チョコレート
キュイの資料
チョコレートはショコラとも言い、カカオ豆を原料として作られる、誰もが知るデザートである。その原型はアメリカ大陸のアステカ人がカカオ豆に水および香料を加えて作った飲み物“ショコラトル(Xocolatl)”だ。スペインの探検家、エルナン・コルテスがそれを自国に持ち帰り、スペイン人が甘み、香り、熱を加えて発明したのが“ホットチョコレート”である。その後、スペインの姫マリー・テレーズはルイ14世との婚約の品としてカカオ豆を贈り、この真新しい飲み物は貴族の間で話題になった。
興味深いのは、スペイン人がチョコレートを重要な秘密として1世紀もの長い間守ってきたことである。カカオ豆の加工を任されたスペインの僧侶がその秘密を漏らすまで、チョコレートはヨーロッパに広まっていなかった。その後は工業化生産と市場の仕組みに影響され、チョコレートは大きく変化し、様々なきっかけが訪れる。まずは1876年、スイス人がチョコレートの中に牛乳を入れようと試み、それによって今ではよく知られるチョコレートの基本レシピが出来上がった。その後まもなく、イギリスの会社が思いついてチョコレートを脱水し、濃縮。そこで携帯しやすい固形のチョコレートができたのだった。
チョコレートにはこのように時がたつにつれますます魅力的な食べ物となり、甘みと苦みのバランス、なめらかな舌触りが不可欠なものとなった。しかし、チョコレートには他にも素晴らしい点があることを挙げねばならない。一つは、糖分と脂肪分が多く含まれ、また持ち運びやすい固体状に加工されているため、保存食とすることができる点。二つは、チョコレートに一種の興奮成分となるテオブロミンが含まれている点であり、加えて糖分がさらに大脳のエンドロフィン分泌を刺激する。そのため、チョコレートを適量摂取すれば気分を高め、ストレス解消の一助となる。
とはいえ、チョコレートの食べ過ぎはよくない。糖分と脂肪分が多く含まれるため体重に影響する恐れがあり、チョコレートに含まれるテオブロミンは人間以外の動物にとっては有毒であるため、決してペットにあげてはいけない。