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【アナデン】ミュルス Story

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明朗快活でお調子者な魔獣の女の子。人間と魔獣を区別して考えておらず仲良くしたいかどうかで判断する。楽天的で何事も楽しければぞれでよし。トラブルも笑って済ます性格。魔獣形態になると巨大なうさぎになるがその影響か寂しがり屋な一面も。



●私を未来に連れてって!

泣いている魔獣の子供を見つけたミュルス。

どうやら母親が目の前で突然消えてしまったようだ。


●求むるは竜の秘宝

トレジャーハンターの男達と出会うミュルス。

なにやら古くから伝わるお宝を追っているらしいが……。


●未来に託すもの

通りすがりの男に突如何かを押し付けられてしまったミュルス。

よく見てみるとそこには……。




story1 私を未来に連れてって!



「うえぇ~ん!うえぇ~ん!


「あら?子供の泣き声?こんなところで……。

行ってみましょうアルド?


 ***


「あれは……魔獣の子供か?


「どうしたのボク?なにかあったの?

「あ……えっと……ママとはぐれちゃったんだ……。


「迷子か……どうする?ミュルス。

「こんな小さい子放ってはおけないわ。

魔物にだって襲われないわけじゃないもの。


「ねえお母さんとどこではぐれちゃったのかな?

「それが……突然青い穴が目の前に出てきて……。

ママ吸い込まれちゃったんだ!

「えっ!?もしかして時空の穴か……!?

だとしたら厄介だな……。一体どの時代に飛ばされたのかもわからないし……。

「で、でも放っておくわけにもいかないよね?どうしよう?


「コノ周囲ノ大気成分を分析してみマショウ。」

「リィカ!それでこの子のお母さんがどこにいったかわかるの?

「向コウの時空カラモコチラに流れ込んできたモノがあるはずデス。

「よし……頼むリィカ!

「計測中……大気成分ニ0.000002%ノ変化ヲ確認。

ゴク微量デスが空気中ノ塵ニ エルジオン・プレートの建材が確認されマシタ。

「ということは……お母さんは未来に飛ばされたのか!

「すごいじゃないリィカ!そんなことまでわかるのね!

「KMS社製汎用アンドロイドに不可能はありマセンノデ!


「よーし!キミ絶対お母さんを見つけてくるから待っててね!

「……うん!


「エルジオンヘ行ってみよう!


 ***


「来た来た来たわ未来っ!改めて思うのこの時代ほんとすごいっ!

「オレたちの時代とは何もかもが違うもんな……。

オレも初めて来たときは驚きの連続だったよ。

「うんうん!それにこんな空に近いなんてとってもステキ!

「ミュルスは空が好きなのか?

「私……というか魔獣はみんな空に憧れがあるの。

だから空に浮かぶ島なんて魔獣には理想郷かもね!

そういえばこの時代の魔獣たちってどこで暮らしているのかしら?

「え?言われてみれば……未来で魔獣に会ったことが無いな?

「できることなら会ってみたいわ!それでね色々聞きたいの。未来のお話を!

……でも今はあの子のお母さんが優先よね。

「ああ。エルジオンで見かけた人がいないか聞き込みをしてみよう。


 ***


「え?魔獣?そんなの数百年前の昔話じゃない。

エルジオンで見つかってたら世紀の大発見よ?

それにいたとしてもその子みたいにコスプレよきっと。

「コス……なにそれ?

「さぁ……オレもよく言われるんだ。一体何のことだろうな?

「そういえば最近同じように魔獣のコスプレをしてた人がいたわね。

その界隈じゃ魔獣がブームなのかしら?

「よくわかんないけどここじゃ魔獣の格好をするのが流行ってるってこと?

魔獣の格好が好きなんて……未来人もよくわかってるわね!

「いやそういうわけじゃ無いと思うぞ……?


 ***


「ムッ!ムムムーッ!しびれる!しびれるぞーっ!

「きゃあ!なっ何!?

「素晴らしいッ!絶妙なプロポーション過激な衣装あどけない表情!そして高いクオリティー!

「あなたほど見事なレイヤーさんは初めて見たわいっ!

「ななな、何なのよこの人~……。あ、アルドぉ……。

「な、何を言ってるか全然わからないな……。

「きっとあの魔獣研究の権威も納得の出来栄えじゃろうて!

「魔獣研究の権威?そんな人がいるのか?

「うむっ!彼なら喉から手が出るほど欲しい逸材じゃろ!

ちなみにわしも!この出会いを祝してツーショットを撮りたいのじゃが!

「な、なんか目が怖い……!に、逃げようアルド!

「走るぞミュルス!


「ああ!待って!せめて名前だけでも教えてくだされーっ!


 ***


「魔獣を見かけなかったかって?いや……見てないよ。

「そうか……。いやすまないありがとな。

「大体魔獣なんて今の時代にいるのかな?

「そう……この時代の人間でも魔獣がどうなってるかはわからないのね。

「うんうん。キミみたいな魔獣も図鑑でしか見たことが……。

……え?キミ魔獣……?えっ!?えええええっ!?

「はい!正真正銘の魔獣でーす!ファンになってもいいのよっ♪

「ミュルス!ややこしくなるから!誤魔化して誤魔化して!


「……な、な~んちゃって!実は変装でした~……!

「あ、ああそうだよね……。魔獣が堂々と閑歩してたら大事件だよ。

「そっか……未来ではそんなに珍しい存在なのね。

「あの変人爺さんなら喜びそうな話だけどね。

「変人……爺さん?

「ああ。どうやら魔獣に興昧津々みたいなんだ。昔は名のある考古学者だったらしい。

でも今じゃものの見事に落ちぶれてるよ。

「そうか……ありがとう参考になったよ。


 ***


「どうやらこの時代に飛ばされたとみて間違ってないみたいだな。

「でもどこへ行ったかはわからなかったわね……どうしよう?


「そこなお二方。魔獣をお探しというのはあんたがたかね?

「うん?そうだけど……爺さん何か知っているのか?

「うむ。わしは魔獣研究の権威!魔獣の事ならわしに全部おまかせじゃ!

「……ああ!あんたが魔獣研究の権威だったのか!

「その通り!そしてお探しの魔獣はわしが保護しておるのじゃよ。

「えっ!じゃあ無事なのね!

「うむ。突如青い光が走ったと思ったら魔獣が飛び出てきてな。

EGPDに見つかったらことじゃからの。なんとかわしが匿ったんじゃよ。

「よかった……!ねえその人に会わせてくれない?

私たちその人を子供の所へ帰してあげたいの!

「うむ……じゃがそのまえにちょっといいかね?

「なあにこれ?

「ふむ……君も本当に魔獣らしいの。

それなら手伝ってほしいことがあるんじゃ。

「手伝うって何をするの?

「わしの研究に協力してくれればええ。

そしたらあの魔獣と会わせると約束しよう。

「本当っ!?おっけー!私にできることなら協力するわ!

「ほっほっほ。ありがとよ。

ゼノ・ドメインの工業セクターで待っておるからの。



「ゼノ・ドメインか……ずいぶん遠いところだな。

「確かここよりずっと高いところにあるんだよね?

天のさらに上かぁ……うふふ楽しみねっ!


 ***


「……おお、来たか。

「それで?研究って何するの?

あっ!私の美しさの秘訣とか?も~そんなの決まってるじゃない!恋よ恋!

「……フフ。ところで魔獣よ。君たちはどこから現れたのかね?

あの捕らえた魔獣も君も……本来とっくに滅びたものだと思っていたのじゃがのう。

「えッ!?滅びた……!?

「一説ではそう言われておるな。だが君たちがいるだろう?

地上でも生きていけるようしぶとく進化したか……。

あるいはどこかの小島にひっそりと生き残っていたか……。

是非とも解き明かしたい。君には一生わしの研究材料になってもらおう!

「なっ……!あんた!ミュルスを実験動物扱いするのか!

それに……保護したという魔獣はどうしたんだ!

「ふん……ヤツか。会いたければ会わせてやろう。

少々闘争本能を刺激しすぎて正気を失ってしまったがな!

「ひ、ひどい……!どうしてこんなッ!?

「魔獣など所詮は獣。人間の技術には敵うまいよ。

さて……こやつからは戦闘以外にデータが取れなくなってしまった。

その他のデータは君からじっくり引き出すとしよう!

「ふ……

ふざけないでっ!!

魔獣の誇りはそんなことで失われないわ!

思い知らせてあげる!魔獣の本気ってのをね!


 ***


「う……うう……。

「何っ!戦闘形態を維持するよう洗脳したはず……!


「さあ!その人は返してもらうわよ!

「い、いやじゃ!わしは……わしはかつての名声を取り戻すんじゃ!そのためにお前たちのデータが必要なんじゃ!頼むっ見捨てないでくれぇ!

「…………。

そんなことのために……私たち魔獣の誇りを踏みにじろうだなんてっ!

そんなに欲しいならあなたに刻んであげましょうか?私の戦闘でぇたってのを!

「ひっひいいいい!ここ殺す気なのかっ!?ぎゃあああああーっ!!


「……ったく。どれだけ文明が進んでもろくでもないヤツっているものね。

ま、貴重な経験ができてよかったじゃない。

魔獣は怒らせると怖いのよ♪


「……ふぅ一件落着か。この人も無事みたいだな。

「ええ。早くあの子の所へ連れて行ってあげましょ!

「ああセレナ海岸へ戻ろう。


 ***


「ま……ママっ!

「ああっ……!よかったまた会えて……!


「ミュルス様なんとお礼を申し上げればよいか……。

「いいのいいの!大変だったわね!

「ええ……まるで悪い夢を見ていたようですわ。

私ももう歳ですから戦う力はないんです……。だから捕まったのでしょう。

それにしてもあの場所は一体どこだったのかしら……?

「ああ、あれはずっと未ら……。

「シーッ!ちょっと待て!時空を移動したなんて教えたらまずいって!

「えっああ……そうよね!ええっと……その……。

ゆっ夢の中の話よね!?悪夢を見せる魔物に憑りつかれてたんだもの!

「そっそうそう!オレたちで退治したからもう大丈夫だ!

「まあそうだったんですの……。それはどうもありがとうございました。

それにしても助けられてから妙に体が軽いんですの。力がみなぎるというか……。

まるで昔のように若返った気分です。

「あ、あははそれはよかった……。

(戦闘形態を引き出すために何かされたのかな……?

……まあ若返ったって喜んでるし黙っておくか。)


「ミュルス様本当にありがとう!それから……人間のオマエ!

「うん?オレか?

「……オマエは特別にいい人間として認めてやるぞ!

「ハハありがとな。


 ***


「どう?魔獣ってパワフルな種族でしょ!

「ああそうだな……。きっと未来の魔獣もたくましく暮らしてるさ。

「うん!いつか会えるといいな。まだ見ぬ未来の仲間たちに!



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Story2 求むるは竜の秘宝


「……しかし二つ目の問題は解けないままじゃないか?

「うーん……でも……。


「うん?あの二人何か悩んでるみたいだな?

どうしたんだ?こんな所で。魔物が出るから危ないぞ。」

「ああ実は……ってひいいっ魔獣だ!」

「どーもー魔獣です!食べちゃうわよ?がおー!」

「わああ!い、命ばかりはお助けを!!」

「おいミュルス……。シャレじゃすまないから……。」

「んもう。この程度のジョーク気軽に通じてほしいわ。」

「じょ、ジョーク……?襲ってこないのか?」

「あーっ!失礼発言!私はそんな野蛮じゃないもん!」

「魔獣だってみんなが悪いわけじゃない。ミュルスは信じられる仲間だよ。」

「うんうん!むしろ私は人間とは仲良くしたいし!」

「そ、そうか……。助かった……。」

「それで?一体何をしていたんだ?」

「実はこの辺りにお宝があるというんで探しているんだよ。」

「ヘ?お宝?こんな所に?」

「おう。しかも太古の昔より伝わるドラゴンの秘宝だというじゃないか。」

「ド、ドラゴンの秘宝……?バルオキーじゃ聞いたことないぞ。」

「あっ!私は聞いたことあるよ!深き森に眠る竜の秘宝!」

「ミュルス知ってるのか?」

「うん!魔獣の間ではポピュラーな昔話なの。」

「そう。これは魔獣に伝わる話らしい。僕たちは長年調べてたどり着いたんだけど。」

「なるほどな……じゃあオレが聞いたことないのも納得だ。

でその秘宝ってのは一体どんなものなんだ?」

「う~ん……そこまでは……。ただ秘宝があるって話しか聞いたことはないわね。」

「きっと山ほどの宝石や金銀財宝に決まってる!掘り当てりゃ大金持ちだ!」

「ふぅん……宝石ね……。人間って変わってるよね。ただの綺麗な石に価値をつけるなんて。

魔獣も綺麗だなーとは思うけどお金払ってまでなんて考えないもん!」

「そうなんだ……価値観の差異ってやつか。

何にせよ宝なら大金を払う人が人間にはいるんだよ。」

「ふ~ん。ねえねえそれ私たちもついていっていい?なんだか面白そうだし!」

「か、軽いな……。」

「まあまあ!もし見つからなかったとしても笑い話で済むでしょう?」

「ま、それもそうだな……。付き合ってみるか。」

「手伝ってくれるのかい?恩に着るよ!

それじゃ手がかりのおさらいだ。

深き森に眠る秘宝……。おそらく月影の森だろう。」

「OK!それじゃ月影の森に出発ね!」


 ***


「ざっと見回ってみたけど……。それらしきものは見つからないな。」

「そりゃ簡単に見つかったら逆にびっくりだよ!

でもまあこの森もそれほど深くないからねえ。そのうち見つかるんじゃない?」

「あのさ。その昔話ってどれくらい昔から伝わってるんだ?」

「えー?どれくらいって……そこまでは知らないなあ。」

「もしかしたらこの森じゃなくてその話ができるくらい大昔にあった森っていう可能性もあるな。」

「……ああ!そっか!お話ができた時代にあった森を探せばいいのね!」

「なるほど……それは失念していたな。

……そういえば聞いたことがある。

この大陸の北東にザルボーという砂漠の孤島があるだろう?」

「ああ。けどそれが?」

「あの島は大昔森林地帯が広がっていたという学説があるんだよ。」

「ふむふむ。じゃあ深き森っていうのはそこかも知れないってことね。

よしっ!次の目的地はザルボーに決定ね!」


「ところで……少し気になってたことがあるんだが。」

「うん?どうした?」

「実はその秘宝にはドラゴンが封印を施したと言われているんだ。

もしそうだったら見つけても開けられないかも……。」

「たぶんエレメンタルの力だと思うんだけど……。」


「あ~エレメンタルだったら私が何とかできるかも?」

「何っ!?」

「私ねエレメンタルの扱いには自信あるの!

だからその封印もエレメンタルの力ならなんとかできるかも。」

「なるほど……人間にできなくても魔獣になら……ってことか!」

「……ほお……。魔獣ってのはみんなそうなのか?だからあんな屈強なのか?」

「さあ?どうかしら。他の人とあんまり比べないから……。

あっ!でもギルドナ様は別よ!あの方はもう魔獣たちみんなの憧れなんだから~!」

「ぎっギルドナって……あの魔獣王か……!?」

「おいおい……。また怖がらせるようなことを言うなって。」

「む~わかったわよ。」


「それじゃあザルボーに行くか。ミュルス頼りにしてるからな。」

「ええ!……でもザルボーってすごく日差しが強いから日焼けしないか心配だなあ。」

「いやそういう問題か……!?」


 ***


「いよいよ来たねザルボー!きっとこの地に秘宝が……!

O「ああ!これで俺たちも大金持ちになれるぞ!


「……またお金かあ。人間って本当にお金が好きよね。

どうしてそんなにお金が必要なの?」

「実は……僕は医者なんだけどね。自分の病院を建てる資金が必要なんだ。

このところ魔獣との戦いで怪我人も増えているし……。

……あ!いやごめん!君の仲間を悪く言うつもりは……。」

「いいの。人間も魔獣も譲れないものがあってぶつかり合ってしまった……。

だから怪我をした人たちも譲れないものを守るため立派に戦ったんだと思うわ。

それに戦いを免罪符に人間に悪さをする魔獣が多いのも事実だもん。

むしろお金だけじゃなくてちゃんと人助けが目的で安心したよ!

人間にも応援したくなる人がいるという事がわかっただけでも手伝ってよかった!」

「……僕も誤解していたよ。魔獣にもいい人はいるんだね。

でも君たちこそどうして手伝ってくれるんだい?」

「え?言ったでしょ?楽しそうだもの!」

「困ってそうだったからな。放っとけないよ。」

「君たちは……。」


 ***


O「しかしここまで来たはいいがどうやって宝を見つけるんだ?

「ああそれなら……

たぶんあっちの砂漠かな?

O「なんでわかるんだ?

「なんでって言われても……。なんとなく?

なんかあっちの方から気配みたいなの感じるのよね。

なんか強そうな奴のそーいう気配に敏感だし?

「もしかしてドラゴンの気配か?

じゃあ本当に秘宝があるかもしれないな!

O「そうか!それならさっさと行こうじゃないか!


 ***


「それで……どうだ?秘宝は見つかりそうか?」

「うーん……ちょっと待ってね……今魔法で探してみるから……。

ふう……」

「消耗が激しいな……大丈夫か?その魔法疲れるんじゃ?」

「うーん……暑くて全然集中できないのよね……。

もう服脱いじゃおうかしら!」

「ぬ、脱っ……なに言ってんだ!?」

「あっはは冗談冗談!

……あれ~?アルド顔真っ赤にしてるね?うっふふふ♪」

「いや、ちが……あ、暑いからなうん。」

「照れちゃって~。……あ!エレメンタルの気配掴んだよ!」

O「本当か!?どっ、どこにあるんだお宝は!」

「こっちこっち!」


 ***


「ここの地下深くからかすかに古いエレメンタルが漏れてるみたいね。」

「地下深くか……掘り起こすのは骨が折れそうだね。」

「場所はわかったんだ。何日かかろうが掘り続けりゃいつかは!」

「けどこんな砂漠で肉体労働か?暑さでぶっ倒れるぞ。一旦方法を考えて……。」

「もう目の前まで来たんだよ?ここでおあずけなんてつまらないわ!

よーっし!それじゃこのミュルスちゃんにまっかせなさい!」

「うおおっ!?ミュ、ミュルス!?」

「いくわよーっ!それそれそれーっ!」


<ミュルスはすさまじい勢いで地面を掘り進めた!>


 ***


「見つけたーーっ!!」

「おお……すごい……これが魔獣のパワー……。」

「さすがだ魔獣の嬢ちゃん!ささっ開けよう!お宝お宝~!

ぐおっ……」

「エレメンタルの封印か。どうやら本物らしいな……。」

「やはり……。またミュルスさんに頼むしかなさそうだね。」

「はぁ……はぁ……ちょちょっと……待って……

もーー疲れた!汗だく!少し休憩させてぇぇ~……。」

「こっちに来てからミュルスには頑張ってもらいっぱなしたしな。」

「いくら魔獣でもスタミナの限界はあるのよね~……。」

「ああ。ありがとうなミュルス。ゆっくり休んでくれ。」


 ***


「ふーっ……よし!OK休憩終わり!


「それじゃあお願いします。

「まっかせといて!

……よーしよしいい子だからね。ほうほう。ここがこーなってー……なるほど!こうしてほしいのね?

「いけそうか?

「うん!封印自体はちょっとした調節でなんとかなりそうね。

ほらここのところをこうするとっ……!

これは……。

「……開いたのか?なんだか文字っぽいのが浮かんでいるけど。

「…………。

ごめん。この宝箱は私には開けられないかも……。

「えっ!?どういうことです!?

「この文字……古い竜の言葉で生贅を捧げるよう書かれているの。

「生贅……そんな……。

だ、だめです。それはできない。僕は人を救うために宝が欲しいんです。

そのために人を殺すことはできない。生贅だなんて……。


「……ならそこの魔獣を殺しちまえばいい。

人じゃないんだ。魔獣ならノーカンさ。それに何人死のうが人間には喜ばしいだろ?

「と、父さん何言ってるんだ!?ここまで来れたのもミュルスさんのおかげじやないか!

「なら最後までせいぜい役に立ってもらおうぜ?


「馬鹿を言うな!オレたちはそんなことのために手を貸したんじゃない!

「そうだ!父さんは間違っている。一体どういうつもりなんだ!

「間違っているのはお前だ!宝を前にしてむざむざ帰るのか?

お前がいらないというなら……俺が貰ってやるよ!

「ぐあっ……!父さん……どう……して……。

「……なんで!?そこまでしてお宝が欲しいの!?

自分の息子なんでしょう!?その命より重いお宝なんてあるわけないじゃない!

「くだらん!金は自分のために使ってなんぼだろうに。

秘宝があれば一生遊んで暮らせる。このチャンスをフイにするほうがよっぽど馬鹿ってもんだ!

「うッ!?なんだ……!?

「ククク……あいつの血で宝箱が開いたみたいだな。

「ダメっ!それに近づいちゃ!

「…………あ?


「な、なんだ……あれは!?怨念が実体化しているのか!?


 ……秘宝ヲ狙ウ不届キ者ヨ。
 同胞ノ血ニ ソノ手ヲ染メテ尚 過チニ気ヅカヌ愚力者メ。


「ひ……ひっ!いやだ、たすけっ……!


「……!!


 マダイタカ 不届キ者ノ仲間ヨ。
 貴様ラノ魂マデ 焼キ尽シテクレル!


「私たちまで狙ってるようね!

「ああ……やるしかない!いくぞッ!


 グアアアアッ……!
 ダ、ダガ我ハ滅ビヌ……!

 秘宝ハ渡サヌ……!誰ノ手ニモ……!



「ふう……なんとか撃退できたみたいだな。

「…………。いくらお金が欲しいからって自分の子供を殺すだなんて……。

「……ああ。オレもまだ信じられないよ……。

「……ねえ人間ってどうして?どうしてこんなことをしてしまうの……!?

「それは……。

「……ううんごめん。人間だからってわけじゃない……。

いい魔獣もいれば悪い人間もいる。そういうことよね……。

「……うん。ただ……あの二人救われないな。こんなことになって……悔しいよ。

「そうね……。せめて二人とも弔ってあげましょう。

きっと天使様が来世で幸せにしてくれるから。

救われなかった人と救えない人……どちらも等しく空に還れますように。

「……そうだな。来世こそは幸せな親子になってほしいな。

「それで財宝はどうしよう?私たちがもらう気にはならないわよね……。

「ああ……埋めておこうか。あの怨念がまだ宿っている可能性も捨てきれないし。

せめてこんな悲劇が二度と起きないよう願うばかりだな。

「……うん!前のよりずっと強い封印をかけてずっと深い所に隠しちゃうね!



「……来世で立派なお医者さんになれるといいね。



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Story3 未来に託すもの


「はぁはぁはぁ……!

< >

「きゃあっ……!?


「とと……ごめんね?おじいちゃん。怪我はない?」

「いいえ……。大丈夫です……。」

「って!怪我してるじゃない!全然大丈夫じゃないわ!?」

「転んだ傷じゃないな。一体何があったんだ!」

「くっ……す、すみません。これをお願いします……!」

「えっな、なにこれ?急に押し付けられても……。

あっ!ねえちょっと!待ってってば!」


「なんだったんだ……?ただ事じゃなさそうだけど。

それにミュルスは何を押し付けられたんだ?」

「うーんとなんか柔らかくてもぞもぞ動いてて~……。」

「だぁ~…………。」

「そうそうだぁ~ってまるで赤ちゃんみたいな鳴き声……。

って、ええ!?こここここれ人間の赤ちゃんっ!?」

「あ、赤ちゃん!?なんで!?」

「しし知らないわよー!なにこれなにこれ、どうしよう!?」

「だぁ~う~。」

「やんっ、ちょっ……ヘ、ヘンなとこ触っちゃ……あははっ、くすぐったいって!」

「あぅう…………。」

「あ……まずい。」

「え?」

「あーーーーっ!!だああああーーーーーっ!!」

「わわわっ泣き出しちゃった!ええっとええっと……よーちよち大丈夫よ~……。」

「あーーーーーんっ!!うわーーーーーーーーんっ!!」

「どどっどうしようアルドぉ!全然泣き止まないよ!?」

「うーん……たぶんお腹が空いてるんじゃないかな?」

「ええ!そんなこと言われても食べるものなんかないよ!?」

「いやその子はまだミルクだろうな……。」

「ミ、ミルク……って……。

ああああアルドっ!?ヘンなとこ見つめないでよっ!?」

「み、見てないって誤解だ!とにかく子供用のミルクを売ってないか探しに行こう!」


 ***


「あーーーーーんっ!おぎゃーーーーーーっ!!」

「うぅぅ~っ……世のお母さんって大変なのねえ……よーちよち……。」


「な、なあ!赤ちゃん用のミルクって取り扱ってないか!?」

「んぎゃーーー!んぎゃああーーー!」

「おうそれくらいなら作れるぜ。はは大変だな。

ちょいと待ってな。」


 ***


「ほらよ。赤ちゃん用の特製ミルクだ。気をつけて飲ませろよ。」

「ああ、ありがとう!」


「ほらミュルスゆっくりあげるんだ。少しずつな……。」

「こ……こう?」

「んくっ……んくっ……。」

「うわあっ飲んでる……!うふふっちょっと可愛いかも……。」

「やっぱりお腹が空いてたか。これで落ち着くといいんだが……。」

「珍しいこともあるもんだ。どうして魔獣が人間の子を育ててるんだ?」

「ち、違うって!突然押し付けられただけだよ!」

「なんだかよくわからないが大変そうだな。」

「まったく大声で泣いていい迷惑……。」

「だぁ~……あぅ~……きゃっきゃっ。」

「…………。はぁ。この子が悪いわけじゃないか。

ねえアルドミルクはあげたしこれで一安心なの?」

「そうだな……やっぱり寝かしつけるのが一番だろ。

フィーネも昔はギャンギャン泣いて大変だったからな。寝てくれるとオレも助かったよ。」

「なるほどね~……。でもどうやって寝かしつけよう……。」

「そうだな……オレとじいちゃんが使ってたアレを使ってみようか。

多分この街でも売ってるはずだよ。探してみよう。」


 ***


「あのさ、まどろみのアロマって置いてないか?」

「まどろみのアロマ?なにそれ?」

「ありますよ。まどろみの綿を原料にしたお香なんです。

これには安眠効果がありますからね。赤ちゃんにも、うってつけですよ。」

「原料は初めて知ったな。フィーネはこれを使うとすぐに寝てくれたもんだ。」

「よかったこれで寝てくれるね……。」

「うぅ……あぅ~……!あわぁああ~!」

「えー!またぐずりだしちゃった!どうしたの~お香が気に入らないの?確かに変なニオイでちゅね~……。」

「あ……こりゃおむつだな。」

「変なニオイってそういうこと!?やーんもぉどうすればいいのー!」

「カゴでよろしければご用意できますが?」

「ああ助かるよ。

いいか?まずここをほどいてだな……。」


<ミュルスはなんとか赤ん坊のおむつを替えた!>


「ふぅ……ようやく寝てくれたわね……。」

「お疲れさんミュルス。これでしばらくは一休みだ。」

「すぅ……すぅ……。」

「ふふ……呑気に寝ちゃって。こっちの苦労も知らないでさ……。」

「でもその寝顔見てると怒れないよな。わかるよ。」

「ふふアルドってばなんだかいいお兄ちゃんって感じ!」

「いやまあ……フィーネの兄貴だからなぁ。」

「でもわかるなあ。この寝顔……守ってあげたくなるもの。

赤ん坊って未来からの贈り物よね。だからきちんと育ててあげて未来に返してあげなきゃね。」

「ああ……そうだな。いい子に育つといいな。

ところで……言いにくいんだけどミュルス……その……服が……。」

「ん?どうしたの?」

「ほらその裾のとこ……ついちゃってるぞ。」

「え!?あ!!ま、まさかおむつを替えるときに……!

あ、洗ってくるから!ちょっと待っててアルドっ!!」


「はは慌ただしいな……オレもちょっと一休みするか。」

「すぅ……すぅ……。」

「あれなんだか……猛烈に……眠い……な……。」


 ***


「……ルド。アルド!起きてってば!ねえ!」


「うわッ!?あれ……オレ寝てたのか?」

「大変なの!あの子がどこにも見当たらないのよ!」

「な、なんだって!?一体どうして……はッ!?

このアロマ偽物だ!強制睡眠剤だ……これでオレが眠らされたのか!?」

「そんな……なんで!?もしかしてあの商人の娘が誘拐を!?」

「わからん……だが嫌な予感がする!あの子を探そう!」


 ***


「はあはあっ……くそ!どこにも見当たらない……!」


「どう?見つかった!?」

「いいや……ダメだ。ミュルスの方にもいなかったか……。」

「うん……。あれ?ねえあの人って……!」

「あれは……あの赤ちゃんを押し付けてきた……!」


「おお、あなた方は……。」

「おじいちゃん!色々聞きたいことはあるけど大変なの!あの子さらわれちゃったみたいなの!」

「すまない!オレがしっかり見ていれば……!」

「なんと……!お二方そんなに自分を責めないでくだされ。悪いのはわしの方じゃ。

我が家の跡継ぎ争いに巻き込んでしもうたの……。」

「……跡継ぎ争い?」

「はい。我が家は王都の貴族であの子はわしの孫なのです。

ですが息子の嫁はあの子を産んですぐ亡くなってしまった。

息子は再婚したんじゃが……今度は息子が戦で散ってしまった。」

「…………。」

「後妻の一家は我が家の権力を乗っ取ろうとしているのです。

わしと次期当主であるあの子を亡き者にして……!」

「……だから傷だらけで逃げ回っていたのか。」

「……なにそれ……!くっっっだらない!!

あの子は関係ないじゃない!巻き込まれたあの子が可哀想だわ!」

「その通りです……奴らは血も涙もない極悪人でした。

あなた方も巻き込んで申し訳ない。強い魔獣に預けておけば安心ととっさに思い付いたもので……。

どこに連れていかれたかは想像がつきますじゃ。ここからはわし一人でなんとかします。」

「……待って。赤ん坊を……未来からの贈り物を亡き者にするなんて許せないわ。

私も行く!悪い奴らからあの子を救い出してやるわ!」

「その通りだ!どんな理由でも赤ん坊を狙うなんて見過ごせない!」

「お二方……あの時お二方に出会えたのは一生の幸運かもしれませぬ。

おそらく彼奴らはセレナ海岸に。どうかお願いします……!」


 ***


「いましたっ!彼奴らですじゃっ!」

「待ちなさい!その子を殺させたりしないわ!」


「フン……追ってきたかいクソ貴族様め!」

「アロマ屋に確か酒場にいた男……みんなグルだったのか!?」

「押し付けられた赤ん坊と聞いてな。ピンと来たんだよ。」

「間抜けよね。あんな簡単に騙されてぐっすりなんて!」

「この子とそのジジイが死ねば遺産も権力も全て私たちの物になるんだよ!

これは私たち一族の話!部外者は引っ込んでな!」

「何が一族じゃ!きさまらなど家族として認めておらぬわ!」

「一族の争いだか何だか知らないけどその子は関係ないでしょっ!

もーーーっ我慢できない!どうしてもやりたいってんなら……私は魔獣式でやらせてもらうから!」

「ま、魔獣式……?一体何をするつもりだ?」

「決まってるわ!魔獣の優劣を決めるのは真っ正面から力と力のぶつかり合いよ!」

「……はは!わかりやすい!乗ったぞその提案!」

「ふん!頭の悪いケモノ風情が。こいつの相手でもしてなさい!

ここで皆八つ裂きにしておしまい!どうせ事故死になって証拠は残らないわ!」

「ふふん!じゃあこっちは二倍の……十六裂きにでもしちゃおうかしら!」



 ***


「覚悟しなさい!」

「なっ……あの魔物がやられるなんて……!」

「終わりよ。その子を返してもらうわ!」

「くっ……こうなったらこの子の命だけでも……!」


「待てっ!!」」


「騒ぎを聞きつけて来てみれば……!

きさま子供を手に掛けようとしたな!?」

「なっ……ちが、これは……。」

「それに魔物をけしかけ人を危険な目に会わせるとは……!

お前たちは包囲されている!神妙にお縄につけい!」


 ***


「お二方……本当にありがとうございました。」

「ううん!この子も無事で済んでよかったわ!」

「だぅ……あーーーっ!ああーーーーんっ!」

「よしよし……怖かったわね。もう大丈夫、大丈夫だからね……。」


眠れ 眠れ 愛しき子よ

遥けき空の 御腕に抱かれ


馳せよ 馳せよ まどろむ夢よ

天使の揺り籠 揺れて 揺れて……


「その歌は……?」

「……魔獣に伝わる子守歌なの。」

「いい歌だな……その子も落ち着いたみたいだ。」


「ええ。……それじゃお別れね。短い間だったけど楽しかったわ。」

「お世話になりました。優しい魔獣の方……。」


「……マ……

ママ……まぁま……。」


「ば、ばか……私がママだなんて……。

……元気に大きくなってちゃんと未来を築いてね。」







コメント (【アナデン】ミュルス Storyに対して)

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