聖女 アンナ・マルグレーテ
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※ここはCHUNITHM PARADISE LOST以前に実装されたキャラクターのページです。
- このページに記載されているすべてのスキルの効果は、CHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです(限界突破の証系を除き、NEW以降で入手・使用できません)。
- 専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター(いわゆるトランスフォーム対応キャラ)は、RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。
Illustrator:リウイチ
名前 | 聖女アンナ・マルグレーテ |
---|---|
年齢 | 15歳 |
身分 | 人類の希望たる聖女 |
所属 | ロムニス連合 |
- 2019年12月19日追加
- CRYSTAL ep.IIマップ5完走で入手。<終了済>
- 入手方法:2021/9/2~10/6開催の「「ハイスクールセカンドシンドローム」ガチャ」<終了済>
- CRYSTAL ep.IIIマップ5のマップボーナス(+3)に名指しで指定されている。
- 対応楽曲は「《運命》 ~ Ray of Hope」。
- 聖女:【 アンナ / ルチア 】
人類の希望となるべく、聖女として祭り上げられた少女。
特別な力を持たない普通の少女は、人々に崇められ何を思うのか。
スキル
- ボーダーブースト・SSS [NORMAL]
- ボーダージャッジ・SSSの亜種。
強制終了しない代わりにSSS達成不可能になると上昇率が増加しなくなり、ATTACK以下でダメージを受けるようになる。 - 初期値から7本を狙え、GRADE・精度次第で8本も可能になる。
- フィールドインフォの「ボーダー/SSS」を使うと、上昇量消滅までのスコア猶予を確認しながらプレイできる(S・SSも同様)。
- ボーダージャッジ系と違ってS・SS・SSSを所持しているキャラが別々。1人のキャラで揃わないのはある意味で面倒かもしれない。
- 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
- PARADISE ep.IIマップ1(PARADISE時点で累計135マス)クリア
ランクSSS以上が達成可能のとき ゲージ上昇UP (245%) 達成不能のとき ATTACK以下でダメージ -1500 |
プレイ環境 | 最大 | |
---|---|---|
開始時期 | ガチャ | |
PARADISE× (2021/8/5~) | 無し | +3 |
あり | +7 | |
PARADISE以前 (~2021/8/4) | +11 |
GRADE | 効果 | |
---|---|---|
共通 | (※ランクSSS以上が) 達成不能のとき ATTACK以下でダメージ -1500 | |
初期値 | ランクSSS以上が達成可能のとき ゲージ上昇UP (245%) | |
+1 | 〃 (250%) | |
+2 | 〃 (255%) | |
+3 | 〃 (260%) | |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 | ||
+4 | 〃 (265%) | |
+5 | 〃 (270%) | |
+6 | 〃 (275%) | |
+7 | 〃 (280%) | |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 (2021/8/5以降では未登場) | ||
+8 | 〃 (281%) | |
+9 | 〃 (282%) | |
+10 | 〃 (283%) | |
+11 | 〃 (284%?) | |
理論値:156000(8本+4000/28k)[+3] | ||
理論値:168000(8本+16000/28k)[+7] | ||
推定理論値:170400(8本+18400/28k)[+11] |
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
スキル | Ep.1 | Ep.2 | Ep.3 | スキル |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
Ep.4 | Ep.5 | Ep.6 | Ep.7 | スキル |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
Ep.8 | Ep.9 | Ep.10 | Ep.11 | スキル |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
スキル |
STORY
※シビュラ精霊記における日常風景ですがSTORYにグロ・鬱要素が多く含まれています、閲覧には注意と覚悟が必要です。
「人は愚かだったのかもしれない。それでも聖女は、人々のために身を挺する」
この世界には神に作られた人と、世界に彩りを生み出すための存在である精霊たちが居ました。
人々はいつしか精霊に命を捧げることで、その体に精霊を受け入れ、自然の代弁者たる巫女を生み出しました。
巫女たちは人々の世界をより良いものにしようと、自然の力を操ることで文明を発展させていき、人々の暮らしは豊かになっていきました。
しかし、世界が豊かになっていく中で、人の心は黒く汚いものに染まっていくことになります。
他者の繁栄を自らのものにしようと、人々は争いを初めてしまったのです。
戦禍に巻き込まれてしまった巫女たちは、人々の身勝手な行いによって世界に絶望し、この世界から姿を消してしまいました。
それが聖女として選ばれた私、アンナ・マルグレーテが生まれるより前の出来事。そして創造神イデアの侵攻の原因。
侵攻に対抗すべく、人々には希望が、巫女の代わりとなる存在が必要でした。
それに値する存在こそ、聖女。
私は初代の聖女から力を継承し、2人目の聖女となりました。
初めはただ贅沢な暮らしができることに喜んで、居るのかもわからない救いの神に祈りを捧げ、人々の声を聞こうともしていませんでした。
しかし、神との戦いが近づいてくるにつれて、私は聖女としての役割を果たさなければならなくます。
人々の希望となり、力となること。それこそが、聖女たる私の使命。
私はその使命を全うしなければならない。それが聖女として得た自由の代償。
だから私は人々へ誓うのです。
創造神イデアと対峙し、人の手で必ず勝利を掴み取ることを。
たとえ、神と刺し違えることになったとしても――私はそれを、選ばねばなりません。
「自然を育み、恵みをもたらしてきた4人の巫女。それを欠いた世界は、徐々に崩壊へと向かっていく」
この世界にはかつて火、水、風、土をそれぞれ司る4人の巫女が存在していた。
4人の巫女の力は自然を育み、人々に恵みをもたらし文明を発展させていった。
だが、巫女を過度に崇拝するもの、巫女を支配しようとするものが現れるようになり、世界は徐々に歪になっていく。
歪みは争いの火種となって、世界は混沌に包まれることとなったのだ。
人々の争いに巻き込まれた巫女たちは、戦禍の中で様々な悲劇に苛まれ、世界の滅びを強く願うほどに絶望していった。
この世界での深い絶望は死と同義。
人々の戦争により、4人の巫女はこの世界から消えてしまった。
自然を制御していた巫女が居なくなった世界は、それ以来人々の手には負えない災害を撒き散らすようになっていた。
「幼い少女の姿をした神。それは人々に破滅をもたらす存在だった」
巫女たちが世界から消えて数年が経った頃、突如として世界の崩壊は加速していくことになる。
「私は創造神イデア。この世界の神であり、愚かな人々に終焉をもたらすもの。この世界に醜きものは必要ない。お前たちを根絶やしにして、新世界を創り直すとしよう」
幼い少女の姿をした神と名乗る存在が、アギディスよりさらに北、極寒の大地より闇の獣と呼ばれる異形の魔物を引き連れて、アギディスの都に攻め入ってきたのだ。
魔物だけでも人々にとっては驚異であったが、世界から失われたと思われていた4つの巫女の力を自在に操るイデアを前に、人々は為す術もなく蹂躙されていく。
「人の命というものは、こんなにも脆く、なんと呆気ないものなのだろう」
イデアが手をかざすだけで、大勢の人の命が一瞬にして失われていく。
人々の悲鳴を聞いても、イデアは喜ぶことも悲しむこともせず、表情はピクリとも動かない。
イデアにとってこの侵略は、自ら生み出してしまった失敗作をこの世界から消しているだけにすぎないのだ。
そんな神の勝手な思惑によって、これまで炎の巫女の力により発展してきたアギディスの都は、たった一夜にして壊滅させられたのだった。
「特別な力も何も持たない普通の少女は、人々に祭り上げられ、希望の象徴として崇められた」
自らを創造神と名乗るイデアの力は圧倒的で、人々はただ逃げ惑うしかなかった。
生き残った僅かな人々は、戦争によって荒れ果てたルスラの地へと命からがら逃げ込む。
人同士で争っている場合ではないと気づいた人々は、アギディス、ルスラ、ティオキアの3つの民で団結し、ロムニス連合を成立させる。
しかし、ただの人の集まりでは、全ての巫女の力を持つイデアを討ち倒すことはできない。
そう判断した人々は、かつての巫女と同等かそれ以上の超常の力が必要だと考えた。
だが、世界から精霊は姿を消しており、再び降臨させる方法を人々は知らない。
それでも希望となり得る存在を欲した人々は、『特異な力を持つもの』として聖女という存在を作り上げた。
初代聖女として選ばれたのは、ルスラの貴族の少女。
もちろん少女は何か特別強い力があったわけではなく、容姿が優れていること以外は普通の少女であった。
ただの普通の少女だが、『特別な力を持つ聖女』として祭り上げることで、人々の希望の象徴とし、士気を高めることが狙いだった。
その結果、絶望から逃げるように人々は聖女を崇拝するようになり、ここに虚栄ともいうべき信仰が生まれる。
だがそれも長くは続かない。
聖女とされた少女は、前線で勇ましくイデアに抗うも、その戦いの最中で命を落としてしまったのだ。
特別な力も何も持っていない普通の少女だったのだから、それは当然の結果と言えるだろう。
しかし、人々にとって悪いことばかりではない。
創造神イデアは、初代聖女を手に掛けた直後に、力を完全なものにするために眠りについたのだという。
人々には滅びに抗うための猶予が与えられたのだ。
まず人々が真っ先に行ったのは、2人目の聖女を擁立することだった。
既に聖女という存在は人々の希望になっており、その存在を欠くというのは人々にとって大きな障害となってしまう。
そう考えた人々は、『初代聖女から力を継承した』という謳い文句で、2人目の聖女にアンナ・マルグレーテという少女を選んだ。
まだ年端もいかないアンナは初代聖女と同じく特別な力は持たず、ただ美しいという理由だけで選出された。
それでもアンナが聖女の座についたことで、下がっていた士気は目論見通り回復することになる。
聖女は、それほどまでに人々にとって大きな存在となっていたのだ。
次に人々が取ったのは、創造神イデアに対抗できるだけの戦力の増強である。
兵士たちの強化はもちろん、銃器や大砲といった兵器の量産化。
さらには、かつて巫女が使っていたとされる武器に、精霊の力が僅かだが残っていることに人々は気づく。
武器として使えるような原型は留めていなかったが、その欠片を基に、創造神イデアに有効だと思われる新たな装備を心もとない数だが開発することに成功していた。
そうして数年が経ち、2人目の聖女であるアンナが15歳になった頃。
創造神イデアは再びこの世界に現れ、魔物の軍勢を率いて徐々に彼女の住む聖都ヴァルヴァラへと迫りつつあった。
「居るかもわからない救いの神へと祈る日々。退屈な日常は、それでも平和そのものだった」
──聖都ヴァルヴァラ。
城塞都市アンシエタよりもさらに南に位置するその都市こそが、創造神イデアの手によって帰る家を失った人々がすがる最後の希望の土地となっていた。
そんなヴァルヴァラの聖堂では、人々の前で聖女アンナが祈りを捧げている。
「真なる神よ……どうか私たちをお救いください……」
その姿はとても神秘的なもので、傷ついた人々の心はそれだけで癒やされていく。
中には泣き出してしまう人もおり、アンナの存在は人々にとってまさに救いであった。
やがて祈りの儀式が終わると、アンナは人々に笑みを向けると自室へと引き下がる。
人々からの視線がなくなったところで、アンナは大きく息を吐き出した。
優しい笑みから一転、気だるげそうな表情を浮かべる。
「これで今日の祈りも終わりね」
「お疲れ様でございます、聖女様」
ようやく毎日のお勤めが終わり、解放されたと思っていたところに従者が現れて、アンナは見るからに不機嫌そうに眉間にしわを寄せた。
「はいはい、ありがとうありがとう。こんな儀式に何の意味があるっていうのかしらね?」
「滅多なことをいうものではありませんよ」
「だってそうじゃない。神様お助けてくださいって祈っても、その神様が私たちを滅ぼそうとしているんでしょう? おかしな話よね。そもそも、創造神イデアなんて本当に居るのかも怪しいわ」
「はい?」
何を言っているのかと首を傾げる従者をよそに、アンナは窓の外を見る。
「創造神イデアはかつての巫女たちと同じく自然の力を操ると聞いているわ。けどご覧なさいな、この青く澄み渡る空を。穏やかな街並みを。全くもって平和そのものじゃない」
「今はそうかもしれませんが、ここもいつ戦場になってしまうのか……聖女様はもう少し自分が聖女だという自覚を──」
「はいはい、わかってます。聖女は人々の希望そのもの。皆のために、これからも救いの神に祈りを捧げますわ」
アンナが聖女の座についてから数年。
未だに聖女の自覚を持たずにいることに、従者は深くため息をついた。
「世界のことなど知らず、聖女は不自由なく暮らす。神との戦いなんてものは夢物語に思っていた」
アンナの1日は、神へ祈りを捧げることと、巡礼に訪れた人々との面会以外にはやることはない。
公務と呼べるそれらが終わってしまえば、アンナは聖堂の自分の部屋から出ることさえ許されず、そこで過ごすことになっている。
部屋に押し込められて自由がないことに不満がないと言えば嘘にはなるが、聖女暮らしというのはまさに天国のような気分を味わえた。
毎日美味しい食事をとることができて、欲しいものは言えばすぐに手に入る。
創造神イデアとの戦いのために擁立されたとはいえ、争いは夢物語と思えてしまうほどに遠い話だ。
そんな生活を長年送ってきたアンナが多少ワガママに育ってしまったのは、ある意味仕方のないことだろう。
「ねぇ、喉が乾いたわ。お茶を持ってきてくれないかしら? あと、少しお腹が空いたわ。何か食べられるものも持ってきてちょうだい」
部屋でくつろいでいたアンナが言うと、侍女はすぐさま部屋を飛び出していった。
そんな侍女を見送るアンナは、小さくため息をつくと窓の外を眺める。
「お偉い方が私を前線に送り出すとか言っていたけど、本当かしら……。先代の聖女は戦場で命を落としたと聞いたわ。私も戦場に行ったら死んでしまうかもしれない……そんなの嫌よ……!」
神との戦いは夢物語のように感じていても、いざ戦いの場へ赴くとなると怖くなる。
死んでしまうかもしれない場所に行くのだから当然だ。
なんとか戦場に行かずに済む方法はないだろうか。
侍女が戻ってくるまでの間、そんなことにアンナは頭を悩ませ続けるのだった。
「目の前に広がる悪夢のような悲惨な光景。飛び散った血が、聖女のドレスを赤く染め上げる」
聖女であるアンナに助けを求めて、巡礼に訪れる人々は少なくない。
アンナが話すことができる時間は決まっているのだが、それでも毎日列が途切れることはないほどだ。
「イデアとの戦いはじきに終わるでしょう。皆、生きてさえいれば未来は拓けます」
「かつて私たちを導いてくれた精霊たち、彼らは必ず再び訪れます……その時まで祈りましょう」
「大丈夫です。きっと私たちは、神を討ち倒すことだってできるはずです」
どれもテンプレートのような言葉で、アンナ自身の気持ちはまるでこもっていない。
だがそれでも、人々は聖女であるアンナの言葉を有難がって受け取り、涙を流すばかりだ。
こんな毎日をこれから先もずっと送るのだろう。
漠然とそんなことを思いながら過ごしていたある日。
聖堂に大勢の傷ついた兵士たちが運ばれてきて、アンナの心臓は大きく跳ね上がった。
「どうした? 何があった!?」
「……水の都ティオキアが陥落……創造神イデア率いる魔物たちが、続々とルスラの領土へと押し寄せています……!」
「なんということだ……! 早くこのものたちの治療を!」
傷ついた兵士たちの言葉を、アンナはどこか非現実的なことのように聞いていた。
いつもと変わらない日常。いつもと変わらない場所。
だというのに、今アンナの目の前に広がっている光景は、これまでに見たことがないほどに悲惨なものだった。
(これは、何……もしかして、戦場ではもっと酷いことに……? こんなの、私知らない……!)
目の前の光景を受け入れることができず、アンナはその場に立ち尽くす。
「聖女様……!」
やがて1人の兵士がアンナに近寄ろうとし、途中でよろめくと床に倒れ込む。
その拍子に跳ねた血が、アンナの真っ白のドレスを赤く染めた。
「どうか、どうか我らに救いを……!」
「……ッ!?」
倒れた兵士は、必死にアンナにすがろうと手を伸ばす。
だがその光景は、争いのない平和で穏やかな日常を生きてきたアンナの目には恐ろしいものに映った。
それでも悲鳴を上げなかったのは、仮にも聖女という役割を自覚しているからだろうか。
しかし、胃からこみ上げてくるものを感じて、アンナは咄嗟に口元を覆う。
「聖女様は体調が優れぬ様子。自室へ戻りお休みください」
「……えぇ、申し訳ありませんけれど、そうさせていただきます」
様子に気づいた従者のフォローもあり、アンナは自室へと下がった。
重症の兵士たちを目の当たりにして、初めて神との戦いを肌身に感じたアンナは、自室へと着くと同時に胃の中のものを全て吐き出した。
「多くの人々の悲しみに触れ続けた聖女は、やがて聖女としての自覚と使命感が芽生え始める」
傷ついた兵士たちを目の当たりにしてから、アンナの日常は大きく変わってしまった。
遠い世界のことのように思っていた戦いは現実にあることで、それは着々と自分の日常を侵食している。
聖堂に運ばれてくる兵士たちの数は日に日に増えていき、またその命が失われていく。
水の都ティオキアが陥落したという報せを受けてからほぼ毎日、アンナは何もできずに、そんな光景を何度も目にしていた。
「聖女なんて名ばかりの私に……いったい何をしろって言うの……?」
戦いについての話はアンナにわかることはほとんどなく、かといって傷ついた兵士を治療できるような技術もない。
ただ立っていることが多かったが、それでもアンナは聖女として人々に求められ続けていた。
ある時、アンナは瀕死の状態の兵士を看取ってほしいと頼まれたことがある。
「……よく、頑張りましたね。ゆっくりお休みなさい」
「あぁ……聖女様……に、看取って、もらえるとは……本望で……」
最期の力を振り絞ったのだろう、アンナは自分に伸ばされた兵士の手を取る。
兵士は安心しきったように穏やかな笑みを浮かべながら、その息を引き取った。
「お父さん……お母さん……うぅ……ひっく……」
「辛かったですね……寂しかったですね……」
親が死んでしまって泣き続けていた子どもに、少しでも悲しみが和らぐようにと寄り添ったことも少なくない。
「聖女の私にしかできないこと……人々の悲しみや不安を、少しでも和らげることができるかしら……」
傷ついた人々の様々な悲しみに触れ続ける内に、アンナは次第にそう考えるようになっていった。
全ての人の悲しみを取り除くことができないことはわかっている。
けれど、目に見える範囲で、自分の手が届く範囲でならできるかもしれない。
聖女という肩書の自分が笑顔を絶やさなければ、人々が悲しみに暮れ、不安に押し潰されることもなくなるのではないだろうか。
「人々の悲しみを和らげ、笑顔を守ること。それが、私が聖女としてできること」
神との戦いを現実のものとして受け入れることができたアンナは、ようやく聖女としての自覚と使命感が芽生え始めていた。
「人々を滅ぼす神が着実に迫る中で、笑みを絶やさない聖女は、人々の希望となっていた」
水の都ティオキアが陥落してからしばらく経った頃。
最後の防衛ラインとも言える城壁都市アンシエタが突破されたという報せがアンナの耳に入った。
「そんな……では、イデアがヴァルヴァラに攻め入るのも、時間の問題ということなのですね……」
いよいよヴァルヴァラが戦場になってしまうということに、アンナは自分の無力さを感じて拳を強く握る。
イデアの侵攻により、既に人々が生活できる場所はヴァルヴァラしか残されておらず、街は各地で傷つき逃げてきた人々で溢れかえっていた。
ヴァルヴァラが陥落してしまうということは、人類の敗北。
これ以上後に引けない状況に、人々の不安は大きく膨れ上がることだろう。
それでもアンナは、笑顔を絶やすことはなかった。
悲しみや不安を和らげ、少しでも元気を分け与えることこそが自分の役割だと信じていたからだ。
大丈夫、きっと神に勝つことだってできる。
気休めのようにかける言葉は今までとさほど変わらない。
だが、聖女として自覚したアンナの言葉は、人々に癒やしを与えるようになっていた。
そんなアンナを、人々はより強く崇めるようになっていく。
「ご立派になられましたね、聖女様……」
「いいえ、まだですわ。私が人々の力となり、神を討ち倒すその日まで、気を抜くことはできません」
今までのアンナを知っている従者にとって、聖女としての自覚を持ち始めた今のアンナは待ち望んでいた姿。
自分勝手な少女だった頃のアンナはもうどこにも居ないのだ。
「創造神イデア……私たちは絶対に屈しません。必ずや、あなたを倒して明日をこの手に掴みます!」
人々に対して理不尽に死と苦しみを与え続けてきた神に、アンナは憤りを覚える。
それと同時に、強大な力を持つイデアに、人々は本当に勝つことができるのだろうかと不安も感じていた。
「……弱気になってはいけませんね」
不安を振り払うように、ポツリと呟く。
少なくとも聖女であるアンナがそんな不安を持ってはいけないのだ。
いついかなる時も笑顔を絶やすことなく、人々の希望になり続けると決めたのだから。
「必ず神を倒し、世界に平和を取り戻すと誓う聖女。決戦の時はすぐそこまで迫っていた」
城塞都市アンシエタが突破されてしまったことにより、創造神イデアがアンナの居る聖都ヴァルヴァラに攻め入るのも、時間の問題となってしまった。
そこでアンナは、人々の不安を拭うため、今一度兵士たちを奮起させるために、演説を行うことにする。
集められた人々は聖堂から出てきたアンナの姿を見ると、声を潜めてただ静かにアンナの神聖なる言葉を待つ。
アンナは一度お辞儀をすると、ゆっくりと言葉を紡いでいく。
「私は聖女アンナ・マルグレーテ。人々の希望の象徴となり、今日まで皆を支えるために尽力してきました。それはきっと、これからも変わることはありません。創造神イデアは、間もなく異形の魔物の群れを従えてこの聖都ヴァルヴァラへと姿を現すことでしょう」
神の名前に人々の表情が暗くなるのがわかって、アンナは眉をしかめる。
「皆の不安は私にも痛いほどよくわかります。敵は人ならざる神と魔物。それらによって、今までにいったいどれほどの命が理不尽に失われてきたのか、想像するだけで心が震えます」
悲しげな表情から一転、今度は人々に希望を与えるために、アンナは笑みを浮かべた。
「ですが、希望を捨ててはなりません。抗う術は、私たちにはまだ残されているのです。確かに敵は強大で圧倒的な力を持っていて、その前には私たちは無力なのかもしれません」
希望に満ち溢れたアンナの姿に、人々は次第に俯いていた顔を上げていく。
「けれど、私たち人は、手と手を取り合い、力を合わせれば、神にも負けることのない力を生み出せるはずです。この美しきヴァルヴァラの街が戦場となってしまうのは心苦しいですが、この街が私たち人にとって最後の砦。必ずや神を討ち倒し、この世界に平和を取り戻しましょう!」
話し終えると、人々から割れんばかりの歓声が巻き起こる。
不安を抱えていた街の人々も、これから戦いに赴く兵士たちも、表情が少しだが明るくなったように感じられた。
諦めなければ、神によってもたらされる破滅の運命から逃れることができるだろう。
人々を見て、アンナはそう確信するのだった。
「破滅の運命から逃れるために。人と神の戦いは、ついに最終局面を迎える」
創造神イデアは、ついにその姿をヴァルヴァラに現した。
幼い少女のような姿をしたイデアが宙に浮き人々を見下ろす。
その足元には異形の魔物の軍勢がひしめき、まるで悪夢のような光景が広がっていた。
「あれが……創造神イデア……!」
アンナが憎き神を睨みつけると、人々は初めてイデアの表情が動くのを見た。
「人が未だに希望を捨てることなく抗うのは、強き魂を持つものが居るからか。いいだろう、そのものを私に捧げよ。そうすれば、この街──いや、人の魂を喰らうことは止めにしよう」
「なんですって……!?」
イデアからの思わぬ要求に、人々は戸惑いの声を上げる。
聖女1人の命を捧げるだけで、今生き残っている何万、何十万の人々の命は助かるのだ。
「聖女様を捧げれば……俺たちは……」
「けど、聖女様は今までオレたちを支えてきてくれたじゃあねぇか……そんなこと……」
ポツリ、ポツリと、兵士たちの戸惑いの声が上がる。
イデアの要求を受け入れようというものと、アンナを失うわけにはいかないという2つの声。
このままではいけないと、アンナは兵士たちに語りかける。
「皆さん。私の命1つでこの世界が救われるというのであれば、私はこの命を捧げることに、何も躊躇うことはありません」
では生贄となるのか。
そう声が上がるが、アンナは首を横に振った。
「私が居なくなっても、創造神イデアはこの世に存在し続け、いつまた人々を滅ぼそうとするかわかりません。思い返してください。神が私たちにもたらした悲しみを。無慈悲にも失われていった人々の命を。私たちが笑顔で明日を迎えるためには、神を討ち倒すほかないのです!」
アンナの語りかけに、戸惑っていた兵士たちの想いは固まっていく。
それは、アンナを差し出すのではなく、イデアを討ち倒すというものだった。
人々の答えを聞いたイデアは、つまらなそうに口を開く。
「やはり人は愚かしいな。私のやることが変わらずに済む」
イデアが手を振るうと、魔物の軍勢が聖女めがけて突撃する。
兵士たちもそれに応戦するように、正面からぶつかっていった。
圧倒的な力を持つ魔物の軍勢によって、人々は為す術なく蹴散らされていく。
それがイデアの思い描いていたシナリオだったが、その予想は大きく外れることとなった。
大切な人たちを、世界を守るために懸命に戦う人々は、魔物の軍勢を徐々にだが押し返し始めていたのだ。
アンナを中心とした人々の希望への想い、絶望へ逆らおうとする気持ちが、人の身体に繋ぎとめられたか弱き最後の精霊ともいえる存在である『魂』の持つ、超常の力を呼び覚ましていた。
「強き希望を持つものが居るだけで、魂はこれ程までに力を増すか」
予想外の抵抗に、イデアは再び口元を綻ばせる。
「だが、人々は滅ぶ運命にある。――いや、私が滅ぼす」
「いいえ、そんなことありません!」
宙に浮かぶイデアに反論するように、アンナは力いっぱい声を張り上げた。
「人はきっと、この破滅の運命を乗り越えることができるはず……! 諦めなければ、決して希望は潰えることはないのです!」
人々に必死に語りかけるアンナ。
その言葉に背中を押され、人々の力がさらに増したようにイデアには感じた。
「良いだろう。分け与えられた欠片を繋ぎとめるその強き魂……返してもらうぞ」
「創造神イデア……私は、あなたには屈しません!」
破顔し人々を見下ろすイデアと、祈るように両手を組んで神を睨むアンナ。
果たして、最後に存在するのは、人か、神か。
世界の運命を決するときが、訪れようとしていた。
チュウニズム大戦
レーベル | 難易度 | スコア | |
---|---|---|---|
スキル名/効果/備考 | |||
★シビュ | BASIC | 0 / 100 / 200 | |
オールレベルチェイン(チェイン選択権) | |||
自分の場にBAS、ADV、EXP、MASがある時 発動。自分の場の1枚を選びCHAINにしてもよい。 |
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チュウニズムな名無し
342021年10月29日 12:17 ID:lfuwumo2カウントダウンイラストでジャケット以上にロケットでつきぬけていることが判明してしまった
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チュウニズムな名無し
332021年10月25日 20:10 ID:ks5qlb1s改めて見ると結構大きい
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チュウニズムな名無し
322021年06月08日 18:06 ID:e2b1bhpiいきなり現れた幼い少女が「私は創造神イデア。この世界の神であり、愚かな人々に終焉をもたらすもの。この世界に醜きものは必要ない。お前たちを根絶やしにして、新世界を創り直すとしよう」とか言い出しても微笑ましい目で見られて終わりそう
なお実力が伴ってしまった結果
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チュウニズムな名無し
312020年08月05日 16:06 ID:o31zjjta"運命"のラスト何音かが下がってるのが意味深だなと勝手に思ってたけどまさかあんな結末とは...
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
272020年07月17日 01:38 ID:qu7g6izlネタバレなので枝に書きます
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チュウニズムな名無し
262020年07月15日 20:53 ID:t0f57ja2創造神イデア来ちゃったよ……
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チュウニズムな名無し
252020年03月29日 03:05 ID:q9rr09c8来年の公募のキャラに選出されそう