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【ストーリー】EPISODE 8-47 貴品ユーセージ!

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最終更新者: novira

EPISODE ◆ 8-47

貴品ユーセージ!
禁忌の執行人

登場人物

クロウリー,トレイン,マレウス,リリア


学園長室
Headmaster's Office
マレウス
……それで?
お前たちは僕たちに何をさせようというんだ?
トレイン
『プリンセス・グロウ』は、
茨の谷の王家に伝わる宝物だった。
トレイン
ならばあの石は本来、君が受け継ぐべき物のはずだ。
マレウス・ドラコニア。
マレウス
僕が?
トレイン
もし本当に優勝カップに使われている石が
マレノア姫の遺品であるならば……
トレイン
ロイヤルソードアカデミーに正式に調査と返還を
申し入れてみるべきではないか?
マレウス
必要ない。
トレイン
え?
マレウス
あの石はもともと、
夜の眷属の持ち物ではないからな。
クロウリー
……と、いいますと?
マレウス
約1500年前の話だ。
マレウス
僕の祖母……女王マレフィシアが、
昼の眷属たちとの戦いの末に勝ち取ったもの。
マレウス
それが、あの魔法石『プリンセス・グロウ』だった。
トレイン・クロウリー
!!
マレウス
我ら夜の眷属はその昔、茨の谷のある大陸より
ずっと北の最果て……
マレウス
凍てついた大地からやってきたそうだ。
マレウス
夜の眷属がやってきた当時、大陸の多くは
昼の眷属たちが住まう場所だったと聞いている。
マレウス
共に生きる道を模索したこともあった。
しかし……
マレウス
我々は同じ妖精でありながら、重んじる掟も
生きる環境も何もかもが違いすぎたのだ。
マレウス
永い年月は互いの違いを埋めるどころか、
深い断絶を生んでゆく。
マレウス
だから光と影が決して交わらぬように……
昼と夜の眷属は、別々の道を選んだという。
マレウス
以来、幾度とない衝突が
両者の間で繰り返されることになる。
マレウス
我が祖先は安住の地を持たぬ同胞たちのため、
自ら先陣を切り戦ったそうだ。
リリア
左様。そして、マレノア姫が居城としていた翠が原の
野ばら城も、もとは昼の眷属たちのものじゃった。
リリア
歴史の中の一時我らが手にし、
根城としていたに過ぎん。
トレイン
それは……いかなる文献にも
残されていなかった事実だ。
リリア
そうであろうな。我ら妖精族にとって、
文字による記録など長らく無用の長物だった。
リリア
妖精はどいつもこいつも長生きじゃし……
1500年前の出来事など、歴史書を開くより、
リリア
当事者である親や祖父母に直接聞いたほうが
早いからのう。
リリア
そもそも、我らが記憶を記録として
紙に書き残すようになったのは、
リリア
他の種族に影響された
ここ1000年ほどの流行りにすぎぬ。
リリア
……まあ、口伝にせよ書伝にせよ、語るものの主観が
多分に含まれるのが伝承というやつじゃ。
リリア
ましてや、太古の戦いの真相を語れる者は、
夜の眷属にもおらんよ。
マレウス
そして700年前ごろに我が母が生まれ……
マレウス
『プリンセス・グロウ』をあしらった杖が祖母から
母へと贈られたらしい。
マレウス
その後、来光岬に人間たちがやってきた。
そして昼の眷属たちは、人間に味方したのだ。
リリア
人間たちがあの石の存在や奇跡の力を知っていた
のも、昼の眷属が入れ知恵したんじゃろう。
トレイン
……なるほど、点と点が繋がったぞ!
トレイン
魔法石の鉱山であった雷鳴山脈が、
もともとは昼の眷属の住処であったとすれば……
トレイン
夜明けの騎士からシルバーに受け継がれた指輪と、
マレノア姫の杖に施された『プリンセス・グロウ』。
トレイン
それらの魔法石が兄弟石であることにも説明がつく。
トレイン
まさか、どちらも元々は
昼の眷属のものだったとは!
リリア
いやぁ~。実はそれにも諸説あるんじゃよ。
一説には……
リリア
『プリンセス・グロウ』の原石を
発掘したのは夜の眷属で……
リリア
3000年前に昼の眷属がそれを奪った
とも言われておる。
クロウリー
も、もうわけがわからなくなってきました。
リリア
語る口が違えば、正義も悪も容易く入れ替わる。
歴史とはそういうものじゃ。
リリア
人間はすぐ文献をありがたがるが……
よしんば文字が残っておったとて、
リリア
そこに記されたものが正しい記録かどうかなど
誰にも分からん。
リリア
「もともと誰の物であったか」などと過去を
遡り続ければ、怨恨の連鎖は永遠に終わらぬ。
リリア
絶対的な所有権や善悪など、風に吹かれる
砂のように移ろいゆくものだからのう。
マレウス
ああ。かつて我ら夜の眷属が勝ち取ったものを、
今度は人間と昼の眷属たちが勝ち取っただけのこと。
マレウス
我が母マレノアも、あの石の悠久の歴史から見れば、
手にしていたのはほんの一瞬だ。
マレウス
『プリンセス・グロウ』は勝者が持つべきもの。
マレウス
ゆえに……「返してほしい」と
乞うのは無粋だと言わざるを得ない。
マレウス
ただ僕たちが学園対抗戦という戦いに勝利し、
勝ち取ればいいだけだ。
マレウス
そうだろう?
クロウリー
……
クロウリー
ええ、
クロウリー
ええ! そうですとも!
ドラコニアくんの言う通り。
クロウリー
この対抗戦に勝利しさえすれば、
すべてが丸く収まるというわけです。
クロウリー
我が校の99年にも及ぶ忌まわしき連敗記録の
雪辱も果たせますし……
クロウリー
トレイン先生も、手元にきた優勝カップを心ゆくまで
調べ、ご自身の研究の真偽を確かめられる。
クロウリー
それにより確たる証拠さえ掴めば、
クロウリー
茨の谷の王室から優勝カップを所有する
黎明の国へ堂々と返還要求が出せます!
マレウス
……!
クロウリー
なぁに、遠慮はいりませんよ。“人間の歴史の
記録上では”、正当性は君たちにあるんですから。
クロウリー
そしてドラコニアくんが対抗戦でMVPをとれば、
「勝者が持つべきもの」という筋も通ります。
クロウリー
君は王家の遺品を取り戻し、
トレイン先生は歴史の真実を証明し、
クロウリー
そして我が校は輝かしい栄誉を手にする。
クロウリー
まさに一石三鳥!
全員がハッピーになれるじゃありませんか!
クロウリー
さあ、そうと決まれば目指すは優勝のみです。
クロウリー
絶対優勝! ナイトレイブンカレッジ!!

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