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【バーチャルマーケット】メディア向け開催発表レポート - パラリアルの今と未来

投稿日時: 著者:Gamerch編集部

4/22、VR空間内で開催されるイベント【バーチャルマーケット】に関するメディア向け発表会が行われた。来場者数は12万5000人を記録し、企業からの注目も集まる展示即売会「バーチャルマーケット」、パラリアル世界とは。



皆さんこんにちは。育良啓一郎です。WEBコンテンツ「SCP財団」関連の活動をしているVR/Vtuber好きの者です。


今回、VR空間内でのイベント「バーチャルマーケット」に関する発表会に記者として参加させていただきました。そのレポートを遅ればせながら書かせていただきます。


このディスカッションは「VRユーザー向け」と言うよりは「VRをあまり知らない人向け」を指向したものです。集まった各社も、各界で広く知られているメディアさん・企業さんが集まっていました。


私自身はどちらかといえば「VRユーザー」に近い立場ではありますが、「外向けの発信」を「内側から見た」場合の記事が書ければと思います。



「バーチャルマーケット3」に関するメディア向けパネルディスカッションが開催


2019年4月22日、VR空間内でのイベント「バーチャルマーケット3」に関するメディア向けパネルディスカッションが、東京都港区のエイベックス本社にて開催されました。主催は「バーチャルマーケット」を開催した株式会社HIKKYです。



次回開催予定の「バーチャルマーケット3」に関する発表のほか、バーチャルマーケットを取り巻く新たに生まれたVRの市場について、関連する各界からパネラーを集めパネルディスカッションで議論が行われました。


パネラーには、Smartly.ioセールスディレクターの坂本達夫さんを司会に、パネリストとして株式会社HIKKY代表取締役の舟越靖さん、SHOWROOM代表取締役社長の前田裕二さん、医療系VR/MRのHoloEyes株式会社取締役COO・東京大学先端科学技術研究センター客員研究員の杉本真樹さん、東京大学情報理工学系研究科講師の鳴海拓志さん、KDDI株式会社経営戦略本部ビジネスインキュベーション推進部長の中馬和彦さん、AT PARTNERS株式会社代表取締役の土佐林淳さんが参加されています。



バーチャルマーケットを取り巻くVR事情


VRChat


昨今のVR事情として、Vtuberの興隆と並行し、VRネットワーキングサービス上でのユーザー間交流が盛んに行われるようになってきています。


代表的なサービスが「VRChat」です。「VRChat」では、ユーザーはVR機材を用いて※3Dアバターをまとい、VRネットワーク空間上でリアルタイムな交流を取ることができます。バーチャルマーケットも、この「VRChat」上で開催されました。

※VR機器がなくてもプレイは可能です。


「パラリアル」な人々の登場


ユーザーによっては一日あたりのプレイ時間は数時間にも及び、余暇時間の殆どがVR空間上になっているため、"実質的にバーチャル空間で暮らしている"と言うユーザーも居るほどです。


株式会社HIKKYは、この「アバター = "外見を持ったアカウント" を持ち、バーチャルとリアルを行き来する人々の生活スタイル」という新しい概念に、「パラリアル」という造語をあてて説明しました。平行世界などの"Parallel"と現実世界の"Real"を組み合わせた語です。



「パラリアル都市」


「バーチャルマーケット」の開催


そんな中、3Dアバターの展示即売会をVR空間内で行うイベント「バーチャルマーケット(Vケット)」が、HIKKY所属のクリエイターであるフィオさんを主催にクリエイターチーム主導で開催されました。


「VRChat」では、プレイ時に身にまとう3Dアバターデータをユーザーが自由に差し替える事が可能になっています。そのためまるで服を着替えるように外見を変更して、コミュニケーションを楽しむことができます。


「バーチャルマーケット」は、このVRChat上で使用可能な3Dアバターなどを、出展者がVR空間内で展示、来場者はVR空間内で実際にアバターを「試着」して、pixiv BOOTH 等にある出展者のWEBページにて購入を行うという、VR空間上での展示即売会です。



Vケット2の来場者数は 12万5000 人に


その注目度・来場数は極めて大きく、2019年3月8日~3月10日の3日間連続で開催された「バーチャルマーケット2」では、来場者数はHIKKYの2万~5万人という想定をも超え、12万5000人に達しました。


コミックマーケットの約59万人、ニコニコ超会議の約16万人、東京ゲームショーの約30万人という来場者数(HIKKY資料より)と比べても、第二回にして12万5000人もの来場者数を記録したバーチャルマーケットがいかに盛況かが伺えます。


社内からVケット2に参加した際の写真 アバター:量産型のらきゃっと


「『パラリアル都市』とでも言うべきものが誕生する」


株式会社HIKKY代表取締役の舟越靖さんは、パネルディスカッションの冒頭にて、新たなこのマーケットについてこう語りました。


「すでに10万人規模の市場がもうあるので、これを常設したらほぼ街のような感じになる。もしそれがもっと発展した場合どうなるか。例えば、一般のVRを知らない/興味がない人が、自分の好きなキャラクターがVRの市場にあった場合、どうなるでしょう? たぶん興味があって入りたい。例えばスマートフォンで気軽にアクセスできて、それで買い物ができたりすると、そこには10万人規模の市場があるので、買い物がいっぱいできます。そうして興味は更に深まる。そういった市場が出来ていくと、VRの価値や市場は膨れ上がる。こうして『パラリアル都市』とでも言うべきものが誕生する(舟越さん)」


この日のパネルディスカッションではそれがどのような価値をもたらすか、学術/ビジネスなど複数の観点から伝える事ができればと述べられていました。



事実、バーチャルマーケットは会場が独自のテーマを持っている複数のVR空間で構成されており、全体として複数の街区からなる都市のような構造になっています。


加えて、テーマパークのような「そう見えるように設計されたハリボテ」ではなく、実際にユーザー・出展者がおり、商店街のような機能を実際に持っている点は注目するべきかと思います。


パネルディスカッション ─ 学術的な視点


前半では、杉本さんが医療の現場を大きく変えつつあるVR/MR技術、鳴海さんがVRアバターの持つ身体性が心理に与える影響についてのセミナーをされました。


医療の現場で「社会実装」が進むVR/MR


杉本さんのセミナー「XR技術(VR・AR・MR)による手術支援・遠隔医療・パラリアルヘルス」では、既に実用化が進む「HoloEyesXR」についての紹介がありました。


HoloEyesXRは、WEBサイトにアップされたCT撮像のポリゴンをAIが分析、VR/MR用のアプリを自動生成して、手術等に用いることが出来るサービスです。既に一部で保険が適用されるなど、実際に市販化が進んでいるVR/MRサービスとなっています。



印象的だったのは「手術前の滅菌中に生成が完了し、すぐに手術に入る事ができる」という言葉です。事実、アップロード完了からアプリ完成まではわずか15分となっています。


杉本さんは、この後のディスカッションでも「社会実装(人のなんの役に立つのか?)」という部分にフォーカスし、実証の場においては自動化は必須となるという見解を示されていました。


アバターが心を変える「ゴーストエンジニアリング」


鳴海さんのセミナーテーマは「自在な心を生み出すインフラとしてのアバタ」です。身体の変化が認知に与える影響についての研究が進んでいますが、そこにVR技術を導入し、アバターに変化を与えることで心理にポジティブな影響を与える事ができるかもしれない、という研究をされています。


このVR/アバター技術を用いて身体を拡張し心を考える技術を「ゴーストエンジニアリング」と呼ばれていました(攻殻機動隊で出てくる"ゴースト"と同じ、自身の特性やアイデンティティを指しています)。



鳴海さんは、「自分の気持ち・思考・能力・運動、何をしたいのか?というTPOに合わせて、アバター(身体)を使い分ける時代がもうすぐくるかもしれない」とし、更にアバターの使い分けが進めば相互理解が深まりやがては人間のあり方の理解が進むかもしれないと述べられていました。


この部分については、既に「パラリアル」な生き方をされている方には心当たりがあると思います。


「パラリアル」との関係性について


後半のディスカッション部では、パラリアルにおけるこれらの技術・研究の重なりについてフォーカスが当てられました。


「身体自体は診る必要がある。"触る"という行為がないと治療がなりたたないため、完全にVR空間で可能なものとしては、薬を選ぶなどは出来るかもしれない。しかし、責任の所存、本当にその人が医者なのか? その患者は本当に"痛い"のか?(場合によっては医療用麻薬等も入手できるため)など、本当にその人なのかという証明と、医療従事者がどこまで責任を担保するか、などの整備が必要(杉本さん)」

「身体が心理にどう影響を与えるかの研究はまだ始まったばかりであり、どう活用するか、社会がどうやったら受け入れてくれるのかなどの課題がある(鳴海さん)」

「ビジネスとしての社会実装はまだだが、しかしVtuberやパラリアルな人々が研究よりも先行して現れており、我々としてもそれがどう人に影響を与えるのかというアカデミックな知見を貯めなくてはならない。社会に先に使われているので、それに追いかけるように理論を貯めて、(学術的な)ガイドラインや、よい生活につながる提案をしていかなくてはならない(鳴海さん)」


「既にパラリアルな場にいる人々と、ダイレクトに研究がしたい」


また、鳴海さんは「既にパラリアルな場にいる人々と、ダイレクトに研究がしたい(鳴海さん)」とも仰られています。今後の研究で、パラリアルに生きる人々との直接的な関わりも生まれてくるかもしれません。ここで"ガイドライン"に関連してパラリアルと研究に関する議論もありました。


「ただ、学術的なガイドラインは一般の人は見ない。他にやれることもあるかもしれない(杉本さん)」

「実際のパラリアルの現場から、学術的研究へフィードバックが出来たら良いかもしれない(舟越さん)」

「研究上のエビデンス作成に使えるデータの取り方が曖昧なため、統一した条件でデータをとるためのフレームワークのような物が必要かもしれない(杉本さん)」


他の分野とのコラボレーションという話題では、「工学・研究者の方に手術を上手くなってほしい(杉本さん)」という話が印象的でした。


どちらか片方だけを考えていればいいという時代では既に無く、お互いが自分の立場を主観的に見る事が必要で、関連してリアルとバーチャルという対比においても、両方の共存を考えられると良い、という意見でした。


Vケットに健康診断所?


また、「Vケットに健康診断所を設ける事ができるのではないか?(杉本さん)」という話もありました。


CTやMRIやエコー撮像等で得られる医療用データは、実は医療機関で請求する事ができるため、それらのデータを事前に受け取っておいてバーチャル空間上で診断してもらう、というようなことも考えられるとのことで、パラリアルな人々のヘルスケアをサポートできる可能性についての議論がなされていました。


これは私の個人的な見解ですが、現状パラリアルな生き方をしている方々は生活が不規則になりがちな人が多い傾向があると思っているので、非常に興味深く拝聴させていただきました。


また、一般への"バーチャル"の普及に関する話題では、"あったら良いな"ではなく"なかったら困る"ものにしていく必要があるという話がありました。日々にどう組み込むか、それが無いと困るという視点は、パラリアルの外向けの施策を考える上で示唆になりそうです。


パネルディスカッション ─ ビジネス的な視点


こちらでは、パラリアルが市場としてどのような可能性があるか、中馬さん、土佐林さん、舟越さん、前田さんのディスカッションが行われました。


5Gがすべてのリアルをデジタルに取り込む


KDDIから中馬さんが参加されていることもあり、最初の話題として第5世代移動通信システム「5G」についてフォーカスされました。


「5Gのイノベーションで全ての機器が通信出来るようになり、"すべてのリアルがデジタルに取り込まれる"事で、表現に多様性がでてくる。これにより(平面である)スマホセントリックな時代は終わり、ポストスマホの時代になる。リアルな空間がつながるようになるならば、VR/ARは最もわかりやすい形かもしれない(中馬さん)」


そこで舟越さんから「5G や Bluetooth5.1 で位置情報はどう進化するか?(舟越さん)」と質問が入りました。

中馬さんは「位置情報(GPS)は平面的だが、3Dの壁面を全て空間として認識する技術(VPS、屋内測位技術)により、実際の街にAR等でサイネージを出すような、リアルな空間にバーチャルな情報をオーバーレイする方向に進むのではないか(中馬さん)」と回答。


この日の開催発表で初めて公開されたHIKKYの「東京都VR化計画」とも関連性がありそうで、"パラリアル都市"の未来の一端を垣間見ることができそうな議論でした。


サブアカウントが表現の幅を広げる


また、やがて訪れるだろう5Gやバーチャルが当たり前になった時代に、ビジネスプロデューサーとしてどういったことを今考えているかという坂本さんの質問に対し、前田さんから「人格数を増やす(前田さん)」という回答がありました。


「日本は人口は減少しているが、世界一"複アカ(サブアカウント)"数が多く、人格数が増えると一人あたりGDPは増えるかもしれない。別のキャラクターが自分とは別に価値を生み出せる。自分が直接やるとノイズになる物をサブアカウント=バーチャルな人格でやることで、表現の幅を広げることが出来る(前田さん)」

「SHOWROOMがVR分野に投資しているのは、リアルアイデンティティが壁になっているから。演者になるためのハードルを下げる必要があるが、国内では"表の顔"を晒すことに対して抵抗がある。Vtuberの文脈の持っている、生まれ持った制約にとらわれず自分の内に秘めた個性を表現できる事が、SHOWROOMの理念と合致した(前田さん)」という話もあり、バーチャルへの期待についても言及されています。


投資視点からのパラリアル市場への期待


投資という話に関連して、投資対象としてパラリアル市場がどう見られているかという質問が土佐林さんにありました。


「VRは"ものすごい可能性を秘めているテクノロジー"。キーとなるのは"人の視覚を完全にハイジャックする技術"で、眼の前にあるものがリアルなのかバーチャルなのかわからない技術が出てくるかもしれない(土佐林さん)」

「バーチャル世界の中で生産と消費の経済活動が完結するようになると、国境のないもうひとつの世界が生まれる。こうなった時に逆にリアルの世界はどう変化するかということを考えたい(土佐林さん)」と、VRという技術のもつポテンシャルに強い期待を寄せられていました。


既存の制約に囚われず、新しい常識を


また、そこで国境のないバーチャル世界での通貨、経済システムの話になりました。


「バーチャルマーケットを作る過程で、リアルの制約(常識)に必ずしも合わせて制約を設ける必要がないという気付きがあり、新しい常識を作っていったほうが面白い(舟越さん)」

「バーチャル世界の通貨を通して、全世界で同じ努力で同じ対価が得られる様になる(土佐林さん)」

「法的な課題はセカンドライフの時点ですでに議論がなされており、あとは次のブレイクスルーがいつ起こるのか次第(土佐林さん)」


国際競争で日本はどう振る舞うか


こういったバーチャルの進展に対し、GAFAなどの海外企業と比較して日本企業は何ができるかという話題に移ります。


「オムニチャネルのようなリアルの一部をデジタル化するというような考え方ではなく、バーチャルが進んできてリアルの世界をマージするという社会になっていく。アセットの大きさではGAFAは小さく、5Gによって生まれる新しいエコシステム、ネットとリアルが融合したプラットホームでのコントローラーはまだ決まっていない。ここにチャンスが有る(中馬さん)」

「日本はクリエイターの才能に溢れている。VRChatを見ていてもそうだが、日本人の作るスペースはアイデアやバラエティに富んでいる。もしかしたら日本人は"バーチャル"に向いているのかもしれない(土佐林さん)」

「日本人は非常に細かく作ることに長けているという話を聞く。また、例えば一個スキルが無くても別のものを寄せ集めて、コラボレートして実現してしまう。この辺が本当にすごい(舟越さん)」と、"バーチャルがリアルをマージする"という視点と、クリエイターの力に注目が集まりました。


クリエイター支援と"分業"コラボレート


クリエイター支援については、複数人のクリエイターによるコラボレート/"分業"と、キャッシュポイントの増加に関する可能性が語られました。


「クリエイターの数や効率を上げるためには、マネタイズを考えてあげなくてはいけない。例えば、絵をキャラクターにする方法を用意し、ギフティングがイラストレーターに還元される仕組みを作った。(ショットの売上を出すのではなく)キャッシュポイントを広げてあげる必要がある(前田さん)」

「"マーケット"が存在することで、一人が考えていた所に仲間が増える。一人で出来なかったことを、分業で一個のものすごいものをやれる。バーチャルの仕組みを組み合わせると、これが実現できるようになるし、既に始まっている。このことを多くの人に伝えたい(舟越さん)」

「分業に至るまでのチーム作りのコストも低く、リスクも低いので気軽にできる。クリエイターがどんどん参加して、インターネットや新しい仕組みの力でキャッシュポイントが新しく作れる。すごい可能性を秘めている(前田さん)」


パラリアル産業拡大のための投資/出資


ここで産業としての拡大についての質問があり、資本獲得についての議論が進みました。


「クラウドファンディングは社会的コストを下げた。この構造をフラットにしていけば自然となる。既にマスは無く、ソーシャル的な発想をするべき(中馬さん)」

「協賛企業ではなく出資は実は断っていた。(日本の)出資には短期的な収益とシェアの独占等の条件があり、(バーチャルマーケットのようなプロジェクトは)かなりの長期スパンで見る必要がある。そういった投資がないか模索している(舟越さん)」


ここで舟越さんから土佐林さんに、海外にそういった投資形態がないか?という質問が飛びました。

「海外はIPOよりもM&Aが中心。特に、テクノロジーがビジネスに取り込めなくても、テクノロジー自体を売却できる市場になっている。国内では市場が極めて小さく、PL/PSで言えば、眼の前のPLの連結ではなく、そこに出てこない特許の価値や10年後のビジネスにどう役立つかという視点を持てるバイヤーが必要(土佐林さん)」


また、ビジネスインキュベーションに詳しい中馬さんからも、「MAにつながったケースでも、KDDI本体には入れずにスタートアップはスタートアップの生態系の中で自由に成長してもらった事で、回り始めた。敢えてドラスティックに壁を立てた方がうまくいく(中馬さん)」など、投資/出資の視点での議論が進みました。


このあたりは特に「外から見たパラリアル」という視点で、パラリアル分野に関わる側から見ても重要なお話だったかと思います。


ビジネス界の意気込み


このディスカッションの最後に、拡大が期待されるパラリアル市場に対する意気込みが一人ずつ聞かれ、それぞれの立場で展望が語られました。


「VRの発展で"(国境のない)もう一つの地球"が生まれれば、いろいろな問題も出てくる。ただ、そこで既存の枠組みの中でビジネスを考えるのではなく、人が何を求めているかを先に考えたサービスが生まれれば、枠組みが後からついてくる。人が求めているものにストップはかからない(土佐林さん)」


「スマホは普及して既に10年ほど経った。そろそろ新しいイノベーションが待たれている。xRの世界はその選択肢として一番有力だと思っている。表現が豊かになりリアルと噛み合う世界は、コンテンツの時代ということだと思う。新しいショーケース、アジア・文化的・アイデアの中心、そういう事ができる。その発信源となりたい(中馬さん)」


「ハードの制約をどう突破するか。VRデバイスはまだ普及に時間がかかる。バーチャルマーケットのような価値を伝えるための橋渡しが自分の役目。その方法がセカンドアイデンティティ/バーチャルアイデンティティであり、作ったキャラクター/アバターで生きていきたいというエンゲージメントを作り、そのアバターを使ってよりリッチな体験をするという方向で、バーチャルへ誘導していきたい(前田さん)」


「バーチャルマーケットは"集合体"であって誰のものでもない。自分たちはその本質的な物をキープする事が役割。市場として様々なものを取り込みつつ、どういったものが"良い"のか、考えていきたい(舟越さん)」


バーチャルマーケット3開催発表


こちらについては既にHIKKYの生放送や各種メディアで報じられていますが、改めてご紹介します。


バーチャルマーケット3(Vケット3)


開催日: 2019/09/21~2019/09/25(5日間)予定

サークル募集: 600サークル 予定

会場: VRchat / 6テーマ・15ワールドで展開


協賛の募集も既に開始されています。

また、今回より「Vケット準備委員会」が発足されます。Vケット参加には作り込みが必要なため、早期から準備を進める目的とのことです。

メディア向けに、バーチャルマーケット2体験ツアーも企画されています。場所はHIKKYのスタジオにて、常設で行われるとのことです。

※ 生放送にて、バーチャルマーケット2のワールドは 5/3 にパブリック化が予定されているとの発表もあったため、VRChatに慣れているユーザーであれば、そちらから覗いてみることも可能になりそうです。


▽ V-Conference (協賛企業、準備会募集のウェブサイト)

https://v-conference.com/


▽ バーチャルマーケットの重大発表! (Youtube場で行われたユーザー向け発表生放送のアーカイブ)

https://www.youtube.com/watch?v=t_d5ZQwFIhw


「東京都VR化計画」


この発表にての新情報となります。Vケット3では現実空間と連動した「東京都VR化計画」という企画が行われるとの発表がありました。


「東京都に限らず世界中で出来ると思う。市場がせっかくバーチャル上に誕生したので、どこかのタイミングで現実とくっつけたい。今回のVケット3では、一部バーチャル空間と現実空間をつなげる取り組みを行う。協賛企業等の力も借りて実現したい」


詳細は追加発表が待たれます。


「クリエイターたちがつくりだした市場機会を発展させていく」


最後に舟越さんから挨拶があり、ディスカッションは締めくくられました。


「バーチャルマーケットでは、フィオを中心とするクリエイターたちがつくりだした市場機会を発展させていくのが私のやりたいこと。海外のプラットフォーマーに『日本からこんな先進的なプロジェクトが生まれるとは思わなかった、素晴らしい!』と褒められたが、日本だから生まれたんだぞ!と少し思った。それぐらい、日本のクリエイトは可能性を持っていて素晴らしい存在だと思うので、そういった人たちとパラリアルな世界をどうやって拡げられるか、それは自分たちだけでは無理なので、皆さんに協力してもらってどんどん拡げていけたらと思う」


アカデミズムやビジネス分野からも強く注目と期待を集める「パラリアル」の世界。クリエイターの持つ可能性と"集合体"としての力をいかにエンパワーメントしていくかがポイントとなりそうです。


第二回パネルディスカッションは、2019年6月を予定されています。


※もし記載内容に誤り等がありましたら育良( Twitter: @ikr_4185 / VRChat: ikr_4185 )までご連絡ください。

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