【白猫】ジュダ・思い出
2016/07/15
思い出1
聖地ディルムンで起こった、世界各国を巻き込んだ戦乱――
それは一時の終息を見、主人公たちも本拠地である飛行島へと帰還していた。
――新たなる、仲間……と、ともに……
そんなとこでぼーっとしてどうしたの?
<ジュダの言う<英雄>とは、戦場にて散った者たちのことだ……>
今を生きるお前たちに、関係はない。
ジュダってば、なんか、普通の人には聞こえない声とか聞けたりするわけなのかしら?
だがそれは真実ではない。俺の使命は、皇帝に仇なす者を、納棺すること……
死神の忍び寄る、微かな足音に、な……
<ジュダは、射抜くような眼光でこちらを真っ直ぐに見据えている……>
思い出2
<ジュダの周りで風が哭いている……>
そんなヘリのトコにいて、風が気持ちいいの?
<ジュダは振り向くと、圧のある瞳で見つめてくる。>
海も、空も、大地も。世界は、在り続けている――
普段意識してないけども、たしかにそうね!
人でなくなる線を越えても、親は必ず存在する。
なれば人とて、たぐれば世界の発生へと、行きつく――
お父さんお母さんをたどれば、ものすごい昔までいくってことよね?
世界の<我儘>――その因子から、な……
<ジュダはギラギラと光る眼差しでこちらから視線を外さない……>
思い出3
<ジュダがこちらを見つめている。>
世界の<我儀>の因子、神獣の因子、それを合成し、造られた、俺は――
――納棺する者。そして――
――大地を飲み込み、門の前に侍る孤狼……!
<ジュダは、野性を宿した瞳でこちらを射すくめる……>
<ジュダはなおも、こちらに目線を定めている……>
<足音も立てず、ジュダが眼前まで迫ってくる!>
<――と。ジュダは唐突にプイと真横を向いた。>
!――わかったわ!
――毛並を整えてくれ、っていうサインなのよ。
――遊びたい、っていうサインなのよね♪
思い出4
――ジュダ!?
<木陰で目をつぶっているジュダが、うめき声を上げている!>
――欠片よ――
世界の<我儘>か……!
――我が門を解き放て――
――欠片よ――
――均衡を――
――粉微塵に破壊するのだ――
――この世界ごと、な――!
***
だって、その<我儘>のいんしが、アンタにもあるのよね!?
俺の使命と、矛盾する。
俺は……皇帝を……!
思い出5
俺は、なぜ造られたのか……?
作り主の顔も知らぬ。捨て置かれたのか。なぜ俺は、ここにいる。
……わからぬまま、無為に時を過ごしていた。
人の時間に換算すれぱ、数万年にもなるだろうか。
俺には目的がなかった。
生きながら棺に入っていたも同然だった。
――ある時、あいつと出会った。
俺は何も考えていなかった。
考えるべきことなど、なかったのだから。
「……?
「ゴメン! ぶつかっちゃった!?
そのままなら興味を抱くことはなかっただろう。
だが、俺の足元に転がったのは――
「……骨……?
「ヘヘヘ……当てるんじゃなくてね。目の前に転がすつもりだったんだ。
あげるよ、それは。
「この……骨を……?
「キミ、狼だろ?
「……?
「わかるんだボクには、そういうの。キミは――
――遊び相手を欲しがっている。
「……侮辱するなよ……!下等生物があああああ!!!
な……!?んだ、これ、は……? 俺、なのか……?
それが初めての変身だった。
狼狽する俺を見ながら、楽しそうにそいつは言った。
「オニゴッコなら、ボク、得意でね……♪
「貴様……!八つ裂きにしてやる!
「ハハハハッ♪
それからそいつは、毎日やってきた。
「ほらほら♪ボクを、つかまえてごらん♪
すばしっこい奴だった。目が覚めてから眠るまで、毎日俺は、そいつを追いかけた。
……いつしか、俺は感じていた。
……楽しさを……
雨の日も……雪の日も……
――そして――
「とうとう捕まえたぞ……!
……はは……はははははは……!
はははははは!やった、やったぞ……!
「――最初にあげた骨、覚えているかい?
「……?
「ボクの鎖骨さ。
「!?
「少し、戦ってね……尻尾巻いて、逃げてきた。
「お前の、逃げ足の速さでか……?
間の抜けた俺の質問には答えず、そいつは立ち上がると、真っ直ぐに見つめてきた。
純粋な瞳――では、なかった。嫉妬、憎悪、怒り……そういったものも、あった。
だが、その眼に……!たまらなく、魅かれた……!
「キミはこれから<ジュダ>と名乗れ。
そしてボクと、共に来い。
ボクはこれから―――帝国を作る――!
「……!!
――それからまた、歳月が流れた――
奴はまだ生きている。あらゆる技術を駆使し、延命している。
だから――
――俺と皇帝の絆も、永遠に続いてゆくのだ――!
***
――儂の門を開けるがいい――
――破壊するのだ――
――この世界の――――全てを――!
「……くっ……!……うぅ……!
……ぁぁああああ……!
***
思い出6 (友情覚醒)
――見るがいい、欠片よ――
――この世界は発生より――
――均衡を求めた――
――くだらぬ約束よ――
――儂は<我儘>となろう――
――全てを――無に還すのだ――!
――さあ――
――門を開け――!
――反抗するか――
――儂の、欠片よ――
貴様に命令されるいわれはない!
貴様が門の開放を望むならば――
――俺は貴様に対する<我儘>として!門を封じてやる!
未来永劫、決して開かぬようにな!
――ハハハハハ……!
――それが<我儘>――
――さすがは儂の欠片よ――
「俺の中から消え失せろ!くだらぬ因子など知ったことか!
俺は奴の……皇帝の味方だ!帝国の棺だ!
***
主人公の、ルーンの光の力で手助けしたんです……
……ふ……ふふふふ……!
礼を言う。俺は、知らぬうちに束縛されていたようだ。
だが、もう心配はいらぬ。
何者の言いなりにもならぬ……!フハハハハハハ……!
(俺は勝手にやらせてもらう。これからも、永遠にな……!)
付き合ってもらうぞ……!我が、友よ……!)
世界の<我儘>を封印せし門 ジュダ・バル・アーウェルサ