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【ストーリー】EPISODE 7.5-4 命がいくつあっても

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最終更新者: novira

EPISODE ◆ 7.5-4

命がいくつあっても
休息の冒険者

登場人物

マレウス,リリア


S.T.Y.X.研究所‐個室
S.T.Y.X. Laboratory - Private Room
マレウス
おばあさまに命じられたから、
仕方なく留まっていたんじゃ……。
リリア
女王陛下の頼みがあったのは事実。
リリア
だが、なによりわしがお主らの成長を
見たかったからに決まっておるじゃろう。
リリア
魔力を失わなければ、
あのまま学園を卒業したかったし……
リリア
シルバーが成人するところも、
セベクが王宮近衛隊に入隊するところも……
リリア
お主が戴冠するところも、見たいと思っていたぞ。
マレウス
そうなのか!?
リリア
うわっ! 急に大きな声を出すな。
マレウス
じゃあ何故、赤竜の国にひとりで行くなどと
言い出したんだ!
マレウス
あんなに突然言われたら、誰だって驚くし、
マレウス
なにより悲しい。
マレウス
シルバーは泣いていたんだぞ!
リリア
うっ。だが、突然魔法が使えなくなったのは、
わしにも想定外のことだったんじゃ。
リリア
…………
リリア
はぁ。
リリア
わしが現役だった頃は、戦う力を失った者は
潔く去るのが美徳とされていた。
リリア
足手まといはいまだ戦える者の動きを鈍らせ、
戦況を崩す要因に他ならん。
マレウス
何百年前の話だ、それは。
今はもう……。
リリア
わかっておる。
……古く、そして誤った教えだ。
リリア
だが、ヒトの一生は本当に短い。自由に遊び回れる
時間など、妖精(わしら)からすればほんの一瞬に過ぎぬ。
リリア
その一瞬を、きっとあの子は迷いなくわしのために
使ってしまう。それだけは絶対に避けたかった。
マレウス
…………。
リリア
まっ。なんか知らんが魔力も戻ったし、この調子なら
しばらくはシルバーの世話になることもあるまい!
リリア
怪我の功名というやつか。
いやー、わし、ラッキーじゃな~♪
マレウス
リリアがシルバーの世話になりたくなかった気持ちは
理解した。
マレウス
だが、なぜ僕にも黙っていた?
マレウス
友人の悩みひとつ聞けずに、なにが王だ。
せめて相談くらいはされたかった。
リリア
友人!?
マレウス
……何故そこで驚く?
リリア
ス、スマン。そうじゃな、確かに……。
リリア
青春を分かち合うのに、年齢は関係ないか。
リリア
くふふ……わははは!
マレウス
なにを笑っている。僕は怒っているんだぞ。
僕が卵から孵った時のことも、ずっと黙っていた。
リリア
うーん。そこを明かすと話しづらいことが
芋づる式に出てくるというか……。
マレウス
シルバーの出生のことも嘘をついていた。
事実を知れば、僕があの子をどうにかするとでも?
リリア
そうは言うが……お主の生まれであの子を、
人間を愛せというのは酷な話じゃ。
リリア
ナイトレイブンカレッジで外の世界を知れば、
きっとシルバーはあの森を出て人間の世界へ戻る。
リリア
何も知らないほうが、お互いのためにも良いと
思った。
リリア
……まあ、結局バレたんじゃが。
マレウス
……真実を知り、
複雑な心境でないといえば嘘になる。
マレウス
あいつが赤子の頃は、何故リリアはこんな醜い
生き物を拾ってきたんだろうと思っていた。
マレウス
だが……。
マレウス
あいつはみるみる育ち、言葉を覚え、生意気にも
騎士になって僕とリリアを守るのだと言った。
マレウス
そのうちにセベクも加わり、いつ訪ねても
お前の家は騒がしかったな。
マレウス
うるさくて、汚くて……
マレウス
それでも僕は、城の侍従たちの目を盗んで
お前の家に足を運ぶのをやめられなかった。
マレウス
……今更、憎めるわけもない。
リリア
……そうか。
マレウス
……リリア。
マレウス
僕は、ナイトレイブンカレッジに戻ろうと思う。
リリア
!
マレウス
1人1人の力は弱くとも、知恵を絞り、
力を合わせて我が母を討ち……
マレウス
僕の角をへし折ったヒトの子らの強さを、
僕はもっと深く学ばなくてはならない。
マレウス
驕らずに彼らの強さを学べば、僕は祖母よりも、
母よりも、もっと強く賢い王となれるはずだ。
マレウス
そうだろう?
リリア
うむ。お主の言う通りじゃ。
リリア
それに……
リリア
マレフィシア様のカンカンぶりが多少落ち着く
までは、学園に避難するのが吉じゃろうな。
マレウス
ああ。今茨の谷に戻るなんて、考えるだけでも
恐ろしい。命がいくつあっても足りないぞ。
リリア・マレウス
………………。
リリア・マレウス
プッ……
リリア・マレウス
あははははははは!!
マレウス
学園に戻るのも気まずくないといえば嘘になるが、
おばあさまの雷よりはマシだ。
リリア
違いない。わしらは……
リリア
お主を止めてみせたヒトの子らに、
謝罪と感謝をせねばならんのう。
マレウス
そうだな。特にシルバーとセベクには、
とびきりの褒美をとらせてやらなくては。
マレウス
だが、ただ褒美をとらせるだけも味気ない。
なにかもっと特別な……
マレウス
そうだ。
マレウス
良いことを思いついたぞ。
リリア
良いこと?
マレウス
皆をもてなす、良い方法がある。
聞いてくれるか? リリア。


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