大天使 ユリア
【キャラ一覧(無印 / AIR / STAR / AMAZON / CRYSTAL / PARADISE / NEW / SUN)】
【スキル一覧(~PARADISE LOST)】【マップ一覧】
※ここはCHUNITHM PARADISE LOST以前に実装されたキャラクターのページです。
- このページに記載されているすべてのスキルの効果は、CHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです(限界突破の証系を除き、NEW以降で入手・使用できません)。
- 専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター(いわゆるトランスフォーム対応キャラ)は、RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。
Illustrator:空中幼彩
名前 | 鬼蝮 ユリア(おにまむし ゆりあ) |
---|---|
年齢 | 16歳 |
職業 | 愚民の象徴にして盟主 |
- 2020年9月17日追加
- CRYSTAL ep.VIマップ4クリアで入手。<終了済>
- 入手方法:2021/8/5~9/1開催の「「失った仲間へ。それは、償いか。決意か。」ガチャ」<終了済>
- 対応楽曲は「大天使ユリア★降臨!」。
アキバの女王、そして愚民たちの女王。
妹に、同じくアイドルとして活動する鬼蝮 アイリがいる。
鬼蝮 ユリア【 通常 / オールスター運動会 / サーヴァントマスター/ 大天使 】
大天使として降臨した彼女は祝福を与えるべく動き出す。
全ては愛するアキハバラと愚民たちのために。
※CRYSTAL ep.VIのSTORYの元ネタは、ここで掲載できないもしくは掲載難易度15のものが多数なので、気になったら各自で調べてください。愛(ピュア)と音ゲーとは
- CRYSTAL ep.VI各EPISODEタイトル
- アダ○ト美少女ゲームの名称が元ネタになっている。それ以上はいけない。
- 「オワーッ! ワーッ! それ以上はいけない!」
- 『孤独のグルメ』のセリフ「それ以上いけない」から。
- 「私の身体をみんなに貸すわ!」
- 『機動戦士Zガンダム』における、カミーユ・ビダンの最終決戦時のセリフ「俺の身体をみんなに貸す!」から。
- 何それ、どこのソーラー・システム……って、本当にどうするンゴ!?
- 『機動戦士ガンダム』シリーズに登場する光線兵器「ソーラ・システム」から。
- 集まった力を、自らの天使の力と合わせ、ユリアは魔大陸を包み込む巨大なサイコフィールドバリアを作り出した。その直後(略)
- 『機動戦士ガンダム』シリーズに登場する現象「サイコ・フィールド」から。
- 扱いはシリーズによって異なるが、STORYの内容から『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(みんなの力を使う)と『機動戦士ガンダムUC』(コロニーレーザーを無効化)のものと思われる。
- そこに、一艘のボートが浮かんでいた。
- EPISODE11のタイトルの元ネタである「School Days」のアニメ版における最終話の出来事が元ネタ、通称「Nice boat.」。
- ちなみに、(直接の関連はないが)「Nice boat.」がケロ⑨destinyの称号として実装されている。
スキル
- 大天使の救済 [SUPPORT]
- 開始時に大量のボーナスを得るが、JUSTICE以下でダメージを受けるようになるスキル。
- 初心者向けのスキルの多い[SUPPORT]カテゴリではあるものの、強制終了しないだけでリスクは下手な[CATASTROPHY]カテゴリよりも大きい。救済とは
理論値狙いの真の上級者でなければまともに使いこなすことはできないだろう。 - 現在は入手不可のスキルであるが、性能の上ではあねぺったんに勝る点がほぼないのが正直なところ。勝る点は汎用スキルなので誰でも装備できることくらいである。
- 汎用スキルでも、運命の輪や人形の惨劇などのほうが9本は狙いやすいだろう。
GRADE | 効果 |
---|---|
共通 | JUSTICEで追加ダメージ -10000 ATTACKで追加ダメージ -20000 MISSで追加ダメージ -30000 |
初期値 | ゲーム開始時にボーナス +60000 |
+1 | 〃 +90000 |
+2 | 〃 +120000 |
+3 | 〃 +150000 |
理論値:210000(10本+0/30k) |
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
スキル | Ep.1 | Ep.2 | Ep.3 | スキル | |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
Ep.4 | Ep.5 | Ep.6 | Ep.7 | スキル | |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | |
Ep.8 | Ep.9 | Ep.10 | Ep.11 | スキル | |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | |
スキル | |||||
~50 | |||||
スキル | |||||
~100 | |||||
スキル |
STORY
前回の活動記録!
ハイ! みなさんオハコンバンチハ~!
天っ才美少女冒険家イングリットちゃんデ~ス!
ついにアキハバラの地下へと潜入することができたワタシたち。
真っ暗闇をモモコの悲鳴と共に進んだ先には、ひばりとコテツが待ち構えていたデス!
一触即発かと思いきや、コテツはワタシたちを秘密基地へと案内してくれたデス。意外と優しいデスね。
……な~んてことはなく、ワタシたちを秘密基地に案内した理由は、『オタク・ハイロウ』の威力を改めてワタシたちに思い知らせることだったデス!
なんてアクドイ!
ヨコハマをオタク色に染め上げられる様を見せつけたコテツは、最終目的をワタシたちに話してくれたデス。
日本の中心ともいえる場所に存在する巨大パリピ施設『ウニバーサルスタジオ』。
そこに『オタク・ハイロウ』を撃ち込み、オタク化させることで日本を統一するというのデス!
魔大陸は既に西へと移動し始め、その途中にある湘南を次の標的とするコテツ。
それを阻止しようと、アイリは魔法でコタローを飛ばしたデス。
しかぁし! そこで誰もが予想だにしなかったことが起こったデスよ!
なんとパリピ……パーリーピーポー? が、浮遊したアキハバラに降り立ってきたデス!
パリピは大音量で音楽を流して、アキハバラのオタクを次々にパリピに染め上げていくデス。
そして、映える写真を撮りまくり、街中でバーベキューや酒盛りを始めたデスよ!
いくらなんでもやりすぎデス! でもお肉は美味しそうデス……。
ワタシたちは、秘密基地から映像でその光景を見ていることしかできなかったデス。
そして、江戸のアイドルが1人も居ない今がチャンス。
アイリがもう一度コタローを魔法で飛ばし、オペレーターたちにぶつけて無力化させると、制御システムを奪うことに成功したデスよ。
でも制御パネルは誰も操作ができなくて、とれびが突然ギターを制御パネルにズドン! と叩きつけたデス。
それでもパネルが壊れただけで事態は変わらず頭を抱えていると、これまた突然爆発音が聞こえたデスよ。
何事かと思っていると、モニターにはユリアの姿が!
ようやく見つけ出したと思ったのも束の間、ユリアは白い光に包まれると、飛んで行ったデス!
光が晴れた時、アキハバラの上空に居たのは、天使のような白い翼を広げたユリアだったデス!
どういうことかはよくわからないデスけど、なんとも美しい姿……!
って、見惚れていたらアイリが地上に向かって行ったデス!?
待って! ワタシも行くデース!
天使の姿のユリアの出現。
そしてアキハバラの街の行く末は?
どうなる!? 魔大陸冒険譚第4回!
コテツたちの秘密基地。そのブリッジの大型モニターに、天使と化したユリアが大きく映し出されていた。
映像越しとはいえ、その神々しい姿に見惚れる5人。
「……お姉ちゃん……お姉ちゃんっ!」
一番初めに動き出したのは、妹のアイリだった。
泣きながら叫ぶアイリは、地上に繋がるエレベーターへと走る。桃子とイングリットも慌ててその後を追った。
とれびと鋼太郎も3人に続こうとするが、制御装置を映しているモニターに視線を止める。
「シズノちゃんとにこるちゃんだ! 鋼ちゃん、わたしたちは2人を助けに行こうね!」
有無を言わさず、とれびは鋼太郎を引きずって制御装置へと向かうのだった。
UGX前の広場に降り立った大天使ユリア。
そこに、アイリたちが駆け寄る。
「お姉ちゃん!」
「アイリ!? どうしてここに……」
姉を呼びながら、アイリはユリアに抱き着いた。
アイリが魔大陸に居ることに驚くが、心配させてしまったのかと、ユリアはアイリを優しく撫でる。
そうしながら、ユリアはアイリと一緒に居た2人にも視線を移した。
「あなた……もしかして、モモコさん?」
「はぇ? なんで知ってんの!?」
姉妹が絡み合う様を観察して顔を緩ませていた桃子は、不意の言葉に驚きの声を上げた。
「知ってますよ! 数年前までネットで活躍していた――」
「オワーッ! ワーッ! それ以上はいけない!」
言葉に被せるように、桃子は大きな声を上げる。
桃子は別に、アイドル時代の自分のことを嫌っているわけではない。
だが、面と向かって当時の話をされることを受け入れられるかは、また別の問題である。
「あの、ユリア……」
桃子が身悶える中、イングリットが声をかける。
その表情は、いつもの明るさは影を潜めていた。
「無事でよかったデス……ワタシのせいで、こんなことに……」
イングリットが持ち込んだクリスタルスカル。それがユリアと接触した結果、ユリアを巻き込んでアキハバラは魔大陸として浮上した。
明るく能天気に振舞っていたが、事の発端が自分であることを少なからず気にしていたのだ。
そんなイングリットに、ユリアは首を横に振る。
「あなたのせいじゃないわ。それに、クリスタルスカルに触れていろいろわかったの」
ユリアはクリスタルスカルについて話し始める。
クリスタルスカルは元々、オタクに優しい世界が欲しいと願い死んでいったオタクの怨念の集合体だという。
パリピに虐げられ無念の死を遂げたオタクたちの怨念は、アイドル力の強いユリアに反応し、復讐せんとしていたコテツたち江戸のアイドルを蘇らせたのだ。
「クリスタルスカルが、まさかオタクたちの怨念だったなんて……」
追い求めていたクリスタルスカルの正体を知り、驚きを隠せないイングリット。
「そして私は、蘇ったコテツさんたちに協力を持ち掛けられたの」
しかし、ユリアはコテツたちのオタクの楽園を作りたいという目的には賛同したが、洗脳には反発した。結果、制御装置として捕らえられてしまったのだという。
「でも、どうやって自力で脱出を……?」
「クリスタルスカルはオタクたちの無念の集合体。けど、パリピを恨まず、純粋にオタクを愛していた魂もあったの。その魂が、アキバのピンチに力を貸してくれたのよ」
結果、ユリアは大天使として降臨することになったのだと言う。
そんな話をしていると、魔大陸がガクンと今までとは違う揺れ方をする。悲鳴を上げるアイリたち。
その中でユリアだけは、深刻な表情を浮かべていた。
ユリアたちが揺れに備えている中、にこるとシズノを助け出したとれびたちが、ユリアたちのもとへと駆け寄ってくる。
「なんなんですのこれはーッ!?」
「あ、アキバの街が……!」
街中にGプレイカードがひらひらと舞い、爆音ダブステップが響く。
所々で肉を焼き酒を浴びるパリピたちによって滅茶苦茶にされてしまった街を見て、にこるとシズノがそれぞれ驚愕する。
「ゆ、ユリアちゃん。何がどうなってるの?」
「はわ~! 天使! 天使が舞い降りましたわ!?」
にこるとシズノ、2人の反応を見て、ユリアは深刻な表情を少しだけ緩めた。
続けて「これから説明するね」とすぐに引き締める。
「今、このアキハバラは少しずつ地上に落ちているの」
ユリアの言葉に衝撃を受けるアイリたち。
先ほどの大きな揺れは、魔大陸が降下し始めたものだったのだ。
「魔大陸はオタク力(ちから)で浮上しているけど、パリピの侵攻でずいぶん力が弱まってる。このままじゃ……」
「地上にドボーン……デス!?」
もしもアキハバラが地上に落ちてしまえば、当然アキハバラは消滅。地上も凄まじい被害がでてしまうだろう。
「お姉ちゃん、どうすれば……!」
「ひとまず、これ以上オタク力が弱まらないようにしなきゃ」
そう言うと、ユリアは翼を広げて上昇し、祈るように両手を組んだ。
白い光がユリアから解き放たれると、アイリたちが居る広場に、次々にオタクが瞬間移動のように現れる。
地上へと戻ってきたユリアはふぅと息を吐いた。
「襲われていた愚民たちを、この広場に移動させて結界で守ったわ。これで少しの間は大丈夫のはず」
「はぇー、さすが天使。そんなこともできちゃうんだ」
超常的な力を見せられて、桃子が目を丸くする。
アイリの暗黒魔法で慣れたと思っていたが、天使の力はそれ以上のものであった。
だが、ユリアは浮かない表情のままである。
「私たちの街がこんなことになるなんて……」
空へと舞い上がって街を改めて眺めてしまったユリアは、変わり果てたアキハバラに心を痛めていた。
「まだワタシたちにもできることはあるはずデス!」
「そういえば、江戸のアイドルさんたちはどこに行ったんだろう?」
とれびの呟きに、ユリアはハッとする。
この状況下では敵となることはまずない。合流するに越したことはないだろう。
パリピに襲撃されている可能性だってある。
ユリアたちは、急ぎコテツたちのもとへと向かうのだった。
ユリアたちがそう話していることも知らないコテツたち3人は、パリピの爆音ダブステップに対抗しようとライブステージに立っていた。
だが、彼女たちの古き良き楽曲は、爆音に掻き消されてしまい、オタクたちには届かない。
「ダメ、なんですの……?」
「拙者にもっと力があれば……!」
「く……アキハバラが……墜ちてしまう……! このままではオルタネイティヴファイヴが……!!」
何度やっても大音量のダブステップには通じず、押し返されてしまう感覚。
自分たちの声が届くことはなく、コテツたちの心は今まさにぽっきりと折れてしまいそうだった。
3人はそれぞれ、膝から崩れ落ちてしまう。
「しっかりしてください!」
そんな時、ユリアたちがコテツたちのもとへと駆け付ける。
アイリの叫びに3人は顔を上げ、大天使となったユリアを前にして涙を流し始めた。
「やはりわしらではパリピには勝てん……わしらが命を絶った時と同じ……歴史は繰り返すのじゃ……」
「またあんな目に遭うのはイヤですわぁ~!」
力なくコテツがそう言うと、ひばりは子供のようにユリアに泣きついた。
楠子も顔を両手で覆い、嗚咽を漏らす。
パリピに打ちのめされた、かつてのトラウマが呼び起されているのだろう。
「ユリアよ……そなたが真にオタクの救いの神じゃというのなら、救っておくれよ……わしを、オタクを……」
既に光すら失われてしまったコテツの瞳が、天使の光を纏うユリアを見つめる。
そんなコテツの言葉にユリアは力強く頷くと、アイリたちに呼びかけた。
「みんな、力を貸してほしいの。愚民たちの心を正気に戻して、パリピたちを元居る場所に戻してあげるために」
コテツからマイクを受け取ると、ユリアはステージの上に立ち大きな声で叫ぶ。
「愚民たち! 私の歌をきけぇええええええッ!!」
ユリアのその叫びは、『オタク・ハイロウ』に洗脳されていたオタクたちと、ダブステップによってマイルドヤンキーと化していたものたちの動きを止める。
今や大天使となったユリアの声は、街を荒らし放題だったパリピたちの興味をも引き付けていた。
そんな中で、ユリアは過去に行った東京アキバ化計画を思い出していた。
あの時はアキハバラというオタクの聖地では力を発揮できていても、パリピの聖地であるシブヤには立ち入ることができなかった。
実際はパリピに気後れしていただけなのだが、ユリアはそういうことにしている。
しかし今、あの時シブヤを侵略していなくてよかったのだと、ユリアは思う。
「過去にシブヤをオタク化しようと思っていたけど、私間違ってた! だって、パリピにはパリピの居場所が必要だもん! それはオタクだって同じ!」
誰にだって居場所は必要なのである。
オタクであっても、パリピであっても、それは変わらないのだ。
「パリピはパリピ、オタクはオタクのいるべき場所に帰り、お互いの文化を尊重すべきなのよ!」
ユリアの声は、オタクに届いただろうか。パリピに届いただろうか。
それをステージの上に立っているユリアには、確認する術はない。
だがしかし、ユリアのその言葉を聞いて、涙を流す人物は確かに存在していた。
パリピに笑われながらも、散らばるGプレイカードを必死にかき集めていた手を止め、ただただ涙を流し思い出す。
無謀にも東京全土をアキバ化しようとしたアイドルを、興味本位で追いかけていた日々のことを。
そしてそのアイドルにいつしか夢中となり、どこまでもついて行こうと心に決めた、その瞬間のことを。
ユリアの演説とも言えるそれが終わるのと同時に、音響制御用のPCを操作し始めるとれびと鋼太郎。
「やっちゃえ~、ユリアちゃん★!」
「あえ゛っ! い゛いいいいいっ♥ お声でとろけちゃうのぉぉおお゛っ♥♥」
マイクとスピーカーの音量を最大値に設定すると、アキハバラの街は大音量の電波曲に包まれ、ユリアは渾身の力を込めて歌い始める。
ダブステップと電波曲。2つの楽曲が互角にぶつかり合っていた。
しかし、その均衡はすぐに崩れることとなる。
アイリたちが即興でスピーカーを増設し、ユリアの楽曲の音量を底上げさせたのだ。
次第にダブステップ掻き消し、ユリアの歌声がアキハバラの街の全域に届き始める。
「あれ、今まで何を……?」
「心が洗われるゥ~~~」
その結果、ユリアの歌声は『オタク・ハイロウ』とダブステップによって洗脳されていたオタクたちの心を解放することに成功していた。
だが、全員が洗脳から解放されたわけではなかった。
変わらずにパリピのように「ウェーーーイ!」と叫び、パリピたちに混ざり映えようとするマイルドヤンキーたち。
しかし、そんなパリピに染められてしまったものたちを元に戻そうとする動きがあった。
「元に戻れよぉー! お前はそんなリア充じゃないはずだろぉ!?」
洗脳から解かれたものが、未だ洗脳され続けているものを、泣きながらビンタし始めたのだ。
元々オタクだった者のあられもない姿を、これ以上見たくはなかったのだろう。
1人のその行動は、瞬く間に広まっていく。オタクがオタクを正気に戻そうとビンタの応酬が始まる。
ニワカもガチオタも関係ない。皆好きなものへの愛は同じはず。それを洗脳という手で、強制的に好きなものへの愛を歪められてしまう。
そんなことが許されていいはずがない。
そしてその洗脳を、ユリアの歌声に後押しされて、オタクたちは涙を流して自分の手を痛めながら乗り越えようとしていた。
いつしか鳴り響いていたダブステップは消え失せ、代わりに街中は正気に戻ったオタクたちの泣き声が響く。
オタクたちを元に戻すことに成功したユリアはホッと息をついた。
だが、そんなユリアの周りを、パリピたちはスマホを片手に取り囲んでいたのだ。
アキハバラの街は、ユリアの天使の力を付与した歌声によって、元の街並みを取り戻していた。
ダブステップによって汚染されていたオタクの心は解放され、街中に散らばっていたGプレイカードは、いつの間にか美少女ゲームのチラシへと置き換わっていく。
「お、お姉ちゃん!?」
そんな中で、ユリアがパリピたちに囲まれていることに気づき、アイリは悲痛な声を上げた。
これは報復なのだろうか。
パリピたちに、ユリアの声は届かなかったのだろうか。
地面に崩れ落ちそうになるアイリ。
しかし、ユリアはそんなアイリに向かって笑みを見せた。
そして、今まで敵として扱ってきていたパリピたちにも、ニコリと笑みを浮かべて見せた。
その笑みを受けたパリピたちは、大いに盛り上がり、神々しいユリアを次々に撮影していく。
「あんな大量のフラッシュを受けても、ユリアちゃん微動だにしてないよ、スゴ……」
四方八方からのフラッシュの嵐。
前が見えなくなるほどの光を受けながら、それでもユリアの笑顔が失われることはない。
桃子はそんな光景を遠巻きに見ながら、アイリを支えてあげていた。
やがてパリピたちはユリアを背景に自分たちの自撮りを始める。
それにもユリアは表情ひとつ変えることなく、パリピの暴挙をその身で受け止めていった。
ひとしきり撮影を終えて満足したのか、パリピたちはユリアから離れてワンボックスカーへと走る。
「映えたわー! めっちゃ映えた!」
「オタクくん、楽しかったよ!」
「今度は俺たちの街にも遊びに来てくれよな! ギャハハ!」
「「ウェーーーイ!!!」」
最後までパリピたちは楽しそうで、そう言い残すとパラシュートを担いで地上へと帰っていった。
街中には、バーベキューの残骸やアルコールの缶にビンが転がり、飲みかけのタピオカドリンクがゴミ箱に突き刺さっている。
パリピは言葉だけではなく、その生き様までアキハバラに刻んでいったのだった。
何はともあれ、パリピの脅威は去り、アキハバラの街に平穏が訪れた。
ユリアの周りに、アイリたちが集まる。
「ユリア、すごかったデース!」
「さすがユリアちゃんですわ!」
「ううん、みんなの協力があってこそだよ。ありがとうみんな!」
称賛を浴びるユリアは笑顔でアイリたちに礼を言う。
仲間に囲まれ嬉しそうなユリアを、コテツたちは少し離れたところから眺めていた。
「誰かを変えようとしたライブではなく、自分の想い、気持ちを訴えかけるライブじゃから響いたのじゃな……」
「わ、わたしたちだって……!」
「いいにゃん、ひばり。悔しいけど、そういうことだったにゃん」
自分の想い、気持ちを伝えるライブ。コテツたちもそれは変わらないはずだった。
だが、いつしかその想いが薄れてしまっていたのだろう。
3人は、それを実感させられていた。
ふぅと力を抜くと、コテツたちはユリアに近づく。
「そなたこそ、誰の操り人形でもない真のアイドル。そしてアイドルが好きな、真のオタクじゃ。わしの……過去に囚われ続けた、わしたちの負けじゃ」
悔しそうにしながらも、その表情はどこか清々しく見えた。
そんなコテツたちに、ユリアは笑みを向けて優しく語りかける。
「『モノや人を好きだって気持ち』がオタクには大切だと思うの。だから、洗脳して無理やり好きだって思わせたって、意味ないんだよ。何かが好きだって気持ち、あなたたちにもあるでしょう?」
言われて、コテツは「そうじゃな」と小さく呟く。
「わしらは、忘れておったのかもしれんな……」
「オタクにとって必要な気持ちを……」
「やっぱり完敗にゃん! 完敗にゃーん!」
ユリアの歌声が、オタク観が、コテツたちの忘れていた感情を取り戻させる。
改めて負けたことを認める3人。しんみりしているところで、楠子が服が破けながら後ろに吹き飛んでいく。
さすがの大天使ユリアもそれには驚きの表情を浮かべていた。
「な、何今の……アイリちゃんなんか魔法使った?」
「いえいえいえ! 私何もしてませんよ!」
「気にするな。あやつは……というか忍者は、昔から負けを認めると服が破けるらしいでの」
「ジャパニーズニンジャ……恐ろしい風習デスね」
地面に伏してピクピクしている楠子を、鋼太郎が恐る恐るつつく。似たような体質に惹かれでもしたのだろうか。
「い、一件落着したってことで、アキハバラの街を綺麗にしよっか!」
微妙な空気が流れたところで、ユリアはそんな声を上げる。
平穏が戻ったといえど、街はまだパリピ被害に遭ったままである。
「さぁ、コテツさんたちも一緒に。ここはオタクの聖地……オタクの場所だもんね」
「……そうじゃな、わしらも精一杯手伝おうではないか」
ユリアが手を差し出すと、コテツはその手を取る。
長かったようで短かったようで、アキハバラの街を呑み込んだ一連の騒動は終わりを迎える。
誰もがそう信じて疑っていなかった。
少なくとも、この瞬間は。
街並みはパリピ被害でボロボロの状態だが、一応の平穏は取り戻したアキハバラ。
洗脳が解かれて正気に戻ったオタクたちは、ユリアの呼びかけもあってか協力して街の清掃を始めた。
パリピの遺した遺物……バーベキューの残骸や飲み残し。その他諸々を、オタクたちは散り散りになって回収していく。
これで街並みが綺麗になればひと安心……というわけには、残念ながらならない。
現在進行形で西へと向かっているアキハバラは、依然としてその高度を徐々にだが下げつつあるのだ。
パリピによるオタクの洗脳がなくなったことで、アキハバラを浮上させているオタク力が弱まることはなくなった。しかし、不足してしまった力を補填する余裕は、今のアキハバラにはないのである。
「アキハバラが地上へと帰るのであれば、それで構わぬ。在るべき場所へ戻り、オタクが安心できる場所となるのだからの」
『オタク・ハイロウ』を使って洗脳をする必要もなくなった今、魔大陸として浮上している理由もない。
コテツは清々しい表情で、ユリアたちにそう言った。
「ここに居れば好きな自分でいられる。好きなアイドルやアニメがいつもそこにある。そういう場所にするんじゃ」
「アキハバラはオタクみんなの場所だもんね」
コテツの言葉に異論を唱えるものは居ない。
「私も、それでいいと思うンゴ……っても、今どこを飛んでるわけ?」
ふと思い出したかのように、桃子がそんなことを言い出した。
「どうやら関ヶ原のようじゃ。こんなところにまで……東京へと戻るのも難儀じゃのう」
「戻っている間にドボーン! とかはないデスよね?」
アキハバラを浮上させるエネルギーが、いつ途切れてしまうかは誰にもわからない。
東京へと戻る最中で、墜落してしまう可能性は十分に考えられた。
だがしかし、一度降りてエネルギーを充填する、ということもできるかはわからない。
「コテツお姉さま、もう一度浮上させられませんの?」
「どうじゃろうな……? このアキハバラ、オタク力(ちから)で浮いているとは言ったが、その大部分はユリアの力で補っていたのじゃ」
「えっ、そうだったの!?」
コテツの言葉に、ユリアが驚きの声を上げる。
『オタク・ハイロウ』の制御装置として取り込まれていたユリア。その力は、兵器だけではなく浮遊エネルギーとしても扱っていたのだという。
「それなら、お姉ちゃんがエネルギーを補填してあげれば……」
アイリがそう呟くと、視線がユリアに集中する。
光が見えた……かのように思えたが、ユリアは浮かない表情をしていた。
「えっとね……パリピから愚民たちを守る時に力を結構使っちゃって、まだ半分も回復してないの。だから……」
東京へ戻すには力が足りないかもしれない。
言葉がそう続かなくても、皆ユリアが言いたいことは理解できた。
「じゃが、それでも少しずつ力を与えられれば、墜落までの時間は稼げるじゃろうて」
「そうね。やれるだけのことはやらなきゃ!」
ユリアが力強く頷き、話がまとまった。
これで東京へ戻ることができる。
確実ではないが、誰もがそう思った瞬間、大きなアラートがアキハバラの街に鳴り響いた。
「な、なんですのこの音は!?」
「非常用アラートにゃん! いったい何が……?」
唐突に鳴り響いた音に一同が困惑していると、次は桃子のスマホに着信がかかってきた。
「な、何!? 知らない番号なんですけど!?」
この状況でかかってくるとは、確実にロクなものではないだろう。
そう思いながらも、桃子は通話ボタンを押さずにはいられなかった。
「も、しもしも?」
「こちらステファン。コテツは居るか?」
電話の相手は、秘密基地に居たオペレーターのステファンだった。
一応は知っている人間なので、桃子は胸を撫でおろし、スピーカーモードに切り替える。
「……居るけど、なんで私の番号知ってるンゴ?」
「これぐらいインターネッツがあれば余裕」
「こわっ!?」
「そんなことより、ステファン! いったい何があったんじゃ!?」
話を進めようと、コテツがスマホに向かって叫ぶ。
すると、スマホの画面にとある映像が映し出された。
「とてつもない数の大阪のオバちゃんとパリピが、カメラやスマホをアキハバラに向けている」
「ぶふっ!? ナニコレ!」
「いけませんわ!?」
その光景を目の当たりにして、にこるが大きな声を上げた。
「あの人数が一斉にフラッシュ撮影したら、膨大な光エネルギーがアキハバラに直撃してしまいますわ!」
「それって、どうなるんですか?」
「アキハバラが焼き尽くされてしまいますわ! なんなら灰も残りませんわ!」
アイリが恐る恐る尋ねると、にこるは悲痛な叫びで返した。
ユリアたちも驚きの声を上げる。
「何それ、どこのソーラー・システム……って、本当にどうするンゴ!?」
桃子がツッコミを入れ、策を練ろうとする。
だが、もう遅かった。
浮遊したアキハバラを興味深そうにカメラで連射する、ピンクの服を着た大御所芸人が、スマホの画面に映し出される。
それを皮切りに、オバちゃんやパリピも次々にシャッターを切った。
ひとりひとりのフラッシュは小さいものだが、それが幾重にも重なり、巨大な照射レーザーと化す。
魔大陸アキハバラに直撃するのは、時間の問題であった。
このままでは、あと数秒でアキハバラは完全に消滅してしまう。
悩んでいる暇などなかった。
ユリアはアキハバラ上空へ舞い上がると、オタクたちに向かって叫んだ。
「私の身体をみんなに貸すわ!」
大天使の力を得たユリアは、オタクたちの依り代としてその力を行使できるようになっていた。
「みんなの力を使うなんて……本当はしたくない。でも……このままじゃアキハバラがなくなっちゃうの! だから、力を私に!」
それを今、緊急事態だからと使おうとしている。仕方のないことだとは言え、ユリアは心を痛めていた。
だがしかし、オタクたちは躊躇うことなく、その手を高く上げてユリアへと向ける。
それは、ユリアへ力を分け与えることを了承するサインでもあった。
アキハバラに残るすべてのオタクが、ユリアに力を貸そうとしていたのだ。
「ユリアちゃん! 頑張れ~!」
「いいですとも!」
「うおおおぉぉぉ!」
オタクの声が、力が、ユリアのもとに集まっていく。
「ありがとう! みんなの力、受け取ったよ!」
集まった力を、自らの天使の力と合わせ、ユリアは魔大陸を包み込む巨大なサイコフィールドバリアを作り出した。
その直後、大阪から照射されたレーザーが直撃する。
衝撃は凄まじく、アキハバラ全土を大きく揺らした。
「きゃぁああああああっ!?」
「おぶっ……オロロロロロ……!」
「ぎゃああああっ!? 桃子さん!?」
「わ、ワタシたち、どうなってしまうんデーーース!?」
それぞれ、少女たちは悲鳴を上げる。
巨大な揺れはしばらく続き、レーザーの照射が終わった。
魔大陸アキハバラに、傷はひとつとしてない。
ユリアが作り出したサイコフィールドバリアはアキハバラを、オタクたちを守り抜いたのだ。
「よ、よかった……」
すべての力を使い果たしてしまったユリアは真っ逆さまにアキハバラの街へと落下する。
さらに、今の衝撃でアキハバラも浮遊の力をすべて消費しまったのか、緩やかにその高度を落としていく。
やがてアキハバラは、大きな衝撃と共に『ビワ湖』へと墜落したのだった。
大きな振動によって揺れる湖面。
そこに、一艘のボートが浮かんでいた。
波が起こっているというのに、ボートは水面に張り付いているかのように動かない。
そのボートには1人の少女が目を瞑り、何かを大事そうに抱えながら横たわっている。
腕の中にある透き通った透明な頭蓋骨。
それが怪しく光を放つと、呼応するかのように少女は身体を起こす。
――目を覚ました少女。
透明な頭蓋骨を胸に抱き、その瞳は何を映すのか。
チュウニズム大戦
レーベル | 難易度 | スコア | |
---|---|---|---|
スキル名/効果/備考 | |||
♥グミン | ADVANCED | 0 / 210 / 420 | |
レーベルブースト(♥■チェイン) | |||
自分と次のプレイヤーは、出すカードが♥、■で COMBOした時、CHAINとなる。 | |||
備考:♥グミン/■メタヴ |
-
-
チュウニズムな名無し
142021年09月03日 00:16 ID:kuvunlhcグミンのストーリーで感動する日が来るとは…たまげたなぁ
-
-
チュウニズムな名無し
132021年02月13日 01:23 ID:ongzdi9yマクロスFネタもあるの笑う
-
-
チュウニズムな名無し
122020年12月01日 17:13 ID:k087d9vfペーパー師匠おって草
-
-
チュウニズムな名無し
112020年11月27日 00:00 ID:l0ap56ifガンダムUCやんけ
-
-
チュウニズムな名無し
102020年09月22日 12:51 ID:m1tgd3fq某黒鎧「いいですとも!」
-
-
チュウニズムな名無し
92020年09月21日 11:25 ID:igambya6天使なのにスキルは悪魔なのか(困惑)
-
-
チュウニズムな名無し
82020年09月21日 10:39 ID:mnc4huooNice bort.
-
-
チュウニズムな名無し
72020年09月18日 23:07 ID:lh2xy75p最後ガ○ダムかよww
-
-
チュウニズムな名無し
62020年09月18日 16:05 ID:qkoavcp7いい貧乳(〃∇〃)
-
-
チュウニズムな名無し