鬼蝮 アイリ
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【スキル一覧(~PARADISE LOST)】【マップ一覧】
※ここはCHUNITHM PARADISE LOST以前に実装されたキャラクターのページです。
- このページに記載されているすべてのスキルの効果は、CHUNITHM PARADISE LOSTまでのものです(限界突破の証系を除き、NEW以降で入手・使用できません)。
- 専用スキル装備時に名前とグラフィックが変化していたキャラクター(いわゆるトランスフォーム対応キャラ)は、RANK 15にすることで該当グラフィックを自由に選択可能となります。
Illustrator:空中幼彩
名前 | 鬼蝮アイリ(おにまむし あいり) |
---|---|
年齢 | 13歳 |
職業 | 学生(中学1年生)、アイドル、暗黒魔導士(自称) |
夢 | オタクが仲良く静かに暮らす理想郷を作る |
- 2019年4月11日追加
- AMAZON ep.IVマップ3完走で入手<終了済>
- 入手方法:2021/4/1~5/12開催の「「おねがい☆ココ先生」ガチャ」<終了済>
- 入手方法:2022/1/6~2022/2/2開催の「「音闘気鍛錬の行」ガチャ」<終了済>
- サントラ「GUMIN☠NATION」のジャケットを飾っている。
- 対応楽曲は「アイリちゃんは暗黒魔導士!」。
鬼蝮 ユリアの妹であり、小岩を拠点に活動するアイドル。
幼い頃のとある一件で暗黒魔導士を自称するようになる。
鬼蝮 アイリ【 通常 / オールスター運動会 】
スキル
- 判定掌握・零式 [MANIAC]
※スコアにマイナスの影響を与える可能性があります。 - 判定掌握のローリスクローリターン版。
- リスクがある割に上昇量はあまり高くなく、所有者を1人しか持っていないとゲージブーストと同程度にしかならない。6本用として安定させるなら所有者を揃えるのは必須。
- 汎用MANIACスキルでは最も判定面のリスクが軽いため、壱式・弐式・アタックブレイクが使いこなせなかったり入手できていなければ、東方コラボ各種のマップボーナス目的で育てておくのもあり。
- 判定が「厳しくなる」汎用スキルはこれが初めて。
- 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
- PARADISE ep.IIIマップ2(PARADISE LOST時点で累計150マス)クリア
プレイ環境 | 最大 | |
---|---|---|
開始時期 | ガチャ | |
PARADISE× (2021/8/5~) | 無し | +1 |
あり | +5 | |
PARADISE (~2021/8/4) | 無し | |
あり | +9 | |
CRYSTAL+以前 |
GRADE | 効果 | |
---|---|---|
共通 | TAPの判定が厳しくなる | |
初期値 | ゲージ上昇UP (160%) | |
+1 | 〃 (165%) | |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 | ||
+2 | 〃 (170%) | |
+3 | 〃 (175%) | |
+4 | 〃 (180%) | |
+5 | 〃 (185%) | |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 (2021/8/5以降では未登場) | ||
+6 | 〃 (190%) | |
+7 | 〃 (195%) | |
+8 | 〃 (200%) | |
+9 | 〃 (205%) | |
理論値:99000(5本+19000/22k)[+1] | ||
理論値:111000(6本+9000/24k)[+5] | ||
理論値:123000(6本+21000/24k)[+9] |
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
スキル | Ep.1 | Ep.2 | Ep.3 | スキル | |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
Ep.4 | Ep.5 | Ep.6 | Ep.7 | スキル | |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | |
Ep.8 | Ep.9 | Ep.10 | Ep.11 | スキル | |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
- | - | - | - | - | |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | |
- | - | - | - | スキル | |
~50 | |||||
スキル | |||||
~100 | |||||
スキル |
STORY
「我の名は暗黒魔導士アイリ。煉獄の地・ショートロックスより降臨せしめるサンクチュアリアキバのガーディアンである! 我に仇なす愚かな異端者・千の葉の民どもよ! 我の名に畏れ慄き、ひれ伏しなさい!」
東京都江戸川区。ここにひとりのアイドルがいる。
その名は鬼蝮アイリ――。
鬼蝮と聞いて即座に思い浮かぶ方もいると思うが、そう、彼女はアイドル・鬼蝮ユリアの妹である。
暗黒魔導士はもちろん自称だが、そのキャラクター性を買われ、姉と同様アイドルとして活動している。
とはいえ、ご覧の通りかなりエッジの効いた個性のため、アイドルとしてもまだ大きな芽は出ていない。
だが彼女は、アイドル活動を続けながら日々迫りくる様々な脅威に立ち向かい、小岩を拠点に秋葉原と姉を守り続けているのである!
「また千の葉の民の仕業ね! お姉ちゃんに指一本触れさせないんだから!」
「覚醒せよ……輪廻に漂う漆黒の魂よ……ダーク・グリモワールに導かれし我に暗黒の力を! 喰らえ! ダーク・ストーム・ジャッジメント!」
時は鬼蝮アイリの幼少期に遡る。
ある日、鬼蝮アイリは幼馴染の女の子と江戸川の河川敷にある公園で楽しく遊んでいると、同級生の男の子がやってきた。
この男の子は学校こそ違うものの同級生の間で評判が悪く、イタズラやいじめなど絵に描いたような
“The・悪ガキ”といった男の子で、着ているTシャツにはでかでかと落花生がプリントされていた。
「おまえ、おにまむしあいりだろ? すげぇ変な名前でだっせぇよな。アハハハハ!」
何をきっかけにアイリの名前を知ったのかは不明だが、男の子にそう罵られたアイリは、言葉を振り絞って反抗する。
「べ、別にいいでしょ! あっちいってよ!」
しかし、男の子は全く動じない。それどころかさらにアイリへちょっかいを出し続ける。そうして言い合いになった結果、男の子はアイリに手をあげようとした。
「こいつ、生意気だな! これでどうだ!」
アイリは叩かれると思いギュッと目を閉じて身体をこわばらせていたが、叩かれる気配がない。
恐る恐るアイリが目を開くと、そこには黒いマントを羽織り、つばの広い帽子をかぶった女性が男の子の手を掴んでいる光景が映った。
「手を出そうとするなんてどういうつもり? さすがにそれはお姉さん見過ごせないよ」
魔法使いのような格好をした女性は、そう言って男の子の手を離し、叱る。
男の子はやや驚きながらもその手を振りほどき、捨て台詞を残して逃げていった。
「は、離せよ! オバサン! ばーかばーか!」
オバサンと呼ばれた女性は逃げる男に怒鳴り散らしていたが、助けてくれた女性の姿がとても輝かしく、かっこよく、正義の味方のように思えたのだ。
「まったく……ああいう悪ガキっていうのはどこにでもいるものね。大丈夫? どこか痛い?」
優しく頭を撫でられたアイリは、その女性に抱きつき大泣きを始めた。それを見て、怖くて怯えていた幼馴染の女の子も泣き始めてしまった。
女性に抱きついて泣いていたアイリは、泣きながら自分もこの女性のようになることを心に誓うと共に、あの落花生のTシャツを着た男の子のことを、絶対に許さないと誓った。
そして後日、アイリはあの男の子が千葉県在住であることを知るのだった。
こうして鬼蝮アイリは魔法使いに憧れるようになる。なお、かの女性は別に魔法使いでも何でもない。
近くでコスプレの撮影をしていた一般人だったのだが、それをアイリが知ることはない。
魔法使い(※実際はコスプレイヤー)に助けられてからというもの、アイリは魔法使いに憧れ、魔法使いを目指すようになっていた。だがあまりに憧れが強く、努力の方向性を間違ってしまったのか、変な方向へと拗らせてしまい、それは日常生活にも及んでいった。
ある日の放課後。
アイリは自分の席でせっせと鉛筆を走らせていた。
「本日の天候は……イフリートの業火の如き日差しだったからザ・サン……と」
「名前……我の名は暗黒魔導士アイリ……と」
徐々におかしな言葉を使うようになったアイリは、クラスでもちょっと不思議な子として認識されている。
クラスメイトはアイリの話す言葉をほとんど理解していないが、幼馴染の女の子だけは唯一アイリの言葉を理解しており、それを他の人に通訳することで会話がある程度成立していた。
それを知っているアイリだったが、本人はそれを恥ずかしがることもなく、ましてはやめることもない。
そんなアイリに日直の順番が回り、日直の最後の仕事として、放課後にこうして学級日誌を書いていたのだ。
「授業? あぁ。下界における各カテゴリの真理探求ね……今日は国語、理科、音楽、社会、算数、だったわね。それで……内容は……禁忌に触れし暗黒の言の葉を紡ぎ……」
ひとつひとつの項目をアイリ独自の言語で埋め尽くし、日誌が完成した。
せっかくなので、日誌もご覧いただこう。
●月■日(水) 天候:ザ・サン
日直氏名:暗黒魔導士アイリ
今日の予定、行事など:特になし。禁断の預言書通り下界の選別が行われた。
1時間目:魔術言語
学習内容:禁忌に触れし暗黒の言の葉を紡ぎ、同胞による詠唱を真名の順に行った
2時間目:魔法薬生成の義
学習内容:聖水に神秘の粉を合わせ、新たな魔法薬を生成
3時間目:狂乱の宴
学習内容:楽士の奏でる安らぎの音色に共鳴し、魂の叫びを捧げん
4時間目:混沌世界黙示録
学習内容:我の棲まう暗黒世界の魔大陸と眷属について
5時間目:禁断の魔式
学習内容:新たなパンドラの箱を紐解く魔式の会得
日直を終えて:ザ・サンの輝光により下界の選別はフェアリーの囁き。刹那の安らぎで存在理由を知る。終焉の鐘の音響くとき、時は来たれりと歓喜に湧く同胞たちのカタルシスをこの身に感じ、黄昏の刻の訪れと共に、我の使命も宵闇へと消えゆく。
こうして日誌を書き終えたアイリは、意気揚々と担任に提出し、家路へと着いた。
しかし後日、日誌を返されたアイリは担任からの返答に驚愕することとなる。
先生から:外界が聖なる輝きに満ち、我が肉体もシフルの微笑みで呪縛にかかっていた。その呪縛は暗黒の供物を口にすると激化し、魔の瞳も封印されるところだった。だが、我が眷属たる暗黒魔導士アイリよ。よくぞ神の試練に抗い乗り越えた。混沌の地が闇に葬られる前に、汝の安らげるかの棺に舞い戻り、魔力と魂の休息を。
アイリの拗らせ方は加速度的に変化していった。
言葉遣いもさることながら、アイドルである姉の影響も受けてきており、服装にも変化が見られていた。
だが、幼馴染の女の子はそんなアイリでも変わることなく付き合い、今やアイリを理解できるのはこの幼馴染の女の子だけだった。
そして今日も幼馴染の女の子を連れ、帰宅した。
アイリたちが帰宅すると、姉であるユリアが帰宅しており、話し声が聞こえた。
アイリはすぐさま姉の元へ駆け寄る。
「お姉ちゃんおかえり! 今日は早いんだね!」
姉の姿を早く見ようと勢いよくリビングのドアを開けたアイリは、姉と共に並ぶ知らない男性へ即座に敵意を剥き出しにした。
「お姉ちゃんそいつ誰っ!? もしかして泥棒!? 早く離れて! すぐに警察呼ぶから!」
おわかりの通り、アイリはユリアのことを強く敬愛しており、端的に言うとお姉ちゃん大好きっ子なのだ。
アイリが男性に食ってかかろうというところで、幼馴染の女の子がアイリを制止。姉のユリアはやや困った笑顔でアイリを見る。
「アイリちゃんちょっと待って! 落ち着いて! いきなり警察なんて~」
「そうよアイリ落ち着いて。この人は大丈夫。私のマネージャーなの。だから安心して」
ふたりになだめられるとアイリは落ち着きを取り戻し、話し方もいつもどおりになる。
「コホン。どうやら暗黒魔導士たる我に憎きフェアリーの呪術がかけられていたようだ。側近であるならば親愛なる我の姉に近付くことと、我らのテリトリーに愚者の足をつけることを許そう」
「すいません。私の早とちりでした。マネージャーさんでしたらお姉ちゃんに近付いてもいいですよ。あと、お家に上がるのも問題ないです。と、言っています」
アイリが話した後、幼馴染の女の子が通訳する。
唖然としていたマネージャーの男性は、相づちを打つことしかできなかった。
こうしてアイリ、ユリア、幼馴染の女の子の3人での会話が始まる。
ところが、マネージャーはアイリの話している内容が一切わからない。しかし、何かを考えながら黙って聞き入っていた。
そして突如、マネージャーがアイリに話しかける。
「鬼蝮アイリさん、君、アイドルやってみない?」
それは唐突な申し出だった。
だが、アイリはそれを聞いて即答した。
「無論。我は暗黒魔導士アイリ様だ。愚民どものために、この魔の力、奮おうぞ!」
アイドルとして活動を始めたアイリだったが、すぐに売れっ子になれるほど甘い世界ではない。
ある日、アイリはアイドル活動を終えて、黄色いラインが眩しい電車に乗り、帰路についていた。
(お姉ちゃんに追いつくためにもっと頑張らないと。でも、小さいお仕事しかないしなぁ……)
車窓を眺めながらそんなことをぼーっと考えていると電車が急に揺れてサラリーマンがぶつかってきた。
ふとぶつかったところを確認すると、アイリの制服にサラリーマンが持っていた飲料がかかってしまっていた。
「ひゃぁ! あっつい!」
アイリの声が車内に響くと、それほど混んでいないこともあり、アイリとサラリーマンは注目される。
サラリーマンはその注目にとまどっているが、アイリは今までの生活とアイドル活動を始めたことで、人からの注目は気にならなくなっていた。
そして、アイリは冷静になって制服にかかった飲料を確認する。
するとその飲料はマックスティーだった。
マックスティーは紅茶の中でも特に甘い紅茶で、かかった制服はベトベトになってしまっていた。
(どうしてくれるのこれ……)
そう思い、アイリがサラリーマンに物申そうとすると、サラリーマンはペコペコと頭を下げるばかり。
ほどなくして電車が駅へ停車すると、サラリーマンは名刺を差し出しクリーニングを申し出るが、アイリが名刺を受け取るとそそくさと逃げるように電車を降りていってしまった。
「あっ、ちょっ! ちょっと!」
アイリの声はサラリーマンに聞こえていたのかいないのか、定かではないが、結局アイリはベトベトの制服のまま、電車に乗り続けていた。
(なんなのよもう! あぁ、やだなぁベトベトだし……)
そんな嫌な気分のまま、改めて渡された名刺を見たアイリは身体の奥からこみ上げる怒りを覚えた。
住所に忌まわしき地名が書かれていたのだ。
(ま……また……またしても……千の……葉の……民……ぐぐぐぐぐ! 千の葉の民……絶対許さないんだから……)
ベトベトになった制服を着たまま帰宅したアイリは、さらなる怒りと屈辱、そして千の葉の民への憎悪を抱くことになる。
サラリーマンが逃げた後も電車に乗っていたアイリは、マックスティーの匂いが染み付いた制服を着続けるしかなかった。
その結果匂いは車内に広がり、アイリの周囲に人は近寄らず、小岩に到着してからは逃げるように家へ帰ってきた。
「ただいま……」
いつになく元気のない声に心配した母親が出迎えると、アイリの姿を見た母親は驚きの声を上げる。
「アイリ! 制服どうしたの!?」
問われたアイリは、あのサラリーマンから渡された名刺を母親に差し、起こった出来事を話した。
アイリの話を始めは信じていた母親だったが、渡された名刺の電話番号に電話をかけても一向に相手が出る気配がないことで、アイリが嘘をついていると思い、アイリを問い詰める。
「アイリ、自分でやったんじゃないの? ユリアの真似でもして失敗して、それで汚したんでしょ!?」
そんなことあるわけない。アイリは何度も母親に理由を説明した。
しかし、何度あの電話番号に電話をかけても呼び出し中のまま誰も出ることはなかった。
挙げ句、母親はその名刺にも疑いを持ち始める。
「だいたい、こんな名刺どこからもらってきたの? 自分のせいにしたくないからって自分で用意したんじゃないの? 人のせいにしようとして」
千の葉の民であるサラリーマンにマックスティーを引っ掛けられ、車内ではその甘すぎる匂いで奇異の目にさらされ、信じてくれると思っていた母親には疑われ、アイリの心は怒りと悲しみでいっぱいになっていた。
「もういいよ!」
そう叫んで、アイリは自分の部屋に駆け込んだ。
部屋に入って汚れた制服を着替えたアイリは、鍵をかけていた机の引き出しを開け、1冊のノートを取り出す。
その表紙には“†デモンズノート†”と書かれていた。
「千の葉の民……絶対許さない……絶対……。アイツらは私の手で裁いてやるんだから……」
アイリは母親が自分を信じてくれなかったことも、元はと言えば千の葉の民が悪いと結論付け、何行にも渡って千の葉の民に対する恨みつらみを書き連ねていった。
「異端者だ。千の葉の民どもは我に仇なす異端者だ。異端者なら、我の魔法で地獄へ突き落としてやる」
千の葉の民への恨みつらみを思う存分綴ったアイリは、満足すると今日の嫌なことは忘れようと布団に入る。
「我に向かってくるか、千の葉の民どもよ! いいだろう。貴様らは我が直接成敗してくれる!」
アイリは夢の中で千の葉の民たちと戦っていた。
先端におでん缶を冠したアイリ自慢の神器、その名も“オーディンステッキ”。
魔法を唱えるとオーディンステッキから爆炎や猛吹雪、巨大な雷が次々と現れ、千の葉の民を蹴散らしていく。
「我に仇なす愚かな民よ。これまで我にしてきた数々の非礼、そして侮辱。決して許しはしない! 千の葉の民など、混沌の淵に陥れてくれる!」
高笑いを繰り返しながら、夢の中のアイリはオーディンステッキで千の葉の民を吹き飛ばし、これまでの恨みを晴らすかのように爆進する。
そんな中、無数に現れる千の葉の民の中に、忘れようにも忘れられない人物の姿を見つける。
(あっ……あいつは……!)
アイリにとっての恨みの根源とも言える、幼少期にいじめられたあの落花生の男の子だ。
ニヤニヤと笑みを浮かべてアイリに迫る落花生の男の子。
実はアイリは、あの後から落花生が食べられなくなっていた。
それは、落花生を見るとあの男の子を思い出し、あのときの悔しさと怒り、憎しみが湧き上がるからだ。
「謝ったって許さない……お前だけは絶対に許さない! オーディンステッキ! 私に力を貸して!!」
アイリはオーディンステッキを高々と掲げると、魔法の詠唱を始めた。
「ニョルニョルミョルニル……我に力を……コイワクノイワク……あいつに裁きを! 爆ぜろ! スターダスト・ディザスター!」
詠唱の終わりと共に、アイリは落花生の男の子に向けて魔法を放った。
オーディンステッキから飛び出した輝く光の玉は落花生の男の子を包み込むと膨張し、やがて大爆発を起こした。
「星屑になりなさい」
落花生の男の子は大爆発した光とともに星屑へと変化。あっという間に消えてしまった。
「これが暗黒魔導士アイリ様の力よ! 愚民どもよ、ひれ伏しなさい!」
夢の中で魔法を使い、千の葉の民をボッコボコにしてたアイリは、目が覚めるとすっかり機嫌が直っていた。
やや単純だが、アイリはいつもそうして気持ちをリセットしているのだ。
アイドルとしてコツコツ活動を続けてきたアイリに、ある日姉であるユリアと一緒に秋葉原のステージへ立つイベントが舞い込んできた。
今日はそのイベント当日である。
(今日はお姉ちゃんと一緒のお仕事だ! やったぁ! すごくうれしいよぉ!)
姉との共演は滅多にないため、アイリにとっては一大イベント。
少し気負っていたアイリだったが、ステージはなんとか無事に終えることができた。
アイリの成長にユリアも喜び、姉の喜ぶ顔を見てアイリはさらに喜んだ。
「アイリ、あとはお渡し会だけど、最後まで気を抜かないでね」
大好きな姉と同じ場所に立っている。近くにいられる。それだけで、アイリはとても幸せな気持ちだった。
お渡し会はユリアとアイリが横に並び、訪れる参加者へ、順にグッズを渡していく形で行われた。
ユリアとアイリが姉妹であることは知られているが、アイドルとしての人気は圧倒的にユリアの方が上であり、マネージャーはこれを機にアイリのファンも増やそうと画策していた。
そうして始まったお渡し会は順調に進んでいた。ユリア目当てのファンはもちろん多いが、アイリ目当てのファンが訪れるとユリアも喜んでくれており、そんな姉妹のやり取りを目にする参加者の中から、徐々にアイリに興味を示す参加者も増えてきていた。
アイリはこのまま何事もなく楽しいままお渡し会が終了する。そう思っていた。
だが、そうはいかなかった。
ユリアの前に訪れたその参加者を見たアイリは驚きのあまり絶句した。
今ユリアの前に立った男の子を、アイリは知っている。
ユリアに落花生のお菓子を差し入れし、自らも落花生のTシャツを着ている男の子。
そう。アイリはその男の子のことを、忘れることなどできるはずもないのだ。
(げぇっ! あ、あっ……あいつは!!)
姉と一緒のアイドル活動。
そのお渡し会に来たのは、幼少の頃アイリをいじめた落花生の男の子だった。
笑顔でユリアに話しかける落花生の男の子を見て、アイリはイベントであることも忘れ、衝動的に叫ぶ。
「千の葉の民! 我の親愛なる姉君から離れなさい!」
その場は一瞬にして凍りつく。
ユリアも事情がわからず驚いた顔でアイリを見つめていた。
だが、周囲の状況などお構いなしに、アイリは腰に付けていた自作のオーディンステッキを構え、魔法の詠唱を始める。
「ニョルニョルミョルニル……我に力を……コイワクノイワク……眼前の愚かなる者に裁きを! 吹き飛べ! ゴルディオン・パニッシャー!」
……だが、魔法は発動しなかった。
アイリが見た夢のように、目の前の男の子が光りに包まれて星屑に変わるようなことはなかった。
そして、しばしの沈黙。
会場内の人々は、これがアイリのサービスだと勘違いし、アイリへ向かって歓声をあげる。
驚きの表情だったユリアも、気を取り直して落花生の男の子と会話を始めていた。
「もしかして、アイリのこと知ってる?」
そうユリアが聞くと、落花生の男の子は笑顔で答える。
「えっ!? そうそう知ってる知ってる。小さい頃はすごく仲良くしてもらってたんだよ。まさか姉妹でアイドルになるなんて思わなかったよ」
アイリは自分の耳を疑った。
あろうことか仲が良かったなどという大嘘をユリアに話しているのだ。
(……ない……じゃない)
幼少の頃の記憶がフラッシュバックするとともに、アイリは身体の奥底から込み上げてくる感情を抑えることなどできなかった。
「そんな……ない……そんな、わけ……ないじゃない!」
再びアイリは叫ぶ。先程よりはるかに大きな声で。
そしてもう一度オーディンステッキを掲げ、魔法を詠唱した。
「覚醒せよ! 輪廻に漂う漆黒の魂よ! ダーク・グリモワールに導かれし我に暗黒の力を! 千の葉の民に、絶望という名の地獄を! ダーク・ストーム・ジャッジメント!」
アイリは涙目になりながら魔法の詠唱を終える。
先程のことがあったため、今度も何かのパフォーマンスだと誰もが思っていた。
ところがオーディンステッキが光り輝き、なんと魔法が発動したのだ。
オーディンステッキから飛び出した光は、目の前にいる落花生の男の子を包み込むと、そのままふわりと浮き上がり、急加速。
「うわああああああああああああ!」
落花生の男の子は叫び声を上げるが、その身体は光の玉に包まれ空高く舞い上がる。そのまま猛スピードで千葉方面へ吹っ飛び、江戸川河川敷の千葉県側に水しぶきをあげて落下した。
周囲の人々はその光景を見て唖然としているが、アイリは魔法が使えたことに上機嫌。
「暗黒魔導士たる我に恐れ慄け! 穢らわしき千の葉の民め!」
ついに魔法が使えるようになったアイリは、その力を使って数多の千の葉の民に裁きを下していた。
「親愛なる姉君に近付く不敬なる千の葉の民よ、我が禁断の魔法ですべて混沌の彼方へ葬ってくれよう!」
アイドル活動を続けるアイリは、地元小岩を拠点とし、姉が活動する秋葉原の守護者と名乗った。そして、姉にすり寄る千の葉の民を次々と魔法で千葉方面へ吹き飛ばしていく。
大多数の千の葉の民からはよく思われていなかったが、アイリの使う魔法のエンターテイメント性や、アイリの拗らせまくっている性格、そして姉に負けず劣らずの可愛さが徐々に話題となり、一部を中心にカルト的な人気を集め始めていた。
一方、自分を守ると公言されている姉のユリアは、アイリの行動についてやや心配することもあったが、精力的なアイドル活動と徐々に上がってきているアイリの人気ぶりを見て、あまり気にすることもなくなっていた。
「グミンたちよ! 我のサバトによくぞ参った。我の名は暗黒魔導士アイリ様である! 我こそはアキバの守護者! 我こそは千の葉の民に終焉を告げる者よ!」
アイリがイベントに現れると、会場のそこかしこから口々にアイリを称える声が聞こえる。
「アイリ様だ! アイリ様が降臨なさったぞ!」
「暗黒魔導士アイリ様だ! うおおおおお!」
「そのオーディンステッキで叩いてー!」
一部おかしな声も聞こえるが、今日もライブは絶好調。
気に入らない千の葉の民を魔法で吹き飛ばし、自らのファンを増やして姉と秋葉原を守るため、アイドルであり暗黒魔導士である鬼蝮アイリは、その手にした力で元気よく暴れている。
アイリのアイドル活動も徐々に軌道に乗り、小岩周辺のローカルアイドルとしてだが仕事も増えた。
もちろん千の葉の民を吹き飛ばすという使命も忘れていない。
そんなある日、アイリは気分良く家路についていた。
(今日もたくさん千の葉の民を吹き飛ばしてやったわ。ふふふ)
帰宅後、夕飯を食べてのんびりお風呂に入り、今日という日を思い出しながら†デモンズノート†を優雅に眺める。
最近は魔法ですぐに気に入らない千の葉の民を吹き飛ばせるため、†デモンズノート†に恨みつらみを書くことが減っていた。
その代わり、もう一冊のノートに毎日何かを書いている。
(今日はこれくらいでいいかな)
†オニキスインデックス†と書かれたそのノートには、アイリが常日頃口にしているおかしな単語や言葉が、びっしりと書き込まれていた。
「大いなる漆黒の泉より涌出し呪詛は、我のレゾンデートルにしてアイデンティティ……。悪魔の目を欺き、これを記すことで楔とし、我の魔力を増幅させ、崇高なる使命を果たすのだ」
アイリはブツブツと唱えるように独り言を言うと、満足感と充実感で満たされ布団へ入る。
明け方、東京方面を中心に地鳴りが発生した。
地鳴りで布団から飛び起きたアイリは、妙な違和感を感じてカーテンを開け、窓から外を見た。
すると、遠くで眩しく光る地域があった。
「あれは……アキバの方角!?」
アイリはすぐに気付き、そして姉のことを思い出した。
「お姉ちゃん、昨日からアキバで泊りがけの仕事だったはず!? もしかして……」
慌てて着替え、家を飛び出したアイリは、始発に乗って姉のいるであろう秋葉原を目指す。
「待っててお姉ちゃん! 私が助けに行くからね!」
チュウニズム大戦
レーベル | 難易度 | スコア | |
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スキル名/効果/備考 | |||
♥グミン | ADVANCED | 0 / 200 / 400 | |
レーベルキャンセル(◆♣ミス+) | |||
次とその次のプレイヤーの◆、♣の COMBO/CHAINは、MISSとなる。 | |||
備考:◆ジェネ/♣イロド |
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
402019年06月16日 10:31 ID:ebghp150年齢:お姉ちゃんより下
身長:お姉ちゃんより下
スキル:お姉ちゃんより下
おっぱい:お姉ちゃんよりでかい
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チュウニズムな名無し
392019年05月09日 23:51 ID:k4bgd27v千の葉の民倒すのか…
轟雷音のストーリーにG.O.D千葉県民説あったよ頑張ってね
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チュウニズムな名無し
382019年05月02日 02:33 ID:ldcyvrcj最高にイラストがえっちだ…
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チュウニズムな名無し
372019年05月01日 19:06 ID:cjqalt2gおでん缶の杖をオーディンステッキって呼ぶのセンス良いなとか思ったけど某パズルとかストライクのゲームのオーディンもおでん呼ばわりだったことを思い出した
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チュウニズムな名無し