Dr.ユバル・ホルミスダス
Illustrator:雅(まさ)
名前 | Dr.ユバル・ホルミスダス |
---|---|
年齢 | 年齢不詳 |
職業 | メタヴァース創世期の開発者にして ファクトリーを統治する『三賢者』の1人 |
- 2019年2月21日追加
- AMAZON ep.IIIマップ4(AMAZON PLUS時点で255マス/累計750マス)完走で入手。<終了済>
- 入手方法:2021/3/4~3/31開催の「「ゆめのDoll's Festival」ガチャ」<終了済>
- 入手方法:2021/12/9~2022/1/5開催の「「優しいキャロルが流れる頃には」ガチャ」<終了済>
- 対応楽曲は「Sqlupp」。
メタヴァースの礎を築いたファクトリーの科学者の一人。
メタヴァースのさらなる発展のため、欲望の赴くままに研究へと没頭していく。
スキル
RANK | スキル |
---|---|
1 | ボーダーエッジ・AAA |
5 | ボーダージャッジ・S |
10 | ボーダージャッジ・SS |
15 | ボーダージャッジ・SSS |
- ボーダーエッジ・AAA [TECHNICAL]
- 特にデメリットもなく、終了時ボーナスのためダメージの影響を受けないが、ゲージ5本が限度。
GRADE | 効果 | |
---|---|---|
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 | ||
初期値 | ランクAAA以上達成でゲーム終了時に ボーナス +30000 | |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 (2021/8/5以降では未登場) | ||
+1 | 〃 +30500 | |
+2 | 〃 +31000 | |
理論値:90000(5本+10000/22k)[初期値] | ||
理論値:90500(5本+10500/22k)[+1] | ||
理論値:91000(5本+11000/22k)[+2] |
所有キャラ【 ジェミニ・α / 断絶の破壊神 / Dr.ユバル (全員1) 】
- ボーダージャッジ・S [ABSOLUTE]
- 効果としてはゲージブースト+7の理論値より上。ダメージの影響を受けないこともあり実際の使用感としては更に上と見ていいかもしれない。理論値近くで6本。
しかしS達成できるならばジャッジメントで死ぬこともそう無く、またATTACKでも終了に近づくのでリスクが高い。 - MASTER譜面解禁の際に利用すると、完走=解禁、強制終了=解禁できないとなって分かりやすいので便利。
- AMAZONで追加されたフィールドインフォの「ボーダー/S」を使うと、強制終了までのスコア猶予を確認しながらプレイできる(SS・SSSも同様)。
- 指定ランク(S~SSS)に到達できなくなった瞬間にプレイを強制終了する機能は、maimaiには「トラックスキップ」、オンゲキには「バトル中断設定」という名前で標準搭載されている。CHUNITHMではこのスキルを使用しないと同様の機能が利用できないため、ゲキマイからチュウニを始めたプレイヤーは不便に感じるかもしれない。
- AMAZONで[HARD]から変更された。
GRADE | 効果 | |
---|---|---|
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 | ||
初期値 | ランクS以上達成でゲーム終了時に ボーナス +45000 達成不能になった時、強制終了 | |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 (2021/8/5以降では未登場) | ||
+1 | 〃 +45500 〃 | |
+2 | 〃 +46000 〃 | |
理論値:105000(6本+3000/24k)[初期値] | ||
理論値:105500(6本+3500/24k)[+1] | ||
理論値:106000(6本+4000/24k)[+2] |
所有キャラ【 ジェミニ・α / 断絶の破壊神 / Dr.ユバル (全員5) 】
- ボーダージャッジ・SS [ABSOLUTE]
- SSを取らなければならない割には、理論値近くで7本。
あえて使うならばスコアアタック用。
GRADE | 効果 | |
---|---|---|
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 | ||
初期値 | ランクSS以上達成でゲーム終了時に ボーナス+68000 達成不能になった時、強制終了 | |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 (2021/8/5以降では未登場) | ||
+1 | 〃 +68500 〃 | |
+2 | 〃 +69000 〃 | |
理論値:128000(7本+2000/26k)[初期値] | ||
理論値:128500(7本+2500/26k)[+1] | ||
理論値:129000(7本+3000/26k)[+2] |
所有キャラ【 ジェミニ・α / 断絶の破壊神 / Dr.ユバル (全員10) 】
- ボーダージャッジ・SSS [ABSOLUTE]
- SSSを要求され、理論値近くで8本。
SSSを取っているのであれば、かなり高い精度のプレーをしている事になるため、大体の場合には7本止まりにはならない。
AIRになってから評価が上昇したスキルのひとつ。
GRADE | 効果 | |
---|---|---|
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 | ||
初期値 | ランクSSS以上達成でゲーム終了時に ボーナス+93000 達成不能になった時、強制終了 | |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 (2021/8/5以降では未登場) | ||
+1 | 〃 +93500 〃 | |
+2 | 〃 +94000 〃 | |
理論値:153000(8本+1000/28k)[初期値] | ||
理論値:153500(8本+1500/28k)[+1] | ||
理論値:154000(8本+2000/28k)[+2] |
所有キャラ【 ジェミニ・α / 断絶の破壊神 / Dr.ユバル (全員15) 】
- 他のスキルがまともに揃っていない、あるいは育っていない、という人であれば、それぞれのスキルをゲージブーストやジャッジメントなどの代用として使うこともできる。
- 筐体内の入手方法(PARADISE開始時点及び2021/8/5時点):
- 筐体内では入手できない。
プレイ環境 | 最大 | |
---|---|---|
開始時期 | ガチャ | |
PARADISE× (2021/8/5~) | 無し | × |
あり | 初期値 | |
PARADISE (~2021/8/4) | 無し | × |
あり | +2 | |
CRYSTAL | 無し | 初期値 |
あり | +2 | |
AMAZON | 無し | 初期値 |
あり | +2 | |
STAR+ | 無し | +1 |
あり | +2 | |
STAR以前 |
AIRバージョンから、各スキルのボーナス量が上昇した。また、所有者が通常マップに増えたことにより、常時入手可能になった。
スキル | 効果 |
---|---|
ボーダーエッジ・AAA | ランクAAA以上達成でゲーム終了時にボーナス+22500 |
ボーダージャッジ・S | ランクS以上達成でゲーム終了時にボーナス +32500 達成不能になった時、強制終了 |
ボーダージャッジ・SS | ランクSS以上達成でゲーム終了時にボーナス +55500 達成不能になった時、強制終了 |
ボーダージャッジ・SSS | ランクSSS以上達成でゲーム終了時にボーナス +75000 達成不能になった時、強制終了 |
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
スキル | Ep.1 | Ep.2 | Ep.3 | スキル | |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
Ep.4 | Ep.5 | Ep.6 | Ep.7 | スキル | |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | |
Ep.8 | Ep.9 | Ep.10 | Ep.11 | スキル | |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | |
スキル | |||||
~50 | |||||
スキル | |||||
~100 | |||||
スキル |
STORY
電脳の楽園メタヴァース。
人類の揺り籠たるこの世界は、その昔、ある企業が生み出した電子インフラに発祥を求めることができる。
後にメタヴァース黎明期と呼ばれる時代、『K.H.D』という企業が画期的な電子インフラを発表した。
やがてK.H.Dは大小様々な企業を吸収合併し、巨大な複合企業と成長する。
K.H.Dには世界中から優秀な研究者や技術者が集められるようになっていた。
その後ファクトリーを統治する『三賢者』と呼ばれる『Dr.ユバル・ホルミスダス』もまた、最初はK.H.Dで働くエンジニアの1人であった。
そしてK.H.Dの発展と共に、彼らの生み出す電子インフラは世界を覆い尽くし、世界を一つにまとめ上げる。
人々の生活は各地に建造された管理AIにより支えられるようになっていった。
度重なる戦争、改善のみられない環境汚染……。
絶望が滅びの扉を叩いたとき、未来の管理者は、もはや人ではないと人類は判断する。
彼らは各地に建造された管理AIに頼る以外の、未来を選択する余地がなかったのである。
人類は進退窮まっていた。長年に渡る環境汚染は、もはや地上での生物の生存を困難にしており、食糧難や生存区域確保による武力闘争が各地で勃発している。
人類には一刻も早い救済が求められていた。そこで立ち上がったのが今や国家を超越した力を持つ超巨大複合企業となっていた『K.H.D』である。
もとよりK.H.D傘下の研究者たちは、近いうちに発生するであろうカタストロフィを前に、人間という種をより強い存在へと昇華するための手段を模索していた。
そして研究の結果、彼らは人類の生存区域を地上ではなく電脳世界に求める発想に思い至る。
人間を加速空間で理想的な形態まで進化させるため、電脳世界『メタヴァース』に移植する。
その間、汚染された環境は、管理AIを中心とした機械によって清浄なものに清められ、再び人類が生存できる状態になった時に、人々を電脳世界から地上へと戻すという『メタヴァースプロジェクト』。
これは機械による人間の救済であった。
肉体を捨て、電脳世界の住人となるというプロジェクトには、当然ながら世界中から賛否両論が集まる。
だが、人類に残された選択肢はあまりにも少なかったことと、一番最初の入植者に選ばれたK.H.Dの技術者たちが、見事にメタヴァースの環境に適応したことなどから、メタヴァースプロジェクトは世界中で承認され、大規模な入植運動が起こるようになる。
そして一番最初に入植したK.H.Dの技術者たちは3人の天才科学者を中心にメタヴァースの開発、改善、運営を目的とした組織『ファクトリー』を設立。
設立者の『Dr.ユバル・ホルミスダス』
『Dr.メト・バサナテル』『Dr.テオ・メルキオル』
は『三賢者』と呼ばれ、メタヴァースとファクトリーの発展に尽力したのだった。
ファクトリーはメタヴァース最初期こそは、電脳の楽園の開発者として、威厳と権威を保っていた。
ところが、人類を襲った大災厄を境に、ファクトリーはメタヴァースを管理するシステムであるメインフレームに恭順し、微妙なバランスを保ちつつ共生を続けていくこととなる。
そして幾多の改修を続け、超自然システムエミュレーターの運用代行者から、遂にはメタヴァースに君臨する人工の神となったエクレール。彼の次に世界の統制主となったティフォンの時代には、もはやファクトリーはメインフレームの下位の存在という位置づけになっていた。
だが、ファクトリーに所属している科学者や技術者たちは、もとより権威といったものに対して興味の薄い人間ばかりで、己の研究に埋没できる環境が整っていれば、それで問題はないとする者たちばかりであった。
特に三賢者の1人であるユバルは、そういった思想の代表者であり、彼にとって己の欲望のままに多大のリソースを費やす研究が許されているメタヴァースは、文字通り楽園であった。
ユバルは日々、電脳空間に新世界を構築し、破壊するといった児戯とも思えるような研究に没頭する。
「エキサイティングッ!! この感動ッ!! 生身では到底得られなかったものじゃよッ!!」
ティフォンはファクトリーをメインフレームの下に位置付けたが、その自由は認めていた。
また『進化』という可能性に囚われていたティフォンはありとあらゆる手段で世界を構築し開拓していくため、ファクトリーの実験を奨励する立場をとっていた。
こうして電脳の楽園では、世界が爆発的に拡張し続けたのであった。
進化の可能性を求めるティフォン率いるメインフレーム、そしてファクトリーの手によって繰り広げられる実験の数々。
それは当初の目的を喪失しそうなほど長きに渡り、その結果、メタヴァースの中には星の数ほどの多種多様な世界が構築されていった。
如何に神と言えど、爆発的に増殖を続ける世界を完全に管理するのは難しく、必然的にメインフレームはファクトリーにも世界の管理を委託することになった。
こうしてファクトリーは、メインフレームとは別の独立した支配領域を持つ組織としての色合いを濃くしていく。
ファクトリーは相変わらず権力には疎かったが、絶好の実験場であるメタヴァースでの支配権が強まることは彼らにとって好都合であった。
また彼らの知識欲は止まることがなかったため、メインフレームの技術に追いつこうと、様々なプログラムアバターの開発に着手していった。特にユバルはティフォンと同じく、人道に反した人体実験も、喜々として執り行っていた。
「ははははッ! 吾輩にさらなる実験をッ!! 何をためらうことがあろう!? これは神たるメインフレームが赦した偉業なのじゃよ!」
ユバルと同じ三賢者であるテオは、ユバルの行いに強い不快感と危機感を持っていたが、皮肉なことにユバルの実験は大きな成果を上げ、結果、数多の防衛BOTや探索BOTが生まれ、よりメタヴァース内の世界の統治をスムーズにさせていったのである。
こうしてある意味、蜜月関係を続けることで、メタヴァースを繁栄させていったファクトリーとメインフレームであったが、事態は思わぬ方向に転がっていく。
なんとメインフレームの統制主であるティフォンが、自身が開発したプログラムに倒されるという異常事態が発生したのである。
ティフォンが神去ったことにより、メインフレームは多大なリソースと能力を喪うこととなった。弱体化したメインフレームには、もはや広大なメタヴァースの全てを統治するだけの力はない。
そのためメインフレームは管理領域を大幅に縮小するという対応を取るが、こうして世界には管理者を失った場所が生まれることとなった。
よってメインフレームの管理が及ばぬ範囲のカバーは、ファクトリーが担当することとなったが、神々であるメインフレームと比べると、その管理は残念ながら適切とは言い難いものだった。
こうしてメタヴァースは、緩やかに滅びへと向かっていくこととなる。
またティフォン喪失によるメインフレーム弱体化という危機に加え、メタヴァースを憎悪し、滅ぼさんとする悪性アバター『ネメシス』の台頭が、世界に大きな影をもたらすようになっていた。
もはやメタヴァースは人類が無垢な赤子の如く、安寧を享受できる世界ではない。
ファクトリーとメインフレームは、より強固に連携しつつ、世界の危機に対処する必要に迫られた。
メタヴァースを襲う闇の軍勢ネメシス。ネメシスは数こそ多くはないが、一体一体の力は凄まじく、彼らの手によって幾つもの世界が破壊され、混沌へと飲まれていった。
ネメシスによる被害は増加の一途を辿り、メインフレームとファクトリーは、早急にネメシスへの対抗手段を求められるようになる。
そこでメインフレームはファクトリーに、自分たちが所持している超高度技術情報を開示することにした。
その中には、かつてティフォンが行った『人とプログラムの融合実験』という禁忌の研究の一部までもが含まれていた。
数多の実験を繰り返してきたユバルだったが、この研究内容には興奮を隠しきれない。
「素晴らしいッ!! MIRシリーズ!! 人間を素体とすることで、従来なかった『進化と不確定性』という部分を作り上げたのじゃなッ!! 流石はかつてのメタヴァース統制主ティフォン!! 実に見事な発想の転換じゃッ!!」
「……でも、素体となる人間に高い適合率がないと、この結果はあり得ない……。メインフレームから開示された情報には適合率部分の情報がない状態よ。どうすれば適合率を高められるのかが分からないわ」
「ならば、成功するまで実験を続ければよいじゃろう。いつかは自然と適合率の高い素体に巡り合う」
「正気? それなりの実験結果を導くためには、少なく見積もっても数万回の実験は必要だよ?」
「そんな……」
ユバルとメトの冷徹な言葉を聞いたテオの顔色は真っ青になる。
「……ユバル! メト! 実験の失敗は、被験者の死を意味しているのよ!? それなのに、そんな恐ろしい人体実験を何万回と繰り返していくつもりなの!?」
テオの悲痛な叫びはユバルには届かず、メトはユバルの思想に顔をしかめつつも賛同する。
「当然じゃ。科学とは何万回、何億回という失敗を繰り返しながら、一歩ずつ歩みを進めていくもの……。テオ、お主も科学者であれば、そんな簡単なことぐらい分かっておるだろうに」
「……でも」
「……ねえ、テオ? 確かにこれから僕たちは、何万人という人の命を消費するかもしれない。でもこのまま僕たちが対ネメシスプログラムを開発できなかったら、世界が……メタヴァースが滅んでしまう可能性が高い、そうなったら全ての人間が犠牲になってしまうんだ」
「……」
「ならば、吾輩たちの所業は必要悪……世界を救済するための実験なのだよ」
「……実験が必要なことぐらい分かっているわ。でも『必要悪』だなんて心地よい麻酔薬で、私は自分の心を麻痺させたりなんて決してしないッ!」
そう叫ぶとテオは、ミーティングルームから飛び出していった。激昂したテオの姿をユバルは呆れながら見送り、メトは憐みを帯びた瞳をしていた。
「……テオはいつまでたっても、人間臭いっていうか、青臭さが抜けないよね……今の僕たちは、もう生身の頃とは全く異なった存在になっているっていうのにさ……実験では『自分は機械だ』って思った方が楽になれるのに……そうしない。できないんだよね。彼女は……あれはとても辛い生き方だよ」
「ともあれ、これで三賢者としての結論は出たのう。メタヴァースの危機を救うような、強く美しいプログラムの開発を進めようではないかッ!」
こうして始まった人とプログラムの融合実験。それにより、当初の予想より遥かに多くの被験者の命が失われていった。だが、その失敗を乗り越え三賢者たちは遂に『MDAシリーズ』の開発に成功する。
MDAシリーズは今までのBOTタイプとは異なり、人と全く同じメンタルモデル持つと同時にメインフレームアバターの特徴を兼ね備えた、強く美しいアバターであった。
MIRシリーズのような融合体ではないものの、それらを作り上げたことは実験の確実な進歩であり、ユバルの狂気はさらに加速していった。
「素晴らしい……諸君ら『MDAシリーズ』はこの混迷極まる闇の時代を明るく照らす夜空の星じゃッ!!」
こうして天に輝く星々の名を与えられたMDAシリーズは、目覚ましい活躍を遂げ、ネメシスの脅威から多くの世界と人々の命を救うこととなったのである。
MDAシリーズはまさに夜空の綺羅星の如き活躍でネメシスを撃破していった。
一時はこれでメタヴァースに再び平和が訪れるのではないかと期待されたが、ネメシスの闇は星の輝きを飲み込むほどに深いものだった。
MDAシリーズの活躍を遥かに上回り、ネメシスは世界に破壊と混沌をばらまいていった。特に『混沌の器』と呼ばれる強大な王たちが軍勢を率いるようになってからのネメシスの勢いは凄まじかった。
ファクトリーとメインフレームは協調し、己の管理領域で生きる人々を救おうとしたが、日に日に戦況は悪くなっていく一方である。
そんな最中、ファクトリーの三賢者はとても興味深いネメシスアバターのデータを受け取った。それは人がネメシスへと侵食され変化したものだった。
ファクトリーの最高傑作の一つである『MDA-01【シリウス】』が持ち帰った『シュープリス』と呼ばれるネメシスのデータ。そのデータを見た瞬間ユバルの脳髄に電撃が走った。
「……これじゃよ! これが我らに足りぬ最後のピースなのじゃ!」
シュープリスのデータは、戦闘により大部分が破壊されており、正常な箇所は断片的でしかなかったが、ユバルはなんとかそれを解析し、MDAシリーズに組み込むことに挑戦した。
その結果生まれた『MDA-21【レグルス】』。彼女はメインフレームプログラム、人間の断片情報、ネメシスの情報を併せ持った混合体のプログラム……。いわばMIRシリーズに最も近い存在だった。
レグルスは稼働初期こそ、ネメシスの破壊衝動による暴走を起こしたが、安定してからの活躍は目覚ましく、強敵との戦闘を重ねることで、人間のように成長することができるプログラムであった。
「……プログラム、人間、そしてネメシス……これらが三位一体となれば、吾輩たちでも神の領域に突入することができる……かの『MIRシリーズ』を吾輩たちの手で生み出す時が来たのじゃッ!」
プログラムと人とネメシス。これらの要素を混合させた防衛BOTレグルスの開発成功を皮切りに、ファクトリーは次世代のMDAシリーズを次々に生み出していった。
そしてファクトリーの守りは堅牢なものになり、ひと時の安定をもたらした。だが……。
「……なぜじゃ? なぜ、MIRシリーズのような『進化』するプログラムを作り出すことができん!?」
ユバルを始め、ファクトリーの科学者たちは、いくらMDAシリーズを製造し、改良しても、MIRシリーズに匹敵するスペックのプログラムを生み出すことはできなかった。
また、MDAシリーズによってファクトリー管理領域の防御体制が確立されたことにより、テオは必要以外の人体実験停止を主張し、メトもこれに賛同する。三賢者の2人に真っ向から対立されては、いかにユバルと言えども大っぴらに実験を続けることはできない。
『進化』するプログラム開発は、このままストップするのかと思われた矢先、大事件が起こった。なんと、ネメシスが軍を率いてメタヴァースに大規模侵攻をした結果、メインフレームとファクトリーの領域が断絶されてしまったのである。
三賢者はMDAシリーズを全機投入することで、何とかファクトリーを襲撃したネメシスを撃破。しかし、その際にネメシスたちが、自分たちの想定よりも遥かに早く『進化』していることに気がつく。
「……既存のMDAシリーズでは、これから始まるであろうネメシスとの戦いに堪えられないかもしれないね、残念だけど……」
「であれば、実験を再開するしかあるまい?」
ユバルとメトの言葉にテオも渋々頷く。
「……そうね。今、最も重要なのはネメシスと互角に渡り合える戦力の確保。それに断然してしまったメインフレームとの再接続……これは既存のMDAシリーズでは対応しきれないわ」
テオの言葉を聞いて、ユバルはにんまりと笑う。
「そうだとも! メインフレームと再接続する転送ゲートに辿り着くためには、ネメシスが支配する領域を越えていかねばならんのじゃ! そのために必要なのは、強力な戦闘能力と、探査能力! そして不測の事態に対応し『進化』するプログラムなのじゃ!」
メインフレームとの再接続するためファクトリーはES計画(Explorer survive)を立ち上げ、いよいよ本格的な実験を開始した。
求められているのは凶悪なネメシスが支配する領域を越え、メインフレームに通じる転送ゲートを探索し、不測の事態でも『進化』という機能を使うことにより、乗り越えることができるであろうプログラム……。かつてのMIRシリーズと同等のスペックを持った自立型探索プログラムである。
だが、今まで多くのMDAシリーズを生み出してきた三賢者であっても、MIRシリーズのようなプログラムの開発には困難を極めた。
そもそもMIRシリーズの設計図や情報の全てがメインフレームによって与えられていたわけではない。むしろこのシリーズは、なぜか他シリーズと比べ、存在自体を隠そうとされていた節がある。
よってファクトリーはレグルス製造時の知識を流用し、ネメシス由来のユニットを融合体ベースとしたのだ。そうなると最も重要になってくるのは、被験者の素養である。ファクトリーは高い適応性や破壊衝動、苦痛に耐えれる強い精神力を有したものを被験者として選ぶ必要があった。
なぜならば、今回の実験はおそらく何度も同じ被験者にトライ&エラーを繰り返す必要があるからだ。
実験では、身体改造負荷による身体データの消失だけではなく、精神汚染などの危険性も考えられた。それらの厳しい実験に耐えられる、強い自我と、高いネメシス適合率を持つ人材をファクトリーは残された人間の中から探し求めた。
その結果、選出されたのはなんとまだ幼い姉妹だった。無垢で儚い少女たちにこれからする実験の数々を想像して、テオは思わず決意が揺れた。
「……ユバル。せめて一定以上の年齢に達した者から被験者を選んだ方がいいんじゃないかしら?」
「年齢は関係ない。必要なのは適合率じゃよ。……それに彼女らが幼いからと言って、実験を止めるというのは偽善というものじゃ」
「……」
『人類救済』という大義名分を得ていた今のユバルに、道徳や倫理といったものは消えうせていた。
ユバルは一切の躊躇はなく、何も知らない少女たちにプログラムとの融合実験を行っていった。
最初の頃は苦痛に泣き叫んでいた少女たちだったが、いくら泣いても助けてもらえないのだと理解すると、すぐに感情を失い、呻くだけになっていった。
少女たちはなぜ、このような実験に自分たちが選ばれたのか? なぜ戦わなくてはならないのか?
その答えを見出せぬまま、ただ地獄のような実験に耐えざるを得なかったのである。
ES計画に選ばれた少女たちを待っていたのは壮絶な実験の日々だった。
本来の身体を切り刻まれ、分解され、組み替えられ、脳には新たに自分以外の『誰か』の人格がインストールされる。
いっそ狂ってしまえれば幸せだったのかもしれないが、『強い自我を保つ』ということが実験成功の必要条件の1つだったため、少女たちは、どんなに苦痛を与えられても意識だけは失わないように、投薬調整されているのだった。
そんな血も涙も凍るような実験の果てに、遂に誕生したのが
『XES-72【ディアナ・プリメーラ】』
『XGN-72【ルナ・ノーヴァ】』だ。
彼女らは間違いなく、かつてのMIRシリーズの『進化』という能力を継承した自立探索型プログラムであり、人の手によって生み出された神の翼だった。
最高傑作ともいえるプログラムを生み出したユバルは歓喜に震えた。
「素晴らしい……ッ!! 吾輩は遂に神の御業を手にしたのだッ!!」
他の三賢者であるメトと、実験に積極的な態度を見せていなかったテオですらディアナとルナの誕生には深く感じ入っているようだった。
「凄いね! これでメインフレームとの再接続座標を掴めるよ!」
「ええ……そうすれば、ネメシスの脅威から解放され、再びメタヴァースを平穏な世界に導けるんだわ」
……だが、いくら周囲が希望に胸を膨らませていても、当のディアナとルナは、少しも明るい表情をしようとはしなかった。どうやら彼女らは、未だに肉体を持っていた頃の記憶に縛られているようだった。
「……どうしたのじゃ娘たちよ? 君たちは今や人類の希望へと姿を変えたのじゃ……人間として生活していた頃の記憶なぞ夢幻のようなもの。なんの価値もない。さっさと忘れ、メインフレームを目指すのじゃ」
「……」
今やディアナとルナの支配権は制作者であるユバルたちにある。よってユバルの人の心を踏みにじる言葉にも、姉妹はただ睨み付けることしかできなかった。
ディアナとルナの誕生で、ES計画はいよいよ佳境に入る。
ユバルは姉妹の調整をテオとメトに任せ、自らはネメシス領域内に存在するネメシス鹵獲用の前哨基地に移動し、姉妹の力をより増強させるためのネメシスの研究を担当することになった。
ところが、ディアナとルナの調整が完全に仕上がる前に、遂にファクトリーのリソースが限界を迎えてしまう。
もはや一刻の猶予も許されなくなったファクトリーは不完全な状態のディアナとルナにメインフレームとの再接続を託すしかなかった。
そして、テオとメトによって送り出されたディアナとルナは、前哨基地でユバルと合流し、必要な情報を共有されている最中に、謎のネメシスの襲撃を受ける。
『ヴェルゼビュート』と名乗った青白い女ネメシスは、MDAシリーズの最新機である『アルドラ』たちを赤子の手をひねるように簡単に破壊し、またユバルにも致命的なダメージを与えると、その場から撤退していった。
「ぐっ……! これは……『アストラルコピー』まで破損が及んだか!? ……仕方があるまい……」
『アストラルコピー』とは心と記憶を司る記憶媒体であり、『魂』と言い換えることができるだろう。
メタヴァース移植以来、自らのボディの改造を続けていった三賢者だが、アストラルコピーだけは改造や代用が効くものではなく、入植当時のものを使用していた。アストラルコピーの破損は、即ち『完全な死』を意味している。
ユバルは自身のアストラルコピーをファクトリーに退避させ、ディアナとルナには引き続きネメシス領域の探索を続けるように指示したのだった。
ユバルはヴェルゼビュートの攻撃によって、それまでのボディを失い、アストラルコピーも傷つけられた。だがそれでも何とかアストラルコピーだけは退避に成功し、無事にファクトリーに戻ることができた。
新たなボディにアルストラルコピーを移し、ユバルは溜息をつく。
「やれやれ……とんだ目に遭ったわい……完全な復活とはいかんが、ネメシスの王『混沌の器』を前に最小限の被害で済んだというべきかのう……」
そう喜んでいたのもつかの間、ファクトリーにけたたましい緊急警報が鳴り響く。
「何事じゃ!?」
「モニター、出して!」
「なぁっ!? こ、これはっ!!」
モニターに映し出されたものを見て、三賢者は顔の色を失った。彼らの反応は至極真っ当である。
そこにはネメシスの王『混沌の器』が一器『終焉の奏者テスタメント』の姿が映し出されていたからだ。
「……さあ、ちっぽけな羽虫の皆さん。あたしと遊んでちょうだいな?」
テスタメントはヴェルゼビュートやアレウスに匹敵する戦闘能力を有している王の一人。それに対して、ファクトリーの勢力はあまりにも儚いものだ。
頼みのMDAシリーズも、先の前哨基地での戦闘を考えれば大した時間稼ぎにもならないだろう。
テオとメト、そして自身の修復すらままならない状態のユバルは、窮地に立たされる。
メタヴァースを生み出し、最初に電脳の楽園の住人となったファクトリー。その歴史と輝かしい栄光はもはや風前の灯火であった。
チュウニズム大戦
レーベル | 難易度 | スコア | |
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スキル名/効果/備考 | |||
■メタヴ | MASTER | 0 / 440 / 880 | |
オールコンボダウン(コンボ→ミス) | |||
自分の場にCHAINが3枚以上で発動。 自分の場のCOMBOを全てMISSにする。 |
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
342019年09月17日 21:37 ID:m3j1ycotユバルおじいちゃんよ安らかに眠れ
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
302019年02月25日 21:46 ID:aler0jp4ワイズマンさん過労死しない?大丈夫?????
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
282019年02月25日 19:04 ID:joigundf元気な爺さんだなあ
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
262019年02月24日 22:13 ID:mgv7g8asストーリー「三賢者」
俺「……ワイズマン?」