってくれ!

「確かに私は泥棒だが好きでこんなことをしているわけじゃない!

私はただ人さらいからひとり息子を取り戻したいだけだ!

「人さらい? 息子さん? あのそれはどういうことでしょう?

「あ、ああ……ちゃんと話そう。私は息子を養うため泥棒をやっていたんだ。

だか……ある日突然……。目の前で人さらいに……。

「……そういやおばちゃんも人さらいがいるって話してたな。

「ああ。私も泥棒のはしくれ。人さらいの話は知っていたが……。

まさか自分の息子がさらわれるなんて! ちくしょうっ!

「話はわかった。でもどうしてそれで商人を襲うんだ?

「連中はここヌアル平原でさらった人を売りさばいているらしい。

「……!! そんな……!!

「きっと息子を売るために 奴らはここへ現れるはずだ!

「ああ! だから商人さんを魔物の声マネで脅かしてたんですか!

相手が人さらいかどうかを調べて息子さんを取り戻す作戦だったんですね!

「そ、そうなんだ!私はひとり息子を取り戻すために仕方なく……。

「……ぐす! 泥棒さんかわいそう! 命より大切な息子さんと離ればなれだなんてっ!

わかりました! 私たちにできることならなんでも協力いたしましょう!

「えっ! ほ、本当に……? 私のことを手伝ってくれるのか?

「もちろんです! そうですよねアルドさん!

「う、うん……まあそういうことならオレも協力してもいいけど……。

「さすがですっ! ……ところでお手伝いって何をすれば……?

「ああ多分来てもらった方が早い。さあこっちだ!


 ***


「よしここだ。いいか? お前たちは茂みに隠れて商人が近付いてきたら……。

「グォーッ! グロロローーーーッ! ……ってなもんだ!」

「……! お、おい!オレたちにさせる手伝いって強盗かよ!?

「安心しろ。ちょっと脅かして人さらいか調べるだけだ。モノには手を出さないよ。

……あ! 噂をすればだ。商人が来た隠れるぞ。

「お、おう……魔物の吠えるマネか。気が乗らないけど……仕方ない。

「頑張ってくださいねアルドさん!


『……ぐ、グゥゥゥルルルルゥゥウウウ!

グォオオオオオオオオオーーーーッ!!!』

「っ! きゃっいやああああーーーーっ!!」


「すっすごいですアルドさん! 本物の魔物みたいでした!!

「ああ。迫真の演技じゃないか! あんた泥棒に向いてるんじゃないか?

「……ゴホン。それより商人の落し物を調べるんだろ?

「おお! そうだった! どれどれあの女何を隠してたんだ?

おおーっ! これはすごい! 中身は全部宝石だ!

「……おい。

「あっ……わ、わかってるって。

さ、さて! それじゃあ次だ次! 今度はこっちだ!ついてきてくれ!


「……なあマリエル? なんかアイツの様子おかしくないか?

「ヘ? おかしい? 何がでしょうか?

「いや……。どうも利用されてるだけな気がして……。

「アルドさんっ! 大切なのは人を信じる心ですよっ!!

そこから全てが始まるんですから! さあ追いかけましょう!


 ***


「よーし!今度はお嬢ちゃんの番だ。そっちの兄ちゃんに負けんなよ!

「はい!がんばります!」


「……ん! きたな! それじゃあしっかり頼むぜ。

……よし! いまだお嬢ちゃん!


『っ!……に、にゃお~~ん!』

「……?? なんだ? 猫か?」


「お、おいお嬢ちゃん!?

『え、ええっと……ぱ、ぱおーんっ! わうわう、わおおおーーーん!』

「……なんだ? 何かこの声変だぞ?

あっ! き、貴様ら! そこで何をしているっ!」


「くっ! やばい見つかった!」

「ああっ! ご、ごめんなさいっ!」

「みすみす逃がすか! 我らが計画を邪魔立てする者には容赦せん!

「魔獣……! よくも人をさらって売ろうなんて酷いことを!」


 ***


「……お、おとうさん?

「ああ息子よ! 無事だったのかっ!

「うっひっく! お、おとうさん!おとうさぁああんっ!

「ぐすっ……よかったですぅ。無事に再会できて……。

「お嬢ちゃん……私のことどうしてそこまで考えてくれるんだ?

そっちの兄ちゃんみたいに疑うのが普通ってもんだ……。

「ばれてたか……。

「うう……っ。なんでって……ぐす……っ当たり前じゃないですか! 人の幸せを願わない人はいませんよ……!

「………………。

ふ……っはっはっは!

「な、なんだよ! いきなり笑ったりして。

「……私の負けだ。もう泥棒からは足を洗うよ。

「わあ! それはいいと思います! たとえ誰のためでも悪いことはしないに越したことないですから!

「底抜けに純真な子だな。ウブというか世間知らずというか……。

だがその純真さが私の汚れた心に光を射してくれた。

さてこれからの身の振り方を考えねばな……。

「なに言ってるんですか! あなたはこれから衛兵さんに引き渡しますよ!

「ええっ!?

「な、なんだって!?

「どうしました? あ、はぐれたらダメですよ! ちゃんとついてきてくださいっ。

アルドさん! ちゃんと見ていてくださいね!

「あ、ああ……見張っとくけどさ……。

ええ……?


 ***


「うう……息子よ……! 父さんは……父さんは……!

「おとうさんどうなっちゃうの?

「う……うう……っ。ダメだ。とても私の口からは言えん……!


「ふんふんふーん。衛兵さーん!

「はい、いかがされましたか?

おやマリエル様、神官長様が血眼で探しておいででしたよ。

「ぎく……っ。そ、それは置いておきまして! この男の人をですね……。

「おや……何やら怪しげな雰囲気の方ですね。この方の身柄を私に?

「はい!

「も、もうお終いだ!息子よ私のことは忘れて……

「神殿にお連れしてお仕事を紹介してあげてください!

「えっ?

「神殿はいつも人手不足ですからきっと働き手を募集しています。

泥棒さんが働きにきてくれたら大助かりに違いありません!

「なるほど……おかしいと思ったらそういうことだったのか。

「私何か変なことしました?

「いいや。マリエルは本当に優しいんだなって。

「い、いいのかいお嬢ちゃん。

「過ちを悔いても仕方ありません。大切なのはこれからですよ!

「お、お嬢ちゃん……っ! うう……っ!

「事情はよく分かりませんが……。神殿までお連れすればよろしいのですね?

「はい……よろしくお願いします。神殿は随分と前に一度訪ねたきりでして……。

「ではさっそく参りましょう。

「お嬢ちゃん! この恩は絶対に忘れない。必ずお礼をするから!

「お姉ちゃんありがとー!


「………………。

「……きっと大丈夫さ。

神殿といえばマリエルは帰りたくなったりしないのか?

「いいえ……っ! まだしばらくは世界を見て回ろうかと!

「そ、そうか? それならいいんだけど……。

「私には神官になる資格なんてありませんから……。

「ん? 何か言ったか?

「い、いえなんでもありません! これからもよろしくお願いしますね!


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