EPISODE 8-40 闘志アライズ!

ナイトレイブンカレッジ スタジアム
闘志アライズ!
arise : 起こる、生じる、現れる、生まれる、発生する
登場人物
── 古代遺跡 ──
リエーレ :
すごい……こんな不思議な建物、
海でも陸でも見たことないよ!
あの階段の先には、何があるんだろう?
あっちのドアの中は?
ああ、早く歩いてみたい!
……ん?
…………君、どこかで会ったことある?
アズール :
!! ……ええ、エレメンタリーと
ミドルスクールでご一緒しました。
あの頃とは随分変わったのに、
気づいてくださるとは。光栄なことです。
リエーレ :
エレメンタリー……もしかして君、アズール?
アズールだろう、タコの人魚の!
アズール :
ええ。お久しぶりです、リエーレ王子。
リエーレ :
うわあ、本当に久しぶり! また会えて嬉しいよ。
変わりすぎてて、最初君だとは気づかなかった……
あ、いや!
もちろん良い意味でだよ!
深海にいた時より、すごく……堂々としてて。
太陽の光の下で見ると、
前よりずっと格好よく見える!
アズール :
お褒めに与り光栄です。
あなたもすごく印象が変わりました。
海の中より、ずっと……
なんというか、鮮やかです。
リエーレ :
でしょ!? だよね?
これが本当のオレなんだ。やっぱり陸って最高!
君も陸に上がってたなら、
連絡をくれればよかったのに。
アズール :
ふふ。便りを出そうにも、連絡先を知りませんでした
から。陸の訓練校でも一緒になりませんでしたし。
リエーレ :
ああ、そっか! オレ……
ロイヤルソードアカデミーからの入学許可証を
受け取ったその日に、城から飛び出しちゃったから。
急にいなくなって、
お城の人たちは大慌てしたらしいけど。あはは!
だって待ちきれなかったんだよ。
地上の世界に行くことが!
アズール :
……それはそれは、迷惑……
いえ。行動力が素晴らしい。流石ですね。
リエーレ :
今日の試合は珊瑚の海にも放映される。
良い試合にしよう!
アズール :
ええ、もちろん。
珊瑚の海の第七王子、リエーレ・コーラリア。
もちろん、良い試合にしましょう。
”僕の”有能さを陸と海に知らしめるためにね。
間抜けな王子。
せいぜい僕の引き立て役になるがいい!
ミナジール :
……やれやれ、リエーレの奴。
試合前だってのに緊張感がないな。
この競技は事前の計画立てと打ち合わせが
大切なのに。ちっともじっとしやしない。
ジャミル :
……これはこれは!
ミナジール王子!お久しぶりにお目にかかります。
バイパー家の長男、ジャミルでございます。
本日はお日柄もよく……。
ミナジール :
よせよ、ジャミル、そのへりくだった喋り方は。
城の外でまで「王子」と呼ばれたくない。
ジャミル :
ですがあなた様に無礼な口をきいたとあっては
熱砂の国で逮捕されても文句は言えません。
ミナジール :
はぁ〜。あの国の古すぎる法律には、
心底うんざりする。
ここは黎明の国だ。そして今の俺とお前は、
ただの学生同士。そうだろ?
ジャミル :
……ご命令とあらば。ミナジール”先輩”。
ミナジール :
アジーム家のカリムは元気にしてるか?
祖母君も。
ジャミル :
ええ、それはもう。
ミナジール :
王宮ではいまだに、あの祖母君は語り草だ。
ジャミル :
王族が商家に嫁ぐ。当時は掟破りであり、
国中大騒ぎだった……と、伺っております。
ミナジール :
爺さんがよく話してたよ。「妹は本当に破天荒で元気
なじゃじゃ馬姫で、誰にも止められなかった」って。
……すごい胆力だ。俺も見習いたい。
ジャミル :
………………。
ミナジール :
俺も城を出て、
決まり事に縛られない自由な暮らしがしたいよ。
その点、ロイヤルソードアカデミーは気楽だ。
規則は多くても、実家よりよっぽどいい。
国に戻ればあれを着ろ、これをしろ……
しまいには、まだ影も形もない結婚相手にまで
口出ししようとしてくる! 余計なお世話だ。
ジャミル :
それだけ国王陛下もミナジール先輩に
期待していらっしゃるということかと。
ミナジール :
やめだやめだ。気が滅入る話はよそう!
今日の試合は、お互い自由に楽しもうぜ。
ジャミル :
ええ、お手柔らかに。……それでは、失礼します。
決まり事に縛られない自由な暮らし?
……はっ。
いつだって”選ぶ”立場にいるくせに、
傲慢な悩みだな。
王族のくせにしょっちゅう家出をして、
メディアを騒がせていた奔放な王子。
奴は熱砂の国でハイスクールを飛び級で卒業し、
14歳にして国内統一学力試験で1位を獲得した。
その後、ロイヤルソードアカデミーに迎え入れられた
賢才と持て囃されているが……。
王子殿下に対する採点に、国内でどれほどの公平性が
担保されているのか……正直、疑問しかないな。
所詮、奴は王宮で甘やかされて育った箱入り王子だ。
今日の試合は熱砂の国でも放映される、アイツに
勝てば、俺の勝ちは嫌でも世界に知れ渡るだろう。
……目にもの見せてやるぞ、じゃじゃ馬王子!
ミナジール :
所詮甘やかされて育った奔放王子……
とか、思ってるんだろうな。アイツ。
リエーレ :
ミナジール、今の友だち?
ミナジール :
ダチではねぇな。
親戚の家で働いてる一家の息子だ。
リエーレ :
じゃあ、彼も熱砂の国から来たってこと?
ああ、いいなぁ……!
オレ、砂漠には行ったことがないんだ。広い砂の上に
寝転んだら、きっと気持ちがいいんだろうなぁ。
ミナジール :
そんなことしたら天日干しになるぞ。
さあ熱い砂に思いを馳せるのはそこまでだ、
リエーレ。作戦会議といこう。
お互い、国の連中に間抜けな姿は見せられないだろ。
リエーレ :
うん。オレはもう子どもじゃないって、
パパに認めさせてやるんだ。
ミナジール :
──勝つぞ、この試合。

